フォースはいつでもエーテルと共に   作:光明面と暗黒面ってルビ無しで読めないよね

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第21話 ぶっ飛びフォースとカリュドーン

「そういえば、あなたタイムフィールド家と親交があるんですの?このおうちにあるものには全てタイムフィールドの紋章が刻印されてますわ」

 

「この工房は確かにタイムフィールドの御当主からもらったものだけど、それがどうしたの?」

 

「……アリス・タイムフィールドという名に聞き覚えは?」

 

「ああ、お孫さんね。何年前だったかなあ、ホロウに落ちた時たまたま見つけて脱出させたんだよ、懐かしいなあ」

 

「……あなたが彼女が仰っていたオーダーでしたのね。それはもうセレスティア女学院で耳にタコができるほど聞かされましたわ。顔が思い出せないなんて嘆いてましてよ」

 

 へえ、喋り方に気品があると思ったらルーシーさんっていいとこの出だったんだな、と洗い物をしながらの会話を続ける。俺が皿を洗いルーシーさんが丁寧に布巾で拭いて置いていく。バーニスさんは3缶目になるニトロフューエルで乾杯してライトさんを振り回し、それをシーザーさんが大笑いしてみていた。パイパーさんは我関せずにソファにねむねむ。

 

「でも実際あれっきりで彼女にも御当主にも会ってないよ。そういう気品のある出でもないしね。元気そうならよかった」

 

「元気、まあそうですわね。それはそうと武器を作り直しに来たとライトから聞きましたがそれが噂の光の剣ですの?」

 

「ん、まあそうだね。そっか、オーダーってバレたらそっちもバレるか。気になる?」

 

「気になるな、ダンゼン!エーテル銃とかレーザーバレットとかねーわけじゃねーけどよ、エネルギーの剣なんてのは見たことねえ!」

 

「実際、軍の装備でも費用対効果が悪いと見送られてると聞きますわね」

 

 費用対効果が悪い、その視点はなかったな。なにせ作っちゃえばライトセーバーはフォースで充電できるのでエネルギー効率がどうこうとか考えたことなかった。シビアな視点だ、商売に向いているだろうってもうやってるのか。ずいっとシーザーさんが割り込んでくるし振り回されたライトさんも混ざってくる。

 

「郊外にも知られてるのか?依頼じゃ縁がないからわからないけど」

 

「有名人さ、受ける依頼の達成率、迷った人の救助された投稿の数、それでいて顔は思い出せない。インターノット上の都市伝説、オーダー。会えて光栄だ」

 

「ここまで言われると恥ずかしいね。そんじゃ、俺は寝るよ。ライトさんは申し訳ないけどソファを使ってほしい。女性陣はゲストルームへ。いいソファだから寝苦しいとかはないと思うけど」

 

「慣れっこだから気にしないでくれ。パイパーが気持ちよさそうだから寝れるのは保証されてるさ」

 

 ゲストルームとかのベッドのシーツなんかはもらった当初のモノじゃない。さすがは超大富豪のものというかすごいというか使い捨て前提だったので早々にダメになって俺が買いなおしている。なんでかって?たまぁにお師匠様とかが俺の様子を見に来た時に使うからね。瞬光も来てみたいって言ってたからいつかのための準備だ。

 

 自分の部屋に帰って荷解きを済ませる。そういえば忘れていたけどこんなクソデカカイバークリスタルってあるんやなと背嚢からバスケットボール大の大きさのクリスタルを取り出してしげしげと眺めてみる。しかし、色が変わってるなあ。前のクリスタルは最初から緑と赤だったしクリスタルも小さいのが一つだけだった。

 

 そのクリスタルもいまやイアスのおしゃれアイテムに変わってしまっているのだがそれは彼がとても嬉しそうだったので俺も嬉しくなるの法則でありがたいこととする。ただ、色が変わったというのが正直気にかかるところだ。

 

 以前の俺は光明面と暗黒面をはっきり分けたうえで光明面に寄るように意識的に調整してきたというか暗黒面はできるだけ使わないようにしていた。その気質をフォースは読んではっきりと色がわかれた2本のセーバーを作らせたのだろう。

 

 だが、ヴィジョンの件で俺は暗黒面のフォースの蓋を外しあまつさえ全力で使用した。正直俺はあの時暗黒面に堕ちたんじゃないかとすら思っていたが、そうではなかった。調和、調和である。そして本当の意味でフォースを使えるようになった俺に対して用意されたのがこの巨大なクリスタルである。

 

