[10秒で就職先決定。]
大乱闘から2年後。
大学4年の夏学期、僕は就職に悩んでいた。
さすがに今度はパパに相談、というわけにもいかない。
のび太「うーん、大学院にでもいくかなあ」
スーパーマーケットでのバイトのおかげで、お金自体はたまっていた。
その蓄えとパパの支援があれば、大学院に行くのは可能だった。
のび太「でも、ただの現実逃避に過ぎないしなあ。研究したいこともないし」
大学院とは、専門的なことを研究したい人が行くところだ。
もちろん、今すぐ就職したくない人の避難場所って側面もあるんだけど。
さすがに、バイト先決める時のあの醜態を思い出し、その選択肢は選びたくはなかった。
そうこうしてる間にバイトの時間がやってきた。
仕方ないのでスーパーへの出勤の準備をする。
店長「え? 就職先に悩んでるだって?」
のび太「ええ、まあ」
店長「のび太君は、ちょっとどん臭いけど真面目だったからなあ。そのままうちに就職してもらいたいくらいだけど」
のび太「え?」
店長「いやいや、冗談。あの二番星大学の学生さんがうちに就職するなんてありえないって。バイトとはいえ、一緒に働けてよかったよ」
のび太「…………」
店長「どうしたんだい?」
のび太「あの、僕って正社員になれます?」
店長「え? いや、そりゃもちろんありがたいけど」
のび太「じゃあ、お願いします! この職場、気に入ってるんで!」
店長「え? ええー? まあ、いいけど? えー、ほんとにいいの?」
何とも締まらない会話だが、僕の就職先が決まった瞬間だった。
そのことをスネ夫にも話すと。
スネ夫「はぁ!? スーパーの正社員!? お前マジで言ってるの!?」
のび太「マジだよ」
スネ夫「うちの大学ならもっと上狙えるだろ! 何でスーパーなんか」
のび太「だっていい職場だったんだもん」
スネ夫「う、うーん。まあ、必死に就職活動した結果、キツイ職場を掴んで病むよりはマシなのかなあ?」
のび太「そうそう、スネ夫の会社とか」
スネ夫「お前ぶっとばすぞ」
のび太「ごめんごめん。でも、僕は競争とか向いてないと思うんだ」
スネ夫「そういう意味じゃ、うちの会社とかダメだろうな。競争は激しいし」
のび太「そうそう。確実に堅実なところの方がいいって」
スネ夫「それでも、もったいないと思うけどなあ。まあ、のび太が選んだ道なら僕は文句ないよ」
のび太「ありがとう。ちなみにスネ夫は就職決まったの?」
スネ夫「僕? 僕は大学院に入って、もうしばらくロボットサークルを楽しむよ」
のび太「気楽だなあ」
スネ夫「しかし、そういう意味でいうと心配なのはジャイアンだよな」
のび太「ああ、うん。スネ夫はあれから?」
スネ夫「連絡なし。体育大に在籍してるのは確かみたいなんだけど」
のび太「心配だな……」
スネ夫「だよね」
一体ジャイアンはどうしてしまったんだろう。
そりゃ大学が違うから、しずかちゃんとも普段連絡なんか取ってないけどさ。
それでもしずかちゃんは、ドラえもんが来たときは会ったりぐらいはするんだ。
でも、ジャイアンは忙しいのか全く会えなかった。
怪我も重く、柔道も諦めてしまったのかもしれない。
体育大に在籍してるって話も、どこまで信用できるのか分からなかった。
このSS書くときに一番迷ったのが大学名でした。
実在の大学書くわけにもいかないし、どうしようかとネーミングセンスのない私は途方にくれたのでした。
結局、学歴なんか関係ない場所にあっさり就職してしまったのび太くん。
今までの努力なんて無駄じゃん、と捉えるか、いや努力したからこそ意味があったんだ、と捉えるかは読者の皆様にお任せします。
ちなみに、ここ二人の関係性がよく分かってお気に入り。
>スネ夫「う、うーん。まあ、必死に就職活動した結果、キツイ職場を掴んで病むよりはマシなのかなあ?」
>のび太「そうそう、スネ夫の会社とか」
>スネ夫「お前ぶっとばすぞ」