続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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地下に潜入のスマルは?


第3章 6話

 地下では、スマル少尉がミサイル発射装置に辿り着いて、爆薬を仕掛け終えていた。

 スマルは時計を見ながら、「爆破!」と呟く。

 ドカーン、ドカーン。2か所でミサイル発射装置が崩れ落ちる。スマルたちは素早く退却するが、目を覚ました亜人たちが追ってくる。その後ろからロボットも。

 ダダダダダ。自動小銃で銃撃しながら退却して、全員無事に3人の見張りがいるところまで逃げてきた。そして、そこで、スマルが言った。

 「ここから後は、出口を出て、わき目も振らずに陣地まで走れ。弾の残っている銃はここへおけ。ロケット砲は1つでいい。ロケット弾は全てここに置く。1人、お前だけ残れ。急げ!」

 そして、残った1人の部下に、「ここで左側からくる敵があれば、亜人は銃撃、ロボットは砲撃せよ。」と言って、自動小銃とロケット砲とロケット弾を渡し、残りの自動小銃のすべてを抱えて、右側へ走って行った。

 

 スマルは曲がり角の陰から、追ってくる亜人に対して自動小銃を放つ。

 ダダダダダ。敵が倒れていく。左側からは敵がこない。

 ダダダダダ。すべての自動小銃の弾を使い果たしたころには、敵は後からやって来るロボットだけになっていた。ロボットの移動は遅い。

 

 スマルは、左側を守っていた部下の所まで戻ると、部下に逃げるように指示をして、ロケット砲とロケット弾を抱えて階段のところまで退却をした。

 

 スマルは、部下が安全に退却できるように時間稼ぎをしているのだ。ロケット砲を構えて、通路にロボットが現れるのを待つ。左右に分かれているところにロボットが現れたら、即攻撃、足狙い。そこへ動けないロボットを山積みにすれば、邪魔になってこちらに来れないはず。計算通りになるかどうか。

 来た、ドカーン。ロケット砲で足を攻撃。ドカーン。1体、2体、3体と動けなくしていく。ロボットは陰に隠れているスマルを認識できない。センサーで認識できないものを攻撃することもない。めくらめっぽうに撃ってくる亜人とは違う。通路に動けないロボットが山積みになる。

 スマルの計算違いが起こった。ロケット弾が切れるころ、転がっているロボットを担ぎ除けて、次々とロボットがやって来るのだ。万事休す、逃げるしかない。

 

 とその時、奇妙なことが起こった。

 バーン。バーン。動けなくなっている1体のロボットの両手が爆発したのだ。すると、やって来ていたロボットが、動けなくなっている他のロボットを担いで引き上げ始めたのだ。

 そして、両手が爆発したロボットだけがそこに残った。両手は木っ端微塵で跡形もない。残されたロボットは機械の塊でしかなかった。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ガーゴ都市国家でメイキ大尉を待っている三木のもとへ、テーゴ市長の使いの者が来た。

 「市庁へ是非来て欲しいとのことです。メイキ大尉殿は?」と使いの者。

 「まだこちらに帰っていません。で、何の用ですか。」と三木。

 「カメリルから使者が来ます。是非、メイキ大尉殿にも同席して欲しいと市長が。」

 「分かりました。私が行きましょう。」

 「あなたが?」

 「リベルテ軍のアドバイザーです。問題ありません。」

 

 ガーゴの港にカメリル国のバハナミ号が入港する。戦艦3隻を引き連れてやって来たのだが、港にはリベルテの貨物船などが停泊し、戦艦は沖に停泊する以外になかった。今さら砲艦外交もなかろうが、カメリル国はその慣習から抜け出せなかった。

 バハナミ号からセイル外交官が下船する。ゴンタ外務大臣からの指名である。かつての海軍基地本部の建物は、ガーゴ市貿易事務所と名前を変えていた。

 その建物の会議室へとセイルと護衛の兵が案内される。会議室にはガーゴ側に席が2つあり、まだ入室していないらしく空席であった。カメリル側はセイルと護衛兵2人の席が設けられており、案内人が座って待つように言った。

 

 セイルたちが待っている会議室に入って来たのは、ガーゴ市貿易局長レンドと三木であった。レンド局長はカメリルの占領下でのカメリルとの折衝担当であった。

 

 セイルは三木の顔を見て驚きの色を隠さなかったが、何も言わなかった。セイルとレンドが互いに自己紹介をして、最初に口を開いたのはレンドであった。

 「今日はどのようなご用件で」

 「このカメリルの海軍基地と陸軍基地を返していただきたくて。」とセイル。

 「返す?もともとここはガーゴの土地ですよ。おかしいでしょう。」

 「いえ、契約でカメリルの基地だったはずです。それを武力で強奪したのはそちらでしょう。カメリルには返還してもらう権利があります。」

 

