桟橋で外交特殊船に乗ったブチル外務大臣は、リベルテ国に帰って行った。戦艦3隻と航空母艦はそのまま沖に停泊している。残った三木とメイキ大尉と警護の兵たちは、戻ってきたバスで海軍本部へ行く。
海軍本部でバスを降りたのは三木とメイキだけ。桟橋で待っていたのと同じ将校たちが2人を玄関へと案内する。バスの中の警護の兵たちは、相変わらず、思い思いのことを勝手にやっている。運転手は、ゴロツキに似ている彼らに、声もかけれなかったが、恐る恐る聞いた。
「警護の必要はないのですか?」
1人の兵が、笑いでふかしていた煙草にむせて、言った。
「警護?あの人たちに?あはは、いらねえよ。」
小さな会議室で三木とメイキはシェラリベ共和国の国防庁長官ヨミレと会っていた。
ヨミレ長官は海軍出身でよく海軍本部に出向いていたのである。
「我々は国を守ればそれでいい。他国を攻撃しようなんてことは、これっぽっちも考えていない。」と
ヨミレ。それほどの軍事力もないことも事実であった。
「我々も他国を攻める気はありません。でも、カメリルは攻めてくるのです。リベルテはロマスク帝国と共同で防衛しているのです。」とメイキ。
「だから、共同で防衛しようと言うのです。我が国日本も宣戦布告されました。」と三木。
「二ホン?知らないなあ、あなたは?」
「我がリベルテ軍のアドバイザーです。」とメイキが答える。
「知らなくてもいいです。いいですか。守っているばかりでは、いつ攻めてくるか怯えながら暮らさなくてはなりません。戦いは終わらさなければならないのです。停戦でもいい。相手に攻めてこないと言う約束を取り付けなければ、戦いは終わりません。そのためには、相手を攻撃する以外にないのです。」
三木がそう言うと、ヨミレが答えた。
「そうは言っても、我が国は守ることさえ危うく、攻撃など無理です。」
「だけど、今しかないのです。カメリルが攻撃しなくなったのはなぜだか知っていますか?」と三木。
「いいえ、不思議に思っているのです。」
「東の国を攻めていて、こちらに兵を向けられないからです。だから、チャンスなのです。」
「どうして、あなたがそんなことを?」とヨミレ。
「それが二ホンの凄いところです。」とメイキ。
「港の沖に停泊しているリベルテの艦隊、カーゴの街ですか、そこのカメリアの基地を攻撃するために残っているのです。防衛同盟さえ結んでいただければ、我々だけでカーゴの街のカメリア軍を攻撃します。」
「分かりました。政府に同盟を勧めてきます。」
「ありがとうございます。同盟はリベルテに連絡して、リベルテと結んでください。二ホンとは連絡できません。」と三木。
連絡できないのではなく、日本は知らないのだ。三木が暗躍していることも。スパン南基地の日野三佐は感づいているかも知れないが。
「最後に、我々を、東方の最前線に運んでいただきたい。武器、弾薬の使用許可と長官の推薦状もよろしく。」と三木が申し出る。
ヨミレは、わずかの人数ではどうにもなるまいと思ったが、三木の申し出を承諾した。
カメリルがリベルテやロマスクに攻めるには海軍に頼るしかない。そのためには、シェラリベの沖を通過するしかないのである。シェラリベで防衛すれば、カメリル軍の国民への脅威はなくなる。それが、三木のバーダン国家主席への説明であった。国交が目的ではなく、防衛同盟が目的だったのだ。
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トロル中尉とイマト少尉は、人型ロボットのことをアカサ少将に説明している。
「そんなバカげた話、誰も信用しないぞ。」とアカサ。
「砲弾で真っ二つになったロボットが攻撃してくるんですよ。とても戦えません。」とイマト。
そこへ、戻ってきたスマル少尉が、アカサ少将に写真機を渡す。
「これを現像して見せれば納得します。人型ロボットが写っているはずです。是非、撤退か、攻撃の再検討か、補強をお願いします。」
結局、アカサとトロルはカメリルへ説明のため帰ることになり、イマトとスマルでこの陣地を守ることになった。ロボット相手に外交官は必要ないと、途中のボントの街にいたセイルとマーヤも一緒に帰ることになった。
アカサたちが帰った首都カーレンの軍務省では、ロボットの群れが写っている写真で大騒ぎになった。
アカサとトロルの説明を受けたイカサス軍務大臣は、西側のジャングルを焼き払っているのなら、海から砲撃できるはずと海軍出身の大臣らしく、戦艦での砲撃を考えた。ガーゴの戦艦を回し、陸軍の補強もガーゴの陸軍を使えばいいと思った。
そして、軍務省の事務官にその旨、話をして、コンガ攻略の計画書をつくらせ、最上階にいるバジル執政官に提出した。
その計画書を見たバジル執政官は言った。
「カーゴの兵を撤退させて、シェラリベの攻撃を防げるのかね。」
イカサスは答えた。
「シェラリベは守るだけで攻撃はしてきません。攻撃をしてこないのに守る必要はありません。」
バジル執政官は、一抹の不安を感じながらも、イカサスの計画を許可した。
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シェラリベのバスの運転手は驚いた。今度は、この変な人たちを、東方の陸軍陣地まで運べというのだ。軍に雇われているから、軍の指示には逆らえない。
とにかく、奇妙な集団であった。背広の男に、立派な軍服の男。そして迷彩色の服を着たならず者たち。運転手は、この警護兵は他国の軍隊だと聞いていたが、立派な軍服の男が指揮しているのでもなさそう、誰がトップなのか分からない変な軍隊だと思った。
東方の陸軍陣地に着いた。この陣地は、首都ハイツの東の端にあり、西からのカメリルの攻撃を防いでいる陣地である。
バスの乗客は、てんでバラバラに降りる。背伸びをしたり欠伸をしたり、「腹減った、飯だ飯だ。」と叫んでいる者もいる。統制などとれていない。
背広の男が武装兵に書類を見せる。それを見た兵が敬礼をして去っていく。
軍服の男がやってきて、「ご苦労さん、もう帰っていいですよ。」と言ったので、運転手はバスを発進させた。
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カーゴの軍港にいた戦艦5隻、航空母艦2隻が出航する。ササド大尉は戦艦の艦長、ユカル大佐は旗艦の航空母艦の艦長として、乗艦していた。
陸軍基地でもカイル大佐率いる中隊が出発していた。コンガ制圧の命を受けて。
カメリル国の首都カーレンでは、カイル大佐の軍隊と合流するため、アカサ少将とトロル中尉が待っていた。
セイルは外務省の部屋で、報告書を作成しながら、頭では他のことを考えていた。
(父が我が国の兵に殺された。ガボリの民の逆恨みだと思っていたのに。あの話が本当だとしたら、その兵は父の部下、しかもかなりな高位のはず。)
セイルの知っている父の部下だった男は、カイルだけだった。セイルの子供の頃は、軍の休暇を取ってセイルの家に来ていて、よく遊んでもらっていた。カイルは貧民の出で将校にはなれないのだが、父に引き上げれもらったと言っていた。
(まさか、カイルが・・・・私の警護にマーヤをつけたのはカイルだと聞く。まさか、罪滅ぼしに。)
父の亡き後、金銭の援助はバジルであったが、父の様に触れ合ったのはカイルであった。セイルは、困惑していた。
セイルの父を殺害したのは?