STAY WITH ME ドラえもん   作:ミサ菓子折

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[僕はのび太。これまでも。これからも。]

その後、僕はマイペースに頑張った。

順位は成績優秀者に載るか載らないかくらい。

「一学期のあれは何だったんだ?」と噂されたりもしたが、僕は気にもしなかった。

人間、無理をしてはいけないのだ。

このぐらいが僕には分相応ってもんなんだろう。

なーんて。

そういえば、しずかちゃんから「のび太さん、何か部活はしないの?」と聞かれた。

考えてみたけど何も思いつかなかった僕は答えた。

 

のび太「しずかちゃんと同じ部がいいなあ」

しずか「だから女子専用だって言ってるでしょ!」

 

そしてまた怒られた。

 

ジャイアン「じゃあ柔道部に入れよ」

 

と僕から部活の話を聞いたジャイアンは言う。

 

のび太「えー。でも投げられるんだろう?」

ジャイアン「おう、スゲー快感だぞ」

のび太「えー、ほんとに」

ジャイアン「向かってくるやつらをちぎっては投げ、ちぎっては投げだな……」

のび太「ねえ、それって僕は投げられる側じゃないの?」

ジャイアン「あ」

のび太「あ、じゃないよ! 危うくとんでもない部に入れられるところだった!」

 

結局、僕が部活に入ることはなかった。

射撃部とかあやとり同好会とかあれば入ったんだろうか。

さすがにそんなニッチな部活や同好会は、僕の高校には存在しなかった。

 

そして月日は流れていく。

高校生活はあっという間に過ぎ、僕たちは卒業を迎えた。

続いていくと思った僕らの道。

それがいよいよ途切れる時が来たのだ。

 

ジャイアン「よう、のび太。久しぶりだな」

のび太「ジャイアン。3年は2月から自由登校だったもんね」

ジャイアン「ま、俺は推薦決まって、2月はもうずっと道場にこもってたんだけどな」

のび太「僕は時々教室に勉強にきてたぐらいだったかな」

ジャイアン「お前とは色々あったな」

のび太「そうだね、懐かしいよ」

ジャイアン「最後に一勝負と行こうぜ! 来い、のび太!」

のび太「なんでそうなるんだよ! だいたい、やったら僕死んじゃうよ!」

ジャイアン「がははは、冗談だぜ。喧嘩なんかやったら試合禁止だしな」

しずか「まったく、武さんは変わらないわね」

のび太「しずかちゃん。久しぶりだね。ところであの噂、本当なの?」

しずか「あの噂?」

のび太「日本一大学に通ったっていう噂」

ジャイアン「え? マジ!? あの日本一に!?」

しずか「ええ、本当よ。出木杉さんが背中を押してくれたの。挑戦してみる価値はあるんじゃないか、ってね。私、頑張ったわ」

のび太「出木杉が……」

ジャイアン「すげえなあ。あの日本一かよ。出木杉もなんだろ? あいつの場合、余裕だっただろうけどよ」

しずか「それを言ったら武さんの方が凄いわよ。体育大に推薦合格、しかもオリンピック期待の星でしょ。私なんかには想像もできない世界だわ」

ジャイアン「へへ、そうかもな。ありがとよ、しずかちゃん」

のび太「二人ともおめでとう。それに比べて僕は……」

しずか「何言ってるのよ、のび太さん」

ジャイアン「そうだぜ。お前が二番星大学に通ったことが驚きだぜ。俺といっしょに先生の授業を受けてた、あのお前がよ。俺は誇らしいぜ」

のび太「あ、ありがとう!」

 

一緒の道を歩んだ小学校からの友達。

それもここで終わり。

僕らはみんな別々の大学に行く。

新しい生活への期待はあるけれど、それでもそのことが寂しかった。

ふと見上げると、校門前に人だかりができていた。

その輪の中心にいるのは……。

 

のび太「……出木杉」

 

僕からしずかちゃんを奪った出木杉だった。

同じ大学に進学するらしい。

くやしいが、負けを認めるべき時なんだろうな。

なんて思って見送ろうとしていると、出木杉の方から話しかけてきた。

 

出木杉「やあ、のび太君」

のび太「や、やあ」

出木杉「ちょうどよかった。君を探していたんだ」

のび太「僕を?」

出木杉「後で話がしたい。1時間後にあの裏山の頂上でどうかな」

のび太「あの裏山? 別にいいけど」

出木杉「それはよかった。じゃあ、また後でね」

 

相変わらずのすました顔で出木杉は人の輪の中へ消えていった。

人の輪からは黄色い声が聞こえる。

相変わらず女性人気が高いことで。

まあ、試験満点で日本一大学にも鼻くそほじりながら通るような秀才君なら当然か。

いや、あいつは鼻くそほじったりはしないだろうけど。

だめだ、負けを認めたはずなのに嫉妬が止まらない。

そんな自分に自己嫌悪。

すると女性たちの声が聞こえてきた。

「キャー出木杉さん!」

「センパイ、今何を話したんですか!?」

「あのウラヤマってなんです!?」

「はは。ちょっと個人的なことさ。気にしないでくれ」

女性の輪にもまれながら、出木杉はそんなことを言っていた。

そこで僕は気付いた。

「あの裏山」ってそういうことか、と。

どうやら出木杉は、本当に僕と二人っきりで話をしたいようだ。

そんな時にまで気遣いができる出木杉に、僕はまた嫉妬した。

僕はなんてダメなやつなんだろう。

結局嫉妬を止められないんだ。




高校卒業の時。
いよいよ、仲間たちとの本格的な別れの時が迫ります。
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