続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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 本作品はフィクションであり、実在する人名、国名、団体名、組織名などが登場するが、それらとは全く関係なく、中傷も賞讃も意図しません。

 挿絵は、海面上昇シミュレータ、ペイント、ChatGPT を使用して描いています。

カメリル動乱の戦火が始まる


第4章 1話

 惑星歴503年、カメリル動乱の戦火はトーベ地方とナーイ地方の衝突で始まった。

 

 トーベに戻ったハルルは、トーベ共和国の建国を宣言、首都トレツに大統領府をおいて、初代大統領に就任した。任期は3年、3年後に大統領選挙を行う予定。民族自決のナショナリズムは通用しない。トーベはカメリルと同様に多民族。カメリルの国教がサンマル教であるのもナショナリズムを否定している宗教であるからなのだ。ハルルはトーベ第一主義という新しいナショナリズムを唱えて民を説得し、トーベ共和国をつくったのである。ナショナリズムはどのような形であれ、人民の心を掴みやすいものなのだ。

 

 カメリル国がそれを認めるはずもなく、トスカ執政官は、国軍とナーイ地方軍にトーベの反逆を征伐することを命じた。

 ナーイ地方はトスカ執政官の出身地、トーベの隣のナーイ地方軍がすぐに動き、国軍が来る前に出動してトーベと衝突したのである。

 

 トーベ地方とナーイ地方を結ぶ道路はそれぞれの街トレツとナクルを一直線に走る2車線の舗装道路である。国境でさえ曖昧なところである。地方の境界などあるはずもない。

 トラックなどの車両は、草原ならば道路を通らなくてもどこでも走ることができる。しかし、トーベ地方とナーイ地方の間にはジャングルがあり、ジャングルを抜ける道路を通らないでトーベに行くことはできない。

 トーベは建国の宣言をする前から、この道路の側で集落に戦火の影響が及ばないところに、防衛の陣地を築いていた。しかも、ジャングルが目視できる位置に。

 そこへ、ナーイ地方軍のトラックがやって来たのである。トーベの防衛軍には、国軍の陸軍がいる。それに、戦車も自走砲もある。ナーイ地方軍は戦闘よりも災害救助やデモの鎮圧が得意であることは、トーベ地方軍と同じであった。

 

 道路を進行していたナーイ地方軍のトラックは、ジャングルを抜けると停止した。目視できる所に縦に赤と緑で2分割した旗が翻っている。トーベ軍の陣地であった。

 ナーイ地方軍はトラックを並べ、戦闘準備をする。トーベ軍の戦車が進行してきてトラックを砲撃、すべて走行不能になった。戦車に歩兵が向かっていって敵うはずがない。生き残ったナーイ地方軍の兵たちは逃げることしかできなかった。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ナーイ地方のナクルの街を出発してカーレンに向かって走行していた三木たちのトラックは、戦車や自走砲などの軍隊の車両とすれ違う。

 「どうしたのでしょうね。この道はナクルからガーゴの街まで続いてる。まだ、懲りずに侵攻する気なのかな。」と運転席のメイキ大尉。

 「まさか、それはないと思うよ。でも、数が多いね。」と助手席の三木。

 三木たちはトーベが建国をしてカメリル国と衝突していることを知らなかった。

 

 

【挿絵表示】

カメリル周辺

 

 三木は無事に通過してくれることを願っていたが、最後尾の車両に停められる。

 武装した兵が銃を構えて、運転席のメイキに、「降りろ。」と命じた。メイキはトラックから降りながら「何事でしょう?」と尋ねた。

 「そんなことはどうでもいい、こちらの質問に答えよ。どこへ行く?」

 「カーレンです。」

 「何をしに?」「出稼ぎです。荷台には労働者が乗っています。」

 

 カメリル軍の武装兵に呼び止められ、カーレンに何をしに行くのか尋ねられたメイキ大尉は、傭兵とは答えないで出稼ぎと答えた。相手は軍人、「雇ってやる。このままついてこい。」と言われたら困るからである。

 

 「どこの出身だ?」

 「ナーイ地方です。」

 相手は助手席の三木の顔を見ながら、怪訝な顔をする。

 「山奥の貧しい村からの出稼ぎです。みんな私たちの稼ぎを待っています。」と言って、メイキは手を合わせて拝んだ。どこで学んだのか、サンマル教の祈りのポーズである。三木も同じポーズをする。

 

 相手はトラックの荷台に回り、ホロを開けて中を確認する。8人の隊員たちも手を合わせた。ホロの隙間から外の様子を覗っていたのである。

 「で、物々しいですが、何が起こったのですか?」とメイキが尋ねる。

 「山奥の村なら知らないだろうが、トーベが反逆したのさ。」と警戒を解いて答えた。

 「そうですか、トーベも愚かですね。では、行ってもよろしいでしょうか。」

 「よし、気を付けていけよ、山賊も出るから。」

 

 ・・・・・・・・・・

 

 トーベの港町ドレキは、1000年以上前は奴隷海岸と呼ばれていた海岸にあり、海面の上昇で内陸部へ後退したがその頃からの港町であった。古い歴史のある町で、かつては奴隷貿易、今は綿花などの農産物やリン鉱石の交易で栄えている町である。沖にはカメリル国が開発した海底油田があり、原油が港に運ばれている。その港にカメリル海軍大佐であったユカルが連れ帰った戦艦3隻が並んでいた。

 

 ドレキの港湾にはカメリルのための事務所などがあったが、すべてトーベ直轄になっていた。港湾は海軍基地をつくるにはスペースが足りないので、港湾事務所を臨時の基地にした。海軍基地は軍港と共に、近くに建設中である。

 

 ユカルはト-べ海軍大将に就任し、ユカルについてきたササドは少将を拝命し、2人は臨時基地の本部にいた。

 「少将なのに悪いが、戦艦の艦長を兼ねてくれ。それに、巡視艦の乗組員の訓練も。兼務ばかりで申し訳ないが。」とユカル。

 「いいですよ。陸の隊員は多かったが、海軍は少なかったから。」とササド。

 カメリルの海軍に対抗するには、巡視艦の戦闘力を高め軍艦にする必要があるとユカルは思っていた。

 

 「カメリルは訓練が終わるまで待ってはくれまい、ミサイルはあるのか。」とユカル。

 「各艦4発ずつ、12発です。生産は可能なんですか?」とササド。

 「分からない、聞いてみよう。」

 「ガーゴからも攻撃されたらアウトです。独立の連絡をして、できれば同盟がいいですね。」

 「そうだな、大統領に連絡しておく。」大統領はユカルの母である。




新国家トーベ共和国、カメリル国はどうする?
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