スリム王国の沖で停泊しているカメリルの戦艦のレーダーは、3隻の軍艦を捕えていた。サンパル皇国の軍艦であった。開発した長距離砲を搭載した軍艦である。情報によれば1隻は退却し、残り1隻だけだそうだ。3対1、負けはないとサンパル皇国の軍艦が悠然と進んで行く。
「二ホンの艦は装備が貧弱でも、ミサイルを撃ち落として攻撃してきます。どうします。今なら逃げることができます。」とカメリルのササド艦長。
「そうだな。ミサイルの射程距離になったら、1発放って、撃ち落とされたら逃げるか。」とユカル大佐。
カメリルの戦艦からミサイルが発射された。
ドカーン。サンパル皇国の軍艦が爆発する。驚いたのは両方であった。自慢の長距離砲の射程外で攻撃されたサンパル皇国側はもちろん、攻撃が不発に終わると予想していたカメリル側もである。
(何かがおかしい。)と思いながら、ササドはさらにミサイルの発射を命じる。
とんでもない位置でサンパル皇国の軍艦が爆発するのを目撃したジュラス都市国家の軍艦は、とても敵わないと判断して引き返した。
3発のミサイルで軍艦3隻を沈めてしまったササドは、上陸占領を主張する。しかし、慎重なユカルは援軍が来てからでも遅くないと反対した。上陸部隊もなく、海軍だけで陸にあがることを躊躇したのだ。
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コンガのカメリル陸軍陣地では、スマル少尉とイマト少尉がミサイル発射装置破壊の作戦を練っていた。ミサイル発射装置があるために、航空機の偵察も攻撃もできないのだ。
スマルの部隊が、囮となり地下の通路から攻撃、その間にイマトの部隊が戦車で進撃してミサイル発射装置を破壊。シナリオはできるのだが、問題あり。囮のスマルの部隊、携帯用ロケット砲で人型ロボットを動けなくすることができるが、通路に隠れるところがない。盾がないのだから、銃弾の的になるしかない。そこで、夜間の襲撃を考えたのだが、果たして人型ロボットが眠るのかどうか、甚だ疑問であった。
そんなとき、またボントの街からの使いがやってきた。今度はイマトの部隊の帰国命令である。コンガのカメリル陸軍陣地の撤退ではない。西の大洋から戻ってきた戦艦の報告から援軍を派遣することになった。イマトの部隊は輸送艦に乗艦して日本攻撃の先鋒の命を受けたのである。
スマルの部隊は、ミサイル発射装置破壊の手立てを単独で探る以外になかった。幸い、戦車は残っているので、敵の攻撃から陣地は守れそうであった。
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三木はガロ集落にいた。リベルテ発シェラリベ経由の武器や弾薬がガロ集落に運ばれる。ガロ集落はカメリルの兵に略奪を受けた集落である。カメリルに対する恨みも強い。ガーゴの街のカメリル占領の不満分子も集まっている。
ガーゴのカメリル海軍の軍港に軍艦は1隻もいない。日本に向けて出発するためにカーレンの港に集まっている。陸軍基地も海軍基地もわずかの兵しか残っていない。
リベルテのメイキ大尉はガーゴの市長室にいた。
「カメリルを完全に追い出します。あなたがたが、占領した基地を攻撃しなければいいのです。」とメイキ。
カーゴの街はかつては大きな都市国家で、強力な軍隊も保有していた。カーゴの街の軍隊はカメリルによって解体されており、その兵たちは警察機構の中に組み込まれ、警察の武力が強力なのである。その警察が占領した基地を攻撃したら内乱になる。
「わかりました。でもうまくいくのでしょうか。仮に追い出せたとしても、カメリルが攻めてくれば、我が街では守り切れません。」とガーゴ市長のテーゴ。
「大丈夫です。その時は我が国が守ります。」とメイキ。
「それだと同じではないですか。カメリルのかわりにあなたの国になるだけだ。」
「違います。基地はあなた方が管理するのです。我が国の兵が駐留するのではありません。街を守る組織をつくってください。カメリルが侵攻してきたら、援軍を差し向け、我が軍も戦います。」
「それではあなたの国のメリットがないのでは?」
「いえいえ、我が国は今、同盟国と共に、カメリルと戦っています。この街が独立すれば、それだけカメリルの力を削ることができます。つまり、戦いに勝利するという十分な利があるわけです。まだあります。我が国の兵器を買い、街の郊外にある鉱山の金やダイヤモンド、そして農産物のカカオ豆などを売っていただければ、互いに利になります。そう、そう、カメリルをこの街から追放するのは、わが軍ではありません。カメリルに不満を持つガーゴの市民です。」
