ヴォエッ
ヒナ
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カジモドキ
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「委員長……鹿紫雲先輩……」
「お疲れ様イオリ、よく頑張ったな。後は俺らに任せて、下がって休んどけ。あ、あとアコは通信切っとけ。集中してやりたい」
『はあ!?そんな勝手なことがまかり通るとでも──
「アコ、切って」
『はぁい委員長♡』ブツッ
肩で息をしながら後ろに下がっていくイオリを背に、肩を伸ばして目の前のゲ開部の面々を見据える
正直、ゲ開部の個々の戦闘能力はネームドの中でも中の中くらい(アリス除く)、ユズに関しては失礼だが下の中か下くらいだと思ってる
モモイとミドリは同時に相手にすると、特有のコンビネーションを発揮して何故か戦闘能力が上がる……ように感じる。それが本当かは分からないが
だがそれでも相手には先生、そしてアリスがいる
先生の異次元レベルの指揮は鷹の目の如く視界の広さと判断能力の早さ、未来予知でもしてるかのような的確な指示。シッテムの箱があるからだろうがそれでも厄介には変わりない
さらに前衛のアリスは圧倒的な防御力と攻撃力を誇る正に勇者。高い学習能力と適応能力は、時間をかければかけるほどアリスの方が有利になっていくタイプ
一撃で沈めようにも本人のスペックが高すぎてほほ不可能に等しい。そしてなんと言っても可愛い
ユズもユズで下の中くらいとは言ったが、グレネードランチャーがかなり厄介だ。範囲も広い、ダメージも多分高い。モモイ、ミドリ、アリスを警戒しながら広範囲爆破にも気をつける、なんともバランスの取れたチームだ
ここまで相手の事を把握しているから十分作戦は立てれる。けどめんどくせえな、考えるだけ無駄だ
「それでハジメ、随分と考え事してたみたいだけど作戦は思いついたの?」
「んなもん考えてねェよ。正面からぶっ飛ばす一択だ」
「相変わらず脳筋ね、それが一番手っ取り早いから良いけど」
「そうこなくちゃな」
額に上げたサングラスを適当な所に投げ捨てて、身体に呪力を滾らせる。エンジニア部に点検を頼んだ得物は未だ返って来ず、素手で戦うことになったままだ
“とりあえず、難しいと思うけどさっきの通りアリスは前でヒナとハジメの足止めをお願い。モモイ、ミドリ、ユズはその援護を”
「はい!アリスに任せてください!」
意気揚々と前に出てきたアリス。それを見たヒナは、何かを思いついたかのように前に出てからコホンと一つ咳をしてアリスを見据えた
「……フフフ。よくここまで来たわね、勇者アリス一行」
「「「!?」」」
「私は魔王ヒナ。ここまで数多くの私の部下を倒してきたみたいだけど、私たちはそう甘くない」
「彼女らに関しては前座も前座、貴方たちの実力を測るための駒に過ぎないわ」
「さあ、覚悟してちょうだい」
「……!やはり、貴女は魔王だったのですね!しかもお兄様を魔王ではないと認識させる為に洗脳までして、自分の支配下に置くなんて……!許せません!」
「覚悟してください!絶対にアリスたちが討伐し、お兄様を助け出してみせます!」
「……ねぇ、意外とヒナ先輩ってノリ良くない?」
「う、うん……ちょっと意外……」
アリスとヒナのやり取りを聞いて、口を抑えて軽く笑いながらヒナの隣に立つ
「……一応聞いとくがさっきの発言は、本当にそんな事を思って?」
「無いに決まってるでしょ」
「だろうな」
「さあ!行きますよ皆!絶対にお兄様を救い出しましょう!」
「「“おー!”」」
・
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真正面から走り出してアリスを避けるように回り、後ろのゲ開部に游雲を振るおうとするが、それよりも前にアリスが前に滑り込むように出てきて光の剣を盾のように構えた
アリスに游雲が当たる直前に止めたせいで、その隙をついたモモイとミドリが容赦なく乱射してくる。俺に向かって飛んでくる銃弾を避けたり、時々游雲で弾きながら下がっていく
「……今、アリスに攻撃が当たる前に止まりました。つまりお兄様はまだ意識が……!」
「いや、ハジメさんは洗脳とかされてないからね」
“……けどこれで、ハジメの対処法は分かったね。後はヒナだけど……”
「チッ……ウチの妹を前に出しやがって、攻撃できねぇだろうが」
「……そのシスコンをどうにかできないの?」
「残念ながら無理ですね」
「はぁ……ハジメ、アリスは私が担当するわ」
「おう、サンキュ」
ヒナがアリスに向かって銃を向けたのを確認すると、大きく背を反らせて游雲を投げる。飛んでいく游雲に電荷を付与、磁石のように自身の体を引き寄せて高速で移動し、ゲ開部の所まで飛んで行くと思いっきり横に蹴る
“……っモモイ!”
