悪魔ウォッチ   作:龍座

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特別編①

 

これは「鬼女マーメイド」と友達になり、海水浴が中止になった後と肝試し大会が始まる前の間の話。

 

アラ「ケータくん、聞きました?」

景「え…、なに?」

 

アラ「今回、特別編ということで一ページだけの文字数も少なめだそうです」

景「へ…、へぇ…しかし、こんな時に」

 

景太がふと顔を上げた瞬間、その言葉は喉の奥に引っ込んだ。

 

景「なんで作者はこんな強そうな悪魔(ヤツ)を出すんだよ!!?絶対一ページだけじゃ無理じゃん!!」

 

空間が歪むほどの威圧感を放ちながら立っていたのは、到底この世の存在とは思えない異形の巨人だった。身長は優に五メートルを超え、筋骨隆々の肉体には無骨な鎖が幾重にも巻き付いている。その姿は、絶対強者という言葉すら生温く感じるほどの、圧倒的な「暴力の化身」だった。

 

「ほう……貴様らが、あのラジオデーモンと、悪魔を従えし童か。……良い。我が直々に、黄泉へと導いてくれる」

景「しかも、めちゃくちゃ喧嘩っ早いんですけど!!」

 

あまりの威圧感に腰が抜けそうになる景太。対して、アラスターは平然とした様子で片眼鏡を押し上げ、まるでガイドブックを読み上げるような口調で囁いた。

 

アラ「ご安心を、ケータくん。私、ちょうどこのお方の情報を持っておりますよ。是非、参考にしてください」

景「お、おお! さすがアラスター、頼りになる! 教えて!!」

 

アラ「彼は『破壊神ザオウゴンゲン』。釈迦、観音、そしてミロクという三尊の力が一つに合体した、究極の守護にして破壊の権化です♪ ……以上、終わり!」

景「弱点は!!? ますますやる気なくしたわ! 勝てるわけないだろそんなの!!」

 

ザオウ「……最後の言葉はそれか? ならば、滅せよ」

 

ザオウゴンゲンが重々しく右拳を振り上げた。その拳が振り下ろされれば、景太も、周囲の住宅街もろとも消し飛ばされるのは明白だった。召喚する間すら与えない、神速の破壊―。

 

しかし、その時だった。

 

「ケーーーーーーーーターーーーーーーー!!!!!」

 

背後から、大気を切り裂くような怒号が響き渡った。

景太が振り返ると、そこには顔を真っ赤にし、鬼のような形相で飛来するピクシーの姿があった。

 

ピク「あんた!! よくもアタシが超楽しみにしてたロールケーキを、勝手に食ってくれたわね!!!!!」

 

ピクシーの怒りは、まさに頂点に達していた。彼女は凄まじい勢いで加速し、景太を目がけて渾身の飛び蹴りを放つ!

 

アラ「伏せて!!」

 

アラスターが景太の首根っこを掴んで地面に伏せさせた直後、ピクシーの弾丸のような体が二人の頭上を掠めていった。

 

景太を狙ったはずのその一撃は、運命の悪戯か、はたまた計算外の軌道修正か。

 

―キィィィィィィィンッ!

 

空気を震わせる乾いた音が響く。

 

ピクシーの全力の飛び蹴りは、攻撃を繰り出そうとして無防備に足を広げていた、ザオウゴンゲンの股間・・にクリティカルヒットした。

 

ザオウ「――――――――――ッッッ!!!!!?」

 

破壊神の口から漏れたのは言葉にもならない魂の底からの絶叫だった。

 

ズズーン…!

 

五メートルを超す巨体が一瞬にして硬直し、そしてガクガクと震えながら膝から崩れ落ちていく。

 

景(は、破壊神が一発KOされた……!! しかもあんな情けない倒れ方でー!!)

 

あまりの光景に景太が呆然とする中、アラスターは腹を抱え、必死に笑い声を殺していた。

 

その後、怒り狂うピクシーをアラスターと共に必死になだめ、なんとか事態を収拾した。景太は倒れ伏して呻いているザオウゴンゲンに、申し訳なさ半分、同情半分で回復魔法をかけさせる。

 

ザオウ「……まさか、我が不覚を取るばかりか、童に情けをかけられるとは……。これほどまでの辱めを受け、さらに慈悲を施された以上、負けを認めざるを得ん。……良いだろう、我が力、貴様に預けよう」

景「いや、大げさだよ! 別に従わせるつもりなんてないから、普通に友達になってくれるだけでいいよ」

 

ザオウ「……寛大なる童よ。我は『破壊神ザオウゴンゲン』。今後とも、宜しく頼む」

 

景太は、少し震える手でザオウゴンゲンの「悪魔メダル」を受け取った。伝説の破壊神を、まさかこんな形で手に入れてしまうとは。

 

景「ありがとうピクシー! 助かったよ、結果的にだけど……」

 

お礼を言おうとした景太だったが、ピクシーの怒りはまだ全く収まっていなかった。

 

ピク「お礼なんていいから、アタシのロールケーキを弁償しろーーーー!! あれ、期間限定だったんだからねーー!!」

景「イ、イダダダダ! ほっぺた引っ張らないで! 分かった、買うから! 買うってば!!」

アラ「ニャハハハ! 一難去ってまた一難。いやはや、食べ物の恨みというのは、地獄の業火よりも恐ろしいですねぇ」

 

アラスターの笑い声が響く中、景太はその足でコンビニへと向かわされた。

結局、コンビニ限定の「高級プレミアム・ロールケーキ」を三つ、自腹で買い与えることでようやくピクシーの許しを得た景太だった。

 

こうして、さくらニュータウンの平和(と景太のお財布)は、今日もなんとか守られたのである。




きょうの悪魔大事典

アラ「ケータくん。今日の悪魔は?」

景「「破壊神ザオウゴンゲン」!」

ーーー

『巨大会場出現!直ちに出動せよ!』

景「行くぞ!合体!!」

釈迦、ミロク、観音の三体が合体した時、究極の「ザオウゴンゲン」が現れる!

ザオウ『ザオウロケットパーンチ!!』

怪獣爆散!地球はザオウゴンゲンによって守られた!

ーーー

そんな事を想像しながら景太がザオウゴンゲンに目を輝かせていた。

ピク「妙にザオウゴンゲンに興奮してるわね……」
アラ「予想するに合体ロボット的なことでも考えてるのでしょう」
ピク「あー…子供故のロマンか……」

その他にも景太はザオウゴンゲンに目からビーム、空を飛ぶ等を期待していた。

ザオウゴンゲンはどう対応すれば良いか分からず混乱していた。
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