STAY WITH ME ドラえもん   作:ミサ菓子折

13 / 31
[バカ大学生のび太。]

大学に入って2か月。

授業には慣れてきた。

しかし、一向にサークル活動やバイトが決まらない。

情報を集めれば集めるほど、僕は混乱していた。

サークル活動はピンとくるものがない。

じゃあ、お金も稼げるしバイト……となると、バイトが本業、勉強そっちのけ、休日もいきなり仕事に呼ばれる、成績不足で退学、などと笑えない言葉ばかり出てくる。

喫茶店なりコンビニのバイトにでも飛び込めばよかったのだが、昔からの要領の悪さで不安になって二の足を踏んでしまっていた。

そうやって悩みに悩んだある日、僕の頭にとある閃きが舞い降りる。

 

のび太「そうだ、ドラえもん!」

 

先生に教えてもらった時から、つい自分の力で解決することが癖になっていたけど、よく考えたら僕にはドラえもんがいたじゃないか。

僕が人生を誤らないために、是非力を貸してもらおう。

もちろん、理想のバイト先を作ってもらうとか、そういうわけではない。

ちょっと知恵を貸してくれればいいんだ。

そのための作戦も考えてある。

ただ、問題はドラえもんが来るのは予定通りなら夏休み。

今から二か月も先だ。

さすがにそれまで待っている、というわけにもいかなかった。

 

のび太「どうやってドラえもんを呼び出そう」

 

頭をフル回転させる。

すると、昔の記憶が思い当たった。

高校生の一学期、中間試験の後。

ぶっ倒れた僕を心配して、規則外だけど来てくれたことがあった。

 

のび太「えーっと、あの時は確か……」

 

思い出す。

ドラえもんが何でやってきたのかを。

確か、バイタルが異常数値を示したからとか言ってたな。

たぶん生命活動とかそのあたりの異常のことだろう。

ということは、ドラえもんは時々は僕のことをタイムテレビか何かで確認してるはずだ。

このことから予想される答えは……。

 

のび太「異常なことをしてアピールする! これだ!」

 

そうと決まった僕は庭の物置を漁った。

何か使えるものはないか。

すると、ジャイアンのリサイタルの道具が出てきた。

なんでこんなもんもらったんだっけ?

いや、でも、今の僕には好都合だ。

それを持って自分の部屋に上がり、準備を整えた。

さあ、頼むぞドラえもん。僕を見つけてくれ。

 

ドラえもん「アホか君は!」

のび太「でも君は来てくれたじゃないか」

ドラえもん「こんなアホにつられた自分が情けない」

 

3時間後、果たしてドラえもんはやってきた。

説教つきで。

ちなみに、ママとパパもカンカンになって一階へ帰っていった。

 

ドラえもん「そりゃ来るに決まってるだろ! タイムテレビで君の様子を見たら、あんな理解不能なことやってりゃ!」

のび太「いやあ、来てくれてよかったよ。来てくれなかったら、明日は空き地でやろうかと思ってたから。でも、さすがに恥ずかしいだろ」

ドラえもん「家でも十分恥ずかしい! 何なんだ。腰ミノなんか付けて、変なメイクまでして、挙句の果てには『あーほやーーあぁぁぁ、あぁぁ~。ハラピリハラソレ! ヒンーデモ…ッ』って!」

のび太「ドラえもん降臨の儀式」

ドラえもん「アホか! さもなきゃ君は大アホだ!」

のび太「まあまあ。あー、やっとメイク取れた」

ドラえもん「まったく。で、何なの? なんか用があって僕を呼んだんだろ?」

のび太「いやあ、そう来なくっちゃ。実はさ、バイト先を探すのに悩んでるんだよね?」

ドラえもん「まさか、昼寝してるだけで給料が出るようなバイト先を出してとか言うんじゃ……」

のび太「まさか! 子供じゃあるまいし、そんなんじゃないよ!」

ドラえもん「それじゃ、いいバイト先を決める道具出してとか?」

のび太「そこまで他力本願じゃないよ」

ドラえもん「じゃ、何なの?」

のび太「未来の僕に何のバイトしてるか聞きたいからタイムマシン貸して」

 

