透き通る世界に響く雷鳴   作:おやおや、おやおやおやおや

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後半雑になっちゃいました。ゆるして


犬猿の仲とのガチンコバトル(3)

 

 

 

拳がぶつかりあった衝撃で道路がヒビ割れ、小さく分かれたコンクリートが吹き飛んでいく。それにより発生した風が吹き荒れ、その影響は遠くにいたハスミにまで届いていた

 

「っ!?(なんという衝撃…これがたった2人の戦いだけで発生した物なのですか…?)」

 

紫電と成り強化された腕、ヘイロー持ち生徒の生身の腕が力いっぱいぶつかりあっている。どちらも退く気は一切存在しない、満面の笑みだ。

だが競り合いという物はいつか必ず終わる。この競り合いに勝った者は──

 

「ぐっ…!」

 

「…キハハ!」

 

──剣先ツルギ、流石の鹿紫雲も幻獣琥珀+呪力強化された力を使ってもヘイローには勝てなかった。腕からは嫌な音が微かに聞こえ、骨にヒビが入ったと思い至るだろう。だが、そんな事は関係ない

剣先の拳が顔に、鹿紫雲の拳が腹に突き刺さる。咄嗟に呪力を顔に纏わせていたお陰でアゴにヒビが入った程度に収まっていた。

 

「きひゃあああああああ!!!」

 

「クハハハハハハ!!!」

 

笑いながら本気で殴り合う、これ以上ない狂気の現場だろう。ただ当の本人達は本気で喜んでいるだろう。

どちらも久しく無かった本気で戦える相手、鹿紫雲に関してはヒナ以外に本気で戦える相手が見つかったのだからそれはそれは嬉しいだろう。

 

お互いのラッシュで更に風が吹き荒れる。拳が頬を掠め、腹に刺さり、顔に刺さり……ガード無しの無茶苦茶な戦い方、だがどちらも一歩も退かない。

 

だが小競り合いをしていれば勝つのは鹿紫雲だろう。幻獣琥珀により先程よりも強力な電気を相手に流し続ければ、どんどん動きが鈍くなっていく。そこを突けば簡単に相手を気絶させる事ができる。

しかし、そこは脳筋戦闘狂鹿紫雲。そんな小賢しいことは一切しない、ただ真正面からぶつかり合うのみ。

拳が当たりそうになればそこに呪力を流しガード、その後すぐに反転を回しながら殴る。剣先も変わらず、自身の異常とも言える治癒力で直しながら殴る。

戦場には笑い声が響き、周りには互いの血が飛び散り狂気の戦場が出来上がっていた。戦闘の影響で吹き荒れる風から、鉄の臭いが運ばれてくる

 

 

 

 

 

2分後、ここで拳のみの狂気の戦場に動きが訪れる

 

「…っ!?」ドロッ

 

顔の攻撃は当たっていないのに、鹿紫雲の鼻から血が流れる。これを勝機と思ったか剣先はラッシュの速度を早めていく

 

「…ケヒヒ!そろそろっ!限界が来たか!?」

 

「…クッ!(脳が少しイカれたか?)」

 

鹿紫雲はこの戦闘中、ずっと呪力と反転の交互使用を繰り返していた。今の鹿紫雲には呪力と反転の同時使用は不可能、だからこうする事で剣先との長時間の殴り合いを可能としていた。

だが反転術式は高度な技、ましてやそれを呪力と交互に高速使用という脳に多大な負荷をかける技を使っていた。それは鹿紫雲の体にあった繊細な呪力操作のお陰で成り立っていのだが、長時間続けていれば集中力が切れるように、限界が来てしまったのだ。

 

 

 

 

術式を宿す部位に傷が入り、術式がブレる

 

均等だった天秤に、偏りが現る

 

鹿紫雲の顔から、笑みが消える

 

 

 

 

 

 

敗北の2文字が、鹿紫雲の脳裏を過ぎる

 

「……けひゃあああああああ!!!!」

 

「…ぐっ!」

 

対称に剣先の表情は喜びを入れた笑み一色、どんどんと鹿紫雲を押し始める。鹿紫雲も負けぬよう抵抗をしているが押し負けるのは時間の問題だ。

この時、ツルギとハスミは思うだろう。己/友人の勝利を

 

 

だが、忘れてはならない。人は勝ちを確信した時が最も油断するところだと。

鹿紫雲が呪力を扱うキヴォトスの特異点だと。

忘れてはならない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い雷は、微笑む場所を選ばないと

 

