続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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 スパン南基地では?西方大陸東岸地区の集落にいる三木は?どう動く?


第1章 3話

 スパン南基地の指令室では、旭川駐屯地から昇進と同時にこの基地の責任者になった日野三佐と、スパン王国のネント中尉とが、偵察衛星から送られてくるモニターの映像を観ていた。ネント中尉はこの基地で訓練をしているスパン王国のパイロットの隊長である。

 

 「戦車5台、自走砲3台、トラック3台ですか、あれは装甲車両?司令官でも乗っているのかな?」と日野三佐。日本に武装警護車なるものはない。

 「偵察に飛んで行ったから、国があると思って侵攻するつもりでしょう。あの程度の隊で、なめられたものだ。」とネント中尉。

 

 「そうではないと思いますよ。国交の使節団でもいるのでは?それにしては物々しすぎる。」と日野。

 「真っ直ぐ北上していますね。そのうち山脈ですよ。越えれるのかな?」とネント。

 「越えれませんよ。西へ迂回して海岸方面からやってくると思いますよ。」

 「やってきたら、二ホンは叩くのでしょう。」

 「そんなことできませんよ。それに相手は陸上部隊、海は越えれない。」

 「ロマスク帝国の港町セルルは地続きですよ。そこが攻撃されたら?」

 「心情的には何とかしたいが、できません。スパン王国も同じです。ここが攻撃されれば別ですが。」

 

 日本はスパン王国もロマスク帝国も国交と交易はあるが、安全保障条約は締結していない。安全保障をしているのは西方大陸東岸地区の集落だけである。

 

 そこへ自衛官に案内されてロマスク帝国のアコリ中尉が入ってきた。彼も少尉から中尉になっていた。

 「どうしてここへ?」と日野。

 「ロマスク在住の日本大使から、未知の軍隊が我が国の港町に向かっていると連絡がありましてね。大使に二ホンは助けてくれるのかとヨルベ外交官が尋ねると、できないと答え、ここで相談するように言われたそうです。それで、私が派遣されたわけです。」とアコリ。そして、続けて、

 「どうして戦えないのですか?リベルテの時は共に戦ったではないですか。」と言った。

 

 「リベルテの時は日本が攻撃を受けたし、宣戦布告もされていた。今度は違う。国交の使節団かもしれない。」と日野。

 「国交の使節団が軍隊で来るはずがない。」とアコリ。

 「で、ロマスクはどうするつもりで。」とネント。

 「二ホンの助けがあろうとなかろうと港町セルルで迎え撃つつもりです。町には一歩も入れない。」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・

 

 見渡す限り緑の草原、所々にこんもりとした森が点在、他に何もない。そんな草原をカメリル国の陸上部隊は北へ北へと進行していた。

 「どうしてあんな奴が指揮官に」武装警護車の中で、セイル外交官は思わず呟いた。

 トロル中尉とアビル少尉は立ち寄った集落で奪った馬に乗っていて、この場にいない。

 セイルの呟きを聞きつけたマーヤ曹長が、

 「軍にはいろいろな人がいますからね。気にしてたら、身が持ちません。」と答えた。

 

 マーヤは40歳の女性で、衛生看護士であるが兵でもある。当然、武器も携帯している。実は、直接の上官カイル大佐から「セイル外交官から離れず、警護すること。危害を加えるものがいたら、敵であろうと味方であろうと銃殺すること。」と命を受けていた。そもそも、部隊全体が外交官の警護のためのものであるが、そのように機能しないことをマーヤに命じたカイルは知っていたのであろう。

 

 「それにしてもひどい、略奪のし放題。罵声と悲鳴で昨夜は眠れなかった。」とセイル。

 「男はいけませんね、節操がない。酒をしこたま積み込んでましたよ。」とマーヤ。

 「任務遂行中は飲酒できないはずでは?」

 「それを言ってはいけません。見て見ぬふりをして下さい。」

 

 軍規で無抵抗の者の殺害は固く禁じられているので、殺人こそは犯さなかったが、集落が壊滅するほど略奪の限りをつくしていたのだ。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 西方大陸東岸地区の集落の三木ことミッキーは、退屈さを紛らわすため、コリーに将棋の駒と将棋盤、そして初心者向けの将棋の解説書を東岸地区の文具店や書店で買ってきてもらっていた。そして、昼休みの2時間ほどコリーと将棋をするのが日課になっていた。三木もコリーも全くの初心者でへぼ将棋であったが、それなりに楽しんでいた。

 

 「王手!」とコリー。

 「それ、ちょっと待って。」とミッキー。

 「待ったなし。」とコリー。

 「薄情者、こちらへ逃げる。」とミッキー

 「王手!」

 「何、逃げ場なし、詰みか?」

 「弱いなミッキー。」

 「くそ、もう1番!」

 「もう時間がないよ、それより、いい娘は見つからないのか。なんなら、うちの娘はどうだ?」

 「馬鹿か、娘はいくつだ。」

 「10歳、無理か。」

 「無理だ、娘が泣くよ。」

 

 そこへ猫耳の娘がやって来て、「旦那様お客さんです。応接室で待ってもらっています。」と告げた。

 住み込みの娘たちは全員ミッキーを旦那様と呼んでいる。

 

 コリーと「またな。」と言って別れたミッキーは、応接室のドアを開けた。

 「三木さん、ご無沙汰をしています。」と言って握手を求めてきたのは、川本外交官であった。

 ミッキーこと三木は握手をしながら「どうしてこちらへ?」と尋ねた。

 

 「在リベルテ大使の後任が来ましてね。私は日本に帰る途中です。」と言ってソファーに座り、

 「リベルテから日本への飛行機がないから、西方大陸東岸空港まで来たわけです。」と続けた。

 「スパン南基地の空港から直通で日本に帰れるでしょう。」と三木。

 「平常時に自衛隊の飛行機に乗るわけには、民間機は東岸空港経由でないと日本に帰れません。」

 

 「そうですか、で、どうしてこちらへ?」

 「実は、頼まれましてね。リベルテのバーダン、知っているでしょう。」

 「ええ、反政府軍のボスだった男。」

 「今は国家主席で、リベルテのトップですよ。」

 「国家主席?」

 「はい、仮の名称で、国の復興も何とかなったから、来年大統領を国民が選んで、彼は退くそうですよ。その彼にずっと言われていたのですが、三木さんにリベルテの国政に力を貸してほしいと。」

 

 「国政ですか?そんなタマではないですよ。」

 「とにかくえらく気に入っているようで、ぜひ伝えて欲しいと。引き受けるかどうかは別にして、私の顔を立てるということで、1度会いに行ってみて下さい。」

 

 「あなたの顔を立てる気など、さらさらないですが、考えておきましょう。」

 「あはは、ところで、こんなところで生活するなんて、三木さんは酔狂な方ですね。」

 川本は三木がこの集落の先祖の血を継いでいることを知らない。




 三木は集落から出て行くのか?
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