続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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セイルがカイルの上官殺しを知ったのは?


第3章 5話

 セイルがカイルの上官殺しを知ったのは、軍法会議の後、バジルの家を訪ねた時だった。

 「で、おじ様、どうなったのですか?」

 「ずっと調べていたというだけで、何も言わなかったが、過去の上司の仇ということが考慮されて、死刑ではなく終身刑。」とバジル。

 実は、バジルとトスカ執政官が動いて死刑が免れたのである。

 

 「証拠とかキッカケとかは何も話さなかったのですか?」

 「何も言わなかった。だから、半分以上の陪審員が個人的な怨恨だと思っていた。」

 (ボントの街の老婆との話をおじちゃんは聞いていたんだ。何も言わないのは・・・私の代わりに。)

 セイルはそう思って涙ぐんだ。

 「とにかく、死刑でなかったのだから良しとしないと。ユリネにはこのことは言うな、身体にさわるから。」とバジル。ユリネはバジルの妹、セイルの母の名である。

 「そうですね。」

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ガーゴ都市国家にいる三木は、特殊部隊に偵察訓練の任務を与えていた。2人1組で行動し、4班に分かれて敵の情報を集めてくる。何が有用で何が不要かは2人で判断する。武器は身体だけ、危険を避け、敵と衝突をしないこと。期間は1週間、1週間後に戻ってくること。4班それぞれに砂金袋を渡し、潜入先の通貨に変えて行動するように指示した。

 そして、通信衛星をつかってスパン南基地の通信機に連絡を入れる。

 

 「軍の受信機も盗んだのか、三木さんは。」と日野三佐。

 「盗んだなんて人聞きの悪い、お借りしているだけです。」と三木。

 「高性能盗聴器も盗んでいるだろう。消音銃も。」

 「消音銃はリベルテの借用書があるでしょう。」

 「そんなもの、何の役にも立たない。おかげで、減給の上降格だ。恨んでいるぞ。」

 「あはは、失礼しました。声は恨んでる様子ではないですね。」

 「で、何の用だ。」

 「実は今ガーゴ都市国家にいるんですがね。」

 「そんなところ、聞いたこともない。どこにあるんだ。知っているのはカメリル国だけだ。」

 「カメリルの隣の国です。最近独立したばかり。で、お願いなんですが、小型の携帯無線機がそちらにあったですね。10個ほど借りたいんですが。」

 「そんなことできるわけないだろう。」

 「じゃあ、5個ほど。」

 「数の問題ではない。ダメだと言ったらダメ。」

 「また、盗まれたことにすれば問題ない。」

 「それが問題なんだ。」

 「メイキ大尉がリベルテの借用願を持って行きますのでよろしく。」

 「備品を貸し出す権限なんかないんだ。おい、待て。・・・・切りやがった。」

 日野は頭を抱え込んだ。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 コンガのカメリル陸軍陣地では、スマル少尉が地下の集落で貰った地図を広げて、ミサイル発射装置の破壊作戦をたてていた。その地図には、発射装置の位置が等間隔で南北に4か所並んで記されている。

 スマルがイマト中尉に説明する。

 「地下通路の出口に1か所、地下都市に入る扉の前の出口に1か所ありました。この2か所は地下通路から侵入して破壊するのがいいと思います。後1つは扉の前の出口、そのさらに北側にあることを確認しましたが、地下からの出口は都市の中で分かりません。地下からは無理です。もう1つは未確認ですが、破壊した建物の位置から推定するとさらに北側にあるはずです。だから、後の2つは地上から戦車で破壊するのが妥当かと思います。」

 「分かりました。地下から行ってくれますか?」とイマト。

 「はい、そのつもりです。」

 「地上からは私の部隊で行こう。で、決行はいつ?」

 「夜がいいと思います。ロボットは寝ていないと思いますが、人や亜人は眠っている。ライトなしで見える月夜がいいかと。」

 「こちらは戦車を2つに分けて、それぞれ1つの発射装置を破壊するようにするのがいいかな。」

 「そうですね。目的は破壊ですから、できるだけ戦わずに、破壊したらすぐ逃げ帰るのがいいと思います。私の方も2つの班に分けるつもりです。私の方は盾がありませんから、できれば戦車が先に攻撃していただければ、潜入しやすくて助かります。」