 「いやだと言ったら。」レンドは強気である。

 「武力で返してもらうことになります。そんなことになれば、多くの人が不幸になります。平和的な解決を願っています。」

 セイルに圧倒されてレンドが三木の顔を見る。

 「平和的な解決と言って武力で脅すのかね、カメリルは。」と三木が口を開いた。

 「ミキさん、あなたは交渉の相手ではありません。」とセイル。

 

 

 交渉の相手ではないと言われた三木、レンドが助け舟を出す。

 「この方は我がガーゴの同盟国、リベルテ軍のアドバイザー様です。武力衝突になれば我が軍と一緒に戦ってくれます。」

 「名前を憶えていて下さってありがとう。お嬢様は何の為にこんな仕事をしているのですか。」と三木。

 「そんなこと、この交渉に関係ありません。」

 「それがあるんですよ。多くの人が不幸になると言いましたね。それを避ける為ですか。」

 セイルは三木の術中にハマっていく感じを覚えていたが、サンマル教の聖典の1節を思い出した。

 聖典には、仕事とは、世の為、人の為に働く事、仕える事とある。すべての国、人種、信条、階級の繁栄をもたらすことがサンマル教の理念である。そのために働いていることを、セイルは微塵も疑っていなかった。セイルは敬虔なサンマル教徒であった。

 「その通りです。私は、世の為、人の為に働いています。」

 「そうですか。日本語には漢字という文字がありまして、人の為にと書いて偽りと読むのですよ。日本では、ほとんどの人が、仕事とは生業であって、生きる為に、食べる為に為すことです。カメリルは面白い国ですね。」

 

 カメリルとて、ほとんどの人が生業であった。三木はおちょくっているのである。

 それに気付いたセイルは、レンドに向かって言った。

 「Metan onipa yi ho.Fi adi.」

 「Mintumi nyɛ saa.」とレンドが答えた。

 (????)三木には何を言っているか分からなかった。カメリル語ではなく、ガーゴの言葉トウィ語で話し始めたのである。レンドが三木に説明をする間を与えないように問いかけ、セイルは交渉に三木を参加させない手段を選んだ。

 

 三木にとっては初めて耳にする言語、黙って聞いていたが、何を言ってるか分からないし、喋れるわけもない。たまりかねて、「カメリル語で喋ってくれ。」と言ったが、セイルに無視された。

 レンドは困惑したが、セイルの問いに答えるのが精いっぱい。レンドにとっても、カメリル語よりも使い慣れている日常の言葉である。容易に即答できる。

 

 交渉は終わった。結果はレンドに聞く以外にないが、セイルの様子を見ると決裂であることは想像できる。三木は、セイルたちを見送った後、レンドに尋ねた。

 「どうでした。」

 「最後は戦う用意があるで終わるようにと教えてもらっていなければ、負けてましたね。凄い娘です。宣戦布告をして帰って行きました。」

 「私も参りました。あれは何語ですか?」

 「この土地の言葉、トウィ語です。最初、あの人嫌いです、出て行って、と言ってました。」と言ってレンドは笑った。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 コンガのミサイル発射装置を破壊したとの連絡を受けたカメリル空軍は、早速、攻撃の計画のための偵察機を飛ばした。

 偵察機に乗っていた偵察隊員は困惑していた。コンガに街どころか、町や村、集落さえない。焼き払われたジャングルと残っているジャングル、点在する森と草原だけだった。そして、とても、人が住んでいるとは思えない工場のような建物がいくつか点在していた。

 偵察隊員は困惑しながらも写真を撮っていく。そして、原子力発電所のようなものを発見した時には、困惑を通り越して驚愕に変わっていた。警備の人型ロボットも確認できた。

 

 偵察隊が撮ってきた写真を見た空軍の作戦隊員も困惑していた。どこをどう攻撃せよというのか。カメリルにも原子力発電所があるから、そこを攻撃すればどうなるかぐらいは想像がついた。

 街でもあれば、戦闘機の低空飛行で銃撃すれば敵に被害を与えることができる。何もない、人もいないのだから攻撃のしようがない。

 陸軍に侵攻してもらって、亜人の兵が出て来たら、戦闘機で援護射撃をするぐらいしか、空軍の打つ手はないと、陸軍に報告をした。

 

 空軍からの報告を受けた陸軍は、その内容をコンガのカメリル陸軍陣地にいるイマト中尉に知らせたが、イマトは頭を抱えるだけだった。

(決死の思いでミサイル発射装置を破壊したのに、空軍のできることは地上に出た亜人の銃撃だけ、そんなことは自分たちだけでできる。人型ロボットを何とかして欲しいのに。)イマトはそう思った。

 スマル少尉はイマトから空軍からの報告を聞き、結局は地下都市に侵入する以外にないと判断していた。




地下都市に潜入するのか?
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