あれからモモイとミドリに連れられて、ミレニアムの校舎からかなり離れたところにある廃墟の中へと侵入している。瓦礫に身を隠してジリジリと前に進んで行っているが、周りからは徘徊しているロボット兵の話す?声がいくつも聞こえる
『……■■■ ■■■■……』
『……■■■』
『■■■■ ■■』
「……ひゅう、もう行ったかな?よし、じゃあ行こう!」
「よしじゃない!いったいここは何!?あんな得体もしれないロボットが、数え切れないぐらい歩き回ってるし!」
「何って……さっきから言ってるけど、廃墟だよ?」
「いやぁ……出入り禁止区域っていうから、ある程度の危険は予測してたけど…ヒヤヒヤするねぇ……」
「意外だな、お前のことだから何も考えずにここに来てると思ってたんだけど」
「酷っ!私の事をなんだと思ってるのさ!?」
「ギャンブル大会を始めたりレトロゲームを探すために他部活を襲撃したバカの一員」
「ぐうの音も出ないや……ぐぅ」
“出すんだ……”
「……それよりも、あんなのが幾つも徘徊している廃墟って一体何なの?」
「うーん、私もヴェリタスからちょっと聞いただけだから、分からない事だらけだけど……本来、ここの出入りは厳しく制限されてた、ってとこまでは先生にも言ったよね?」
“確かにそこまでは聞いたけど……ちょっと、思ったより廃墟のインパクトが強くて殆ど忘れたかも…”
「あらら、先生のステータスが混乱状態だから、もう1回説明しよっか──」
かなり大きめの瓦礫の影に隠れながら、隣で先生に対して再び廃墟の説明を始めたモモイの話を右から左に聞き流して自分は考えに浸る
「(廃墟って、確かリオが言ってた謎の機械があるんだったよな?かなりメタ的に考えればどうせ先生達が見つけるだろうし……うーん)」
「(危険を承知で先生に伝えるか?でも、そうしたらバレたその機械が暴走して先生や他の生徒に危害を加える可能性が大……やっぱ秘密裏に壊すのが正解か)」
「(……いやぁ、本当に人の形をしてたらどうしよ。生徒みたいにヘイローとかあったりしたら抵抗されて無傷じゃ済まないだろうし、それで時間をかけたら周りにバレて前科者確定演出……)」
「(どうせなら苦しませず一発でやるのがベストだろうが……俺とて流石に人型相手だとやりずらいんだよなぁ……ここで人の心が邪魔してくる…)」
「(俺が双子だったらもう片方が人の心も持って行ってくれただろうけどなぁ……かなりクズい考えしてんなおれ)」
脳内で禪院家の出来損ないの片割れを思い浮かべながら、そんな最悪な考えが脳裏を過ぎる。そういやそもそも双子どころか兄弟いねぇな
「(一緒にいるモモミドは双子だし、そういう展開も……って、流石にこれは人の心が無さすぎるな、やらないよね?……やらない、よね…?あー不安とイライラが募ってきた)」
「───。って、鹿紫雲先輩聞いてる!?いま結構大事な話してたんだけど!」
「……?あー、悪い。考え事してて聞いてなかった」
「えぇ〜?もう、しっかりしてよね?……全く」
「考え事って彼女?」
「お姉ちゃん……?」
「……はぁ?」
廃墟の中で周りには謎のロボットがいるとかいう今の状況に似合わない質問にため息混じりの困惑の声が出る
「いやだってそうじゃん、キヴォトス唯一の男子がこんな状況でもじーっくり考え事なんて、どうせ愛しの彼女ぐらいじゃん」
「んな訳ねぇだろ、てか彼女いねぇよボケ」
「またまた〜、そうやって嘘つかなくてもいいよ〜?ここには私たち以外誰もいないんだから〜」
“……私かいるけど、聞いて大丈夫なのかな…?”
