続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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コンガに侵攻したカメリル軍は?


第2章 3話

 コンガに侵攻したカメリル軍は、夜襲を警戒しながら野営テントで1夜を過ごした。幸い夜襲もなく、後方部隊からの戦車や人員、武器、弾薬の補充があり、侵攻を開始した。

 今度は草原、所々にこんもりとした森があり、出会うのは動物ばかりで人影もない。戦車8台が横1列になり競う様に進む。その後ろを兵や食料や武器弾薬を積んだトラックが4台、そしてかなり離れた最後尾を助手席にトロル中尉を、荷台に補佐のイマト少尉を乗せたトラックが1台、我が物顔で進んでいる。

 何があるか分からないから縦列で進むべきだとスマル少尉が提言したが、敵を威圧するには横列の方がいいと聞き入れてはもらえなかった。

 

 そして、前方に白い建物が見えたとき、ドカーン、ドカーンと戦車が爆発する。仕掛けられた地雷で戦車が全滅。白い建物から兵が出てくる。最後尾のトロルが乗ったトラックは、戦車の爆発と同時に後方へと逃げて行く。

 「壊れた戦車の陰に伏せて近づくのを待て!」スマル少尉は自分の部下に指示する。スマルは10人の先鋭の部下をもっている。

 「他の者はトラックで逃げよ。武器弾薬を積んでいるトラックを1台残しておけ。」そう言って、戦車の陰に伏せる。

 

 トラックが後方へ走り出す。建物から出た兵たちが近づいてくる。どの顔も同じ顔、化け物だ。

 ダダダダダ。化け物が自動小銃を放ちながら近づいてくる。

 「撃てっ!」スマルが叫ぶ。ダダダダダ。敵兵が倒れて行く。

 ダダダダダ。敵は何も見ないで前方に撃っているだけ。誰も当たらない。

 

 確実に敵が倒れていき、近づく敵が少なくなり、スマルが逃げ時と後ろを見ると、後方に敵。

 「挟まれた!5人ほど後ろのトラックで敵を撃て!」とスマルは叫んだ。

 

 (逃げ場がない、部下を守るには降伏しかないか。でも、あの化け物、命の保障はないだろうな。)

 戦うしかないと腹を括ったスマルは、「トラックの中の武器弾薬をすべて出せ。身近に置いて攻撃に使え。」と指示した。

 ダダダダダ。トラックから後方の敵兵を撃つ。敵が倒れていく。

 

 

 (敵の殲滅以外に助かる方法は?後方の敵を少なくすればトラックで逃げれるか。)そう思ったのだ。

 「トラックのエンジン、かけておけ。」

 

 「かかりません、ダメです、動きません!」

 絶望、 敵の殲滅以外に助かる方法はない。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 逃げ帰ったトロル中尉は、草原の陣地、野営テントに残っていた兵たちに、その場所を守るように指示して、イマト少尉と共にボントの街に戻っていた。そして、イマトをトラックに残したまま、領事館にいるアカサ少将に戦況報告をしていた。

 

 戦車が全て壊れたことは報告したが、敗れたことは言わなかった。侵攻して草原に陣を構えているので、ぜひ視察に来て欲しいと成果ばかりを報告していた。戦車の件も言いたくなかったが、補充をしてもらうためには必要な報告であった。

 「ところで、ミサイルの発射台のようなものは見つかったかね。」とアカサ。

 ジャングルを焼き払い、侵攻する目的は、制圧の障害となるミサイルの破壊である。偵察機も戦闘機も 飛ばせないことが、制圧に苦労している原因なのだ。

 「いえ、まだ見つけることができません。でも、ロケット弾発射装置は全て壊しました。」とトロル。

 全てかどうか分からないのに、成果だけは強調する。それが彼の処世術であった。

 

 「勝ってるみたいですよ。トロル中尉が報告に来てました。アカサ少将、視察に行くみたいです。」とマーヤ曹長。

 「そうですか。」と言って、しばらく考えて、「私も行きます。」とセイル外交官。

 「いけません、外交官殿、そんな危険なところ。」

 

