透き通る世界に響く雷鳴   作:おやおや、おやおやおやおや

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あまけして、おでめとう

新年一発目はアビドスじゃ!!てかシロコっていつ頃拾ってきたんすかね。分からない


これがアビドススナオオカミか…(1)

 

 

 やあみんな。俺だ、鹿紫雲だ

 俺は今ゲヘナをパトロール中…という訳でもなく、今日は休日で何の予定も無かったから久々にアビドス高校に行くために菓子を片手に幻獣琥珀で突っ走っている途中だ

 最近は休日が埋まってばっかりでしたからねぇ……サツキの買い物にヒナを愛でたり休ませたり、ときたまトリニティに行ったり美食を嗜んだりなどなど………これが高校生の休日の内容か?俺にも休みは必要なんだよ。脳に反転かければ疲れとかは消え去るけどね?精神的な疲れは癒せないのよ

 

 話は変わるけど最近肌寒くなってきたんだよね〜、もう秋に入っちゃったよ。…ホントに色々なことがあったなぁ。死にかけたり殴りあったり添い寝(健全)したり身体使われて研究(安全)されたり……そんな1年もゴール地点が見えてきた。いい後輩出来るかな、理想は強い子。もっと強くして俺と対等に戦えるまでに育ててみたい

 

 そんな事を考えながら突っ走っているとアビドスの駅が見えてくる。よく見ると駅のホームに水色の長髪に長いアホ毛が特徴の子……俺が結構前に助けた梔子ユメがいた。なんかソワソワしてめっちゃ周りキョロキョロしてら、オモロ……せや!驚かしたろ!

 幻獣琥珀を解き、音を極限まで小さくしてユメの背後に降り立つ。……よし、ユメは気づいてないな。そのまま慎重に近づきすぐ後ろまで来ると──

 

「ワッ!!」

 

「キャッ!?」

 

──いきなり肩を掴み耳元で大声を出す、よくある典型的な驚かし方だ。ユメは体を短く震わし、女の子らしい悲鳴を出すとそのまま後ろを……あれ、なんか裏拳がとんできてr

 

「おぼふッ!?」

 

「…っえ!ハジメくん!?」

 

 裏拳が顔面にクリーンヒットした俺はそのまま大の字で駅のホームに倒れてしまった。…いやあ意外と駅のホームってあったかいね、砂が多いからかな?

 そんなしょうもない事を考えながら、俺の意識は暗闇へと──

 

「うわあああん!!ハジメくん大丈夫!!??」

 

──落ちませんでした。今絶賛倒れてる状態の俺をユメは思いっきり体揺らしてきてます、揺らされる度に後頭部が地面に当たって痛いんですよ!やめろ!

 

「グッ…ガッユメグアッ…大丈グッ…夫だかグフッ…らっ」

 

「どうしよう!どうしよう!!?」

 

「ちょっガギッ…やめろや!!

 

「あっ!良かったよぉー!!ハジメくーん!」

 

 砂がついたまま上体を起こし少しキレ気味に言ったら、涙目のユメがいきなり抱きついてきた。こういうのされ過ぎて慣れてきた自分がいる…その凶器を押し付けられてきてもあんまり……すんません、嘘つきました。めっちゃ理性飛びそうになりますわ

 とりあえずユメを離し起き上がると、いきなり脅かしたことを謝る。そうしたらすぐさまユメが自分が抱きついてきた事やめちゃ揺らしまくったことを謝ってきたが、元はと言えば俺のせいなので頭を下げるのを阻止した。あと菓子あげたらすごい喜んでくれた。この人来年卒業なんだぜ?

 

 ユメに連れられ、アビドス高校へと向かう。相変わらずここは砂ばかりで歩く度に砂が靴に入ったり、軽い風で砂が飛んできて邪魔だが俺はアビドスがお気に入りだ。みんな優しいし…なんか落ち着くんだよね

 その道中、散々ユメからアビドスの事を伝えられた。小鳥遊は海の生物が好きで特にクジラが好きだとか、今年はアビドスに2人・・入学してくるだとか…そんな他愛もない話を聞かさせる。まあ俺も聞くばかりじゃ物足りないからこれまでのゲヘナの事も話したりしたが、何故か生暖かい目で見られた……なんでだ?