「まあ先生はそう簡単には話さないだろうからオッケー。それでそれで、彼女ってゲヘナ学園の人?それとも別のとこの生徒なの?」
「だからいねぇよ」
「またまたぁ〜、お願いだから話してよ〜。恋愛ゲームのネタにしたいからさ〜」
「お、お姉ちゃん…その辺に……」
ニヤニヤしながら肘で脇腹をチョンチョンと突いてくるモモイを無視しながら機械のことについて考えようとするが、突きながら色々質問してくるので集中できない
どんなところが好きになったかだったりいつもはどんなことをしているのかだったりラジバンダリ……名前が言えないならヒントだけでもって言って見た目はどうとかも聞いてくる…鬱陶しいな
「(そもそも壊したとてリオへの報告はどうするか……いや、そういや危険ならって言ってたから無理して壊す必要は……チョンチョンすんな邪魔だなホント)」
「(すぐに壊すんじゃなく少しでもデータは取った方がいいのかな。ミレニアムの生徒としても、未知の機械はデータを取るのが鉄則みたいなもんだし……ミレニアムプライスもあるから一週間、ぐらいかなぁ?)」
「ねぇねぇ〜、無視は酷くな〜い?そこんところどうなの──」
「……っうるせぇな!こっちだって色々考えてたんだよ!」
「お前、俺が彼女いねぇつってんのに執拗に聞いてきやがってよ!!おかげでまともに考えれなくて邪魔すぎるんだわ!」
「つーかそんな声出したら周りのロボット共が来るだろ!そこんとこもっと考えとけよ単細胞!」
我慢の限界を迎え、堪忍袋の緒が切れた俺は額に青筋を浮かべながらモモイのおでこを人差し指で突いて言った
「……って──」
「はぁ〜?!誰が単細胞だって!?そもそも、鹿紫雲先輩の方が私よりよっぽどうるさいんだけど!!人の事言えないじゃん!!」
「先にうるさくしてんのはお前だろ!悪いのはお前だわボケナス!」
「適任変換しないでよ!私の話をちゃんと聞いてなかった先輩が悪いでしょ!!」
「それを言うなら責任転嫁だわバカタレ!!そういうとこが単細胞なんだよ!!」
“ふ、2人とも……喧嘩はやめて、静かに……”
「「シャラップ先生!!」」
“ひぃん……!”
「ひぇっ…!お、お姉ちゃん達……う、後ろ…」
「「あ?」」
『……』
「「あ」」
ミドリが震えながら指を指していた方向を見ると、瓦礫の上から俺たちを覗き込むように廃墟を彷徨いていたロボットが見ていた
『■■■ ■■■■!』*1
『■■■ ■■■■■■!!』*2
『■■■■■■■ ■■■!』*3
「アラヤだ、Sayonara〜」
1番前にいたロボットの頭を游雲で飛ばすと、腰のホルダーから神武解を取り出し奥からこちら側に向かって来ている奴らに対して電撃を放つ
「……あーかなり数多そう、先生どうする?」
“仕方ない……モモイ、ミドリ、ハジメ!迎え撃つよ!”
・
・
・
・
「まーじでキリねぇなぁ……っと!」
神武解が限界を迎えるほど酷使して游雲に持ち替えているのにも関わらずこちら側に向かってくるロボットは後を絶たない。それどころか最初の時よりも増えてる気がする
モモミドは先生の指揮の下、双子特有のコンビネーションで次々と壊していってるがそろそろ弾が切れても不思議では無い。時折アイツらに援護はしているがこのままではジリ貧だろう
「鹿紫雲先輩強くない……?」
「先生の指揮が無いのに、時々私たちの援護もしてくれているし……」
「そうそれ!見てすらいないのにこっち側のロボットも壊してるんだよ!?」
「もうあんなのチートでも使ってるんじゃないのって思っちゃうよ!」
「はいお前らよそ見厳禁、こっちに反応する暇あるなら目の前の敵に集中しろ」
游雲をぶん投げてロボットを破壊、磁力によって引き戻す時の勢いを乗せて近くのロボットの胴体へと振るう
“……!みんな!あっちに工場みたいなのが見えるよ!”
「こ、工場!?」
「あ!先生ナイス!急いであれに逃げ込もう!」
「先生、後ろは俺に任せろ。逃げれたなら教えてくれ、すぐ行くから」
“っ、流石の君でもこの量は……!”
「俺を信じろ、新しい技も試したいところだしな」
“…分かった、頼んだよ!”
工場へ向かう先生とロボットの射線内に入り、地面にしゃがみ込むと游雲を腰に移動させ半身を引き、居合の構えをとる。その時、地面に半径3メートル弱の淡い紫色の円が現れた
【シン・陰流簡易領域 居合「夕月」】
──今日は特別に、シン・陰流の簡易領域を教えようと思うよ!さあテンション上げてこー!
──……それ教えるためにわざわざアビドス砂漠まで来たのか?そもそもなんで知ってるんだよ、シン陰の流派じゃねぇだろお前
──それは1000年の年の功ってやつさ。ほら、懇切丁寧に教えてあげるからさっそくやるよ。まずは呪力を──
「(……マジであいつどうなってんだよ)」
シン・陰流簡易領域、本来領域による必中効果を中和・相殺するための防御的な技術。それにフルオートでの反撃を追加した、元は日下部の編み出した技。見様見真似でやってみたが案外できるもんだな
付けた条件はシンプルに「簡易領域内に入ってきたもののフルオート反撃」、前方から放たれる大量のロボットの銃弾を弾くには丁度いい
術式を使うよりも呪力消費は少なく、無理して移動する必要もあまり無いから今後も愛用することになりそうだ。なんなら条件を変えれば風紀委員会での不良鎮圧にも使えそうだ
少しだけ不満があるとするなら銃弾を弾く時に鳴る甲高い音が耳障りなだけ、これは游雲でのフルオートの反撃じゃなくて呪力での反撃に切り替えたら良さそうだなこりゃ
“ハジメ!”