僕がそういうとドラえもんはずっこけた。

 

ドラえもん「想像以上に下らなかった!」

のび太「なんだよ。僕だって真剣に悩んだんだぞ」

ドラえもん「その結果がバイト先探すためにタイムマシンを貸せって、君はアホなのか。あー、アホらしい」

のび太「そこまで馬鹿にするなよな。僕だってちゃんと考えてるさ」

ドラえもん「何をさ」

のび太「未来の僕から聞くなら、結局は僕自身で決めたことだろ? なら問題ないじゃないか」

ドラえもん「屁理屈が過ぎる」

 

ドラえもんは頭を押さえてうずくまってしまった。

 

のび太「で、どうなの? タイムマシン貸してくれるの?」

ドラえもん「こんな下らないことに道具なんか貸したくないけど、来ちゃったものは仕方ない。手伝ってあげるよ……はぁ」

のび太「やった。最初からそう言えばいいんだよ」

ドラえもん「はぁ~、気が進まない」

 

そんなわけで、僕らは机からタイムマシンに乗り込んだ。

さっそく2か月後の僕のところへ。

 

のび太(現)「やあ、未来の僕」

のび太(2)「うわ、何だ君!?」

ドラえもん「はぁ~」

のび太(2)「なんだ、ドラえもんか。君は誰? 僕なのは間違いないだろうけど」

のび太(現)「僕は2ヵ月前ののび太。突然だけどバイトってどこで何してる?」

のび太(2)「バイト? まだ決まってないなあ。そういえば2ヵ月前から悩んでたっけ」

のび太(現)「ええー? まったく、僕はしょうがないなあ」

のび太(2)「そうだ、いいことを思いついた。僕も悩んでるんだ。2か月後の僕に聞きに行ってみよう」

のび太(現)「さすがに安直すぎない?」

のび太(2)「2か月後なら夏休みを経過してるんだ。きっと見つかってるさ」

のび太(現)「それもそうか。じゃ、ドラえもん出して」

ドラえもん「ええー!?」

 

嫌そうな顔をしたドラえもんをせかし、僕と2ヵ月後の僕は4ヵ月後に飛んだ。

 

のび太(現)「やあ、こんばんは」

のび太(2)「どうも」

のび太(4)「なんだなんだ? 僕が二人?」

ドラえもん「はぁ~」

のび太(4)「なんだ、ドラえもんか。で、これどういうこと?」

のび太(現)「実は僕、4ヵ月前の君なんだけどちょっと困ってるんだ」

のび太(2)「ちなみに僕は2ヵ月前の君ね。君、今バイトって何やってる?」

のび太(4)「ははぁ、僕が何のバイトをしてるか知りたいと」

のび太(現)「うん」

のび太(2)「そう」

のび太(4)「悪いけど、それ僕が聞きたいな。まだ決まってないんだよ」

のび太(現)「えー?」

のび太(2)「まったく、夏休みの間何してたんだ」

のび太(4)「それを言われると耳が痛いな。そうだ、じゃあいっそ2ヶ月後の僕に聞いてみるってのはどう?」

のび太(現)「そうだね」

のび太(2)「じゃあ、ドラえもん。頼むよ」

ドラえもん「…………」

 

心底嫌そうな顔をしたドラえもんをせかし、僕と2ヵ月後の僕と4ヶ月後の僕は6ヵ月後に飛んだ。

 

のび太(現)「やあ、僕」

のび太(2)「僕ら過去から来たんだ」

のび太(4)「ちなみにこっちが6ヵ月前の僕で、こっちが4ヵ月前の僕、それで僕は2ヵ月前の僕」

のび太(6)「大勢でどうしたの?」

のび太(現)「僕ら、バイト先に困っててさ。未来の僕に尋ねようと思って」

のび太(6)「うーん、もうしわけないけどまだ決まってないなあ」

のび太(2)「何をグダグダやってるんだ!」

のび太(4)「そうだそうだ。それでも男か!」

のび太(6)「いやあ、ごめんごめん。そうだ、なら……」

ドラえもん「いい加減にしろお前ら!」

のび太ーズ「ドラえもん」

ドラえもん「そうやって責任を未来に押し付けるようじゃ、いつまで経っても答えなんか出るか!」

 

