リコリス・リコイル! family   作:時葉花音

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お久しぶりです。
以前の投稿から長いことたってしまいました。
フルメタ本編とファミリーの間の知識を埋める為にアナザーを全巻読んでいたのですが、読み切った後書く習慣に戻れませんでした。
最近少しずつ書けるようになってきたので投稿させて頂きます。


いそぐレッスン・ザ・タイム 1−4

 何処までも続く長いビーチ。眩しい太陽の光が降り注ぐ砂浜には海水浴客がまばらに散って海で泳いだり日焼けをしたりと楽しんでいる姿が見られる。

そんな中、敷設されたコートで水着を着た千束とたきな、夏美と千鳥がビーチバレーに興じていた。

「お母さん。トス」

「まかせなさい!」

 千鳥が握り合わせた両手でビーチボールを受け止めるとポールの間に貼られたネットよりより高く舞い上がる。即座に夏美が高くジャンプし右腕をしならせ振りかぶる。

「シッ」

 夏美の激しいスパイクが相手のコートに放たられる。

「させません!」

 それをたきながヘッドスライディングからの右手のブロックで防ぐとボールが宙高く舞い上がる。

「千束!」

「しゃあ! いくぞお!」

 たきなの呼びかけに答えるように千束は高くジャンプするとパアンッ! と小気味の良い音を響かせてスパイクを放つ。ボールが相手のコートを抉り砂が飛び散る。

「ウッシ! たきな見てた。この千束さんの華麗なるスパイクを!」

「はいはい。ナイスシュートでした」

 仕方なく相手をするたきなだが千束に差し出された手には素直にハイタッチをする。

 リコリコチームと相良家一行は今カリフォルニア州のロングビーチにやって来ていた。これにはある目的があった。

 それは・・・・・。

 

 

「ソースケ! そっちに千束がいったよ!」

 D.O.M.Sの市街地を模した演習場。そこでは宗介、マオ、クルツのかつてのSRTチームと千束、たきな、夏美のリコリコチームの三対三の模擬戦が行われていた。

 それぞれ民家の影に隠れながらマオのZy98〈シャドウ〉を中心に前衛に宗介のシャドウ、後衛にビルの影に身を潜めたクルツの狙撃仕様のシャドウが潜む陣形を取っている。

 千束の駆るM9〈アーマードガーンズバック〉が左手に単分子カッターを逆手に持ちながら両手でペイント弾の装填されたハンドガンのグリップを握り込み宗介のシャドウに牽制射撃をしながら接近する。

 宗介は機体をかがめ弾丸をかわすとが同じくペイント弾の装填されたライフルを横に傾けながら弾を前面にばら撒くように発射するが、千束のM9はそれを大きく横にステップを踏む事で回避する。そのまま左手の単分子カッターを構え目の前のシャドウにナイフファイトを仕掛ける。

「ASでもその目は顕在か」 

 宗介も至近距離からの散弾をかわすというおよそ人の域を超えた動きに怯む事なく単分子カッターを構え応戦。カバーの掛かった刃がぶつかりお互いの機体が肉薄する。

 その後ろ、千束の機体の背後から夏美の駆る〈アズール・レイヴン〉が現れた。日本刀のような刃わたりの十式単分子カッターを構えた現れ上段から宗介のシャドウを一刀両断にしようとする。

「させないよ!」

 建物の影から出てきたマオのシャドウのライフルが火を吹く。

 夏美のレイヴンは回避起動をとり難を逃れるが、今度は後方で90mm滑空砲を構えていたたきなのM9 がコレを逃すまいと発砲。

「餌に釣られたな」

 宗介はそう呟くと単分子カッターの刃を下にそらせ、そのまま千束のM9の手首を掴むと背負い投げのように空中に放り投げた。

 たきなの放ったペイント弾が千束の機体に命中。

「ウッソー!」

 宗介の神技的なASのモーションに千束は驚愕の声を上げて撃破判定を貰う。

「こっちも見つけたぜ!」

 今の狙撃で射撃位置がバレたたきなのM9にクルツのシャドウがライフル弾を発射する。建物の影に潜んでいたたきなのM9に命中。

「くっ!」

 これでリコリコチームは夏美のレイヴン一機だけになってしまった。

「さーて、アタシら相手にどこまで持つかな?」

 マオがすかさずバトルライフルの照準をレイヴンに向けるが夏美は迷いなく宗介のシャドウに十式単分子カッターで切り掛かった。

「これで誤射を恐れて打てない。今日こそお父さん一本取ってみせる」

「そう簡単には負けてやれんな」

 宗介は単分子カッターでレイヴンの刃を受け止めながら涼しい顔で言い放つ。

 三対一の劣勢になっても夏美はその時選択出来る最善の方法で食らいつく。

 しかし、後方ではクルツとマオのシャドウが手にしたライフルの銃口が夏美のレイヴンを狙い続けていた。

 

 

