続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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ロマスクとカメリルの接触、どうなる?


第1章 6話

セイルは港湾で桟橋を見ながら、首を傾げていた。

 「どうしたのですか?」とマーヤ。

 「いや、蛮国にしては港のつくりが・・土台はコンクリート。こんな港は我が国だけのはずなのに。」

 

 「でも、すぐに逃げ出すような臆病者の国は大したことないとトロル中尉が言っていましたよ。」

 「あいつは何も分かっていない。こんな大きな町ですよ。老人も子供もいたはず、それが1人残らず、いや猫1匹もいないように避難している。1日や2日でそんなことができる?どうやって知ったか分からないが、私たちが来ることをずっと前に知っていたとしか考えられない。この町の建物は新しいから、最近まで人が住んでいたはずです。」

 

 「そう言われればそうですね。私たちはとんでもないところに来たのかもしれませんね。」

 「私もそう思います。」とセイルが答えたとき、ボーと汽笛が聞こえた。

 

 沖に船が見える。巡視船のようだ。汽笛を聞きつけたトロルやアビルは建物から出てきて、砲撃の準備をするように指示し、セイルのいる桟橋にやってきた。

 「敵さん、来ましたね。近づいたら沈めます。」とアビル。

 「いけません。白旗を掲げているではないですか。」とセイル。

 船には白い旗が風で波打っていた。

 

 「すぐに逃げた臆病者だ。今度は国を挙げて降伏の意思表示か。賢明な選択だ。アビル、すぐに会談の準備をせよ。相手の言語は不明、セイル外交官殿、頼みましたぞ。」

 

 トロルはもう敵が降伏するものと思い、また戦績にハクがつくと上機嫌であった。セイルが聞いていたトロルの評判は、自分勝手で臆病で卑怯であったが、単純で愚かとしか言いようがない。

 

 船にはロマスク帝国のヨルベ外交官とアコリ中尉と武装兵たち、そしてリベルテのマイト大尉と三木が乗船していた。三木はしきりに自分は通訳で、ヨルベ外交官に、相手を探るのが目的、町の返還は口に出さないようにと言っていた。

 

 ロマスクへはスパン南基地の日野から連絡が入っており、サラン中佐は三木という得体のしれない奴など受け入れることはできないと主張したが、アコリ中尉が二ホンの日野の提言を受け入れるべきと説得した。マイト大尉については、リベルテがすぐに援軍に同意してくれたので、同盟軍ということで参加することになった。援軍については、スパン南基地がある二ホンは拒否、スパンは保留、プロリは遠いので声もかけなかった。

 

 船からロマスクの自国語(フランス語)で呼びかける。

 「こちらはロマスク帝国、敵意はない、話し合いに来た。」

 驚いたのは、セイルたちカメリル国の人たちだった。

 (蛮族が自国語で?)誰もがそう思った。

 

 カメリル国はいくつかの国を占領したが、自国語であった国は1つもない。カメリルは占領した国の言語を、公用語も含めて自国語に変えたりはしなかった。

 サンマル教も聖典を占領国の言葉に翻訳して布教に努めたのだ。だから、カメリルには2か国語、3か国語が話せる公務員がたくさんいる。カーゴのトウィ語が話せる人はあまりいないが。

 

 トロル中尉が拡声器で応答する。

 「攻撃はしない。貴船を桟橋につけて上陸せよ。」

 今度はロマスク側が驚いた。

 (同じ言葉だ。通訳などいらぬ。)三木の通訳など無意味であった。

 (フランス語か、どうなってるんだ、この世界は?)三木はそう思った。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 カメリル国が本部とした建物の一室で、ロマスク帝国側はアコリ中尉、ヨルベ外交官、マイト大尉、三木、カメリル国側はトロル中尉、セイル外交官、マーヤ曹長、アビル少尉の4人ずつがこの順で、机をはさんで向かい合って腰かけていた。

 

 しばらく沈黙が続いたが、最初に口を開いたのはセイル外交官だった。

 「こちらはカメリル国、私は外交官のセイルです。そちらは?」

 「こちらはロマスク帝国、私は外交官のヨルベ。」と対面しているヨルベが答える。

 「ロマスク帝国、どのような国ですか?」とすかさずセイル。

 「どのような国とは?」

 

 対面している外交官同士のやりとりが続く。

 「国の体制です。誰が治めているのかとか。」

 「ナポトラ皇帝が治められている国です。そちらは?」

 「我が国は共和制で、今はバジル執政官が元首ですが、国政の権限は議会にあります。ところで、皇帝陛下にお会いできますか?」

 「できません。他国の方でお会いできるのは、皇帝か国王か大統領か、国を代表する者だけです。」

 「私も国を代表してここに来ていますが。」

 「あなたがお会いできるのは外務大臣までです。」

 「では、その外務大臣に会わせてください。」

 「・・・・」

 

 (帝政ですか。歴史書に1000年前の政治体制とあったが、まだそんな国があったとは。ロマスク、化石のような国、ぜひ見てみたい。)セイルは完全にロマスクを見下していた。

 (上官カイル大佐が外交官を守れと言った意味が分かった。この娘はカメリルを背負って立つ器だ。)

 そう思ったのは隣のマーヤ曹長だった。

 

 唐突に発言したのはトロル中尉。

 「君たちは降伏を受け入れに来た使節ではないのかね。」

 セイルが何を言い出すのかとトロルを睨む。

 「降伏?いいえ、あなたたちが何をしに来たのか伺いに来ただけです。」とトロルと対面しているアコリ中尉が答えた。

 「では、降伏勧告をするから、ただちに降伏したまえ。」とトロル。

 「降伏しろと言われても。」

 今度はトロルとアコリの対面同士のやりとりになる雰囲気だったが、突如、セイルが口を開いた。

 

 「どうしてあなたは私ばっかりを見ているんですか。」セイルはずっと視線を感じていた。

 「だって、こんなかわいい子が外交官なんだもの、俺好みだわ。」と三木。

 「無礼者!名前を言いなさい!」と怒りの声はマーヤ。

 「二ホンのミキ、知らないのですか?二ホン。」と言ったのはマイト大尉。マイトは二ホンの国を出すことによって、相手が引くと思ったのだった。しかし、カメリル側に二ホンを知るものは誰1人いなかった。

 「無礼者ですか。お嬢さん、歳、いくつ?」と悪びれずに三木。

 「答えません。その必要もありません。何ですか、失礼でしょう。」とセイル。

 「怒った顔もいいですね。ますます好きになりそう。」

 「ミキとか言いましたね。ミキ、ミッキー、ミッキーマウスのミキ・・・・」

 セイルは関連付けてミキの名を記憶しようとしている。

 

 「ミッキーマウスを知ってるの、アニメの、ネズミだよ。」

 「知っています。ネズミ、マウスは英語。」

 「えっ、何?英語?お嬢さん、何者?」三木が珍しく混乱してうろたえている。

 

 「くだらない話はそのぐらいにして、降伏するのかしないのか?」とトロル。

 「くだらない?降伏するかしないかを迫る方がくだらないぜ。そんなこと、答えられるわけがない。

 かえって皇帝と相談して報告する以外にない。帰ろう、帰ろう。」三木はみんなを促して立ち上がる。

 「待ちなさい、私を連れて行きなさい。」とセイル。

 今度はマーヤがうろたえる。

 

 (侵略目的、予想はしていたが、それを確認すればここにいる必要はない。)そう思った三木は、

 「お嬢さん、命がいくつあっても足りないよ。またね。」と言って、他の者と共に立ち去った。




日本は?、カメリルは?
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