ボロボロの体育館内にて、雷獣と勝利の象徴が睨み合う。周りの惨劇とは違い、2人の顔には楽しみと喜びを表す笑みが広がっていた
先に動き出したのは美甘。最大限無駄を削ぎ落とした最小限の動きで鹿紫雲へと肉薄を始める。その攻撃は知るか知らずか、的確に金的、目、喉を除く人体の弱点へと伸びていた
しかしそこは鹿紫雲ハジメ、幻獣琥珀により強化された動体視力と俊敏性でそれを弾く、弾く。そして攻撃の合間を縫うように拳を繰り出していく
「(やはり攻撃が当たる直前に神秘がそこに集まっている。しかも攻撃に使っている神秘を残し、体がダメージを負わないギリギリの量で…!)いいねぇ…いいねぇ…!」
鹿紫雲の攻撃は美甘へと届いていた。だが届いた拳は的確に移動された神秘によりダメージは薄くなっていた。そこで、鹿紫雲は戦い方を変える
鹿紫雲は弾いていた美甘の攻撃を弾かず、相手と同じように拳に呪力を残したまま体に当たる直前にダメージを負わないギリギリの呪力量で強化することを選択。これにより、両者は最大限の攻撃と最大限の防御を両立する戦いの天才へと成った
「最っ高だよ美甘ネルゥ!!お前と出会えて良かったぞ!!」
「それはアタシもだ鹿紫雲ハジメェ!!アンタのお陰でアタシはまた一歩強くなれた!!」
賞賛の言葉を叫びながら殴り続けるのを止めない、狂気とも言える戦場。頬を殴られようとその顔が動くことは無く、体が殴られようとその体がくの字になることは無い。技術と脳筋を兼ね備えた泥仕合
そして、この戦場に動きが出る
鹿紫雲の蹴りが美甘へと刺さり、その小さな体は神秘で防御していたが衝撃に耐えれず3m程後ろに動いた
すぐさま戻ろうとする美甘だったが、前を向くと胸が膨らむほど大きく息を吸っている鹿紫雲が視界の真ん中に映る
『あ』
作り変えられた口から放たれるは物質の固有振動数に最適化、同調する不可視の音波、美甘はその悪寒を感じ取り咄嗟に腕を交差させ防御をしたお陰でダメージは少ない。だがその影響で地面の瓦礫は砕け散り、煙が立っていた
「デケェ声だ……な!」
足元に神秘を集中、爆発させる事で圧倒的な速度を生み出しその勢いのまま腹に拳を決める。余りの速度に呪力操作が間に合わず少ししか強化できなかった鹿紫雲はモロに喰らい、血を吐くが笑みを崩さず頭を掴み膝蹴りをかます
『あ』
そして頭を掴んだまま至近距離で音波を当てる。美甘はそれに顔を顰めるも直ぐに鹿紫雲の腹を蹴り無理やり離し、後ろへと飛び退く
「……あー、耳逝ったか?」
「ゲホッ…ブラジルの人聞こえますかー?」
「聞こえるー。よし、無事だな」
「それは良かった。よし戦るぞ」
血の混ざった唾を吐き、口の端を伝う血を拭き取り美甘に手のひらを向けると再び音波を飛ばす。
美甘はそれを予め警戒していたお陰で難なく避けると再び鹿紫雲に肉薄する
「それ避けんのかよ…っ流石だな!」
「直線的だから意外と余裕だったぜ!」
肘、拳、膝、足…お互い人体の武器となる物全てを活用し肉弾戦を続ける。ぶつかり合う戦いの衝撃で既にボロボロだった体育館は更に壊れ、壁にはヒビまで入っていた
幻獣琥珀の制限時間…2分38秒
戦場の外側に『ヌッ』という変な効果音と共に騒ぎを聞きつけたとある生徒が現れる
「ちょ…ちょっと!?何よこの状況!?」
早瀬ユウカ。みんな大好き100kg太ももネキでミレニアムサイエンススクール、セミナー所属の1年生。最近C&Cのやらかしの後始末で胃に穴が空きそうだとか…
「やめなさいよそこの2人!!もう体育館がめちゃくちゃじゃない!!」
「あ、ユウカちゃん!やっほ〜」
めちゃくちゃ所じゃ言い表せない程の惨劇となっている体育館に言葉を失いそうになるが、セミナー所属としての意地がそれを跳ね除け声を出す。そこに呑気に観戦していた一ノ瀬が声をかけた
「やっほ〜、じゃないですよ先輩!早く美甘先輩と……あれは、誰?…とにかく早く止めてください!!これ以上体育館を壊されたら─」
そんな声とは裏腹に美甘が回避した鹿紫雲の音波が奥の体育館の壁へと当たり、大きな音を立てて瓦礫が崩れ落ちる
「そんなぁ!?」
「いいよ〜!頑張れ〜2人共〜!」
目の前で壊れていく体育館をまるで見えてないかのように気にせず、戦闘の応援を続ける一ノ瀬にイラつくが、すぐさま気持ちを落ち着かせ再び戦闘を止めるために声を荒らげる
「ちょっと!!早くやめなさいよ!!」
「「うるせぇ邪魔だ!!!黙ってろ!!!」」
「ひっ!?」
これ以上被害を広げさせないために荒らげた声の返しは、2人同時の出した声による暴言であった。そして鹿紫雲から発せられた微かな音波が彼女を襲い尻もちを着いてしまう
「……んもぉ!!これが終わったら許さないんだから!!」
「ご、ごめんなさい早瀬さん…ウチのリーダーが……!」
「体育館の損害は、私達で何とかしますので…どうかお慈悲を……!」
