続 時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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セイルに追及される日野、どうする?


第6章 9話

 護衛艦もがみでは、また日野一尉がセイルに追及されていた。セイルにしてみれば、カメリルが攻撃されるのを見ていい気はしない。

 

 「危険物を取り除くと言っても、ひどいではないか。兵や将校のいる基地を攻撃する必要はない。」

 もがみの甲板から爆発の煙を見てどこが攻撃されたか、よく分かるのだ。

 「攻撃の作戦に参加していないと言っているだろう。私には分からない。」 と日野。

 

 分からないと何度言っても尋ねてくる。

 「この艦は何も攻撃していないが、どうしてなの?」

 ミサイルが発射されたのは他の護衛艦からであり、もがみからは発射されていない。砲も機関銃も使用されていない。実は、USV(無人艇)でミサイル攻撃をしているのだが、セイルには分からない。

 

 「知らないよ。勘弁して。」

 「隣の艦も攻撃に参加していないようだけど、航空機が飛んで行ったり、ヘリが離艦したり着艦したりしているが、何をしているの?」

 改造Cー2爆撃機で攻撃しているのだが、これもセイルには分からない。艦からミサイル発射や砲撃がなければ攻撃していないと思っているのだ。

 「分かりません。勝手に想像してください。」そう言って日野はセイルから逃げた。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 護衛艦いずもに輸送ヘリが戻ってきた。川本外交官は相原三佐と一緒に艦長室へ向かう。艦長室には遠山艦長と三木がいた。

 

 「三木さん、こんなところに。」と川本は三木がいるのが意外だったらしく驚きの声を挙げた。

 「私も川本さんがやってくるとは思いもしませんでした。」と三木が手を差し出す。2人が握手をしていると、相原が「挨拶はそのくらいにして、今後の予定をいいますよ。」と説明を始めた。

 

 「私と川本外交官は、ここ、いずもでカメリルの使節と交渉。カメリルの警護に武装を認めて、人数制限もしていませんが、ここで暴れることはないでしょう。会議は、2対2で、カメリルにも会議室へは2人だけと伝えています。遠山さん、船室の設営お願いします。それに先立って、三木さん、リベルテ軍アドバイザーですよね。リベルテがボンタにいる日本人を救出することになっています。」

 

 「リベルテが救出?」と三木。

 

 「はい、すでにリベルテのヘリがここに来ているはずです。ヘリで救出した人をリベルテの戦艦に運び、リベルテ経由で日本へ帰還させる計画です。問題はボンタに駐留しているカメリル軍です。ヘリでボンタに入ればカメリル軍に悟られますが、空港を占領してそこに日本人が待機していれば、2機のヘリで運び去ることができます。」

 

 「空港を占領?」

 「それをリベルテの特殊部隊にやってもらおうというわけです。すでにリベルテ本国からの連絡が部隊に伝わっているはずです。」

 「何だって、私は何も聞いていないよ。」

 「存じております。特殊部隊の指揮権が三木さんにある事も。カメリルが交渉に応じると連絡があってから決まったことです。日本人の救出はリベルテ軍アドバイザーである三木さんにすべて任せよとの指示です。」

 

 「・・・・・誰だね、こんなバカな作戦を計画したのは?」と三木。

 「水上戦術開発指導隊の渡辺司令です。ご存じでしょう。」

 知っているどころではない。日本が転移して食糧危機を救うために、三木が西方大陸に向かった時に乗艦していた護衛艦いずもの艦長だった人だ。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 輸送艦しもきたから、日の丸の代わりにリベルテの国旗を貼ったトラックを1台搭載したエアクッション艇が出てきて、静かに護衛艦いずもに向かう。エアクッション艇も日の丸を除いてある。いずもでは三木をはじめメイキ大尉たち特殊部隊の隊員が待っていた。

 

 彼らを乗艇させたエアクッション艇はまた静かに南東へ向かう。目指すはボントの南側にある近くの海岸、ボントの街は海から離れていてカメリル軍に見つかる心配もない。エアクッション艇の後を追うようにリベルテの戦艦2隻も南東へ航行していく。リベルテの戦艦には、白地に赤星の国旗が、誇らしげに揺れていた。

 

 

【挿絵表示】

カメリル周辺

 

 砂浜はどこにもないが、トラックを上陸させることのできる海岸を見つけて、その場所にエアクッション艇を停泊させる。上陸したトラックをメイキが運転し、三木は助手席、特需部隊の隊員たち8人は荷台で、北に向かって進んでいく。至る所にロボットの残骸があり、それを避けながら進むので、疾走するわけにはいかない。疾走すると草むらに隠れた残骸と衝突しそうになり、急ブレーキをかけることになる。

 

 三木たちのトラックがボントのすぐ近くまで達すると、トラックが停車した。目前にテントが見えたからである。木立の中にトラックを隠すように移動すると、三木とメイキ大尉が降り、テントに向かって歩き始めた。荷台の8人の隊員たちも素早く降りて、三木たちについて行く。

 ロボットが全滅した後、ボントに避難していたコンガの人たちは再びこの地に戻り、ロボットの残骸をかたずけ農地を復活させて、 テント村を形成していた。

 三木は、特殊部隊の隊員たちをボントの空港近くまで移動させ待機しておくようにメイキに指示した。

そして、見覚えのあるテントに向かって歩いて行く。かつて、コンガのロボットのことを教えてもらった老人のテントである。

 

 そのテントの中にその老人がいた。三木は以前の訪問で、コンガの人たちの科学技術の知識が日本人よりも遥かに高いことを感じていたのである。

 「どうでした、元気に過ごしていましたか。」と三木。

 「とんでもない、見ての通りだ。ロボットに攻められて、ボントに避難していたんだ。」と老人。

 「そうですか、で、どうして戻って来たのですか?街の方が過ごしやすいはずですが。」

 「ボントの人たちは親切だが、カメリル軍の兵たちがいけない。我々の持っている機材は平気で取り上げるし、サンマル教を強要するし、食料までも奪う。当然のようにやっているが、まるで略奪だ。身ぐるみ剝がされる前に逃げてきたのだよ。」

 「それはひどいですね。ところで、以前ここの野菜を買っていたレストランの女将、と言ってもおばあちゃんだが、元気かね。」

 「はい、健在でとても元気ですよ。今も、ここの野菜を高値で買ってくれる、助かっています。でもどうしてそんなことを知っているのですか。」

 「いえね、その野菜の取引の車、確か、タクシーという若者のタクシー会社から来ていたと思うのだが、その人に聞いたんだよ。今もその車で運んでいるのですか?」

 「そうですよ。レストランのばあさんの所へ行きたいのですか?呼んであげますよ。」

 「いや、そうではなくて、そのタクシー会社へ行きたいのです。」

 「? よく分かりませんが、連絡しましょう。」

 そう言って老人はテントを出ていった。電話のある別のテントへ向かったのである。

 

 戻ってきた老人が三木に尋ねた。

 「まもなくタクシーが来ると思いますが、どうしてそこへ行きたいのですか?」

 「いえね、以前そこの社長さんに乗せてもらったことがありまして、そのお礼をしようと思いましてね。あなたにも、いろいろ教えてもらったし。」

 三木はそう言って砂金袋から一握りの砂金を老人に渡した。三木はリベルテ軍アドバイザーの報酬を砂金で受け取っていたのだ。




どうやって、日本人の老女たちを救出する?
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