夏休みの後、いくらか僕らに変化があった。
まず最初はしずかちゃん。
なんでも5人野球が面白かったらしく、ソフトボール部に入部したそうだ。
「へぇー、じゃあ僕も」
というと、怒られた。
「うちの部は女子だけよ!」
だってさ。
なんで男子と女子で分けられるんだろう。
小学校の時は男女で一緒だったのに。
まあ、僕は僕でしずかちゃんに、うつつを抜かしてる場合でもなかった。
二学期中間試験。
決戦の時が迫っていたからだ。
僕もジャイアンも、一学期の分を取り戻すために必死になって勉強した。
果たしてその結果は……。
のび太「先生!」
ジャイアン「見てくれよ! これ!」
先生「おおう、家の前でどうしたんだ。なになに? 野比が191点に剛田が203点?」
のび太「そうなんだよ!」
ジャイアン「先生! 俺たちやったぜ!」
先生「いや、すごいにはすごいが……これは何位ぐらいなんだ? 平均点は?」
のび太「ジャイアンは180位! 僕は182位!」
ジャイアン「平均点は320点!」
先生「ばっかもーん!!」
のび太「ええ!?」
ジャイアン「そんな! 俺たちこれでも…」
先生「ああ、いやいや。よくやったな君達。元は一桁でドベとドベ2だったもんな!」
のび太・ジャイアン「先生!」
先生「君達!」
しばらく先生と輪になってダンスを踊った。
途中、通行人から白い目で見られて慌てて先生の家に入ったけど。
のび太・ジャイアン「すんません」
先生「ああ、いやいや。私も興奮してしまったよ。すまんすまん」
のび太「僕ら自分たちの力で頑張ったんです」
ジャイアン「先生の課題。マジで役に立ちました」
先生「うんうん。点数は芳しくはなかったが、君たちの頑張りは伝わったよ。冬休みも来るかね?」
のび太「…………」
ジャイアン「…………」
先生「遠慮はいらんよ」
ジャイアン「いえ、もういらないです。なあ、のび太」
のび太「はい。次は本当に自分の力で頑張ってみます」
先生「そうかい。まあ、がんばってみなさい。まあ、考えてみれば君らに正月まで潰されるのもたまらんな」
のび太「先生……」
ジャイアン「そりゃねえよ」
先生「ははは。君らのがんばるという言葉、信じてみるよ。その上で一言言わせてくれ」
のび太・ジャイアン「?」
先生「君らは最初の段階でつまづいて幸運だった。本当の落ちこぼれは、これから本格的に生まれてくる。その落ちこぼれを救える手は、なかなかないんだ」
のび太「……はい」
ジャイアン「……努力します」
先生「うむ。頑張りたまえ」
僕らは中学に入って速攻でつまづいた。
だけど、いや、だから夏休みだけで挽回できたんだろう。
でも、もっと先でつまづいていたら?
その時、先生みたいな人がいなかったら?
僕らは自分の幸運をかみしめて、もう二度と馬鹿な真似はしないと誓ったのだった。
道端で中年男性と中学生男子2名が、何でもない時期に輪になってダンスを踊っているという図。
さぞ不気味だったでしょうね