服に着いたホコリも払わずに立ち上がり、そう豪語した早瀬に角館と室笠は一応同い年にも関わらずなんとか気をなだめようと努力をしていた
幻獣琥珀の制限時間…1分09秒
「邪魔がっ!入っ!たなっ!」
「別にっ!関係っ!ねぇけどなっ!!」
殴り合う。ただひたすらに殴り合う
だが、こうして喋っている鹿紫雲は表に出してないだけで内心焦っていた。
「(幻獣琥珀の制限時間が1分を切った…!)」
今は全身を変形させている状態。そんな状態で術式の制限時間が来てしまえば体は崩壊し、骨も残らないだろう。
「(まだ練習中だが…あれを決めるしか勝算はない…!)」
殴り合いを止め5歩後ろに下がると同時に、美甘に指を向けた。それは雷撃を放つためでもない、未だ試作段階の借り技
「龍鱗」
「……!」
今まで両手に集めていた呪力を右手に移し、指先へと移動させ指向性を持たせる
「反発」
それを薄く、薄く、引き伸ばす。目の前にある障害を横に切り裂くように
だが美甘は動く素振りを見せず、笑みを深めた
「番いの流星」
その技は平安…否、1000年最強に君臨してきた王の持つ技。万物を切り裂き、世界までも切り裂く。その技は──
「死ぬなよ?美甘」
「…舐めんなよ」
「解」
────────
─────
──
放たれた斬撃は体育館の壁を横一文字に切り裂き、そこからは陽の光が差し込み中は目の前が見えなくなるほどに塵が舞っている。壁の傷には微かに紫電の残骸が付いていた
「ケホッ……これ…どうなったの?」
…観戦者の目の前を覆う塵が晴れる。戦場の地に立っていたのは──
「……ハハッ…嘘だろ?」
幻獣琥珀を解いた雷神
「……いっつぅ〜…」
腕に切り傷を付けた勝利の象徴
「なんで無事なんだよ、キヴォトスおかしいなぁ…」
「これが無事に見えるか…?腕めちゃくちゃ痛てぇよ……」
そう言葉を交わすと、どちらも同時に地面に背中から倒れる。だがお互いに満面の笑みを浮かべ満足している様子だった
「…呪力すっからかん……術式も使えねぇ…」
「腕上がらねぇし…これ以上立てそうにないな……」
「「この勝負、お前の勝ちでいいぞ」」
「…ん?」
「…あ?」
同時に同じ言葉を発する2人。なんとか上体だけを起こすと視線を交わすが、その目は「何言ってんだこいつ…」と語りかけているようだった
「…俺はもう呪力使えねぇし、術式も使えないから戦闘は続けれねぇ、お前の勝ちだろ?」
「あ?それならアタシだって腕上がりそうにないし、満身創痍なんだからお前の勝ちだろ」
「「あ゛?」」
両者勝利を譲る言葉を発すると、またしても語気に怒りが混ざっていく
「…なぁ、アタシはお前の強さを認めてるからこうして譲ってやってんだよ」
「それなら俺だってそうだよ。なんなら、俺の奥義みたいなの耐えたお前の方が勝者っぽいだろ」
「「……」」
「よっしゃ表出ろやハジメェ!!」
「本当の最終ラウンドと行こうかネルゥ!!」
さっきまで立てそうになかった両者だが気合と根性で再び立ち上がり、ましてや続きをしようとしていた。そんな中戦闘狂共の頭に怒りの鉄槌が落とされる
「やめなー…さいっ!!」
「グェッ」
「い゛っ」
頭を抑え蹲り、涙目で殴ってきた早瀬を見る鹿紫雲。見覚えの無い子だったので自分がどうして殴られたのか理解していなかったが、隣にいた美甘はどんどんと顔が青くなっていった
「……よくもまあこんなに体育館をボロボロにして…」
その言葉を聞いた鹿紫雲は、今まで戦ってた影響でボロボロどころかぐちゃぐちゃになっている体育館を見渡すと、体から熱が逃げ美甘と同じように顔が青くなっていく
「……その…ユウカ、すまん」
「…すんません……」
「……」
「すまんで済んだらヴァルキューレは要らないのよぉ!!!」
「ヒェッ」
「罰としてC&Cの子達は反省文と暫く学園内の清掃!!」
「え!?」
「ど、どうして私たちまで……」
「ネル先輩を止めなかった罰よ!!そして貴方!!」
そうしてビシッと効果音が付きそうな速度で鹿紫雲に指を指す早瀬
「…あ、鹿紫雲ハジメです」
「あ、これはご丁寧にどうも、私はセミナー所属の早瀬……じゃなくて!」
「貴方はC&Cと協力して体育館の瓦礫の撤去及び清掃!!」
「えぇ〜?俺別学園なのに?」
「関係無いです!!さぁ!早く動いた動いた!!」
「ソンナァ…(´・ω・`)」
まあその後は腕に怪我を負って病院に行ったネルを除くC&Cの子達と体育館の瓦礫を撤去していったお陰であまり時間はかからなかった。そして皆とモモトークを交換して無事にゲヘナに帰っていった
「…あ、游雲」
……体育館に置いたままの新しい自身の武器を忘れて
あ、俺のブルアカの推しはネルです。なんでこうやってちょこーっと強化してあげました
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