 色は白紫、メイス・ウィンドゥの紫色のセーバーではない。俗説ではあるがセーバーの色、つまりはクリスタル色には意味がある。紫色は闇と光の中間を意味するらしい、そして白は浄化だそうだ。浄化にはとんと心当たりはないが悪い意味ではないだろう、浮かぶセーバーの設計図を見ながらも俺はそのまま布団に潜り込むのであった。

 

 

 

「というわけでガソリンね」

 

「話が早すぎますわ!?」

 

「で、誰が行くんだ?俺様は残っても行ってもいーぜ」

 

「この量だと……せいぜいバイク2台分かなー。ルーシーちゃん決めちゃいなよ」

 

「……なら、交渉役として私、目利きとしてバーニスですわ。ザインさん、お返しいたしますのでお借りしますわね」

 

 チーズとベーコンとトマトのソースをぶっかけてオーブンで焼いたバケットという朝ごはんを振舞ったあと俺はででん、と備蓄のガソリンの一部をカリュドーンの子に提供した。ルーシーさんはどうやら商人気質が強くてギブアンドテイクかと思えばギブばかりされて混乱しているようだ。うーん、楽しい。

 

「ちぇっ、かっ飛ばせるかと思ったんだけどなー。お、ザインお前どこ行くんだ?」

 

「作業に入る前に浄水システムとかのメンテナンスに行くよ。くつろいでて」

 

「手伝わせてくれって、言えねーんだよなー俺様。邪魔にしかなんねえ」

 

「ああ、俺もそういうのは門外漢だ」

 

「んじゃあ、あたしに手伝わせてくれ~。機械いじりなら其れなりにこなしてるぜぃ」

 

 どうぞ、とガソリンの入ったタンクを渡して二人が自分のバイクに燃料を補給しているのを尻目に俺は工具の入った箱を片手に外に出ようとする。一応浄水システムやらなんやらは自立する設計になってはいるが確認はするべきなので来て帰るときに一回ずつ見に行くことにしている。

 

 何か返したい、と考えているらしいカリュドーンの子の皆は手伝えるかと考えるが門外漢となるとトーンダウンせざるを得ない。一応車いじりはできるらしいけどね、それはともかくとしてパイパーさんが手伝ってくれるらしいので俺は彼女を伴って外へ出て、岩の裏に隠してある扉から一緒に中に入る。

 

「ほわぁ~ハイテクってやつだなぁ。金持ちの考えることはわからんちんだ」

 

「俺はちょっとわかるけどね。自分だけの秘密の基地って素敵じゃない?」

 

「ん、そうかもなぁ。ほいスパナ」

 

「お、どうも」

 

 レベルチェック、パワーセルへの充電を済ませてネジなんかを弄っているとパイパーさんがぽいと、スパナを手渡してくれる。俺の次にやりたいことがわかっている動きだ。機械いじりを嗜んでいるというのはどうやら嘘ではないらしいね。少なくともホロウに呑まれない限りは俺が死ぬまで動き続けるであろう機械をマニュアル通りに整備していく。

 

 いつもは一人でやる作業だが隣に誰かいて話せば相槌が返ってきて話題も返ってくるとなると少し楽しくなってきてしまうのが人間の性。競馬に宝くじなどかけ事を嗜むらしいパイパーさんは年齢は見た目通りみたいだけど中身はずいぶんと進んでいるらしい。株にまで手を出しているとか、それはすごいや。

 

「あんがとなぁ」

 

「ガソリンの話?」

 

「それもだけど、ご飯に寝床に風呂まで用意してくれただろぉ?ああいうのなあ、郊外だと一番警戒されるんだよ。水も、食いもんも、ベッドにガソリンだって限られた資源だかんなぁ」

 

「知らずに警戒させちゃってたのか」

 

「いや、不思議なことにザインには全く警戒心がわかなかった。ルーシーくらいだわなぁ、ちゃんと考えてんのはよぉ。何を返せって言われるかってなぁ」

 

 確かにそうか、郊外の生活の実態を概要レベルでしか知らないから何とも言えないが水道も電気も食料も郊外の人たちは自前で用意して何とかしないといけない。ちょっと商店まで行けば毎日のように新製品が並んでいる街の生活とは違うんだな。

 

「あげすぎちゃったってことかな?郊外の生活は聞きかじってただけだからこういうもんかと思ってたんだけど。実際、そっちだって助けてほしいって話だったんでしょ」

 

「そうだなぁ、ガソリンもらって街に行って返して終了が実際の郊外の助け合いだなあ。あれくれなにくれってやってもらっちゃあ立つ瀬ってもんがねえって話だ。気を付けな、持ってるってわかったら狙われるぜぃ」

