STAY WITH ME ドラえもん   作:ミサ菓子折

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[みんなバカばっか。]

大学というやつは、人をおかしくさせるのだろうか。

2年に入る直前の春休み。

ちょうど僕らが20歳になって成人を迎える、その前の春休みで事件は起こった。

例によって、集まった僕らは五泊六日の大バカンスに出かけた。

今回は大学の1年ということもあって、僕らは、はしゃぎとおした。

2年になったら、1年よりは忙しくなるという実感もあったんだろう。

だが、それがよくなかった。

タガの外れた僕らの暴走は、最終日には暴発寸前だったのだろう。

それは恒例の五人野球をやっていた時のこと。

この日、ジャイアンはドラえもんにボールをぶつけまくった。

いや、ジャイアンがドラえもんにデッドボールを与えるのはいつものことなのだが、この日はいつも以上に酷かった。

しかも、思いっきり力んで投げるものだから、軟球とはいえドラえもんも相当痛かったらしい。

事件が起きたのは4回目のドラえもんの攻撃の時だった。

もう何回目になるかも分からないデッドボールを受けた瞬間、ついにドラえもんの怒りが爆発した。

カンカンに怒ったドラえもんが、バットを振りかざしてマウンドに向かう。

 

ドラえもん「このやろう! さっきからポコポコとボールをぶつけやがって、もう頭来たぞ!」

ジャイアン「お? なんだ? 乱闘か? 受けて立とうじゃねえの!」

ドラえもん「くらえ!」

ジャイアン「なんの!」

 

あろうことかバットと素手で乱闘を始めてしまった二人。

 

しずか「ちょっと、やめて二人とも!」

スネ夫「大人げないぞ! どっちも!」

 

しずかちゃんとスネ夫は止めようとするが、二人の争いはヒートアップしており、とても止まりそうにない。

見かねて僕が体で止めに入った。

 

のび太「やめなよ」

ジャイアン「うるせえ!」

のび太「うげー」

ドラえもん「あっ、のび太君」

 

しかし、タイミングが悪かったようだ。

止めに入った瞬間、僕はジャイアンに殴られてノックダウン。

当然、この後の話は後でスネ夫から聞かされたものだ。

 

ドラえもん「のび太君!? しっかりしてよ、のび太君!!」

ジャイアン「あ」

しずか「もう許せないわ! やりすぎよ、武さん!」

ジャイアン「しずかちゃん!? うおっ!」

 

しずかちゃんの拳がジャイアンのアゴをとらえかける。

ジャイアンは間一髪これをかわした。

女の子からの攻撃にひるむかと思えたジャイアンだったが、逆に激昂した。

 

ジャイアン「やんのか? このやろう!」

しずか「何よ!」

ジャイアン「ぶっ!」

 

反撃に出たジャイアンだったが、しずかちゃんは巧みにその攻撃をかわし、逆にジャイアンに肘打ち、ローキック、平手打ちを入れた。

後に見ていたスネ夫いわく、「きれいに入ってた。最後の平手打ちなんか、張り手じゃないかってぐらい凄かった」だそうだ。

さすがソフトボール部。

もう絶対逆らわないようにしよう。

だが、しかし、ジャイアンもさすがタフだった。

しずかちゃんの3連撃にもわずかに怯んだだけで、即座に反撃しようとしたのだ。

 

ジャイアン「てめえ、ぶっつぶしてやる!」

しずか「きゃあ!?」

スネ夫「なんだこのやろう!」

ジャイアン「ウギャー!」

しずか「スネ夫さん!」

スネ夫「もう僕も堪忍袋の緒が切れたぞ! やってやる!」

しずか「ええ! 武さんにはいいクスリだわ!」

ジャイアン「なんだ、てめえら! うわっ、やめ……」

 

何とスネ夫が突っ込み、ジャイアンはひっくり返った。

もう、そのあとは酷いもんだった。

「やめて」と懇願するジャイアンを、しずかちゃんとスネ夫がボコボコにしたのだ。

 

のび太「う、うーん」

ドラえもん「あっ、のび太君気が付いたか。よかった」

のび太「ドラえもん? 僕は、どうなったの?」

ドラえもん「僕をかばってジャイアンの盾に……」

のび太「そのジャイアンは?」

ドラえもん「ジャイアンは……って、あーーーっ!」

 

僕とドラえもんが見た先にいたのは、しずかちゃんに頭を踏みつけられ、スネ夫にバットでお尻にフルスイングされそうになってるジャイアンの姿だった。

 

しずか「暴力なんて最低よ!」

スネ夫「その汚いケツをぶっ叩いてやる!」

ジャイアン「か、勘弁してくれぇ!」

 

ドラえもんの怒号が響き渡った

 

ドラえもん「やめろバカども!!」

 

数分着。

彼らは正座させられて説教されていた。

彼ら、というのは僕以外の三人。

説教してるのは、ドラえもんだ。

というか、そのドラえもんがこの騒ぎの発端なんだけど、それはいいんだろうか。

 

ドラえもん「いったい何なんだ、ジャイアン。バカみたいにデッドボールぶつけるわ、謝るどころか逆ギレするわ!」

ジャイアン「め、面目ねえ」

ドラえもん「しずかちゃんもどうしたんだ! あんな暴力的になって!」

しずか「でも、悪いのは武さんよ」

ドラえもん「そういう問題じゃない! こんなブタゴリラにケンカを売って怪我したらどうするんだ!」

しずか「ご、ごめんなさい」

ジャイアン「ブタゴリラだって……」

スネ夫「ぴったりじゃないか。バカゴリラ」

ドラえもん「スネ夫も!」

スネ夫「僕の何が悪いんだ。僕は何も悪くない」

ドラえもん「何で居直るんだ! 少しくらい反省しろ!」

スネ夫「ふんだ」

 

もう、めちゃくちゃだった。

なんでこんなことになったのか、僕らの中に答えを出せるものはいなかった。

しいて言えば、全員が全員、浮ついていたということぐらいだろう。

 

のび太「とりあえずさ、どうするのコレ」

ドラえもん「はぁ……ほら、お医者さんカバン。とりあえず全員治療して」

 

すり傷、打撲まみれの僕らにドラえもんは道具を出して渡した。

こんな傷まみれで帰ったら、そりゃ家族も心配するだろう。

僕らはドラえもんの道具に感謝した。

結局、僕らはこの日を境に五人野球をやらなくなった。

なんかやる気がなくなった、というのもあるが、大人になったんだろう。

何より、その1年後、また5人野球をやってみないかと話に出そうとしたとき、ジャイアンが柔道で大けがをしたのだった。

旅行は当然パス。

半年後には治っていたはずだが、ジャイアンは旅行に顔を出さなくなった。

いったい、どうしたのだろう?

そして、僕らもやれ卒論だの就職だのと忙しくなって、旅行にはいかなくなっていった。




最後のバカ騒ぎと子供時代の終わり。
ちなみに、野球のルールでは野球道具を乱闘に使うのは禁止だそうです。
つまり、故意レベルで死球を連発したジャイアンも悪いですが、バット持ってマウンドに向かったドラえもんは相当悪いということになります。
あ、最後にジャンアンにケツバットしようとしてたスネ夫も悪いですね。
まあ、彼の場合は、もうルール無用になってから持ち出してたわけだから関係ない……のか?
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