続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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三木は日本に帰ることを決意、無事帰れるのか?


第4章 8話

 ボントの街外れの老婦人たちの家に戻った三木は、4人の婦人たちをカメラに収め、残り5人を含め9人の日本人の名前などを書いた用紙をポケットに入れて、婦人たちに礼を言って別れを告げた。

 老婆の経営するレストランまでの帰り道、三木は思案していた。

 

 (9人の日本人を帰国させるには、日本政府を動かす以外にない。ガボリ共和国との交渉なら問題はなさそうだが、ガポリはカメリルの属国、宣戦布告のカメリルが承知するはずがない。話し合いの土俵にも上がらない。となると、戦争。日本政府は戦いたくない。これは、下手に動くともみ消される恐れがあるな。)

 三木は日本政府が人道で動くことはないのを、その組織の中にいたから、よく知っていた。

 (他国にいる人を返してもらうのが難しいのは、今に始まったことではない。さあ、この案件、どうしたものか。まあ、とにかく帰ることだな。)

 

 レストランに戻り、老婆に礼を言って、カーレンに帰ることを告げると、ツイクの街からカーレンまで定期バスが出ていることを教えてくれた。そして、ツイクのバス停まで、老婆がいつも利用しているタクシーを呼んでくれて、それで行くことになった。

 

 やって来たタクシーの運転手の顔を見て、老婆が囁いた。

 「やり手の若社長さんだよ。戦災孤児で1代でタクシー会社を立ち上げた。」

 

 カーレンにはタクシー会社がいくつかあるが、ツイクとボントの間の往来は多いのに、どちらの街にも乗合バス会社も路線バスもない。タクシー会社もなかったので、彼が立ち上げたのである。

 

 タクシーの運転手は気さくな若者で、何かと三木に話しかけ、レストランの老婆には何かと世話になっていて、客の送迎からコンガのテント村の野菜の運搬まで利用してもらっていると言った。そして、自分の名前がタクシーだと言って笑った。三木は前職の職業病で自分のことは絶対に話さない。

 (そういえばタクシーはフランス語で t a x i だった。)と思った程度で、面白くも何ともなかった。

 

 ボントの街からツイクのバス停まで、タクシーで行った三木は、カーレン行きのバスに乗る。ワンマンバスではない。運転手と車掌がいる。乗客は10人程、勤め人風と学生風で、座席は半分程空いている。バスが出発して街中を走る。三木は窓際に座って外を眺める。長距離バスのようだ。街のバス停を無視して走り去る。ボントと違って、街に兵がいない。

 

 バスは街を出る。田園風景が広がる。のどかな光景だ。来るときは夜、こんな景色は見えなかった。見渡す限り農園と果樹園、所々に集落がある。バスはノンストップで走る。

 やがて、道路沿いに疎らに住宅や商店があり、それらがだんだん密集してくる。街に入ったようだ。

 

街中のバス停で停車した。ツルゴの街のバス停で降りる客はいない。乗り込んでくる客が10人程、満席になる。再びバスは走り出して、街中を走る。この街にも兵はいない。他の地方には地方軍があるが、ツール地方には地方軍がないと、三木はあとでセイルから聞いて分かった。

 

 ツルゴの街を出たバスはまた田園地帯を走る。窓の外に回り道をしてきた砂利道が見えると、やがてジャングルに入る。かなり深いジャングルだ。昼間なのに暗い。

 ジャングルを抜けると砂利道になり、渡し舟の乗り場に着く。バスの乗客は全員船に乗る。渡し舟と言っても手漕ぎのボートではない。連絡船である。バスの乗客だけでなく他の客もいて、かなりの人数が乗船している。

 

 入り江の中で波は穏やかである。ちょっとした快適な船旅を味わうとすぐに対岸に着く。対岸にはバスが待っていてそれに乗り込む。運転手も車掌も違う人だが、バスのカラーやデザインは同じで、来た時と同じバス会社なのであろう。砂利道を出発する。しばらくすると、舗装道路になり、ジャングルに入る。三木は、渡し舟の所の道だけが砂利道になっている理由を考えてみたが、分からなくて奇妙な国だと思った。カーレンの街は近い。三木はセイルを日本に連れて帰るかどうか思案していた。

 

 三木はカーレンの街まで帰って来て、停留所でバスから降りる。カーレンの街は広い。三木は自分がどこにいるか分からなかった。自力でアジトのアパートに辿り着くのは無理であった。アパートの住所はメモしているから、タクシーでも拾えれば問題ないのであるが、タクシーが拾えない。この街のタクシーはメーターがあるわけでも目印があるわけでもない。普通の自動車と同じなのだ。タクシー会社の電話番号を知らないと呼ぶことができない。

