フォースはいつでもエーテルと共に   作:光明面と暗黒面ってルビ無しで読めないよね

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第10話 パエトーンはフォースにバレる

 意外とホロウに入らないと俺って暇なんだな……と自宅で考えていた。侵食の影響は抜けつつあるものの無理をしてまでホロウに潜って稼がなくちゃいけないわけでもないし、雲嶽山に行くと怒りのお師匠様地獄修行コースが待っている。謝りに行ったとき受けたがそれもそれで死線であった。

 

 暇なんだよなあ……日がな一日瞑想をするのっていうのもアレというか。どうせインドアでできることなんてないんだから街に繰り出すのも悪くない、と俺は着替えて財布を持ち六分街の街に繰り出すことにした。

 

 カフェでコーヒー……悪くはないがせっかくだし歩きたい。ラーメン……大将のラーメンは旨いがまだ腹は減ってない、次。ゲーセン、ありだが小銭を作らねば。ショッピングしようにも欲しいものは特にない。背嚢は新しく作ったけど。

 

「Random Play……ビデオ屋か。いいな、映画借りて暫く暇をつぶそう。STARWARS的なやつあるかな……ん?」

 

「ンナ!ンナナナ!」

 

「お前は……あの時のボンプか?喋ってないけど……」

 

 ビデオを借りて映画を見るという選択肢に思い至った俺はそれを叶えようとレトロな雰囲気のあるRandom Playというレンタルビデオ屋に行き先を決める。俺がそこに行こうとした瞬間に店のドアが開いて中からボンプが出てきて、一目散に俺の方に駆け寄ってくる。

 

 そのボンプはよく見たらスカーフをしていて尚且つ見覚えがあるボンプだった。クリティ・ホロウの中で助けたパエトーンのモノらしいボンプ。そのボンプが俺に対して見つけた!と言わんばかりに駆け寄って短い両手を振り回しながら俺の方に駆け寄ってくる。そこまで全身で喜びを表現されたら俺としてもかまってやらないわけにはいかないだろう。

 

「ンナ!ンーナッ!」

 

「ああ、久しぶりだな。そうか、お前機械だからマインド・トリックが効かないんだったな……もしかしてお前の主人も俺の顔覚えてたりする?」

 

「ンナ!」

 

「あ、そう。良く通報しなかったな……え?あああそこにはいくよ。映画を借りにね!」

 

「ンナーッ!」

 

 ボンプってのは千差万別だなあ……論理コアのしつけの仕方によって本当に機械みたいになるやつもいればこのボンプのように子供みたいに天真爛漫になったりする。しゃがんだ俺の手を両手で引っ張って店に行こうとするボンプを抱き上げて、店の中に入る。

 

「いらっしゃいま、せ~」

 

「ああ、お邪魔するね。会員カードの発行からお願いするよ、初めてなんだ」

 

「はい、こちらにどうぞ」

 

 やっぱり顔が割れてるな。カウンターにいた俺より少し年上っぽい灰色の髪の青年はボンプを抱く俺が入ってきたのを見るに一瞬言葉に詰まったものの悟られないようにして笑顔を張り付けている。俺がホロウで話したのはこの人じゃないな。俺がボンプをカウンターに置いて差し出された紙に必要事項を書いていく。

 

「どんなビデオを探してるんですか?」

 

「実はかなり古い映画でさ、人気もなくて希少なんだ。もしかしたらあるかと思って」

 

「………そうなんですね、バックヤードにあるかもしれないのでご一緒にどうですか?」

 

「いいんですか?是非とも」

 

 必要事項を記入して、名前のところに本名と一文書き添え『連絡先は見てくれた?』、同時にボンプのスカーフのあたりを指でトントンとする。ボンプは嬉しそうにンナンナ笑っているものの青年は表情を硬くして俺を後ろの部屋に案内する。別のボンプがドアを開けて俺たちがそこを通ると締められる。

 

「誰?ここは関係者でも立ち入り禁止で――――っ!?お兄ちゃん……」

 

「ああ、リン……誤魔化せない、バレてる」

 

「どうして……!?」

 

「クリティ・ホロウで話したのは君か。ああ、何でばれたかの話なんだけど……この子がさっき店先で俺に絡んできてね。見覚えのあるボンプだったから」

 

「イ~~ア~~ス~~!!」

 

「そうか、イアスはオーダーのファンになってたんだったね……」

 

 お兄ちゃん、そうかご兄妹で店をやってるのか……邪魔して悪い気もするけど顔を知られているのはちょっと俺としても困る。星見さんという例外はできたものの話次第では記憶ごと消すことも考えないといけない。通報されてもめんどくさいからね。