 

 とまあ、こんな話をしながら砂漠を歩いていると少し遠くに白い校舎…現アビドス高校が見えてきた*1。校門の前に着くと、校内の玄関には薄黄色の長髪にユメよりかは劣るが色々とデカイ子……十六夜ノノミが掃き掃除をしていた

 

「おっす〜十六夜〜」

 

「あっ、鹿紫雲さん!」

 

 手を振りながら挨拶すると、わざわざ校門の前の俺たちの所まで来てくれた。…いや、本当に色々とデカイな、この子まだ中等部なんだろ?発育どうなってんだキヴォトスは

 

「…ハジメくん、変なこと考えてない?」

 

「気のせい」(食い気味)

 

 

 

 色々と軽口を言い合いながら砂色に染まっている廊下を歩き、アビドスの生徒会室へと向かう。入る前にある程度服に着いた砂を落とし部屋の中へと入るが、いつもは机に突っ伏して寝ている小鳥遊の姿が見当たらない

 

「あれ?小鳥遊はどうしたんだ?」

 

「ホシノちゃんは今はシロコちゃんと一緒にアビドスのパトロールに行ってるよ。そろそろ戻ってくるんじゃないのかな?」

 

「そうか……ん?シロコって「ユメせんぱ〜い、戻りましたよ〜」

 

 玄関の方から元気な声が聞こえるが、どこかのんびりとした雰囲気を思わせる言い方だった。生徒会室の扉が開かれると、小鳥遊とその隣には銀色の狼っぽい子がいた

 

「あれ、鹿紫雲くん来てたんだ〜」

 

「…お前のその雰囲気の理由を聞きたいところだが、それよりも先にその隣の小さな子が誰かを教えてくれないか?ついに誘拐でもしたか?」

 

「違うよ〜、この子は砂狼シロコちゃん。ちょっと前にアビドスのパトロールをしてる時に見つけたから保護してるんだ〜」

 

「…ん、よろしく」

 

 シロコ……シロコ…?もしかしてあれか、「ん、銀行を襲う」って奴のシロコか?特徴のん、も言ってたし同じと確定してもいいな。…ちっさ……ホシノより小さいじゃねぇかどうなってんだ。ホシノの身長確か145cmだろ?小学生って言われても違和感無いだろ

 とりあえず、小さい子は第一印象が大事だから膝を曲げて視線を合わせて、できるだけ柔らかい笑顔で言う

 

「よろしくね、砂狼ちゃん。俺は鹿紫雲ハジメ。鹿紫雲でもハジメでもどっちで呼んでもいいよ」

 

「ん、分かったハジメ。じゃあ私の事はシロコって呼んで」

 

「分かったよ、シロコちゃん」

 

 そう言いながら頭を撫でると、小さく「ん!」と鳴いて頭を手に押し付けてくる。狼ってよりかは犬に近いなコイツ

 …こんな純粋な犬っぽい子が銀行を襲うとか物騒なこと言うのか……想像できねぇ〜、想像したくねぇ〜……というか、さっきからアビドス組の視線が変な感じするんだが

 

「……鹿紫雲ってもしかしてロリコンですか?」

 

「んな訳ねぇだろ、小さい子にはこうしたら良いって前に聞いたことあんだよ。それと口調戻ってんぞ」

 

「どこかお兄さんって感じがして良いですね〜☆」

 

「ハジメくんって小さい子に優しいんだね、結構意外だったかも」

 

「おいユメ、それは俺に失礼だろ」

 

「ん、梔子の姉御に何その言い方。訂正しな」

 

「????」

 

 そう言うとされるがままに撫でられていたのに俺の手から離れ距離をとり、ユメの間に割り込むように移動した。姉御?梔子の姉御ってユメ、コイツに何したんだよ。……おい、視線を逸らすな。おい……おい!!

