ヴァンガード・ザ・ウロヴォロス【再誕の先駆者】   作:唯尊

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第七話 ここから、前に

 

 警察署の事情聴取から解放された時には、時刻は既に夕刻を指していた。

 

 アルギュロスの捜索と討伐はPMCの正当な業務行動なので、今回の戦闘行為は局所的非常事態としてお咎めなしとなった。

 

 カァ…カァと鳴くカラスと夕陽を見ながら、警察署の正面自動ドアを出る。すると----------、

 

「千桜ッ!」

 

 自分を呼ぶ声が聞こえ、振り向いた瞬間に抱きつかれる。

 

「ゆ、柚瑠?」

 

中学生とは思えない程、発育の良い胸が千桜の身体にふにょん…と押し付けられる。

 

 柔らかく心地よい感触をもう少し味わいたかったが、場所が場所(警察署の前)なので、あらぬ誤解を招く前に引き離す。

 

「お前…どうしてここに?」

 

戸惑った声を漏らすと、栗色のポニーテールが可愛らしい少女は、眦を釣り上げて此方を睨んでくる。

 

「バカッ!一人で(エイリー)に突っ込むなんて何考えてるのッ!?しかも大型の水中猟兵型(スポンデュロス)を相手だなんて……こうして生きてるのが不思議なくらいだよ!!」

 

柚瑠は目に大粒の涙を浮かべながら糾弾してくる。見れば、彼女は制服姿のままで、近くには学生鞄が放られている。

 

 どうやら廃工場での出来事を知って、学校から直接飛んできたらしい。

 

「……すまん」

 

 千桜は自分の愚かさを恥じ、柚瑠を安心させる様に再び抱き締める。彼女の言う通り、アルギュロスの潜伏地点である(エイリー)にリアガード単身で乗り込むなんて、自殺行為としか言い様がなかった。実際、あの時に予想外の援護が無ければ、あのまま自分は帰らぬ人となっていただろう。

 

「本当にすまん。俺がバカだったよ…」

 

「ホントだよ。千桜はいつも、僕のいない所でいっぱい無茶して……」

 

柚瑠は千桜の上半身に顔を擦り付けながら(しゃく)り上げる。

 

「ねぇ……僕ってそんなに信頼出来ない…?僕じゃ千桜の力になれないの?」

 

 涙で身体を震わせながら聞いてくる。

 

「違う。そうじゃない、そうじゃないんだッ。俺は………お前が傷つく所を沢山見てきた。ここ一年、お前が戦場で負傷する度に、俺は怖くなった。次こそは死ぬんじゃないかって……俺の前からいなくなるんじゃないかって思うと、途轍もなく不安で仕方なかった!だから------」

 

途中で、言葉を切る。

 

「…だから、僕を前線から遠ざけようとしたの?」

 

柚瑠が続きを言うと、千年は無言のまま頷く。

 

「そっか……そうだったんだ。うん…」

 

 自分が信頼されてない訳ではない、それを知って少しは安心したのか、柚瑠は目尻に溜まった涙を指で拭うと、凛とした表情でこちらを見上げる。

 

「千桜の気持ちは分かったよ。色々と僕の事を慮ってくれた事は嬉しい。けど、大事な事を忘れてるよ」

 

そう言って、キッと鋭い眼を向けてくる。

 

「千春が僕の事を想ってる様に、僕だって千桜の事を想ってるッ!千桜の気持ちに負けないくらい、僕は君が大切なんだ!この先もずっと傍に居て欲しいし、勝手に一人で死ぬなんて絶対許さないッ!!」

 

 あまりにも真っ直ぐで、澱みのない真摯な言葉に、千桜は圧倒されていた。

 

「柚瑠……」

 

「千桜がこれからの未来に希望を持てないのは分かるよ。けど、君は僕の未来を必死に守ろうとしてくれている。僕はその隣に、千桜が居て欲しいんだッ。お願い、僕を一人にしないで。僕と一緒に生きて!アルギュロスだろうが、この世全ての闇だろうが、僕と千桜ならどんな敵だって打ち破れるッ、だから----------二人で戦おう!!」

 

「…ッ!」

 

 どうして……どうしてお前はそんなに強いんだ?アルギュロス戦争を知らない戦後生まれの世代----------『新境地の世代』のお前でも、大勢の人間に否定され、裏切られ、ずっと理不尽な生に振り回され続けてきたお前が、どうして------------こんなクソ溜めみたいな世界でそんな事が言える?