「負けた」

 駐機姿勢のレイヴンから降り立った夏美は決した勝敗に肩を落としていた。

 あの後、付かず離れずで宗介のシャドウと相対していたのだが、わずかに距離が空いた瞬間にクルツのシャドウからの狙撃が命中し撃破判定をもらったのだ。

「まあ、今回は模擬戦だったから仕方ないけど実戦なら即撤退よね」

「だけど、ああソースケに引っ付かれてると当てるのは難しかったな。悪い手じゃねえよナミ」

 マオとクルツが批評をしながら機体から降りてくる。

「くっそー。もうちょい粘れるかと思ったのにソッコーかよー」

「すいません千束。私の打った弾が・・・・・・・」

 項垂れながらやってきた千束をたきなが気遣っている。一番最初に撃破された事を気にしているのだろう。

「いや、ソースケさんのあれは反則だって」

 たしかに、発射されたライフル弾に敵機を投げて意図的に誤射させるなんてパワープレイを出来るのはD.O.M.Sのアグレッサー教官でも宗介くらいだろう。

 そこに宗介がスマホで通話しながら機体から降りてきた。

「ああ、そうだ。錦木と井ノ上は思っていたより乗りこなしている。このままだと期限内に仕上がりそうだ」

 どうやら相手は楠木のようだ。二人の訓練の途中経過について電話をしてきたのだろう。

「なに、だがそれでは・・・・・・・。ふむ・・・・・・仕方ない、了解した。二人には俺から伝えておこう」

 そういうと宗介はスマホの通話を切ってこちらに歩いてきた。

「錦木、井ノ上。今楠木から連絡があった。お前達の乗る機体の目処が立ったそうだ」

「マジ!?」

「本当ですか?」

 自分達が乗り込むASについての朗報に二人は目を輝かせた。しかし、宗介のは顔は困ったように少し眉根を寄せている。

「だが日本国内での演習場は確保出来なかったので、直接D.O.M.Sに持ち込んで調整と完熟訓練も行うことになった。なので訓練期間をあと一ヶ月延長するそうだ」

「えー!」

 突然の期間延長に抗議の声を上げたのは千束だ。

 千束達がアメリカに来て一ヶ月と二週間。ようやく訓練の半分が終わったと思っていや矢先の話だった。

「三ヶ月って話だったじゃん。あんま、お店空けたくないんでけどなー」

 唇を尖らせぶーたれる千束とは対照的にたきなは無表情だった。おそらくこれからの訓練内容について何処まで追加で技術を身につける事が出来るか算段をしているのだろう。

「まあ、そう気を落とすな。楠木が用意してくれたのは陸自で使っている11式だそうだ。現行の第三世代型では最新の機体だぞ」

 11式は日本の純国産ASだ。第三世代型にあたり世界に先駆けてある特殊な新型兵装を搭載した事で発表当時業界を驚かせたエポックメイキングな代物だった。ちなみに相良家の所有する〈アズール・レイヴン〉は11式をベースにM9の純正パーツを組み合わせたハイブリット機で外観が似ている。

「かなり頑張って話を通してくれたようだな」

「楠木さんありがとう! 愛してる!」

 千束は両手を握って天を仰いだ。何だか分からないが周りに光が差していそうな光景が浮かんだ。

「本人にいってやれ。それでだ、機体と専門の技術者も一緒に来るそうだから受け取りに行かなくてはならん」

「ここに直接来るんじゃないんですか?」

 たきながもっともな疑問を口にする。

「それについてはアタシから説明するよ」

 演習場に現れたクララが会話に入ってきた。相変わらずパンクファッションに身を包み肩に大きめの旅行バックを下げた彼女は何処か嬉しそうな雰囲気を出している。

「今回お前らに用意する事になった11式だけどキャバリア社から専門のロッキンポがこっちまで来て調整してくれる事になった」

「ロッキンポ?」

 千束が首を傾げる。タイ人の名前だろうか?

「国産のASなら日本の技術者が来てくれないんですか?」

 たきながもっともな疑問を投げかける。普通なら機体と整備兵や技術者がセットでないと兵器の運用などできない。

「安心しな。その博士は元々、日本の恵比寿重工で11式の開発してた奴だから世界で一番詳しい奴だよ。なんたって私のAS工学の師匠だからな」

 クララは何処か得意げな顔で千束達に説明する。彼女はとある事情で幼少の頃からそのロッキンポ博士に師事していて11式にも詳しく、相良家の〈アズール・レイヴン〉を一緒に組み上げた技術者なんだそうだ。

「え! クララってAS作れんの!?」

「いや、なんでアタシが千束に座学教えてると思ってんだよ」

 千束の反応にクララがげっそりした表情で答える。

 クララはAS工学を専門に大学での修士課程を受けていた。そこに相良家絡みの厄介事で母も乗り気な様子だったから自分も首を突っ込んでやろうとちょっと大学を休んで教官役をかって出たのだ

「つーわけで今からその博士に会いに行く。準備しろお前ら」

 気を取り直すとクララはしゃがみ混むと旅行バックをゴソゴソと漁り始めた。

「直接そのロッキンポ博士に? それに準備ってどこに行くんですか?」

 もっともな疑問にたきなが聞き返す。するとクララはバックからニュッとボールを取り出すとニンマリ笑ってこう言った。

「ビーチだ!」

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