 

 しかし、イアスというのかこのボンプ。俺のファンになったというのはよくわからんがとにもかくにも俺を覚えていて、俺自身を信頼できるものとして認識してたからここに通した、と。普段だったらこんなことはなかったんだろうなあ二人の反応を見るに。

 

「安心してくれ、俺も裏の仕事をしている以上通報したりする気はない。お互いもう顔が割れたんだ、通報しあって両方捕まるのもバカらしいだろ?」

 

「でも君は、人の記憶を弄れるんだろう?イアス越しに見てた僕たちはともかく邪兎屋の面々は君の顔を思い出せなかった」

 

「それで俺の顔をその便利屋に見せたりはしなかったんだろ?何が起こるかわからないと考えて」

 

「そうだ。知能機械人であるビリーですら君の顔を思い出せなかった。何をしたんだ」

 

「知能機械人は中身が人間だからね。それはともかくちょっとした暗示って奴さ。顔が売れるといいことなんて一つもないだろ?」

 

 俺のマインド・トリックは人間の『思い出す』というプロセスに干渉することで記憶をいじくってるんだが、ボンプはメモリーにアクセスするだけなので思い出すって動作がない。知能機械人は人間に近づけた結果記憶の方に『思い出す』っていうプロセスが出来上がったので干渉できるわけだ。あくまで精神に干渉するのがフォースのトリックだから。

 

「敵対したいわけじゃないって前もって言っておくぞ。伝説のプロキシと敵対すると後が怖い。折角だから提携したいとおもったわけさ。店先で考えた思い付きだけどね」

 

「私たちもそう思う。オーダーの情報は少ないけど凄腕のエージェントだっていうのは判明した。しかも……依頼料めちゃくちゃ安いよお兄ちゃん!邪兎屋の三分の一!」

 

「なんだって!?」

 

「あー、まあ直通の連絡先渡すのは知り合いだけだからな。パエトーン相手なら悪い方向にはいかなそうだし。それに俺の稼ぎの大半はエーテル資源の採掘だから依頼はついでってわけ。だから安いの」

 

「すごい!お得!お兄ちゃん提携すべきだよ!ニコのツケとか気にしなくてよくなるよ!?」

 

「伝説のプロキシがこんな涙ぐましい節約してんの……?」

 

 金に関しては経営者らしい視点を持っているようだが如何せん明け透けだな……と俺は足元でニコニコしているイアスを見て思わず笑ってしまった。基本的にはエージェントがプロキシに頼むのが基本であるが、優秀なエージェントにはプロキシから依頼が来る場合もある。俺の場合は知り合い限定だけど。つっても直通持ってるのはヴィクトリア家政と雲嶽山だけなんだよなあ。ヴィクトリア家政は依頼料よりチップが多い始末だし、雲嶽山からは依頼なんて来ないし。

 

 青年の方はアキラ、妹の方はリンというらしい。あとAIアシスタントのFairyにボンプのイアスね。実は……から始まったアキラさんの話によるとなんとパエトーンのアカウントが乗っ取りを受けて使用不能になり、新たなアカウントを作り直して一から始めているのだそう。

 

 そりゃ金ないわ、と俺はぺしんと額を打った。パエトーンのアカウントならいざ知らず駆け出しのプロキシの依頼料なんてたかが知れている。パエトーン時代から何分の一とかそれくらいまで落ちてしまっているはずだ。

 

「なんというか……大変だったんだねアキラさんにリンさん。どうしても困ったっていうなら依頼料は無料でもいいよ。依頼の途中で採掘するのを許してくれたらね」

 

「いや……さすがにそれは僕たちにもプライドがあるから遠慮させてほしい。リン、僕は店を閉めてくるから頼んだ。実は依頼したい仕事があるんだ。邪兎屋にお願いしようとしてたんだけど、是非」

 

「そういうことなら受けよう。パエトーンがサポートしてくれるんなら楽に終わりそうだし」

 

「ンナ!ンナナー!」

 

「君も手伝ってくれるんだったね」

 

 足元でぴょんぴょこ跳ねるイアスが、両手を振り回している。それにこたえてあげると、その動きが何かを振る動作なのに気づいた。ああ、これライトセーバー振り回してるつもりなんだ。なんかほほえましいな。かわいらしい。

 

「イアスったらオーダーに会ってからずっとこうでさー。よっぽどかっこよく映ったんだねー」

 

「ちょっと恥ずかしいな。一体何がそんな風に感じたのやら」

 