「ひゃっ!?」
「……っ!」
「ひゃうっ」
「お、ナイス判断」
直前に地面を転がって避けられたが構わずそのままモモイに向けて空中でかかと落としをする。その直前で先生が大声で注意したせいで、振り下ろされた足は地面に突き刺さる
そのまま離れていくゲ開部を見据えながら隆起した体育館の床の一部を剥ぎ取って呪力を流し込み。手から落ちてくる板を地面に落ち切る前に蹴り飛ばす
小さくバラバラになった床は空中で形を変え、先の丸まった紫色の銃弾としてゲ開部を襲った
「よ、容赦な……痛たッ!?普通に痛い!?」
「先生、大丈夫ですか!」
“こっちは大丈夫!けどまた来るよ!アリス!”
「はい!」
今度は床の一部をそのまま呪力を込めて投げようとしたが、投げる直前その射線上にアリスが入ってきたのを見てすぐさま下にぶん投げる
下から飛んできた破片を手で弾きながら前に視線を戻すと、目の前に光の剣を後ろに下げ、フルスイングをするアリスの姿が見えた
「ごめんなさいお兄様!!」
「っ!?」
游雲で防いで直撃を免れようと構えて当たる直前、ヒナが間に滑り込み銃身で光の剣を防いだ
「……ハジメはやらせないわ。貴女の相手は私よ」
「っ、魔王ヒナ……まさか、アリスの攻撃を受け止めるとは……っ!」
「アリスちゃん!」
アリスを弾き飛ばしたヒナと共に走っていき、さっきの通りアリスをヒナが、他メンバーを俺が担当するように動く
「光よっ!」
「……なるほど、凄まじい出力ね。けどそれを放つには少しのラグがあるわね、そして貴女の近くに標的がいたら撃てないでしょ。強すぎるかあまり自分にまで被害がいくもの」
「っ……!」
「対処法が分かったとしても私に近接戦闘の心得はないわ。それはハジメが適任、だけどその程度の早さはもう見慣れているわ」
少し離れたヒナに向けて放たれた光線が当たる前に、ヒナは翼を広げて横に飛んで避ける。そして空を飛んだままアリスに向かっていき、一方的に上から撃ち続ける
「……それに、その異常なまでに硬い肉体と、その武器の発射に耐える体幹。そして見て分かるぐらいに重たいそれを振るえる贅力……ハジメの妹と納得できるわね」
常に空を動いているお陰でアリスの標準は定まらず、撃ったとしてもそこには既にヒナの姿はなく屋根を貫いただけだった
「……標準がっ……くっ!」
「アリスちゃん!」
「戦闘中のよそ見は厳禁って前に言ったろ」
アリスの方に視線が移ったミドリを手加減した游雲で穿ち飛ばす。死角から飛んできたユズのグレネードランチャーの弾をノールックで、集まっていたモモイ達の所に弾いた
その後ユズに一瞬で近づいて腕を軽く掴み、勢いを付けてモモイ達の方に投げ飛ばす
「きゃっ!」
「ユズ!……っ、ハジメさん!女の子を投げ飛ばすって男としてさいてーだよ!」
“そーだそーだ!”
「戦いに最低もクソもねェだろ!それと先生、後でマジデコピンな」
“えっ”
先生の動きが止まった一瞬の隙をついて一気に近づき気絶させようと走り出す。だが──
“アリス!”
「はい!」
先生のその掛け声と共にアリスがヒナから離れ、モモイ達の間に入るようこちらに向かってくる。戦っていた場所も近いこともあり、アリスが入り込むには十分すぎる時間があった
「またさっきと同じね……やらせない……っ!?」
「ヒナっ……!」
それよりも早くヒナが間に滑り込もうとした時、突然の爆発と共に視界が煙に覆われる
爆発音的にユズのグレネードランチャー、早く爆発したからダメージはほとんど無いが視界を確保するため煙を游雲で斬った時、目の前にアリスが居た
「たぁっ!!」
「ガッ……!?」
「ハジメっ!!」
それに気づいて急いで游雲を戻そうとするも腹に当たり、そのまま後ろに吹き飛んでいき壁にぶつかる。骨の折れた音を聞いて軽く咳き込みながら口の端から流れる血を手の甲で拭って立ち上がる
腰をトントンと叩きながら背を反らせ、近づいてきたヒナと共にアリス達を見据える
「大丈夫なの、ハジメ……」
「おう、もう治った」
「……治ったって……まあいいわ」
「それと、さすかハジメの妹ね。力も体感も桁違い、私でもあれを扱うのは怪しいのに当然かのように使っているわ」
「だろ?自慢の妹だ」
「それが厄介なのだけれどね」
ため息をついて「やれやれ」とでも言わんばかりに首を横に振るヒナ。そんな光景を横目に前を見れば、青白い光が一点に集まっているのが見える
「……ヒナ、横に避けとけ」
「それなら、ハジメはどうするの?」
「分かるだろ?俺の愛する妹の攻撃なんだ」
「行きます……充電50%、光よ!!」
50%の為、ネル戦より威力は低いが直撃すれば大怪我じゃすまない攻撃。その攻撃を──
「──真正面から迎え撃つッ!!」
手を突き出してそこから呪力を放出させる。青と紫の光線が体育館内で衝突して煌めき、同時にどちらも空中で霧散した
「っ!?」
「ハハッ!50%でこれかよ!完全に貫通させるつもりだったのによ!」
「えぇっ!嘘でしょ!?光の剣だよ!?」
「銃弾弾くし光の剣とトントンの光線を放つし……ハジメ先輩が本当に人か疑っちゃいますよ……」
「もうハジメさんってアリスと同じでロボットじゃないの?」
“それは……無い……かな?”
