続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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 本作品はフィクションであり、実在する人名、国名、団体名、組織名などが登場するが、それらとは全く関係なく、中傷も賞讃も意図しません。

 挿絵は、海面上昇シミュレータ、ペイント、ChatGPT を使用して描いています。


第2章 1話

 二ホンに戦艦2隻を沈められたカメリル国は、セイル外交官をスパン南基地に派遣し、その基地の責任者日野三佐に宣戦布告文を手渡した。

 カメリルの宣戦布告を知った日本政府は、日本本土の脅威はないとみて、静観を決め込んだ。スパン南基地には攻撃の許可を与えて。

 惑星歴502年、新地球の動乱の日々は終わったわけではなかった。

 

 セイルはヘリで航空母艦へ、そこからボートでバハナミ号に戻っていた。

 「日野でしたか、あいつは二ホンに伝えると言ってましたが、二ホンは降伏するでしょうか。」

 マーヤ曹長がそう言うと、セイルは即答した。

 「降伏はしません。日野の眼はそう言ってました。宣戦布告、帰って報告です。」

 バハナミ号はスパン南基地から逃げるように遠ざかっていった。航空母艦もそのあとをついていく。

 航空母艦の艦長は、戦闘機で基地を攻撃する旨をセイルに告げたが、基地にある二ホンの戦闘機を見ていたセイルがそれを止めた。ジェット戦闘機はカメリルにもあるが、空母に搭載している戦闘機はプロペラ機である。空母にスパン王国の捕虜も確保しており、万全を期して共に引き返すようにセイルが提言した。

 

 カメリルの戦艦2隻はゆっくりと後退していく。ミサイルの攻撃範囲内に敵の基地が入るところで停泊し、バハナミ号が見えなくなるのを待っていた。1発ずつ、ミサイルを2発基地にぶち込んで逃げるつもりである。

 

 カメリルの戦艦からミサイルが発射される。すると、待っていたかのように護衛艦まやから対艦ミサイルが飛んでいく。

 カメリルの放った2つのミサイルが上空で破壊されると同時に1隻の戦艦が爆発し傾いていく。攻撃されなかった戦艦の乗組員は逃げることも忘れて、呆然としていると、基地からヘリが飛んできた。

 「攻撃を休止する。攻撃を受けた艦の乗組員を救助して立ち去れ。」

 

 ・・・・・・・・・・・

 

 カメリルの宣戦布告文を受け取った建物から基地の指令室に戻った日野と三木は、日本から送られてきた数枚の写真に困惑していた。偵察衛星が写した写真である。偵察衛星は何の意図もなく撮影しているだけで、海だけ、草原だけ、ジャングルだけという写真も多くあるのだが、基地に送られてきた写真は、困惑する写真ばかりであった。日本からは遠い場所だが、スパン南基地からはそれほど遠くない。調査するならその基地からというわけだ。

 

 「凄いですね、これ原子力発電所ですよ。」と日野が写真を三木に渡す。

 「これも凄い。人型ロボットですか、銃を持ってますよ。」それも三木に渡す。

 2枚の写真を眺めながら、三木が言った。

 「確かに。発電所を警備しているのはロボットですね。これが赤道直下に?」

 「そうです。それから、よく分からないのですが、これを見てください。」

 「亜人ですね。顔は・・・ラーテル、最恐の哺乳類!」

 「何ですか?ラーテルって?」

 「肉食性の動物、転移前に派遣されたことのある地域の動物、クマの種類になるのかな。」

 

 「こんな所、調査せよと言われても・・・」と日野は困惑気味。

 「船で近くまで行って、無人偵察機で偵察ってとこだね。」と三木は好奇心旺盛で乗り気。

 「無理だよ、カメリルの近くだよ。カメリルの戦艦と戦いになる。」

 「もう、戦っているでしょう。」

 

 ・・・・・・・・・・

 

 カメリル国に帰ったセイル外交官は、宣戦布告文を渡した報告をバジル執政官にしていた。

 「降伏は拒否されたのかね。」とバジル。

 「いいえ、でも本国に伝えると言っていましたが、本国が拒否することを知っている様子でした。」

 「そうか、やむを得ないだろうな。素直に降伏すれば共に繁栄できただろうに。」

 

 「はい、そう思います。・・・・・では、失礼します。」

 そう言って、セイルは執務室を出た。

 

 「これはこれは、お嬢様。この度は大役ご苦労様です。」と廊下で声をかけてきたのはイカサス軍務大臣。セイルの嫌いな男であった。イカサスは、陸軍のアカサ少将を引き連れていた。