 

 

 

【黒閃】

 

 

鹿紫雲の1つの攻撃を弾こうとした瞬間、ツルギを黒い雷が邪魔をする。その威力は絶大で、逆にツルギの腕が弾かれてしまう程だった

 

「っな!?」

 

ここで表情が反転する。鹿紫雲の顔に、再び笑みが灯る

 

「クハハハハハハッ!なんだよ!出るじゃねぇか!」

 

黒閃により、ツルギの体勢がぐらついた隙を見て全ての呪力を反転に注ぎ、急いで脳を治す。1秒も掛からずに幻獣琥珀は元の出力へと戻ったのを確認すると再び攻撃へと転じる。

()()()()の調子が戻った事を理解すると今日最高の笑みが浮かぶツルギも、負けじと拳を振るい始めるだろう。これで元の状態に逆戻り、勝利の女神は誰に微笑むか分からなくなった

 

「ケヒャヒャヒャ!!!やはり最高だな!ハジメェ!!」

 

「ありがとうなぁ!!!ツルギィィ!!」

 

黒閃により更に呪力精度が上がった鹿紫雲は、再度あの脳筋戦術を取る。だが負担は先程よりも少ない、更に長く続けられるだろう。

……勝利の天秤が揺らぐ、どちらに傾いてもおかしくない程に

 

 

 

 

拳の嵐が止み、血だらけの2人が血だらけの戦場に立っている。どちらも息が荒くなり、限界は目前だった。

鹿紫雲は今だ幻獣琥珀を解いていない右手を見ると強く握りしめ、腰より低く構える

 

「…これで決めようか?…ツルギ」

 

「…ケヒヒ、あぁ…そうしようか」

 

ツルギもそれに応えるよう右手にありったけの力を込め、握りしめる。

静寂が包み込む戦場に相対する2人。どちらもあと一撃喰らえば倒れる程の傷を負っている…正真正銘、最後の一撃となる攻撃を、構えている

 

「………」

 

「………」

 

極限の集中状態。目に塵が入ろうが、口の端から涎が一筋垂れようが気にしないように……最後の一撃を最高にする為に、構えている

 

地面に落ちた涎を合図に、合わせていないはずなのに全く同時に両者が飛び出す。声も上げずに、ただ一撃を喰らわす為に前へと進む。

そして、その拳が相手の顔に突き刺さる────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「救護!!!」

 

 

 

───事は叶わず、両者沈黙。吹き飛ばされ、意識は暗闇へと落ちていった。勝利の天秤は左右に傾かず、前へと倒れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近、似たような夢を見る

 

緑が生い茂っている森の中、一切木が生えていない平原に立つ

 

そこで誰かと話をする

 

顔も、姿形も分からない相手

 

女か男かも分からない声

 

ただひとつ分かる事は…人間

 

そんな人と他愛もない事を聞かれる

 

調子はどうだ、高校は楽しいか、同級生といい感じか

 

…まるで思春期の頃の親の用に聞いてくる

 

「────」

「─────」

 

だが自然と不快感はない

 

「──、───」

「──……──」

 

寧ろ安心できるような……そんな夢

 

「────」

 

そして夢の最後には必ず言ってくる事がある

 

「──」

 

「愛を知れ」…と

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

「……知らない天井だ…いや一年経たずでこれを3回言うってどうなってんだ俺」

 

「目覚めましたか?初めまして、鹿紫雲さん」

 

「うわぁ!誰だアンタ!!??」

 

起きたら知らない天井で、知らない青髪の人が覗き込んでたんですけど…何この状況。怖いですぅ……プルプル

 

「あぁすみません。自己紹介がまだでしたね。私はトリニティ総合学園の救護騎士団所属、1年生の蒼森ミネです。よろしくお願いします」

 

「あぁ…どうもよろしくお願いします……んで、何で俺はここにいるんですかね?そもそもここどこですか?」

 

えぇと…俺は確かツルギと戦っていて…最後の一撃を互いに喰らわそうってなった時に衝撃がきて………とりあえず、楽しかったなぁ…

 

「ここは救護騎士団の教室です。何故ここにいるかは、貴方がツルギさんと本気の喧嘩をして、血みどろになっていたのを私が救護したからですよ」

 

「はぇ〜、ありがとうございますわ。……んじゃあ、ツルギは?」

 

