続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

65 / 71
日本の空襲が始まる。カメリルはどうする?


第6章 8話

 カメリルの軍務刑務所では、看守が牢を開けていた。

 「どうしたのですか。外が騒がしいようですが。」とカイルが尋ねる。

 「空襲です。ここも危ないですから、一時的に解放します。収まったらここへ戻ってきてください。」と看守が答える。

 「空襲?空の防衛はミサイルがあるのでは?」とカイル。

 「全ての発射台が破壊されました。ここも本部の建物が攻撃を受けて崩れました。安全なところへ逃げてください。」

 「攻撃している国はどこですか?」「分かりません。」

 

 そこへ牢を出たイカサスがやってきて、カイルの問いに答えた。

 「二ホンだよ。トーベ征伐に遠征していた海軍が二ホンに敗れたと報告を受けた。陸軍もだ。」

 「二ホン?」カイルはあまり触れたくない国の名前、セイルの本当の親の出身国の名前であった。

 

 「とにかく、2人とも逃げてください。海軍基地と軍港、陸軍基地と兵舎、空軍基地と空港、軍事工場と車両倉庫、軍事関連施設は攻撃を受けていますが、軍に関係ない所は攻撃されていません。安全なところに逃げてください。」

 そう言って、看守は走り出した。その後を、カイルとイカサスが追った。守衛門から多くの受刑者たちが街に走り出していく。カーレンの街は爆発音と外に溢れた人たちの怒号で騒然としていた。

 

 護衛艦いずもを飛び立った改造Cー2爆撃機は、モニターの爆破地点に確実に爆弾を命中させ、何事もなかったかのようにガーゴ国際空港に飛んでいく。

 

 ・・・・・・・・・・・

 

 軍務省のある高層官庁ビルは、攻撃を受けていなかった。その大臣室で陸海空全ての基地が壊滅状態であると報告を受けたトロル軍務大臣は、放心状態で椅子に座っていた。そこへ、外務省から連絡が入り、二ホンという国から交渉を打診する通信があったことを知らされた。そこで初めてトロルは、この攻撃がトーベではなく二ホンであったことを知った。

 

 トスカ執政官は執務室でゴンタ外務大臣の報告を聞いていた。

 「二ホンの要求は宣戦布告の撤回と核の放棄かね。」とトスカ。

 「はい、その2つだけでした。認めれば攻撃を停止し、使節団が調印と確認に来るとの事です。今なら市民に犠牲者が出ていません。交渉に応ずるべきです。」とゴンタ。

 「宣戦布告の撤回はともかく、核の放棄が認められるわけがなかろう。他国がとやかくいう事ではない、国権侵害だ。ゴンガのように、二ホンにぶち込んでやれ。軍務大臣を呼べ。」

 「・・・・」

 (核の件は交渉で拒否できるのに。)ゴンタはそう思ったが、何も言えなかった。

 

 日本が日本人の救出を要求しなかったのは、日本人がいることを知ってそれを人質にしての無理難題をを恐れたからである。ボントの街にいる日本人の救出は、カメリルに知られないように秘密裏に実行する計画である。

 

 ・・・・・・・・・

 

 トスカ執政官の執務室にトロル軍務大臣も呼ばれていた。

 「トロル、二ホンは宣戦布告の撤回と核の放棄を要求しているそうだ。外務大臣は民の為に認めざるを得ないと言っておるのだが、お前はどう思う。」トスカはゴンタ外務大臣の顔を見ながら言った。

 「そんなことできるわけがない。徹底抗戦しかないですよ。」とトロル。

 「そうだろうな、生意気な二ホンに原子爆弾を1発、ぶち込んでやれ。使用を許可する。」とトスカが言った。

 

 「核施設は健在で原子爆弾はありますが、航空機も戦艦も1つも残っていません。全て、破壊されました。製造途中のものも製造工場もです。上陸したら攻撃する兵力だけです。他国を攻撃することは不可能です。」とトロル。

 「・・・・・・」

 「核施設が攻撃されたら終わりです。せめて交渉の承諾だけでも。」とゴンタ外務大臣。

 「・・・・・・」トスカは困惑した顔で天井を見つめた。そして、ゴンタに言った。

 「二ホンと交渉しろ。停戦は受理、核の放棄は拒否。いいな。」

 

 ・・・・・・・・・・

 

 ガーゴ国際空港まで航空機でやってきた川本外交官を全権大使とする日本の使節団は、市長テーゴと会談し交易の調印書にサインした後、貿易事務局で交易の詳細の打ち合わせをしていた。

 そこへ護衛艦いずもから飛び立った輸送ヘリでガーゴ国際空港までやってきた相原三佐が入って来て、作業を見守っている川本に耳打ちをする。

 

 「皆さんはそのまま作業を続けてください。私は護衛艦いずもへ行ってきます。カメリルとの交渉です。いつ戻るか分かりません。終われば宿泊所で休んでいてください。そうそう、作業で私の判断が必要な場合でも連絡は要りません。国益のためにと考えれば誰が判断しても同じです。皆さんで判断してください。」

 

 川本はそう言って、局長室へ行きレンド貿易局長に挨拶をすると、相原と一緒に貿易事務局ビルを出た。ガーゴ国際空港で待っている輸送ヘリで護衛艦いずもに向かうためである。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 護衛艦いずもではリベルテの戦艦から飛んできたヘリが着艦し、操縦士とマイト大尉がメイト大尉のもとへやってきた。リベルテの戦艦も護衛艦たかなみのヘリ搭載を真似て、ヘリを搭載しているのだ。

 マイトを見てメイトが声をかけた。

 

 「どうしたんだ?艦長が艦にいないでこんな所へ来て?」

 「そうでしょう。でも、お前が行けと言われたら。艦に上官が2人もいるというのは、トップは私ではないですから。」とマイト。

 

 「気の毒に、やり難いな。で、イータ大佐は俺が残らなくて機嫌が悪かっただろう?」

 「いえいえ、あの方は大らかですね。何も気にしていませんでした。細かくて扱いにくいのは、私の上官、ゲイン大佐ですよ。イータ様はわしが連絡に行くと言って下さったのですが、連絡役などは部下にやらせばいいのだと私の上官が。」

 

 「で、艦長のお出ましかい。部下なら他にもいるだろうに。ところで、連絡というのは?」

 「特殊部隊の新たな任務を伝えに参りました。日本の日本人救出に参加せよということです。」

 「日本人救出?どういうことだ?捕虜になっているのか?」

 「詳しくは分かりません。とにかく本国の軍からの命令です。私も救出された日本人をリベルテまで運ぶ命令を受けています。」

 

 カメリルから交渉の承諾を得た日本政府は、護衛艦いずもにガーゴ都市国家に全権大使として出向している川本外交官に交渉に当たるよう連絡を指示して、それと並行してリベルテ政府に連絡をとり、リベルテ軍に日本人の救出を依頼していた。

 日本人がいるのはカメリルではなく、ガポリ共和国のボントとはいえ、そこにはカメリル軍が駐留している。その軍隊と一戦も交えずに救出することは不可能と考えた日本政府は、交戦を終結させる交渉に臨んでいる日本が戦うわけにはいかないので、リベルテに依頼したのである。リベルテは交渉に参加していないから、カメリルと戦っても何の問題もない。戦いたいリベルテ政府は、日本の依頼を喜んで受けたのである。




リベルテが日本人の救出?どうなる?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。