「オッケー!」
先生の声を合図にフルオート簡易領域を展開したまま、先生たちが向かった工場へと走っていく
・
・
・
・
「あれ……急にあのロボットたち追ってこなくなった……?この工場に入るまでは、恐ろしい勢いで向かってきてたのに……。何でか分からないけどとにかくラッキー、でいいのかな?」
「良くないよ!うわあああん!もういや!一体何でこんな所でロボットたちに追われなきゃいけないの!?」
「落ち着いてミドリ。生きてればきっといい日も来るよ」
「今日の話をしてるの!そもそも鹿紫雲先輩とお姉ちゃんのせいでしょ!!」
「う゛っ……」
「まあ……たしかに、そうだな」
「いやいや!鹿紫雲先輩が急に声を出したから──」
“モモイ、ハジメが嫌がってたのに声をかけ続けてたのは君でしょ”
「うぐっ……そう、だけど……」
「……うん、これは私が悪かったね…」
“よし。なら言わなきゃいけない事があるでしょ?”
先生にそう言われたモモイは申し訳なさそうに目を伏せながら俺の方を見る。さっき怒鳴りあったばかりだからか、気まずそうにスカートの裾を皺ができるほど握っていた
「えっと……その、ごめんなさい鹿紫雲先輩。しつこく何回も聞いちゃって…」
「……いや、俺も急に怒鳴ったりしちまったからな。つか、名字じゃなくてハジメ呼びでもいいぞ」
「……!うん、よろしくね!ハジメさん!」
モモイに笑顔が戻ったその時
『接近を確認』
「っ!」
「えっ、な、なに?」
「この声、いったいどこから……」
『対象の身元を確認します。才羽モモイ、資格がありません』
「え、え!?何で私の事を知ってるの!?」
『対象の身元を確認します。才羽ミドリ、資格がありません』
「私の事も……一体どういう……?」
『対象の身元を確認します。鹿紫雲…か■ 確認。対たた象の身身み元もも──』
俺の番になった時、急に聞こえてくる音がおかしくなり雑音混じりに聞こえてくる
「えっ!?壊れた!?ハジメさん何やったのさ!』
「知らん、何それ怖……」
“多分、雷使うからそれが機械?に影響したんじゃ……”
「「「あ〜」」」
『……対象の身元を確認します。鹿紫雲ハジメ及び鹿紫雲一、資格がありません』
「あれ?何で2回も……?」
「名前を間違えていませんでしたし……何の意味が……」
『対象の身元を確認します……──先生』
『……資格を確認しました。入室権限を付与します』
「ええっ!?」
「え、どういうこと!?先生はいつこの建物と仲良しになったの!?」
“いやっ知らない知らない、初めて来たし”
「当の先生も戸惑ってるみたいだけど……」
『才羽モモイ、才羽ミドリ、鹿紫雲ハジメを先生の「生徒」として認定、同行者である「生徒」にも資格を与えます。承認しました』
『
「……下部の扉?この目の前の扉じゃなくて?」
「それよりも、下部ってもしかして……」
「流石に違うでしょ。どこからどう見てもただの床じゃ──」
ガチャン、という音ともに床一面が開かれる。モモイ、ミドリ、先生は声を上げながら下の暗闇へと真っ逆さまに落ちていった
俺は瞬時に自分の下の空気を拡張術式で実体化させ、そこに乗っていたから落ちていない
「……やっべ、自分だけ助かっちった。どうしよ……」
「流石に先生のこともあるし行かなきゃ……あ、閉まった」
実体化させた空気を解こうとしようと思った瞬間に、無情にも床が閉まった
「(……これ大丈夫なんだよな?多分目の前の扉から先生たちが帰ってくるだろうが…うーん)」
「(もし下に敵がいたとしてもアイツらがいるからなんとか……あ、弾切れ考えてなかった。やばくね?俺、戦犯かこれ?)」
「おーい、返事できるー?」
「下の扉ってまた開けるー?行きたいんだけどー」
『……』
「……ダメだこりゃ、待つしかないな」
「暇だし返事するまで声のヤツにずっと話しかけるか。おーい、なんであの時俺の事を2回言ったのー?」
そこから十分ほど話しかけていたが、先生が帰ってくるまで返事をすることは無かった
覚悟を決めたカシモドキがアリス殺して出頭して前科者、そのままなんやかんやあってキヴォトス崩壊ルート突入→なんやかんやあってカシモドキ以外のゲヘナ生徒が死んで絶望→色彩さん「ハロー」ってのを思いついてしまった
もしカシモドキ以外のゲヘナ生徒死んだら、死ぬ生徒の中にもちろんヒナも含まれてるから展開的にカシモドキが「私には苦痛しかありません」ってなるね。哀れに思った色彩さんがカシモドキの惨めな顔を隠すために黒い仮面を渡してくれるさ、ハハ☆
早いけどパヴァーヌ二章どうする?
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最初っから参加
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途中参加
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参加すな、エデン条約に集中しとけ