コンガのカメリル陸軍陣地では、スマル少尉がイマト中尉に地下都市の様子を説明していた。
「5カ所の充電器を壊してから、偵察に潜入してみると、ロボットの充電器に集まる数が増えていました。つまり、充電器の数が減ればそれだけ充電に手間がかかるということです。全ての充電器を壊すことは無理ですが、少しでも多くの充電器を壊せば戦いが有利になると思います。」
「亜人はどうでした?」と、イマト。
「何万人いるか分かりませんが、脅威ではありません。兵は銃で攻撃してきますが、でたらめに撃っているだけです。ロケット砲を操作するのは亜人のようで、昼間の戦車は危険ですが、夜間に動けば大丈夫です。問題はロボットです。もう少し、充電器を壊して、様子を見たいと思います。」
スマルたちは再び地下都市の充電器を破壊するために地下都市に潜入した。脱出する出口は2カ所、エレベータのある建物からの脱出は危険すぎるから断念した。新たな出口を見つけるまでは、仕方のないことであった。しかし、2カ所ずつ爆破して4カ所を破壊して、脱出に成功していた。少しずつであるが、確実にロボットのエネルギー源を削っている。
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三木たちはカーレンに潜入していた。傭兵としてではなく、出稼ぎの田舎者として、安アパートに住みついていた。仕事は日雇い人夫や料理店の皿洗い、繊維工場の清掃夫、廃品回収業の手伝い、酒場の給仕など様々である。すでに訓練でやっている情報集め、今度は具体的な課題が与えられている。
隊員は2人1組で行動し、日本のスパン南基地から借り受けた小型無線器を各組1個ずつ配布していた。この小型無線器はタクシーの無線機のようなものでビルの谷間でも受信できる長波長の電波が使われていた。各無線器同士で通話が可能だが、この地域では傍受される恐れがあり、緊急時以外は使用禁止にしていた。
軍隊の基地、軍事工場の場所などは日本の監視衛星で明らかなのだが、三木たちにはその情報が入っていない。この国の地図さえ持っていないのだ。だから、地図を手に入れ、それらの位置を調査することが重要な課題になる。それに、政府の要人の氏名とその居所も分かっていない。三木が知っているセイルと言う名の外交官も調査の対象である。三木は、セイルという少女を捕えるか殺すかしないと、とんでもない脅威になると直感的に感じ取っていたのだ。
三木は特殊部隊の指揮の権限があり命令する立場であるが、軍隊の経験もなく軍事に関してはからっきしであった。隊員と殴り合いでも始めれば、1発で倒される。しかし、隊員たちは三木に1目も2目も置いていた。国家主席の肝いりというだけではなく、状況判断や指示の適切さと、なによりも勇敢な態度に敬意さえ抱いていた。
隊員たちは腕に自信があるとはいえ、敵国の真っ只中にいるのである。自信なんて飛んでしまって、不安だけが増幅する。にもかかわらず、三木は華奢な躰で平然としている。空威張りではない、平気なのである。テキパキと指示をして、自ら調査に街へ出ていく。その姿に驚きと恐れを抱く者も多くいた。三木は、日本の自衛官でさえ只者でないと言わしめた男である。
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コンガのカメリル陸軍陣地のスマルたちは、また地下都市の偵察に潜入した。もちろん、亜人たちが眠っている深夜にである。都市に潜入したのはスマルと部下2人、部下にロケット砲と爆薬を持たせていた。充電器を爆破して逃げるつもりである。
以前利用した街の中の螺旋階段は入口から8番目の交差点にあり、ミサイル発射装置のところに出るようになっていた。だから、17番目か18番目の交差点のあたりにミサイル発射装置に向かう階段があるはずだと推定したのだ。それを確認したら、ついでに充電器を爆破して逃げようと考えたわけである。
スマルたちは入口から真っ直ぐ北に延びる道路を監視カメラに入らないように慎重に進む。何度も潜入しているから慣れたものである。壊れた充電器のところにロボットはいない。破壊してない充電器のところは要注意。この時刻、充電しているロボットがまだいる。充電が終わっているであろう時刻にやってきたのに、充電器の数が減って時間がかかるのかもしれない。
奴隷収容所の塀があるところまで来た。あと少しだ。16番目の交差点近くには住宅とは違う建物、工場のような建物が並んでいた。ロボットの部品や武器などがつくられているのだろうか。中は見えないから分からない。そしてついに、天井まで伸びる同じような螺旋階段を見つけた。17番目の交差点の近くであった。慎重に辺りを覗う。
ロボットが1体、充電中であった。もう1つ向こうの角に充電器がある。そこにはロボットはいない。
スマルたちが見つけたこの2か所の充電器は新たな発見であり、この2か所を爆破しようと考えた。1体のロボットが充電を終え立ち去るまで待たねばならない。待つ身には長い時間であった。
充電器が設置されている2か所に爆薬を仕掛ける。導火線を長めにしているから、階段のところまで駆ける時間はある。螺旋階段を上がり始めると、ドカーン、ドカーン。爆発音がする。
辺りが明るくなり、亜人たちが出てきて騒がしくなる。スマルたちは階段を駆け上がった。
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カーレンにいる三木たちは、アパートに戻り、得た情報を交換していた。三木は書店で購入したカーレンの街の地図に、その情報を書き込む。軍港、海軍基地、陸軍基地、兵舎、省庁のビルなどはすぐに分かるところにあり、確認も容易であったが、軍事工場など兵器の場所は見つけることができなかった。
国政を担当しているのはトスカ執政官で自宅はナーイという地方にあり、普段は省庁のビル内の官邸に住んでいるとのことであった。行政を担当する者は大臣だけでなく殆どが、このビル内に宿舎があるという情報を得ていた。セイルについても、このビル内のワンルームマンションで生活しているのだが、今は休暇を取って郷里ツールの自宅に帰っているとの事だった。
その他の情報として、トーベ地方が反旗を翻し、トーベ共和国を名乗っているとのこと、制圧に軍を差し向けていることなどもあった。
三木は記録を取りながら、特殊部隊の情報収集力に感心していた。その道のプロであった過去を振り返っても、これだけの情報を得るのに、1週間以上はかかる。人数の力とも言えなくはないが、それにしても多い。何人で調査しても分かることは皆同じと言うことが殆どなのだ。
セイルのことが余程気になっていたのであろう。三木は、後をメイキ大佐に任せ、隊員2人を連れて、トラックでツール地方へ出発した。運転席と助手席に隊員が乗り、三木は荷台でホロの隙間から外を眺めていた。荷台にはトラックの燃料を入れたタンクも載せてある。
ツールへ向かう道はカーレンを出てジャングルを抜けるまでは舗装道路であったが、あとは砂利道。しかも、途中で足止め。入り江であろう、渡し舟である。人は渡れるがトラックまでは渡れない。
三木は、手に入れたツール地方の地図を見る。遠回りになるが入り江を回れば向こうへ行ける。隊員に海岸に沿って走るように指示、砂利道が続いている。トラックは入り江を右手に見ながら走って行った。
三木がセイルにこだわるのはなぜ?