「いいでしょう。協力しましょう。」
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カメリルのカーレンの港から戦艦3隻、航空母艦1隻、輸送艦1隻の艦隊が出発していた。輸送艦には少尉から昇格したイマト中尉の部隊が乗艦していた。トロル中尉は父親が執政官になったことも影響して、大尉を飛ばして少佐になって、カーレンの陸軍基地勤務になっていた。
スマル少尉は少尉のままで、コンガのカメリル陸軍陣地を守りながら、人型ロボットの攻撃方法を模索していた。
ロケット弾がなくなったのか保存しているのか分からないが、ロケット弾の攻撃がなくなり、戦車による攻撃が有効であった。戦車は人型ロボットの銃撃を防ぐことができ、その砲弾はロボットを壊すことができる。
ロボットの足を破壊すれば動けないことは分かっていた。しかし、それでも、銃撃してくる。銃を壊せば銃撃はなくなるが、銃を狙うのは難しい。頭を壊せば攻撃が止まると考えて、頭を破壊したが、首から上がないまま、攻撃してくる。しかも、見えているかのように散らばった頭部を集めている。まったく、始末に負えないロボットであった。
スマルはイマトがいなくなっても、ミサイル発射装置の破壊を諦めてはいなかった。それが陸軍の目的というだけでなく、人型ロボットが自らを作り出すようになったら、カメリルだけでなく世界の危機だと思っていたからだ。それを、完全に破壊するためには、ミサイル発射装置の破壊して航空機で偵察、攻撃ができるようにする必要性を強く感じていた。
人型ロボットには目も耳もついているが、それらが視覚と聴覚を担っているわけではなさそうであった。光と音のセンサーはまったく別の所にあるのだ。人の脳に相当する部分、行動や判断を決定している部分も頭にあるわけでもなさそうだった。ハート、心臓だと思い、胸をぶち抜いてみたが、違っていた。
それでも、弱点を見つけなければ戦えない。そして、やっと突き止めたものの、絶望的。狙いの的は銃よりも小さい手であった。腕が破壊されても、手だけで攻撃してくる。まるで、機械の化け物。しかも、両手を破壊しなければおとなしくならない。光のセンサーも音のセンサーも手にあるのだ。
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ガーゴの街では、カメリルの陸軍基地と海軍基地への襲撃が始まった。アッと言う間の襲撃で決着がついた。というのは、リベリテの特殊部隊の8人がガーゴ人に紛れ込んで襲撃の先陣にいたからである。もちろん、迷彩服は脱いでいた。それに、襲撃を取り締まる警察も襲撃に参加していた。カメリル兵は戦う前から逃げ腰であった。
基地からトラックで逃げるカメリル兵もかなりいた。逃げる者は追わず、基地にあるスカイブルーの生地にカメリル火山の国旗を降ろし、白地に椰子の実の街の旗を掲げた。
ガーゴの民兵の顔には、もう侵略を許さない強い決意があった。カメリルの搾取にはうんざりしていたのだ。
カメリルではイカサス軍務大臣がガーゴの反乱の報告を受けていた。通常ならすぐに制圧軍の派遣をするところであるが、それどころではない、軍自体が混乱していたのである。
というのは、兵の昇格制度への不満である。直接的には人望も実績もないトロルの2階級特進であったが、以前から燻っていた不満でもあった。
まずは名家の子弟への不満。名家の子供は10歳から15歳までは軍隊への入隊が義務付けられている。セイルの様に15歳の大人になると除隊する者も多くいるが、それでも少尉、将校である。軍隊に残るものは尉官、佐官と実績にかかわりなく昇格していく。大将を経て軍務大臣になるのも、名家の出身である。イカサス軍務大臣は例外であった。それでも、イカサスは富豪層の出身である。
カメリルの国民は4つの階層と名家とからなる。貧民層、中流層、裕福層、富豪層、そして正義院議員をだす15の名家である。軍隊では、兵の数が圧倒的の多い貧民層、中流層出身の者が尉官以上になることは難しい。貧民層出身のカイル大佐は例外中の例外であった。
名家は世襲であるが、4つの階層は流動的であった。すべての国、人種、信条、階級の繁栄を保証する統一された世界秩序、それがカメリルの宗教であり、世界観であった。だから、すべてを平等に受け入れて差別をしないはずであった。そこを、兵の数が圧倒的の多い貧民層、中流層出身の者が追及をしてきたのだ。
侵攻している時は不満は押さえつけることができる。しかし、退却を繰り返していると不満が爆発する。今のカメリル軍は後者なのだ。
カメリルはどうなる?