(お嬢様と呼ぶ奴に碌な奴はいない。)そう思いながら、セイルは尋ねた。

 「いえいえ、イカサス殿、軍人を従えて、今日はどのような御用で?」

 

セイルが軍務大臣にも媚びないのは、バジルがおじであるからではない。正義院議員の方が大臣よりも高位なのである。外交官であるセイルは、職務上外務大臣の命に従うが、軍務大臣に従う必要はない。因みに外務大臣は正義院議員であるが軍務大臣はそうではない。イカサスは海軍からの成り上がりである。

 

 「コンガ征伐のため、ジャングルを焼き払う許可をこの少将が申し出たことと、お嬢様の警護の戦艦が1隻沈められたことの報告です。」とイカサス。

 「沈められた?ミサイルを放って帰還すると聞いていたのですが。」とセイル。

 「はい、放ったミサイルは2発とも空中で爆破されたとのことです。」

 「・・・・・」

 

 ・・・・・・・・・・

 

 スパン南基地では、偵察機で衛星写真の赤道直下の場所へ飛んでいく準備をしていた。護衛艦まやで近づいて偵察ドローンを飛ばすことも考えたが、近くのカメリル国に察知され、衝突が避けられないと判断したからだ。

 偵察飛行は遠回りでもカメリルの反対側から進入するように計画していた。というのはその国はカメリルと戦っていることが分かっており、レーダーなどの警戒はカメリル側に集中しているだろうと考えられたからである。もちろん、少しでも危険を感じたら、全速で逃げ帰ることも念頭において。

 偵察機のカメラの映像が通信衛星を通じて基地のモニターや日本にリアルタイムで送れるように設定していた。そして、偵察機には、日本からも基地からも指示ができるように受信機が取り付けられていた。

 

 偵察機の出発を見送った日野は指令室に戻っていた。そこには三木も残っていた。三木は全くの部外者なのだが、日野は三木の過去の仕事を知っており、尋ねる必要があることも予想されたので、出て行けとは言わなかった。

 「偵察ですか、ついに始まりましたね。」と嬉しそうな三木。

 「無事に何事もなく終わればいいが。」と心配顔の日野。

 「大丈夫ですよ。撃墜されれば脱出すればいいだけです。パラシュート背負っているんでしょ。」

 「撃墜?とんでもない。それを大丈夫とは言わない。」

 「心配してもしょうがない。早く見たい、モニターつけて下さいよ。」

 「ついてるよ。カメラが動き出せば映るようになっている。偵察員の判断、草原ばかりでは無駄。」

 

 偵察機にはパイロットも含めて5人の偵察員が乗っていた。機長と副機長、カメラ担当と通信担当。4人でいいのだが、なぜか4は縁起が悪いと5人、残り1人は予備員。カメラ担当と言っても、ボタンを押すだけ。通信担当も似たようなもの、通信機の前にいるだけ。通信することなんてほとんどない。

 この隊員不足のときに、偵察に5人も使うなんてということで、無人偵察機となったのだが、電波が届かなければ操縦できないことはドローンと同じで、近距離でしか使えない。無人偵察機の開発の表向きの理由は隊員の安全であったが、本当の理由は隊員不足であった。

 ともかく、5人が乗った偵察機は目的地の上空に侵入した。

 

 スパン南基地の指令室のモニターに映像が映し出された。原子力発電所とそれを警備する人型ロボットの映像であった。三木は人型ロボットの動きと顔を食い入るように見ている。

 建物がいくつかみえるが、そんなに多くはない。街とも町とも言えない。村、集落と言っても少なすぎる。それに、偵察機からは人がいたら映るはずなのに、人がいない。そんなところに、原子力発電所とロボット、しかも数少ない建物はどれも現代的というか未来的。まるで、宇宙人のいる別の惑星のようである。三木はしきりに首を傾げている。

 

 「いた!」思わず三木が叫んだ。それは衝撃的な映像であった。紛れもなく人、裸の男たちが歩いている。それを銃をもった亜人が追い立てている。三木が写真を見てラーテルの顔と言った亜人が、人を追い立てているのだ。その亜人や人たちがこちらを見る、いや、偵察機に気付いて偵察機を見たのだ。

 突如、モニターには空が写り、映像が消えた。基地に緊急帰路の連絡が入り、騒然となる。




カメリルだけでも脅威なのに、新たな脅威を発見、どうする日本?
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