今の鹿紫雲は呪力+圧倒的な技術力で最強格と渡り合っていますが、興が乗り幻獣琥珀を発動したら呪力は外に出さず身体強化に振り、技術を捨てて殴り掛かるので実質的に弱体化です
それと鹿紫雲は自身の体に呪力を纏わせることで攻撃があまり通らないのですが、無防備な所に喰らったら普通に折れます
体育館の床がめくれる程の力で地面を蹴飛ばし前へと駆け出す鹿紫雲、だが美甘は1歩踏み出した地点で1度止まると両方の銃口を鹿紫雲へと向け乱射してくる。
自身に向かってくる鉛玉に気づいた鹿紫雲は再び地面を蹴り横に飛び出す事で避けるが、それを当然のように予想していた美甘は引き金に掛けていた指を緩め、鹿紫雲に向かっていき足に力を入れる
その蹴りは吸い込まれるかのように鹿紫雲の腹を蹴飛ばしたが、蹴った感覚はまるで岩。くの字になっただけで鹿紫雲の体は地面に倒れない
「いいんじゃない?」
「…っマジかよ」
地面に如意棒を突き刺し一瞬で体制を直し後ろに振り向くと美甘の足を脇下と肘を使いしっかりと掴むと同時に肘を頬に突き刺す。肘打ちをした手を戻し美甘の足首を掴むともう片方での拘束を解き、勢いのまま前へと投げた後に如意棒を投げつける
美甘は空中で体制を直すと壁にぶつかりそうになるが足の関節を使い、上手いこと衝撃を吸収させて飛んできた如意棒を銃の腹で弾く
「なんかビリッと来たな…これがお前が雷神って異名の理由か?」
「そこら辺の奴なら、筋肉が萎縮して動けなくなるはずなんだがな」
「アタシをそこら辺の奴らと一緒にしないでもらいたいな」
首を1度鳴らすと再び銃口を向けて乱射してくる美甘。今度は避けることはせず、遠くに飛ばされていた如意棒を電磁石の要領で手元に戻し、銃弾を弾きながら前へと走っていく
「っ!なんだそりゃ!?」
「電磁石だよ!知らねぇのか!?」
美甘の前まで来た時、如意棒を突き刺すように前へと出すがしゃがみ込んで回避し、腹に銃口を突きつけて来るが体を横に逸らす事で銃弾は後ろの壁へと穴を開けるだけになった
鹿紫雲の鋭い前蹴りが美甘の顔に当たりそうになるが銃で防ぐ。だが呪力で強化されている肉体から放たれた攻撃は銃だけでは衝撃は完全には防げず、後ろに飛ばされて止まった時に鼻から血が垂れてきた
「…久しぶりだなぁ、血を流したのは」
「完っ全に悪役が言うセリフだな」
「誰が悪役だゴラァ!?」
また顔を赤くし怒りの形相でそう叫ぶ美甘。その隙をつき一瞬で懐に潜ると腹に拳をねじ込む
「ガッ…!」
「ダメだろ、戦闘中に感情を露わにしちゃ」
そのまま美甘の頭を掴むと地面に押し付ける。その衝撃は地面はひび割れて瓦礫が浮くほどだったが、無防備になっていた肋に美甘の足が突き刺さり、小さく嫌な音が聞こえた
その痛みで手を離してしまうと美甘はアクロバティックに立ち上がり鹿紫雲に肉薄してくる。そんな小さな体のどこからそんな力が出ているのだと思っていた鹿紫雲、拳や足が顔、体に掠り血が滲む。その中でも美甘の猛攻にあった小さな隙をつき攻撃に転じようとすると、それを待っていたかのように美甘の猛攻がさらに激しくなった
「っ…そろそろ、だな」
後ろに飛び上がり美甘から距離を取ると、人差し指を前に向ける
「もう十分溜まったろ」
「!」
人差し指から放たれた電撃を美甘は捉えることが出来ず、腕に当たった瞬間紫色の微かな光が現れ、当たった部分の服が少し焦げた影響で見えた皮膚はほんのり赤くなっていた
「……ヤベェな、全然見えなかったぞ…」
「どうだ?雷神からの電撃は」
「結構痛てぇよ。硬さには自信あったのによ」
本来の鹿紫雲のあの雷撃は相手の防御力を無視する体内に対する攻撃だが、生徒相手には当たる瞬間に炸裂する、雷撃の威力を3分の1にするという縛りを組んでいたお陰で美甘は見た目ほどのダメージは喰らっていない。
もしこの縛りを組んでいなかったら鹿紫雲は簡単に生徒を殺していただろう、そこにおいては最初期の鹿紫雲の行動は正解であった
「…じゃあお返しだっ!」
さっきと同じように鹿紫雲に突っ込んでくる美甘。それを鹿紫雲は如意棒の横薙ぎで吹き飛ばそうとするが、美甘は横移動で鹿紫雲の前から消えて背後で拳を放とうとする
「(チャンス…!)」
そう思っていた美甘だったが、その考えは横から自身に向かってきている赤い棒によって消え去った
「なっ!?」
急いで腕で防御し、その衝撃に顔を顰めながらも鹿紫雲から離れる。見えたのは先程まで1つの棒であった物が、今は鎖に繋がれた三節棍になっていたのだ
「流石だな、エンジニア部製接合可能三節棍『游雲』。完璧だ」
──じゃじゃーん!接合可能三節棍の赤棒君だ!
──名前ダサッ!?…接合可能?