 

「その忠告だけで助けた価値はあるようなもんだけど……そうだね、理由としてなら一応なくはない。俺がホロウレイダーなのは聞いてたよね。なんでオーダーの依頼のレビューが少ないと思う?」

 

「ここでクイズかぃ?そもそもあんた依頼を受けないって噂だぜい」

 

「そう、正解。俺に依頼できるのは直通のアドレスか知り合いだけだ。それで十分やっていけるからね。でも、顧客を増やすのも悪くない話さ。特別な相手からしかノーサンキュー、ってね」

 

「若いねぇ~。それで釣られちまう奴がたくさぁんいるわけだスケコマシ~。こいつもくらっときちまった」

 

 要は、俺に依頼を出せる奴は俺が認めた特別な奴だけでその特別の中にカリュドーンの子も入れたいという話をできるだけ簡単にしたつもりだったがなんでかパイパーさんはほんわかと少しだけ顔を赤くして差し出したモンキーレンチを受け取って工具箱の中に放り込んだ。

 

 ただ、彼女たちは信頼できるとフォースではなく俺の直感がそう言っている。こういうのは大体当たる、なにせパエトーンの二人を発掘した俺の直感だ。少しは信じられるんじゃないかな。それはそうと、メンテナンスも終わりだ。汗もかいたし涼しい工房の中へ逃げよう。

 

「シャワーでも浴びるかい?風呂上がりの牛乳とアイスもあるよ」

 

「お前、さっき言ったこと全く意識してねぇな~?でもまぁ、汗だらだらは気持ち悪いしお言葉に甘えるぜぃ」

 

「君たちには意識する理由がないからね、仁義とメンツ、そして義理立て。全部ある無法者は表の人間なんかよりよほど信頼できるんだ。持論だけどね」

 

「だぁめだ。こいつじゃ口で勝てる気がしないぜぃ。ルーシーでもかてそうにねぇや」

 

 降参降参、とひらひらと手を振ってぱたぱたと顔を仰ぎつつバスルームに消えていくパイパーさんを見送って俺はタオルで汗をぬぐいながらガレージに入る。ルーシーさんとバーニスさんのバイクは消えていたので出発したんだろう。

 

「気になる?俺のバイク」

 

「お、お疲れだな。気になるぜ勿論。郊外じゃオフロードだからよぉ、こんなスポーツ系のバイクなんてなかなか見れねえ。どのバイク改造したんだ?」

 

「さてねぇ。実は素体はエンジン以外ホロウ内で拾ったやつの張り合わせでね。エンジンは組んだけど」

 

「組んだぁ!?お前それマジかよ!?どーりで見たことねぇエンジンなわけだぜ」

 

 俺のバイクなんだが、マジで何でできた!?が重なって完成した奇跡の産物なのだ。ライトセーバーを作る過程で機械学の知識を得た俺はワンチャンこれで食えるんじゃねえかと思って組んでみることにしたら出来上がったのだ。思いっきり前傾姿勢をとらないと運転できない無骨な鉄色のバイクを感心した目で見るシーザーさんに答える。

 

「そういえば、ここら辺って郊外の外れも外れって感じの場所だけどどうしてカリュドーンの子はここを通ったんだ?誰も通らないから秘密基地だって言われたんだけどね」

 

「あぁ?んなのここが俺様達の輸送ルートだからに決まってんだろって……そうか、知らねーんだよな。走り屋連盟はな、輸送ルートを指定するんだよ」

 

「こんな外れの外れに?需要だってそこまで高くないしホロウだって多いんじゃないか?」

 

「好きで走らねえよ。いや、この先の町の連中に物資を送るって意味じゃ走る理由はあんだろよ。でもな、儲からねえ。ルーシーに任せてるとはいえ俺様にだってそれはわかる」

 

 胸糞悪い、とでも言いたそうな顔で俺のバイクのシートにもたれかかるように座るシーザーさん。その態度で察してしまったが走り屋連盟はおそらく彼女らのグループを連盟内で排斥しているのだろうと思いいたってしまった。ルートは上からの指定だが儲からない、どうしようもないから走るしかないが細々とはいえ必要とはされているって状況か。飼い殺しだ、抜け出しにくいタイプの。

 

「なぁ、ザインお前……ツール・ド・インフェルノって知ってるか?」

 

 視線をこちらに向けずシーザーさんはそんな風に問いかけてくるのだった。




 そろそろ書き溜めがやばい……!
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