続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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アジトのアパートに戻った三木は?


第4章 9話

 トラックで迎えに来てもらって、やっとアパートに戻った三木は、皆が集まっているメイキ大尉の部屋で、開口1番、「訓練は、これで終わりです。帰ります。」と宣言。驚いたのはメイキだけではない。隊員全員が驚いた。

 (訓練?訓練で私を殺しに来たの?)セイルは理解不能で困惑するばかりであった。

 呆然としている隊員たちを見て、三木は再び言った。 

 「帰ります。明日の早朝に出発します。解散、以上。」

 隊員たちは、自分たちの部屋に帰って行く。

 

 「ところで、メイキさん、どうだった。」とセイルの顔を見ながら尋ねる。

 メイキが、軍務監獄での一部始終を説明する。

 

 「カイルとやらは、監獄にいたのか。なぜ、獄中に?」と三木。

 「それは、・・・・聞いていません。」とメイキはセイルの方を見る。

 「・・・・・」セイルは何も言わない。

 

 「知っているな、セイルちゃん。」と三木。お嬢様と呼んでいたのがセイルちゃんに変わっている。自分をそう呼ぶのは親かおじ様おば様、それからカイルおじちゃんだけ、違和感を抱きながらも、深く考えはしなかった。

 「言いたくありません。」とセイル。

 「まあ、いい。それより、セイルちゃんは二ホンまで来てもらうぞ。」

 驚いたのはセイルとメイキ。

 「なぜですの?嫌です。」とセイル。

 「それはニホン人だからだ。嫌も糞もない。」と言って三木は部屋から出て行った。

 

 憮然としているセイルに、メイキが言った。

 「あの人はね、あなたをどんなことがあっても守れと命令したんだよ。なぜだか分かるかね。

 あなたが二ホン人だからだよ。二ホンは敵国、ニホン人のあなたはこの国では命を狙われるかもしれない。カメリル人のあなたの命を二ホンが狙ったように。

 あなたの地位も身分もカメリル人だからこそ与えられたものであって、二ホン人のあなたにはない。特に今まで反対勢力で押さえつけられていた人たちにとっては、格好の餌食だ。この国は二ホン人のあなたにとって危険な国なんだ。だから、連れて帰ると言っているんだと思うよ。

 まあ、明日は明日の風が吹く、今日はいろいろあったから、ゆっくり休んで考えてごらん。」

 「・・・・」セイルはメイキの部屋を出て、廊下に監視がいるのを確認すると自分の部屋に戻った。

 

 部屋に戻った三木は、ジャングルの墓場で撮った小型デジタルカメラの映像を観ながら考えていた。

 (日本人の名簿とこの映像を、どこかのテレビ局が流してくれれば、国民の声に押されて政府は動くかも知れない。そのまま、政府に届ければ確実にもみ消される。

 問題はテレビ局が政府の顔色を伺って、放映前に相談するかも知れないということだ。そうなれば、放映中止も充分ありうる。新聞社とて同じ、下手をすると触れる事さえタブーになりかねない。

 保守系の議員に情報を流すことも視野に入れる必要があるかも知れない。

 それから、あの航空機の摩訶不思議。時が移転していて、場所が移転していなかったことになる。どういうことなんだろう。時も場所も移転していて、そのまま海外に出て行ったら大西洋でメキシコ湾を通過のはず。そうではなかったのだ。思えばあの時、北方遠洋漁業の船舶が戻ってきたことがあった。見える島影が違うということで戻ってきたのだった。北太平洋ではなく、北大西洋だったのだ。船舶も航空機も転移して外に出ればこうなるのだ。あの航空機の不思議は謎だ。)

 三木はどちらも答えを見出せないままであった。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 コンガのカメリル陸軍陣地にもどったスマルは、カーレンに伝令を走らせた。ロボットの自爆を利用してロボットの壊滅を図る作戦が成功したからだ。

 再度調査をして詳しく調べる予定であるが、爆発音から少なくとも10体は破壊したはずである。充電器は修理されたが、破壊したロボットは修理のしようがない。移動できなくしたほとんどのロボットが地下都市に運ばれて修理されるのだろうが、確実に10体以上は減ったはずだ。