──あぁ、これは君の扱う電気を入れる事によって形が変わるのさ
──へぇ〜、どんぐらいの電気でいいんだ?
──もう本当に少しでいいよ、それだけでこれは三節棍になるのだよ。いやぁ〜良いものを作れた〜、満足満足
──ありがとうな、名前はこっちで考えとくわ
──な!?その子は赤棒君という立派な名前が!!おーい!!
脳内にさっきのウタハとのやり取りが浮かんでくるが、戦場にそんな考えは必要ないので頭を振り払拭する。三節棍の両端の棒を持ち、そのそれぞれの先を美甘に向けて構える。
だが、よく見ると美甘の体は微かに震えていた。普通じゃ気づけない程に小さな震えだったが相対していた鹿紫雲はそれに気づいた
「なんだ?怖くなってきたか?」
「違ぇよ、楽しくなってきたんだよ」
獰猛な笑みを先程よりも広げ鹿紫雲を睨みつける。両手にあった銃は既におさめられていた
ここで関係ない話をするが、鹿紫雲には相手に存在する神秘が見えるという特異な力がある。その生徒から溢れ出ている神秘が原作で描写された呪力のように鹿紫雲の眼は見えていた、そしてそれをどんな風に振っているのかも
詳しく言うなら、生徒達は無自覚に自身の神秘をゲームのステータスのように振っている。火力、防御力、体力、回復力…他にもあると思うが特筆すべきはこの4つ。
相対しているネルはこのうち火力、防御力に神秘の殆どを振っていた。相手にダメージを与える力とダメージを抑える力、それをほぼ均等に振っているネルはバランスタイプと言ったところか
今まであった中でトップ5を付けるなら、一位は間違いなくヒナである。ヒナは他と比べて神秘の量が圧倒的…それを他の生徒のようにステータスに振っているのだから厄介も厄介。モブ生徒の神秘が100だとしたら、ヒナは恐らく10万ぐらいは余裕である*1
「(ああいうバランスタイプは安定しているが…逆を言えば特筆するべき物はない、倒しやすいヤツ。」
「(速さで翻弄し、一撃で落とす…!)」
呪力で強化した脚力で、全力で体育館の周りを回り始める。あまりの速さに傍から見れば紫電が美甘の周りを回っているだけにしか見えないだろう
「(力は重さと速さ!!最高速度でぶちかます!!)」
そして、美甘が目で追えてないのを確認したら遠心力を利用して美甘を『游雲』でぶっ叩く。その後再び周りを回り始めるを繰り返していく。美甘はただ突っ立ったままその攻撃を受けていた
そんな中、遠くから明らかに自分達とは違うレベルの戦いを観戦していた角楯は冷や汗を一筋額に流しながら、自身の隣にいる先輩へと質問をかける
「…一之瀬先輩…美甘先輩は、勝てるのでしょうか…」
「うーん、そうだねー」
重苦しい雰囲気で質問した角楯とは対称的に、一之瀬は親友とも言える美甘が蹂躙されているのにも関わらずその笑みを崩さずに顎に手を当て考える動作をした後に発した
「私の直感だけどさ、勝つよ」
「ちょ…直感…」
直感という何とも信用ならない言葉、目の前の極限の戦闘においてそんな言葉はタダの戯言だが、それが一之瀬以外が言ったならタダの戯言だっただろう
「ネルちゃんのあの目ね、全然諦めてない目だよ」
──────
───
─
鹿紫雲は違和感を覚えていた
「(……攻撃が…浅い?)」
さっきから游雲で殴るように叩いているのにも関わらず、仁王立ちのまま地面に倒れない美甘を
彼女の纏う神秘が、少しだけだが凪いでいることを
「…!」ガシッ
「!?(掴まれた!!)」
「掴んだ!?」
「ほら、言ったでしょ?まだ諦めてないって」
今まで打たれてばかりだった美甘に游雲を掴まれ、引き寄せられて拳が腹に入りそうになるが、游雲を手放し後ろに下がることで回避する。鹿紫雲という供給源から電気を失った游雲はその姿を1つの棒へと戻った
「(今…アイツの目に神秘が集まり、掴んだ瞬間には手に集まった)」
「…んだこれ、なんかいい気分だな」
「(あれは…無意識の神秘の操作…!)成ったか…!美甘!!」
無意識に最適な場所に神秘を集中させる、キヴォトス生徒の無自覚の覚醒
「約束された勝利の象徴」という異名が、美甘には呪いではなく力の源になっていた
「あー…今なら何でもできそうな気がするわ」
「…游雲は折らないでくれよ?新品なんだから」
その言葉を聞いた美甘は少し考えたが素直にそこら辺に游雲を投げ捨てた。ありがと、と小さく感謝の言葉を言うとコチラも呪力を全身に纏わせ、深い笑みを浮かべる
「いいねぇ…面白くなってきたよ…」
「…」
「お前の覚醒を祝って、俺も全身全霊で相手してやるよ」
纏っていた呪力が体に染み込み、あらゆる事象を実現するために肉体を作り変えた
【術式解放:幻獣琥珀】
「…なんだよそれ、最高にカッコイイじゃねぇか!」
「カッコイイなんて言われたのは初めてだな、ありがとよ!」
幻獣琥珀により姿を変えた鹿紫雲を見た瞬間、笑みが広がり美甘の神秘が溢れ出す
負け際で覚醒した最強の本気
制限時間4分11秒の最強の本気
勝者を決める最終ラウンドが今、始まった
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