「そこはハッキリ言いなよ先生」
「……っ、まさか光の剣の攻撃を相殺するなんて……さすがお兄様ですね……」
「あ、アリスちゃん……バッテリーは、大丈夫?」
「はい。さっきの戦闘で少し使ってしまいましたが、何回でも撃てます!」
再び光の剣を構えたアリスを見て、口元に笑みを浮かべると再び手に呪力を溜める
「そうか!なら何回でもやろう!!アリスゥ!!」
「……!はい!今度は本気で行きますよ!」
再び青白い光と紫の光が交差しようとした時、この戦場に場違いな気だるい声が間を通る
「あのー……お取り込み中すみません。風紀委員長とハ……副委員長に伝言を伝えに来ました」
「「?」」
「え?」
「こ、こんな良いところで……」
手に溜めていた呪力を握って消し、アリスに手で待機と記してからパッパッと手を払い、ヒナと共にイロハの方に歩いていく
「んで、伝言ってのは?」
「……マコト先輩からなんですが──」
『暴れすぎだお前たち!万魔殿の本殿まで衝撃が来ていたぞ!この演習で壊れた体育館の修繕費は、もちろん風紀委員会の予算で下させてもらうからな!ついでに校舎の修繕費もな!キキキ!』
「……だそうです」
「「………」」
イロハから伝えられた、妙に本人が言うのを想像のしやすい伝言を聞き、気まずそうに後頭部に手を回して視線を逸らす。ヒナはため息をついて銃を下ろしていた
「……これに関しては俺らが悪いから何も言えねぇ……」
「最後のに関してはただの嫌がらせだけどね」
「それじゃ私は伝えることは伝えましたし、イブキのいない万魔殿に帰っても何も起きる気はしませんが、仕方ないので帰ってサボりますね。それでは」
「はいよー」
ゆっくりと万魔殿に帰っていくイロハの背中を見送りながら、ため息をついて両手を後頭部で合わせる
「あーあ、せっかく久々に熱くなれてたのに冷めちまったな。戻るか」
「そうね……みんな、演習は終わり。戻るわよ」
はぁーい。という声とざわめきと共に、いつの間にか回復して観戦していた風紀委員ちゃん達と共に本部に帰ろうと──
「あ、あの……お兄様……」
「ん?……あぇ」
消え入りそうなアリスの声に疑問を持ちながら振り返ると、まだ光の剣を溜めた状態のまま不安そうな顔をしているアリスがいた。その周りにはゆっくりと両手を前にだして下がっているモモイ達の姿があった
「……アリスゥ?それ、キャンセルとかは……」
「わ、分かりません……どこを押せばいいか……」
「何も押さないで、今は何も押さないでホントに」
「ハジメ?どうした……みんな急いで撤収、体育館から離れて」
若干焦っているヒナの声と共に、状況を理解した風紀委員ちゃんたちが静かに、だが素早く体育館から去っていく。イオリは何故かここに残ろうとしたので帰した
「アリス落ち着いて……落ち着いて……」
「あ、アリスちゃん……大丈夫だから、ね?」
「……」プルプル
「……お、お兄様……」
「あーどうすればー……あっ!」
ハジメに電流走る
「そうだアリス。もうちょっと右の方向いて」
「……?こ、ここですか……?」
「ちょっとまって?……んー、少し左……あぁ行き過ぎ、ちょっと戻ってー……おーそこ。完璧」
「……ねえハジメ、この方向って──」
「よぉしアリス!発射!」
「えっ!?ひ、光よっ!」
100どころか120%に到達してそうな光の剣の光線が体育館の壁を突き破りそのまま
「うわぁ!?た、建物が……っ!」
「す、凄い風……その、ハジメ先輩?あの建物って、取り壊し予定のものとか……?」
「んー?いや、お前らが気にすることじゃねぇよ」
「「えぇ……?」」
“……あ、あの建物って”
「……先生も気づいたみたいね。そう、万魔殿の建物よ」
“ハジメって結構外道な考えするんだね……お父さん譲りかな。それよりも、中に居る人達は大丈夫なのかな……”
「心配ないわ。どうせアフロになるだけで済むもの」
“ギャグ漫画の世界の人……?”
リンバスで例えるならこの戦闘ではカシモドキとヒナには
攻撃レベル減少??
防御レベル減少??
ダメージ量減少5
攻撃威力減少3
脆弱2
が常時ついてます。そんでカシモドキはアリスから受けるダメージが100%増加、アリスに与えるダメージが100%減少します
ちなみにどっちもレベル90です
100話記念どうする?
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