 

 どうしたら------------そんな風に前を向けるんだ?

 

 俺も------------お前や夏織の様に生きて行きたい。

 

 この先もずっと、恐怖と不安に支配される人生は嫌だ------嫌だッ!

 

 絶対に認められないッ!!

 

「……俺も、この世界に負けたくないッ…」

 

千桜もまた、柚瑠の瞳を正面から見据える。

 

「俺は両親を失い、戦う術を身に付ける為に自衛隊に入った。死ぬ程訓練した。死にかけた事もあったし、実際に死んだ奴もいたッ。そんな最初の試練を乗り越えて空挺(第一空挺団)のレンジャーになっても、直ぐにその自信は打ち砕かれた…。"あの時"、仲間も大勢死に、俺は自分の弱さを思い知らされたんだッ…!!」

 

怒りと悔しさで震える両手を、柚瑠がそっと包む。

 

「大丈夫。今は僕がついてる。だから誰も死なせない------僕が皆んなを…千桜を守るッ!」

 

 その誓いに、千桜も全力で応える。

 

「あぁ……あぁそうだな!よしッ………一人で全て抱え込むのはやめだ。これからはお前と乗り越えていく。お前と一緒なら、いつだって俺達は最強だぜ!相棒ッ」

 

「うん!ここから……また進もうッ」

 

 互いに抱擁を解き、拳を合わせてグータッチを決める。

 

 フッ…と信頼の笑みを浮かべて視線を交わす中、柚瑠が突如「あッ」と変な声を出す。

 

「ねぇ千桜、今のプロポーズって事でいい?」

 

 先程の真剣な雰囲気から一転、ニマニマと嬉しそうな表情になる柚瑠。

 

「あ………ア、アホか!中学生が何言ってんだ!大体お互いの気持ち以前に法律が…」

 

柚瑠はぶすッと不機嫌そうに頬を膨らませる。

 

「そんなに夏織ちゃんがいいの?」

 

「そ、それは言うなよな!」

 

「いいじゃん!身長もオッパイの大きさも大差ないし!実際身体の相性は完璧でしょ!?」

 

「ちょッ、おま…!こんな所でそんな事言ったら------」

 

直後、背中に悪寒を感じて振り向くと、先程まで取調を行っていた胡散臭いメタボ腹の刑事が、手錠を手ににじり寄っていた。

 

「いや〜若い娘さんにモテモテで羨ましいですな〜、しかしいくらご趣味がよろしくとも法律を守らんブタ野郎にはお灸を据えませんとな〜…」

 

刑事の目が据わっていた。

 

「違う誤解だ冤罪だ!無罪を主張するッ」

 

 嘘である。

 

「話は署で聞きましょうか」

 

「ここが署だろッ。つーかさっき事情聴取終えたばかりだろうがッ!」

 

 今度は別件で拘束されるのかッ?

 

「あ、僕達これから社長に報告しなきゃいけない事があるんで、これで失礼しまーす」

 

柚瑠が機転を効かせて千桜を担ぐと、『蒼星の忌み子』の力を発動し、爆速で警察署から逃走した。

 

「あ、ちょっと!……はぁ、冗談のつもりだったんですがねぇ…」

 

 溜息を吐きながらタバコを吸おうと、胸元からライターとタバコの入ったパッケージを取り出す。

 

 タバコに火を点けようとするが、中の液体ガスが切れかかっているのか、思う様に点火しない。

 

「野田さん、コレ使います?」

 

「お、気が聞きますねぇ」

 

いつの間にか後ろからやってきた部下の若い刑事が、ライターの火を貸してくれる。

 

 二人して煙を吸い込んでいると、ふと野田と呼ばれた刑事が呟く。

 

「"アレ"は何だったんでしょうねぇ…」

 

「え?」

 

「いえ、さっき彼、聴取中に妙な事を言ってたんですよ。"正体不明の攻撃により助けられた"とか…」

 

「…?なんですかソレ?」

 