「今貴方の隣のベッドで寝ていますよ。最近働きすぎだったのでちょうど良かったです」

 

そう言われて隣を見たら、ぐっすり眠っているツルギが居た。てかさっき大声出しちゃったな…申し訳ない。

あら^〜、戦闘中は狂気的な笑顔ばっか浮かべていた記憶しかないけど、こうして見ると可愛いじゃありゃせんか…いやキヴォトス美少女多すぎな、蒼森とかハスミもゲヘナの奴らも全員可愛いじゃねぇか

 

そんな事を考えていると、救護騎士団の扉が静かに開かれる。そこから見えたのは黒い長髪に色々とデカイ……いや何でもないっす

 

「ミネさん、ツルギ達は…あっ、鹿紫雲さん。起きたのですね」(小声)

 

「おっすハスミ。さっき起きたばっかだぞ」(小声)

 

ハスミさんオッスオッス、怪我無いっぽくて安心やな

ハスミは俺にそう言うと近づいてきて『楽福』の箱を渡してくる。渡し終えるとツルギのベッドの横に移動し椅子を出し、そこに座った

 

「というか、起きるの早くないですか?ミネさんから聞いた話だとベッドに横にした時にはもう傷は治ってたそうですし」(小声)

 

「まあそこはヘイロー無しクオリティってことで」(小声)

 

「「そうはならないと思います」」(小声)

 

なんで今小声で話してるかと言うと、隣のぐっすり寝ているツルギが居るからだな。さっきの蒼森の言った事だと最近働き過ぎてたみたいだし、ゆっくり寝てほしいのよ……俺?まあ脳に反転回せばいけるいける。

 

そう色々と話していると、寝ていたツルギがゆっくりと目を開け上体を起こす。まだ眠たいのか少し目がショボショボしてる

 

「……ここは…救護騎士団か……」

 

そう言い部屋の中をキョロキョロ見渡している。隣に座っているハスミに気づくと、肩をビクリと震わし何故か視線を逸らした……何故?おっとハスミの雰囲気が変わったなぁ、これはヒナが説教する時と同じ雰囲気だな…

 

「ツルギ……私前に無理はしないで下さいって言いましたよね?」

 

「す、すまないハスミ……その、鹿紫雲との戦いが楽しくてだな…」

 

「全く……これだから戦闘狂は…まだ言いたいことはありますの「おっすおはようツルギ〜」……鹿紫雲さぁん?」

 

「え?」

 

ツルギは額に青筋を浮かべているハスミが向いている方向に視線を向けると、そこには自身の隣のベッドにいる鹿紫雲の姿だった。何か言おうとしたツルギだが、それよりも先に鹿紫雲が声を出す

 

「いやぁ強かったなツルギ!また戦おうな!」ペカー

 

「……あっ……ぁぇ…」

 

こちらも戦闘中とは違い、歳相応の満面の笑みを浮かべ自分に話しかけてきたキヴォトス唯一の異性。戦闘後直後ならまだしも、しばらく時間が経ち、アドレナリンが切れて超絶乙女モードとなっているツルギには刺激が強すぎる攻撃だった

 

「けひゅぅ……」

 

「……?」

 

ツルギはか細い声を出し、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

なんでぇ?なんで俺の顔を見て俯いた?……なんか悲しい。とりあえず、はよ『楽福』持ってゲヘナに戻らな……あっ、(小林製薬)そうだ

 

「なあアンタら」

 

「「?どうしました?」」「……はい」

 

そういうとポケットに入れてあった自分のスマホ……いや何であの戦闘で無事なんだよ、強度どうなってんだ?オリハルコンで出来てるのかなこれ。まあそんな事は置いといて、スマホを起動すると慣れた手つきでモモトークを開く

 

「どうせならモモトーク交換しようぜ?ここで会ったのも何かの縁()やし」

 

「……いいのですか?」

 

「おん?」

 

ハスミが何やら重い雰囲気で口を開く、よく見たら蒼森もそんな雰囲気だ。ツルギは変わらず顔赤いな。でも何故〜?何故そんな反応〜?

