続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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トーベ共和国はカメリルを迎え撃つ?


第4章 3話

 トーベ共和国はガーゴ都市国家に使節を送り、カメリルの攻撃に対して互いに協力して防衛するという軍事同盟を締結、ガーゴ都市国家に来ていたリベルテ国の使節とも話し合っていた。

 ドレキ港には戦艦と輸送船が停泊していたが、ガーゴ都市国家やリベルテ国の船が来るようになり、戦艦と輸送船は沖に停泊せざるを得なかった。軍港と海軍基地の建設は進んでいるのだが、完成まではまだ遠い。

 カメリルの艦隊に対する防衛の訓練を巡視艦も戦艦も怠ることなくやっていた。しかし、なぜかやって来ない。陸路ではすぐにやってきたのに。ユカル大将は臨時の海軍本部で首を傾げていた。

 

 実はカメリル軍に軍隊脱出者が大量に出たのである。カメリル国には徴兵制度がある。寧ろ、その制度がない日本が珍しいのだ。カメリルでは15歳から25歳までの男子は兵役の義務がある。それに耐えられない者が脱出することは今までもよくあった。しかし、今度は事情が違った。当然、トーベ地方からも若者が兵役で軍隊にきている。しかも、トーベ地方は広い地方で人数も多い。その者たちがトーベの独立を知り、軍隊を脱出し郷里に帰り始めたのだ。止めるには射殺しかない。でも辺りを死体の山にするわけにもいかなかった。

 海軍とて同じ。艦からすぐに脱出はできないが、上陸させろと騒ぎ出す。艦は艦長や航海士だけで動くものではない。トーベ征伐で出航というわけにはいかなかったのである。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 三木たちは入り江を右手に見ながらトラックで砂利道を走っていた。やがて、方向が変わる。入り江の先端に達したようだ。徐利道は入り江に沿って続いている。入り江の反対側、左手はジャングルだ。時折、対向車とすれ違う。砂利道だが、道幅は2車線十分ある。やがて、砂利道は海岸から離れてジャングルの中へと続いていく。

 

 どのぐらいジャングルの中を走っただろうか、突如、視界が開けて、海が見える。再び入り江に出たのだ。入り江を右手に見てトラックは走り続ける。大きく回って元に戻っているようだ。

 しばらく走ると、農地の広がる場所に出てきた。あちこちに集落が見える。砂利道は舗装道路と合流する。舗装道路を右に進めば入り江の渡し場に着くのであろう。トラックは左へ進む。

 

 特殊部隊の最初の偵察訓練でトーベ地方へ侵入した時は、セイルの情報は得られなかったが、カーレンでは有名だったらしく、自宅の場所までも知ることができた。自宅はツイクという街にあり、ツール邸と呼ばれている。その地方の名称がついているように地方を代表する大邸宅である。知らない者がいないくらいであった。

 入り江の渡し場から2車線の舗装道路が真っ直ぐ途中の街ツルゴに続いている。さらに、ツルゴからツール邸のあるツイクの街まで続いているのだ。

 

 

【挿絵表示】

カメリル周辺

 

 三木たちのトラックは、ツルゴの街に入った。今まで街に入るたびに検問を受けていたのだが、そのようなものはない。警察はあるのだろうが警官は見当たらない。まして、軍人などもいない。とても、戦争をしている国の街とは思えなかった。大きな街だがこの街に用があるわけではない。トラックは街を通り過ぎてツイクの街へ向かう。夕暮れが迫っているが宿泊の必要もない。目的はセイルの殺害、三木は災いの芽を摘むつもりでいた。夜間である方が都合がいい。

 

 三木がこれほどまでに少女のセイルを恐れるのは、単に自分に対する敵意を感じるだけではなかった。セイルは本当に自分の為ではなく国の為に、人の為に働いているのだ。正論が時に人を傷つける凶器になるように、強い信念は他国を滅ぼす兵器になる。カメリル国は、政権は軍部にこそないが、核兵器も存在する軍事国家だと三木は認識していた。全ての階級の繁栄を目指す統一された世界、そんな理想を掲げるサンマル教、そしてそれを信じる少女セイル。有能で末恐ろしい少女である。リベルテ国だけでなく日本も危険に晒されるかも知れない。そんな直感が三木を支配したのだ。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ゴンガのカメリル陸軍基地のイマト中尉とスマル少尉が話し合っていた。

 「地下都市に工場のような建物があるところを見つけました。ロボットが修理されているのだから、部品交渉や修理工場があるはずです。見つけた建物がそうであるとは限りませんが、工場を攻撃すれば打撃になるはずです。」とスマル。

 「でも、工場を攻撃となると、充電器のようなわけにはいかないよ。戦車が入れるなら攻撃できるが、そういうわけではないんだから。」とイマト。

 「そうですね。充電器の破壊と合わせて、武器や方法を検討しないといけませんね。」

 「地上からの出入口は他にないのかね。」

 「あると思うのですが、広くて。分かっている部分は、ホンの1部です。ロボットがどこに集まっているのかも分からない。集まってないのかもしれない。とにかく、もっと偵察の必要があります。」

 「しばらくは、攻撃しないで様子を見ることにしよう。」と言って、イマトはテントから出て行った。

 

 スマルは恐れていた。人が偶然、発見や発明をするように、ロボットが偶然、自分たちを創ることを覚えたら。部品も修理する器具もスキルもあるのだから、不可能だとは言えない。偶然は人にもロボットにも平等に起こるものなのだ。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 三木たちがツイクのまちのツール邸に到着した時には、夜も更けていた。目的を達した後は、すぐに逃げれるようにトラックの向きを変えて、トラックから降りた。

 ツール邸の門を開ける。音もなく簡単に開く。何と不用心な、警備の人もいない。カーレンでの情報では地域1番の名家であるそうだったが、セキュリティはゼロである。三木はこんな国家の要人の家を見たことがなかった。誰でも入れる門、門の意味をなさない。警備どころか人さえいない。

 

 三木たちは中に入った。広い、とにかく広い。ポツン、ポツンと小さな建物が点在している。大邸宅などどこにもない。夜間照明があるところに庭園が浮かび上がる。見渡す限り庭園なのである。道幅も広い、トラックで走れるほどだ。遥か向こうに明かりの灯った建物がある。

 その建物に向かって三木たちは歩く。建物に近づくにつれて、庭園の樹木が減り、芝生に変わっていく。その建物の周りは芝生、でも建物は質素であった。3部屋ぐらいの平屋建てである。

 

 玄関をそっと開ける。三木にとっては鍵など無意味なのだが、鍵はかかっていない。三木は隊員たちに目配せをする。隊員たちが明かりの灯っている部屋のドアを開ける。

 「誰、誰なの?」セイルの声である。

 三木が部屋の中に入る。

 「二ホンのミキ!どうしてここへ?来ないで!」

 隊員たちが部屋に入る。セイルはその隊員たちの顔も見覚えがあった。シェラリベ共和国でテントに戻された時、三木の背後にいて銃を構えていた顔だった。

 

 三木はゆっくりと銃を構えて歩み寄る。

 「来ないで!撃つわよ。」

 セイルは護身銃を自分の頭に当てる。セイルの意外な行動に三木は週著したが、笑いながら、

 「撃ってみな。いいよ、お嬢様を殺すために来たんだから。」と言って銃を構えた。

 




三木たちはセイルの部屋に侵入、セイルは?
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