 

 三木は小型無線機を取り出して、メイキ大尉に連絡。トラックを回して欲しいと頼む。頼まれたメイキも困った。カーレンのバス停は至る所にある。三木が周りに見える建物などの説明をするが、土地勘はない。全く分からない。

 分からないのだから迎えに行きようがない。アパートの住所が分かっているのだから、どんなに遠くても、道行く人に尋ねながら歩いて戻るしかない。

 

 二人のやり取りを聞いていたセイルが言った。

 「ツイクからの長距離バスの停留所でしょう。私、知ってますわ。」

 結局、セイルが案内人、トラックで三木を迎えに行くことになった。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 コンガのカメリル陸軍陣地では、スマル少尉がロボット攻撃の妙案を思いついていた。そして、それをイマト中尉に話して実行しようと思ったが、いつまで経ってもイマトは戻ってこない。ロボットがいつ自分たちを創ることができるようになるか分からない。待っている余裕もない。だから、自分たちの部下だけで実行することにした。

 

 破壊した建物から地下通路に入り、東に進んで左右に分かれる路を、今までは右に、南に進んで地下都市の入り口まで行っていた。それを左に、北に進むと何があるか調べると、そこには地下都市への扉と地上への階段があった。以前、ロボットがいて逃げた通路、ロボットがいたのは当然だった。

 その通路を利用して、ロボット攻略の作戦を実行することにしたのである。

 

 ロボットの夜の充電時刻は深夜の0時。だから、それを避けて深夜の1時、2時に地下都市に潜入していた。全てのロボットがその時刻ではないことは想像できる。2回か3回に分かれているのだろう。昼間は亜人が起きているので潜入していないから分からない。夜間の充電時刻だけははっきりしている。

 

 スマルたちは亜人の眠っている時刻、夜の11時に地下都市に侵入した。新しく見つけた扉は開いている。わざと監視カメラに映るように歩く。路地から出てきた人型ロボット、歩くのは遅い。気を付ける事、ロボットは正確に射撃する。だから防弾チョッキは必須、ひたすら逃げる。扉を出て左、南へ通路を走る。途中に右、西へ行く通路がある。真っ直ぐに通路は続いているが、ここで曲がる。仲間がロケット砲を持って待っている。逃げてきた通路の方を覗く。追ってきている。遅いが、たくさんいる。ここがロボットとの戦場だ。

 

 地下通路でロボットがロケット弾の射程距離に入ると、通路の陰からロボットの足を攻撃して移動できなくする。動けないロボットで移動の障害になるように攻撃する方法は、以前のスマルの攻撃と同じだ。以前はロボットが障害物を取り除いて進んでくるのに驚いたが、今度は百も承知、移動できないロボットを除けて別のロボットがやってくる。それを、さらに撃てばいい。次々と移動できないロボットを増やしていく。

 

 後ろの方で、動けなくなったロボットを地下都市に運んでいるロボットもいる。修理の為だろう。スマルの方は交代しながらロケット弾の攻撃を続ける。0時を過ぎた。充電の時刻だ。でも、昼間に充電したロボットだろう、ロボットの侵攻は終わらない。

 やがて、ロボットが銃撃できる危険距離まで近づいてきた。通路の陰からとはいえロボットのセンサーは正確、出した頭を狙われたら終わりだ。

 

 通路の陰から退却、西へ移動して破壊した建物の階段の陰に隠れる。

 ドカーン  ドカーン

 設置していた爆薬が爆発する。しばらくすると、まだロボットがやって来る。これ以上は侵攻させないようにロケット弾で攻撃する。

 陣地にあるロケット弾を全て持ってきている。ロボットには根気はないが、こちらは根気で勝負。交代しながら夜が明けるまで攻撃するつもりだ。

 通路に動けなくなったロボットの山ができる。それを押しのけて進んでくるロボットの数も減ってきている。深夜の1時を過ぎた。でも、まだ何も起こらない。でも、確かに動くことのできるロボットが少なくなった。

 

 バーン  バーン

 遠くで爆発音がする。単発であるが、また爆発音がした。スマルは作戦の成功を確信した。爆発音は、ロボットの自爆音なのである。ロボットはエネルギーがなくなると自爆するようにプログラムされている。だから、移動できないと運ばれて修理されるのだ。スマルは、たくさんのロボットを攻撃して、全ては修理に運び出せないようにしてエネルギー切れを待っていたのである。

 

 何体自爆しているか、後で通路の機械のガラクタを調べればいい。そろそろ引き際、ロケット弾もまもなく尽きる。スマルは退却を指示した。

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