「そりゃだってさー?フード被って光の剣振り回して助けられたんだよ?ダークヒーローかお忍びの騎士って映画での鉄板じゃない!?それが現実でそのまま降ってきた!」

 

「それで、こうか。まあ悪い気はしないね」

 

「ところで、ザインってどうやってホロウ探索してるの?プロキシつけてないんでしょ??自作のキャロット?」

 

「企業秘密」

 

 リンさんは両手をにぎにぎとしながら俺をしたから覗き込むようにそんなことを聞いてくる。説明してもできないだろうし信じないだろ。フォース云々はともかく外から見たらほとんど直感でホロウ内の探索をしてる風に見えるんだから。

 

 しかし、ダークヒーローと来たか。ジェダイは騎士というイメージがぴったりと合うがリンさんやアキラさんから見たら俺はシスっぽく見えていたのだろう。まあこの世界じゃどっちに見えても関係ないわけなんだが。

 

 俺がいつも通り企業秘密というとリンさんはぶーぶーと口を尖らしていた。そりゃそうだ、と同意してほしいところではあるがじゃあリンさんはどうやってホロウ内でこの子に憑依しているんだい?とイアスを持ち上げて尋ねるとそこは秘密!と返ってくるわけで。そりゃそうだ。

 

「お待たせ……客が増えたよ」

 

「どなた!?」

 

「あー、席外そうか?」

 

「いや……いてくれると助かる」

 

 リンさんが驚いているが、アキラさんが頭を掻きつつ連れてきたのは紅い服を着た猫のシリオンの少女と片目がバッテンになっている黄緑色のボンプだった。厄介ごとのかおりを感じ取った俺は即座に回避行動をとろうとするもアキラさんに阻止される。

 

 多分この女の子もプロキシがらみの仕事の依頼にでも来たのだろう。俺が部屋の片隅に行って壁にもたれると同時に女の子が二人に依頼したいことがあって、邪兎屋のニコが今ピンチだから助けてほしいとのことだ。ふーん?邪兎屋って俺が助けたあの知能機械人と銀髪の女の子のコンビか。世間は狭いなあ。

 

「申し訳ないけど、君のいうことはいまいち信用できない。邪兎屋に君みたいな社員はいなかったし、ニコなら自分で来るはずだ。ツケが溜まってる今なら特に」

 

「そうそう。それに、確かにそのボンプはニコが使っていたボンプだけど……それだけ見たら私はあなたが邪兎屋を襲ってボンプを奪った可能性の方が高いって思うんだ」

 

「んにゃー!猫又は嘘なんかついてないしボンプも奪ってない!うまくうまく説明できないけどとにかくこのままじゃニコが埋立地の灰になっちゃうー!!」

 

「埋立地の灰……?ちょっと待った詳しく説明して」

 

 灰になる、という物騒な言葉に思わず口をはさんだ。パエトーンの二人は知らない人間が知り合いのボンプを持ち込んだことでかなり疑惑を深めているみたいだがこのワードは問題だ。埋立地でどうなるってんだ……?

 

 俺はニコという人物を知らないが、少なくともパエトーンの二人にツケを残しているということは知り合いなのだろう。だから二人は世迷言を言うなとこの猫のシリオンを叩き出せずにいるわけで。耳ごと頭をガシガシ掻いた少女は口を開く。

 

「説明っていわれてもいろいろありすぎて……うーっ!!あ!そうだ!ボンプの視覚記録!それを見てくれたらあたしの言ってたことが嘘じゃないってわかる!」

 

「それは……ちょっと難しいんじゃないかな……」

 

「うん、この子のマスターはニコだから……」

 

「あー、管理者権限的なやつか。じゃあなんだ?ハッキングでもするか?中身こじ開けるか?」

 

「できるわけないでしょ!」

 

 リンさんからのお叱りを受けたわけであるがそれでは八方塞がりである。そんなことを考え出した俺たちに割り込んできたのはなんとFairy。このアシスタントはなんとボンプを傷つけずに視覚データを抜き出せるというのだ。

 

 まるで自我を持つようなアシスタントAIに任せること数秒であっさりと視覚データは吸い出され画面に表示される。俺たちはそれを食い入るように見つめるのだった。

 

 




イアス「光の剣!?超カッケーンナ!」

 だいたいこんなかんじ。原作開始ですが巻きの巻きで行きます。3章までは特に変える場所もないので。

 また今回以降更新不定期とさせてください。目安は4~7日に1更新くらいで見ておいてください。年末年始でやること特盛なので。
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