部下は意味不明そうな顔をする。

 

「さぁ……ただ、鑑識によれば、破壊されたスポンディロスは複合装甲ごとフレームが融解していたそうですよ。それこそアルギュロスが使う光学兵装並みの高出力レーザーで焼き切られた有様だとか……」

 

部下は思わずギョッとする。

 

「え、それって……」

 

「ご存知の通り、現時点でアルギュロスが使う様な光学兵器は人類側では実用化されていません。同じアルギュロスが味方を誤射したなんて話は聞きませんし、そもそも他の機体なんて目撃されていない。彼が言った援軍らしき味方も、結局確認出来ませんでしたからね…」

 

あの場にいた人間は、千桜一人だったのだから。

 

「一体、誰が彼を救ったんでしょうかねぇ…」

 

 野田はくたびれた様子で、鼻から紫煙を宙に吐き出した。

 

 

 

 

 

 

双柳町に戻った千桜達は、商店街近くの路上を歩いていたら。

 

「ったく……お前がとんでもない事言い出したおかげで酷い目にあったぜ…」

 

「ふん!僕を置いて敵陣に向かった罰だよ。でも------」

 

 柚瑠は何を思ったのか、千桜を角の裏道に引っ張り込む。

 

「ちょ!なんだよ今度は------」

 

最後まで言う前に、千桜は唇を塞がれた。

 

「ん………ちゅッ」

 

目の前に柚瑠の顔がある。宝石の様に整った綺麗な顔から目が離せず、人気のない路地裏でキスに没頭する。

 

「……ぷはッ」

 

 唇を離すと、柚瑠は熱っぽくギラギラした眼差しを向けてくる。

 

「あそこで僕に言ってくれた言葉は嬉しかったから、お礼にご褒美をあげるよ」

 

 恍惚とした表情を浮かべる柚瑠。それは普段見せる無邪気な少女の顔でらなく、完全に女の顔をしていた。

 

 感情が昂っているのか、明らかに発情している。

 

「…ここでするのか?」

 

いくら薄暗く、人通りがないと言っても、ここは外だ。誰かに見られればコトである。

 

「こういうの…ドキドキしない?」

 

 柚瑠は興奮を抑え切れない様子で、千桜の股間の辺りをズボン越しに撫で回してくる。

 

「…変態め」

 

「そっちこそ。ロリコン」

 

 柚瑠の右足を手で抱え込み、そのまま壁に押し付ける。

 

「ン……ハッ…!んぅ…」

 

 互いに唇を激しく吸い合う。その間に、千桜は彼女の太腿を撫で回し、柔らかい感触を堪能する。張りのある白い肌は指が吸い付く様にスベスベで、揉むと筋肉の弾力に程よく押し返される。

 

「んんッ…!ちゅう……チュ……チュプ…」

 

舌を絡み合わせ、口腔を蹂躙し、唾液を交換する。その後、掌を胸に当て、制服のブレザー越しに乳房を揉みしだく。

 

「あんッ……待って、制服にシワになるから……」

 

そう言って上着のブレザーとブラウスのボタンを外していくと、ミントグリーンのブラが覗く。レースの装飾がなんとも美しかった。

 

 ブラウスの隙間に手を突っ込むと、ブラ越しに水蜜桃に触れる。

 

「あ……ふぁッ…ん!」

 

顔を真っ赤にし、可愛らしく喘ぐ柚瑠は、大きな声が出ない様、必死に口元を手で押さえていた。

 

 欲情しながらも恥じらう姿を見て、ついに我慢の限界を迎えた千桜は、柚瑠のスカートの中に手を入れ、シュルリ…とショーツを引き下ろす。こちらもブラと同じ色、同じデザインだ。

 

「やッ…!」

 

 ズボンから取り出した己の分身を挿入しようとすると、直前で止められる。

 

「どうした?」

 

「あの……コレ…」

 

おずおずと差し出してきたのは、袋に入ったコンドームだった。

 

「まぁ、大丈夫な日ではあるけど一応……ね?」

 

首肯を返すと、受け取った袋を破り、青色のゴムを取り出す。

 

 装着すると、前戯なしでそのまま分身を挿入した。

 

 

 

 

 

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