 

「私達トリニティはゲヘナの敵のような存在なのですよ?そんな相手と気軽にモモトークを交換しようだなんて……」

 

…あぁーそんな事ゲヘナの連中共が言ってたな。トリニティは我々の敵だ!みたいな…風紀委員会でも先輩や同級生もそんな考えの人が多かったんだよな。ヒナは関係なさそうだったけど

 

ハスミの言葉で重苦しい雰囲気となり、椅子やベッドが軋む音でさえ無くなった部屋の中。その静寂を振り払ったのは──

 

「「別に良くね?(良くないか?)」」

 

──ツルギと鹿紫雲だった。

 

「…っえ?」

 

二人から今までのトリニティとゲヘナの関係を否定する「別に良くない?」というなんとも軽い言葉。そう返されたハスミは暫し困惑の表情を浮かべる

 

「いやその、別にトリニティだとかゲヘナだとか関係なくね?皆同じ人間なんだし」

 

「そうだ、私も鹿紫雲と同じ意見だ。ずっといがみ合っていたって何も変わらないだろう?それに……」

 

そう言い終わらない時、ツルギは1度鹿紫雲の方を振り向くと再度ハスミに向き直り、後ろにいる鹿紫雲を指すように親指を立てた

 

「この男は、トリニティとゲヘナを繋ぐ架け橋になるかもしれないからな」

 

「おっ、いいこと言ってくれるねぇ〜」

 

ツルギはあの殴り合いで理解したのだろう、鹿紫雲という男を。鹿紫雲は地位やした事など関係なく誰にも分け隔てなく、贔屓もせずに理解してくれる人物なのだと。

 

「じゃ、そゆことで…モモトーク交換しましょか〜。ツルギもしようぜ」

 

「ケヒッ!?…じゃ、じゃあ……」

 

「あ、では私もお願いします」

 

「あたり前田のクラッカ〜」

 

「何ですか?それ」

 

今だ困惑しているハスミを置いておいて、ツルギ、蒼森と笑顔でモモトークを交換する鹿紫雲。交換し終えるとハスミの方を向き声をかける

 

「ハスミも交換するか?」

 

「……では…よろしくお願いします…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後暫く談笑していたがいい時間になったのでそろそろ帰ろうかとベッドから降り、ドアへと向かう

 

「ありがとうな、久々にゆっくり話できたよ」

 

「こっ…こちらこそ……楽しめました…」

 

……相変わらずツルギはなんかタジタジで顔真っ赤だな、戦闘中の調子はどうした?ドアに手をかけ開けようとするとハスミから声が掛かる

 

「あの、鹿紫雲さん?」

 

「あぁ、『楽福』か?それはプレゼントや。ブドウクリームの12個入りなんで皆で分けて食べてね」

 

「あ、ありがとうございます……ではなくて!」

 

どうした?情緒不安定か?…糖分食べなよ、頭冴えるよ。

そんなつまんねぇことを呑気に考えている鹿紫雲の耳に衝撃の言葉が聞こえる。

 

 

 

「…鹿紫雲さん。貴方の処罰に関してです。」

 

「……うぇ?」

 

処罰?アイエエエナニソレ!?処罰ナニソレ!?俺何もしてないよ!ただツルギとバチボコに………これか?そりゃそうだな。トリニティの生徒とボコボコに殴りあったもんな…。・゚・(ノД`)・゚・。

 

「…ツルギと戦う前にやった3年生、2年生…延べ28人の生徒に対する暴力行為についての処罰です」

 

……あやったわぁ、めちゃくちゃやったわぁ…ツルギバトルが楽しすぎて頭から抜け落ちてたわ、え俺どうなるん?死ぬ?死ぬの俺?

 

「……あのぉ……お慈悲は…頂けないでしょうか……」

 

「……それは委員長次第ですね、まあ委員長ゲヘナ嫌いですけど」

 

「オワッタ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がトリニティでその事以外悪さしなかったこと、ほんとにお菓子が目的で来訪した事が分かって何とかお慈悲を貰えた、委員長優しい〜!!!!ありがとう!!!!

その後、ハスミに『楽福』をあげてゲヘナに帰った。……ハスミのお菓子を見る目が完全に獲物を狩る獣だった事は秘密ね?




えーと…(1)(2)(3)を合わせて大体1万6千文字!
……わぁ〜お☆このままじゃ余裕で2万超えちゃうじゃんね☆(もうちょい後にでるゲヘナ大嫌いお嬢様)

原作開始時、鹿紫雲はどのぐらいの強さにしますか?

  • 呪力で最強格に勝利(ハジメ>最強格
  • 呪力+術式で最強格に勝利(ハジメ≧最強格
  • 強さ変わらず技術面を強化(最強格≧ハジメ
  • ちょっと強すぎや(最強格>ハジメ
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