言われてみればその通りだった。

僕が態度を改めなければ、いつまで経っても僕は僕のままだろう。

 

のび太(6)「それもそうだな。藤本君にでも相談してみるか」

のび太(4)「そうだね、藤本君ならいいバイト知ってそうだし」

のび太(2)「藤本君って誰?」

のび太(6)「誰って? 授業で一緒になった藤本君だよ。知らないの?」

のび太(4)「いや、待った。藤本君に会ったのは冬学期だろ? 彼らはまだ知らないんだ」

のび太(現)「ええー? じゃあ僕らは冬学期まで待たないといけないってこと?」

のび太(2)「しょうがない。その藤本君に会えるまで待つか」

のび太(現)「いや、そういう姿勢だから僕はダメなんだ」

のび太(2)「それもそうだ。僕らは自分で探すとするか」

のび太―ズ「というわけで帰るよ、ドラえもん」

 

なぜかドラえもんは頭を押さえて唸っていた。

 

のび太―ズ「どうしたの?」

ドラえもん「こんな下らない結論を出すためだけにタイムマシンを使ったのかと思うと、情けないやら何なのやら」

のび太―ズ「ごめん。さあ、帰ろう」

ドラえもん「って、6ヶ月後ののび太! 君にタイムマシンは必要ないだろ! どこに帰る気だ!」

のび太(6)「おっと、そうだった」

ドラえもん「アタマイタイ……」

 

その後、未来の僕らと別れた僕は現代へ帰ってきた。

非常に疲れた顔のドラえもんと一緒に。

 

ドラえもん「はぁ~、果てしなく無駄な時間だった」

のび太「ドラえもん、僕がここでバイトの決心をしたら彼らにはもう会えないんだよね?」

ドラえもん「そうなるね。パラレルワールドが発生することになる。いや、もう彼らの時間軸では発生してるかも」

のび太「……」

ドラえもん「怖いかい?」

のび太「ううん。『現代』の僕はパパにでも相談してみるよ」

ドラえもん「それがいい。じゃあね、もうこんな下らないことで呼び出さないでくれよ」

のび太「悪かったって。じゃあね」

 

そう言ってドラえもんは帰っていった。

決意もそのままにパパに相談してみたところ、パパの知り合いがやってるスーパーマーケットを紹介してもらえた。

アットホームな職場だという。

他所のスーパーやコンビニよりも信頼できそうと思った僕は、そこをバイト先に決めたのだった。




ドラえもん降臨の儀式は木久扇さん(笑点1969~2024)ネタ。
でも、木久扇さんなら好楽さんから振られてたら、絶対やったと思います。

ちなみに、今回の話を見て『ドラえもんだらけ』を思い出した方、正解です。
でも、「なんで今回は未来ののび太は過去ののび太のことを知らないの?」と疑問に思うかもしれません。
一方でドラえもんには『無人島へ家出』という話もあります。
詳細は説明しだすと私も混乱してしまうので省きますが、ドラえもんとのび太が二人同じ時空に存在するというおかしな状態になっています。
そして、細部に残った違和感は解消されないままこの物語は幕を閉じます。
他のエピソードを考えても、まあ、ドラえもんの世界ではこうと決まったはっきりした設定は存在しないというのが正しい所だと思います。
今回のケースは、のび太の突発的な発想と木久扇さんの降臨の儀式がニュークリアフュージョンでも起こしてしまって時空の壁を突破してしまったのでしょう。
そもそも、そういう歴史改編の起点になりうるから、のび太は特別視されたのかもしれませんね。
ていうか、ここまで書いて思いましたが、ドラえもんはギャグ漫画です!(細けえことはどうでもいいんだよ!)

Q.で、藤本君て誰さ?
A.ドラえもん原作者の本名。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。