 

「ヒィン…い、いやぁ…初めて会った時に襲われちゃってね?それを返り討ちにしたらそう呼ばれるようになっちゃって…」

 

 襲う(健全)を返り討ちにしただけでこうはならんだろ、どんなやり方で返り討ちにしたんだ。答えろ、梔子ユメジア・バオユ

 

「ん、梔子の姉御に口出しできるのは姉御より位の高い人か強い人だけ…つまりハジメは私と戦うべき」

 

「お前は何を言ってるんだ」

 

 やめろ、そろそろ下顎砕かれそうだから。そう思ってる間にシロコは大きく手を広げ、俺に飛びかかってくる。それを避けるように一瞬で背後に周り、シロコの服の襟を掴み宙ぶらりん状態にすると四肢をバタバタさせて抵抗してくる。なんだコイツ

 

「ん!!ん!!」

 

「はいはい、落ち着きましょうね〜」

 

 そう優しく言いながら頭を撫でてあげる。するとバタついていた四肢はどんどん抵抗をやめ落ち着いてくる。10秒もすれば母猫に首元を咥えられた子猫のように大人しくなった。

 まあこのまま掴んだままじゃダメだから床に下ろすと、直ぐに立ち上がりキラキラした目で俺を見てくる

 

「ん、鹿紫雲の兄貴!一生ついて行きます!」

 

「うへぇ〜、今度は鹿紫雲くんがシロコちゃんの兄貴になっちゃった〜」

 

「ふふ、シロコちゃん。元気でいいですね☆」

 

「そうそう、こんな感じで呼ばれるようになったんだよね〜ハジメくん。………ハジメくん?」

 

「………」

 

 兄貴と呼ばれてから、何故か静かになった鹿紫雲。アビドス組はその理由を知らなかったが…呪術廻戦を呼んでいる諸君らは察しただろう。この後の展開を

 

 

 

 

 

 

 

 シロコに兄貴と呼ばれた瞬間、鹿紫雲の脳内に溢れ出した… 存在しない記憶・・・・・・・

 

 

 

──ん!鹿紫雲の兄貴!今日は何をしますか?

 

──そうだなぁ…適当にアイツらとトランプでもするか?勿論、お前も参加でな?

 

──ん!!

 

 

 

──ん、鹿紫雲の兄貴は梔子の姉御と仲が良い。もしや恋仲!?

 

──なわけ、腐れ縁みたいなもんだ。

 

──ん……でも、私はお似合いだと思う

 

──勝手な事言うな、このこの〜

 

──ん!くすぐったい!

 

 

 

──ほら、沢山食え。俺が奢ってやるから

 

──鹿紫雲の兄貴は太っ腹ムグムグ…このまま私に一生奢るべき

 

──なに調子に乗ってんだよ

 

──ん!すいやせん!

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そうか」

 

「?」

 

 そう言うと鹿紫雲はシロコを抱き上げ、小さい子を慰めるように頭を優しく、優しく撫でる。その頬には一筋の涙がつたっていた

 

「忘れていたようだな……どうやら俺は、シロコの兄貴分だったようだな……」

 

「どうしたのハジメくん!?」

 

「……狂っちゃいましたね、鹿紫雲……」

 

「……そういうのに憧れてたんですかね〜?」

 

 小鳥遊と十六夜の困惑した視線が鹿紫雲に突き刺さるが、そんな事を気にせず鹿紫雲はシロコを両腕の中に収め頭を撫でている。どっちかというと親子だなこれ

 

「ちょっとハジメくん!?急にどうしたのさ!?」

 

「どうしましたか?梔子の姉御」

 

「ん、兄貴も姉御と認めてくれた」

 

「ちょっと!?」

 

 存在しない記憶を得た鹿紫雲までシロコと同様に、ユメを姉御呼ばわりするようになってしまった。そんな意味不な光景を十六夜は微笑ましい目で、小鳥遊は眉間を手で押え呆れた目で見ていた

 

「それで我が妹シロコよ。何かしたいことはあるか?」

 

「ん、銀行強盗」

 

「そうか……妹の要求に応えるのも兄貴の務め…っ!」

 

「絶対やめて!!??」

 

 生徒会室がわちゃわちゃ大騒ぎ(主に鹿紫雲とシロコ)してる中、外から爆発音と共に怒声が聞こえてくる。どうやら前に小鳥遊が話していた「カタカタヘルメット団」とやらの襲撃のようだ。さっきの雰囲気は吹き飛び小鳥遊、鹿紫雲、シロコの目には闘気が宿る

 

「…ハァ……ま〜た襲撃だよ…おじさんには辛いよ…」

 