 言い出したら聞かないのがセイル。やってきたトラックに給油をすると、そのまま、アカサを乗せて引き返す。当然、セイルもマーヤも乗っていた。焼け焦げた黒い大地を抜けて草原を走ると、スカイブルーの生地にカメリル火山の国旗が見えた。カメリルの陣地である。

 

 陣地に着いたトロルは、穴を掘ってる兵を見て、「何をやってるのかね。」と尋ねた。

 「逃げ帰った時は塹壕をつくれといつもスマル少尉が言っていましたから。」と兵が答える。

 トロルは慌てた、そしてアカサの顔を見た。

 (逃げ帰ったは聞こえなかったようだ。)そう思ったトロルは、「御苦労」と言って足早にテントに向かった。無駄な穴掘りをやめさせようと思ったが、穴を掘っている兵はスマルの部隊の兵ばかり。スマルには従うが、自分には従わないことをトロルは知っていた。止めればややこしくなるだけ、そう思った。

 

 逃げ帰ったことをセイルとマーヤはしっかりと聞いていた。アカサに聞こえたかどうかは分からないが、彼は何も言わなかった。野営テントにつくと、セイルは「少し周りを歩いてみます。」と言ってアカサに敬礼すると、もと来た方に戻っていった。慌てたマーヤが後を追う。

 戦車が何台もやってくる。ボントの街に待機していた戦車である。セントはそれを見ながら、穴を掘っていた兵のところへ向かう。

 

 「逃げ帰ったと言ったね。詳しく教えて。」セイルは穴を掘っていた兵に尋ねた。

 兵はキョトンとしている。マーヤが言った。「外交官殿に詳しく話しなさい。」

 兵は外交官と聞いて敬礼をし、話し始めた。

 敵の攻撃を受け、あっという間に戦車が全滅したこと。スマル少尉とその部下が敵の侵攻を食い止めている間に、我々がここへ逃げてきたこと。ここでスマル少尉たちが戻るのを待っていること。そして、あまりにも遅いので心配していること。それらを説明して、兵の顔が曇った。

 

 (シェラリベの撤退の時と同じだわ、トロルは真っ先に逃げたのね。)マーヤはそう思った。

 その時、「敵襲だ!」と叫ぶ声。

 「ここに入れ、じっとかがんでいろ」説明をした兵は、そう言うと、草原に自動小銃を構える。作業をしていた兵はすべて塹壕に入り、銃を構えている。トラックやテントにいた兵たちも銃を持って飛び出し、バラバラに走ってくる。もう、前方に銃を放っている者もいる。

 (この塹壕に伏せている兵たちは、指揮者もいないのに統制がとれている。全員、同じ姿勢だ。)

 塹壕にかがんで、兵の様子を見ていたセイルはそう思った。銃声が響き合う、でも、誰も撃たない。

 

 後方から走ってきた味方の兵が撃たれる。

 ダダダダダ。塹壕にいた1人の兵が射撃すると一斉に全員が射撃を開始する。

 ダダダダダ。ダダダダダ。敵兵がバタバタ倒れていく。

 

 後方から戦車がやってくる音がする。ドン、ドン。砲撃しながら進んでくる。

 「みんな、伏せろ!」塹壕の中の誰かが叫ぶ。

 頭上を戦車のキャタピラーが通過していく。塹壕は戦車が通過できる幅に掘ってある。

 ドン、ドン。草原の土や草と一緒に兵も飛び散る。戦闘車両の破壊力はすさまじく、生き残った敵兵は、我も我もと逃げて行く。

 

 敵は去り、兵たちの歓喜の声が響く。しかし、戦いの後の始末をしている塹壕の兵たちは皆暗い顔をしている。涙を浮かべている兵さえいる。

 「皆さん、どうしたんですか?」とマーヤが尋ねた。

 1人の兵がポツリと言った。

 「敵が攻めてきたということは、スマル少尉たちが全滅したということなんだ。」




敵兵を追っ払ったカメリル軍ではあるが?
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