続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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セイルはアビル少尉たちと出会う、彼らから何を聞く?


第6章 3話

 護衛艦もがみではちょっとした騒ぎが持ち上がっていた。セイルとアビル少尉たちカメリル人が遭遇したのである。三木と日野の出会いの驚きなど比ではない。気丈なセイルが涙を流して泣いているのである。

 三木は日野に出会ってから、食事を船室で摂るなど、セイルと会わせないように気を使っていた。でも、狭い艦内、無理なことであった。ホテルではない、トイレ付きの船室ではない。通路でセイルとアビルが出くわしたのだ。

 アビルがセイルをカメリル人たちのいる船室に連れて行く。カメリル人の大歓声が上がる。当然、その歓声は三木の耳にも入り、何事かとやって来て状況を知ることになるが、手の打ちようもない。セイルはアビルたちから捕虜生活の様子を聞いて泣いている。

 

 騒ぎを聞きつけてやって来た日野が、手招きでアビルを呼びつける。

 「アビル殿、分かってると思うが、あなたたちの任務は、あの娘を守ることだ。」

 「分かってます、言われなくても守りますよ。」アビルはにっこり笑って答えた。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 トーベ共和国の陸軍基地にいた日本の隊員は87式対戦車誘導弾(MMAT)をトラックに積み込むと、もと来た道を帰り始めた。16式機動戦闘車もその後をついていく。日本の車両が走る沿道は見物の人だかり、その中に海軍とドレキ港の被害を報告に来ているユカル海軍大将がいた。

 (陸軍の装備は詳しくないが、カメリルの陸軍基地へは、何度も行ったことがある。あのような戦車は見たことがない。カメリルも我が故郷も戦車はキャタピラーだ。車輪で動くなんて。しかもタイヤが8つも付いている。白地に赤丸?国旗だろうが、見たことも聞いたこともない。どこの国だ?)

 ユカルは二ホンを知っていた。しかし、彼が見たのは朝日模様の旭日旗で、それが二ホンの国旗だと思い込んでいた。

 

 日本の車両はトレツの街を走り抜けると直線道路をガーゴに向かって走って行った。突然やって来て、あっという間にカメリル軍を壊滅させ、何も言わずに去っていく。ガーゴの兵に尋ねても、どこの国か知らないと言う。誰も知らなかったのだ。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 一命をとり止めたスマル中尉とイマト大尉は数人の部下と共に、焼け焦げたジャングルの道路を歩いていた。車両はすべて破壊され、徒歩で逃げ帰るしか方法はなかった。

 何が起こったのか、最初は分からなかった。瞬く間に、戦車などの戦闘車両が爆発し、続いてトラック、テントなどが爆発して、やっと敵の攻撃だと気が付いた。でも、その時には遅かった。敵も見ないうちに、全てを失っていたのだ。

 スマルは、落ちていく道中で、何が起こったのか、冷静に考えていた。スマルは誘導弾を知らない。まして、人工衛星で監視されているなどとは想像もできなかった。

 

 (ガーゴには逃げても追いかけてくるロケット弾がある。そのようなもので攻撃されたのだろう。砲弾の射程距離に陣を張ったのだから、当然、ロケット弾の射程距離だ。問題は、たくさんの車両の位置をどのようにして知ったかだ。短時間に全てが命中していた。神の眼でも持っているのか。魔法としか思えない。この戦いはすぐに止めないと、そうしないと国が滅ぶ。)

 

 ・・・・・・・・・・

 

 三木と相原三佐が小艇でガーゴの港に向かう。セイルの警護は日野とアビル少尉に任せて大丈夫、護衛艦もがみの艦内が何よりも安全だ。

 

 桟橋から歩いて貿易事務局の建物の前まで来ると、8人の特殊部隊の隊員がたむろしている。特殊部隊の指揮権のある三木を見ても、彼らは敬礼どころか知らない振りをしている。相原には兵隊崩れのチンピラ、しかも格闘技に優れた不良に見えた。とても身構えないと通れないような間を、華奢な躰の三木が平然と通っていく。度胸があるのか無神経なのか分からないと思いながら、相原は三木の後をついていく。

 建物の中に入ると三木は受付で、自分の名を言って局長との面会を求める。

 「今、来客中です、しばらくお待ちください。」と直ぐに返答。

 「メイキ大佐でしょう、構いません、取り次いでみて下さい。」と三木。

 特殊部隊の隊員たちを見た時、メイキが訪問していることを三木は察知していた。 

 

 局長室では、メイキがお茶を飲んでいる市長テーゴに話しかけた。

 「同じことを尋ねますが、本当にセイルという娘はガーゴにいないのですか。」

 「いるもいないもセイルなんてていう娘は知らん。」とテーゴ。

 テーゴはセイルに会っているのだが、そのとき名前までは聞いていなかった。

 「カメリルの外交官です。」とレンド局長。

 「カメリルの?何でそんなものがここにいるのだ。」とテーゴ。

 メイキにすれば、セイルの警護の命を受けてガーゴまで来たのだ。いないでは困る。

 

 そこへ受付から電話連絡が入る。レンドが受話器に出て応答する。

 「何、ミキと言う人。分かった。通せ。ついでに、客人のお茶も頼む。」

 (セイルのことを三木なら知っている。)

 三木が来たことを知ったメイキはそう思った。

 

 局長室に三木と相原が入った。三木がテーゴに相原を紹介する。

 「相原三等陸佐です。この度の部隊の総司令です。」そしてテーゴを相原に紹介する。

 「こちらはガーゴ都市国家の市長、テーゴさんです。」相原とテーゴが握手を交わす。

 

 同じように三木は、相原とレンド、相原とメイキを紹介した。

 三木がそれぞれの紹介をし終わると、すぐにメイキが尋ねた。

 「セイルのお嬢ちゃんはどこにいるのだ。」

 「ああ、そのことか、後で話すから、ちょっと待ってくれ。」と三木。

 そして、「相原さん、例の件。」と相原に声をかけた。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 セイルはアビル少尉たちの船室で、話を聞いていた。最初は牢獄という極悪な環境で労役を課せられていたが、日本人の軍人がやってきて、牢獄から出してくれたそうだ。そして、ロマスク帝国の兵と一緒に二ホン流の軍事訓練を受け、訓練は厳しかったが待遇が見違えるほど良くなったという。そして、アビルは日本を見に行くことさえできたと聞いた時は、セイルの眼が輝いた。

 

 セイルは自衛隊の一部を見ただけで、あまり日本を見ていなかったのである。

 「二ホンで気の付いたこと、何でもいいから教えて下さい。」

 

 アビルは、日本での生活で感じたことを話した。

 カメリルでは考えられないのが、至る所に神社、仏閣があること、街角にまでお堂がある。カーレンの街はバハナミ聖殿1つなのに。

 節操もなく、不謹慎なことに、それらの場所が観光地になっている。宗教はいい加減だから、規律もいい加減かと思ったら、誰もいないのに赤信号で車が停まっている馬鹿正直なところもある。

 

 そして、セイルの興味を引いたのは、1部の人間だがと断って、日本人の非常に怖いところはと話始めた事柄であった。




アビルの語る日本人の怖い所とは?
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