「シロコとの時間を邪魔するとは……許せん!」

 

「兄貴の愛でてくれる時間を減らした罪は重い…根絶やしにしてくれる」

 

「ヒィン!…いつもより目が怖いよぉ〜。助けてノノミちゃ〜ん」

 

「私も手伝いますよ〜☆」

 

「…ヒィン」

 

 鹿紫雲、小鳥遊、シロコの順に生徒会室を飛び出していく。その後ろを着くように笑顔で出ていった十六夜。1人になった生徒会室に最年長とは思えないユメの小さな情けない鳴き声が響いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大金をはたいて買った戦車の中で、外にいる自分の仲間に聞こえるように声をあげる隊長が1人

 

「よし!奴らの資源はカツカツのはず!今度こそアビドス高校を乗っ取ってやるぞ!」

 

「「「「おー!!」」」」

 

 負けてばかりのヘルメット団だったが今回は一味違う。相手の資源はカツカツで、こちらは潤沢も潤沢。戦車に最新式の銃、圧倒的な人数。何かイレギュラーがない限りアビドス高校を乗っ取れると確信していた。が、今日はヘルメット団の凶日だった。

 

「隊長!アビドス高校から出てくる敵を確認……え?」

 

「…?どうした」

 

「……えぇと、アビドス高校から…ゲヘナの雷神が……出てきました」

 

「え?」

 

 そこにいるはずの無い人物の異名が上がり、困惑している隊長が自分の目で確かめようと校門を見た時、こちらに紫電を撒き散らしながら如意棒片手に突っ込んでくる鹿紫雲の姿が映る。その表情は怒りに満ちていた

 

「…なんで雷神がアビドスにいるんだよ!!!」

 

「どけ!俺はシロコの兄貴分だぞ!!」

 

 意味わからないことを叫びながら蹴飛ばされていく仲間。急いで戦車に弾を装填し鹿紫雲に向けて発射しようとしたが、動きが早すぎて標準が追いつかない。その間にも殲滅されていく仲間を見て危機感を覚えた隊長は、すぐさま後ろにいたシロコ達に標準を変える

 

「(せめて1人だけでも…っ!)」

 

 砲台がシロコの方に向いた時、それに気づいた鹿紫雲が全速力で突っ込んでいく

 

「俺は!」

 

 突っ込んでくるシロコに標準を合わせ終えた隊長はすぐさま弾の発射ボタンに手をのせる

 

「シロコの!!」

 

 だが、ここでさっきから聞こえてきた鹿紫雲の声に一瞬だけ耳を傾けてしまう。それが敗北の一手だと知らずに

 

 

「お兄ちゃんだ!!!」

 

 

 乗っていた戦車の横側に物凄い衝撃が走る。それと同時に隊長の視界は2転、3転と回っていき、中にまで衝撃が伝う。自身の視界が反転したのを確認した隊長は、負けを悟り…大人しく意識を暗闇へと落とした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おじさん達の出番無かったね」

 

「…そうですね☆」

 

 アビドス高校の前に広がる砂漠には、地面に倒れ伏している大量のヘルメット団、奥には蹴飛ばされた部分がめちゃくちゃ凹み虫のように裏がえっている戦車。そして──

 

「俺はやったぞ!!シロコ!!」

 

「ん!兄貴は凄い!」

 

──嬉々とした表情でシロコに自慢している鹿紫雲と、それを輝かしい目で見ているシロコ。戦闘時間は1分にもなっていないだろう。それ程圧倒的で、理不尽な戦いだった

 

「よし!シロコ!早く戻ろうか!!」

 

「ん!なら競走しよう!!はいスタート!」ダッ!

 

「なっ!?ズルいぞシロコ!」ダッ!

 

「…フフッ」

 

 後ろに砂を蹴飛ばしながら向かってくる鹿紫雲とシロコに小鳥遊は自然と笑みが浮かんでくる。この日ホシノは、砂色だけど楽しくて馬鹿らしい青春が続いて欲しいと願うようになった

 

*1
何故「現アビドス高校」かというと、砂嵐の影響で殆どの校舎が埋まり、最終的に残ったのがここだからだ




5600文字!!筆が進むぞ!!

掲示板とかって見たいですか?(掲示板は原作開始編からになります)

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