 伝令は報告と合わせて、ロケット弾の補給とイマト中尉の部隊の参戦依頼である。ロケット弾さえあればロボットと戦えるし、攻撃する場所を増やせばロボットを急激に減らすことができる。地下都市の出入口を2カ所見つけているので、2か所の地下通路で同時に攻撃するつもりである。

 スマルはロケット弾の補給とイマト部隊の到着を待っていた。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 三木たちはアジトのアパートを出て、トラックに乗り込んでいた。運転はメイキ大尉、助手席にセイル、三木は他の隊員と一緒に荷台に乗っていた。

 セイルは自分を拉致したこの集団が、見かけによらず恐るべき集団であることを理解していた。この集団から逃げ出すことが不可能ならば、二ホンとやらを見てやろうとさえ思うようになっていた。

 トラックはカーレンの街を走る。まるで、街から脱走するように疾走する。

 

 「お嬢ちゃん、困ることがあれば、俺に何でもいいな。」と運転しながらメイキが声をかける。

 「困ること、1つあります。解放してください。」とセイル。

 「ははは、それはできない。他に心配事は?」

 心配事と言えば、ツイクの街の母が気になるが、今までも1、2か月留守にすることは何度もあった。自宅には家政婦も看護士も住み込みでいるし、ツール邸の敷地内に診療所もあり医師もいる。

 「あなたがたが無事カメリルから出れるかどうかですわ。」とセイル。

 「あははは、それは心配だ、あははは。」少しも心配していないメイキ。

 

 早朝のせいだろう、車も人通りも少ない。検問所はあるが、警官はいない。カメリルは他国に侵入されたことがなく、夜間と早朝は検問所も無人である。トラックはカーレンの街を出る。ここからは、ナーイ地方のナクルの街まで距離はあるが1直線の舗装道路、トラックが快調に走る。荷台では三木も隊員も眠っていた。

 

 メイキは来るときに山賊がでたところで、(また出てくれば面白い。)と思いながら、運転していたが、出るはずもなかった。トラックはジャングルに入り、薄暗くなる。やがて、ジャングルを抜けると、田園風景が広がる。集落も見えてくる。ナクルの街も近い。トラックが道路わきの駐車スペースに入り、停止する。

 メイキが降りてきて、荷台のホロを開け、「三木さん、まもなく、ナクルの街です。検問がありますよ。どうします。」と言った。

 三木は荷台から降りて、「彼女が見つかるとマズいな。検問は無視して突っ走るか。」と言い、助手席のセイルと交代した。

 

 トラックは道路に戻り走り出した。道路わきの建物がだんだん増えてきて、ナクルの街に入ったことが分かる。トラックは街中を走り続ける。街の出口に検問所がある。停止を求めている。ゆっくりとスピードを落とし、停止を装うが停止をする気はない。急にスピードを挙げて逃げる。街に入る不審車両には厳しいが、出ていく車には甘い。追っても来なかった。

 

 ナクルを出ると道は一直線だが、途中に戦場があることを三木たちは知っている。でも。昼までにはトレツの街に着くだろうと思っていた。トラックは走り続ける。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 トーベ共和国が防衛のために築いている陸軍陣地では、カメリル国の陸軍と衝突していた。ナーイ地方軍のように一方的に攻撃して撤退させるわけにはいかない。互いに犠牲を払いながら一進一退を繰り返していた。そして、互いに対峙して睨み合うだけで攻撃が止まってしまった。

 

 カメリルに兵が無限にいるわけでも、砲弾や爆薬が無限にあるわけでもない。援軍や補給を待たなければ戦えないのである。その点、トーベは有利であった。自分の領地である、援軍も補給も問題ない。しかし、前線を越えさせないように防衛しているのであるから、敵が侵攻してこなければ戦う必要もない。

 

 三木たちを乗せたトラックは、両軍か睨み合う戦場に向かって走っていた。

 

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