 「了解。それでいきましょう。」

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ガーゴ都市国家にいる三木のもとへ特殊部隊が戻ってきた。カメリルに潜入して1週間が経ち、8人全員無事であった。単なる訓練にしては、有用な情報をつかんできていた。ガーゴの隣の地方をトーベ地方と言い、その隣の地方をナーイ地方と言って、それぞれ中央政府の議会に議員を出しているが、その議員同士が代々仲が悪いという事。そして、その議員の息子は共に軍隊に所属しているが、やはり折り合いが良くないとの事。もともと、この2つの地方は敵対する別の国であったが、1000年ぐらい前に世界戦争があったときに、近隣の国々が自国を守るため連合して巨大国家になったとの事。中央政府はカメリルの首都、高層ビルの建ち並ぶカーレンにあるという事。軍隊に関しては、カメリル国軍とは別に、地方軍と言う軍隊がある事などである。

 

 地理や歴史、偵察の難しい事柄だが、特殊部隊の隊員のリベルテ語とこの地方のカメリル語は文字も文法も同じフランス語で、言葉の壁がないので容易に調べることができた。

 どの班も同じような情報を仕入れており、信ぴょう性の高い情報であった。ただ、1つの班だけがそういった情報を出さないで、執政官がトスカという名前である報告だけをした。この班は酒の好きな2人で、1週間同じ酒場に入り浸りで、持ち合わせていた砂金をすべて使い果たしていた。

 

 三木は黙って報告を聞いていたが、最後に質問をした。

 「バジルという人の名前を聞かなかったかね。」

 以前にセイルが執政官の名をバジルと言った記憶があったからだ。

 それには、執政官がトスカであると報告した班の1人が答えた。

 「聞きました。前の執政官の名前です。バジルからトスカに変わったと。」

 「その理由は?」

 「聞いていません。」

 「では、セイルという名前は?」

 誰も知らなくて黙っていた。

 「よし、いいでしょう。メイキ大尉が戻ってきたら、首都カーレンに出発です。残った砂金は、ここで自由に使っていい。無くなった人は誰かにたかりなさい、あはは。では、自由行動、ゆっくり、羽を伸ばしてください。解散。」

 

 ・・・・・・・・・・

 

 コンガのカメリル陸軍陣地からイマト中尉部隊の戦車が無灯で6台進んで行く。満月ではないが月明かりもあり、目視できる。ミサイル発射装置の破壊作戦の決行である。やがて戦車は3台ずつ2手に分かれて進む。

 

 ババババババ。カキン、カキン。やはり、深夜でもロボットは眠っていなかった。銃撃を受け、戦車に当たる。でも、戦車はビクともしない。

 ドン、ドン。教えられた通り、足を狙う。体当たりで戦車をひっくり返されることを避けるためだ。

 ババババババ。カキン、カキン。動けなくてもロボットは銃撃してくる。でも、動けないロボットは怖くない。ロボットの足を砲撃しながら、銃弾の中を戦車が進む。

 予想通りであった。ロケット弾は飛んでこない。ロケット砲を使っていたのは、ロボットではなく化け物の亜人だ。彼らは眠っている。

 

 地下の通路をスマル少尉の部隊が進んでいる。左右の分かれ路に左から敵が来ると挟み撃ちになり困るから、以前のように3人残し、スマルは残りの部下7人を連れて慎重に通路を進む。素早く逃げ帰るために少人数にしていた。

 地上の方に敵の目が向いているのであろう、敵と遭遇することもなく、最初の出入口につく。4人の部下がミサイル発射装置を破壊するため、階段を上がっていく。スマルは残り3人の部下を連れて、地下都市への扉がある出入口へと向かう。

 

 地上の部隊は、ミサイル発射装置が戦車の射程距離に達し停止して、時刻合わせをした時計で攻撃の時を待っていた。

 ドカーン。突如、戦車が爆発する。ロケット弾だった。当然と言えば、当然、亜人の化け物だって騒ぎで起きる。

 

 時計を見ていたイマト、戦車が1台爆破されても慌てないで命令する。

 

 「4,3,2,1 撃てッ!」

 ドン。ドン。2つの戦車からの砲撃。

 ドカドカーン。ミサイル発射装置が崩れ落ちる。

 「退却、急げ!」

 もう一方の戦車隊も成功したようだ。退却している。




ミサイル発射装置をずべて破壊できるのか?
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