STAY WITH ME ドラえもん   作:ミサ菓子折

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高校時代編
[VS 出木杉]


あいつを倒すんだ。

そう誓ったあの日から、僕は勉強に明け暮れた。

学校が終わったら即家に帰って勉強机にかじりつく。

さすがに、春休みにドラえもんが来たときは旅行に同行はしたが、食事と5人野球の時以外は完全に引きこもった。

 

ドラえもん「のび太君は、どうしちゃったの?」

ジャイアン「男にはやらなきゃいけない時があるんだ。黙って見てろ、ドラえもん」

スネ夫「ジャイアンは何か知ってるの?」

ジャイアン「知らねえけど?」

スネ夫「ズコッ」

しずか「でも、あんな真剣なのび太さん初めて見たわ」

ドラえもん「昔から変なスイッチが入るとああだったよ。でも、普段は三日もしたらすぐ飽きたんだけどなあ」

のび太「……ぶつぶつ」

 

仲間たちが僕のことを噂している。

僕は相当変に思われているんだろう。

でも構わない。

超えるんだ、あいつを。

出木杉といえども、高校進学の1学期ぐらいは油断するはずだ。

そのスキを突ければ、必ず出木杉を超えられる。

一回だけでいい。

僕は自分の実力で、中間試験という大舞台で、あいつを、出木杉を負かしてみたいんだ!

 

高校の入学式が済んでも、入学祝で同級生たちがはしゃいでいても、GWでふぬける人達がいても、僕は変わらず勉強し続けた。

みんなうかれている。

高校も中学と同じだと浮かれている。

いや、事実中学と高校は、学ぶ内容が高度になったというだけで、小学校と中学校ほどの差はなかった。

だからだろう。

みんな、遊んだ分は後で取り返せばいいと楽観的に考えていた。

高校に、ぎりぎり入れた人たちは特にそうだっただろう。

きっと、僕も中学校最後の成績がああじゃなかったら、浮かれてる連中の一人だった。

でも、一度ぐらい夢を見たいじゃないか。

あの圧倒的な天才を僕が努力で負かす瞬間を。

今ならそれができる。

出木杉でも浮かれているであろう、この一学期の間なら!

 

出木杉「…………」

 

ちらりと出木杉を見てみたが、あいつは涼しい顔をしていた。

僕がこんなに苦しんでるのになんてやつだ。

絶対度肝を抜いてやるからな。

そう僕は心の中であいつをにらみつけた。

しかし、そこでふと疑問に思った。

どうして出木杉は僕らと同じ高校に進学したんだろう?

出木杉ほどじゃないにしても、優秀な人たちは大部分がレベルが高いと言われる有名な高校に進学していった。

当然出木杉もそうするんじゃないかと思った。

なんたって、開校以来の天才とまで言われてたんだ。

それが蓋を開いてみれば、家に近いからという理由だけで僕らと同じ高校に入学した。

なぜ?

まさか……しずかちゃん狙い?

嫉妬の炎がめらめらと燃え上がっていく。

よく見てみると、出木杉の周りには女子が何人もいて出木杉のことを観察している。

いつもの光景だ。

おのれ出木杉!

あれだけ女子をはべらせておきながら、僕からしずかちゃんを奪おうというのか!

にらみつけていると、不意に出木杉が僕の方を向いて「やあ」とばかりに手を軽く上げてきた。

僕は慌てて顔をそむける。

何をバカなことを考えてるんだ僕は。

出木杉はいつもあんなやつじゃないか。

しずかちゃんを略奪しようなどと、真っ黒なことは考えてはいないだろう。

というか、もともとしずかちゃんはあいつのもので……って、あああああああ、もう!

くそ、だめだ。あいつのことを考えるのはよそう。

そんなことより勉強に集中だ。

絶対に、あいつに一杯くわせてやる!

 

挑戦、なんていえば聞こえはよかったが、結局のところ僕の行動の原動力は嫉妬だった。

今思うと情けないね。

でも、あの時はその熱さが必要でもあったと思うんだ。

 

そして中間試験を迎える。

僕は解いた。

解いて解いて解きまくった。

分かる!

全て分かる!

まるで自分の頭じゃないみたいだ!

集中力も極限のレベルに達していたのだろう。

普段は気になるはずの他人の筆記の音や、筆記具を落とす音、トイレに席を立とうとする音も、何も聞こえない。

最後の科目の回答を終えたとき、僕は鼻血を噴いた。

クラスメートには驚かれたが、僕はなんでもないといって冷静に血を止める。

完璧にやり遂げた。

集中に集中を重ねて、最後は鼻血を噴くレベルまで集中した。

さすがの出木杉も、今回ばかりは負けただろう。

僕は満足感に浸りながら家に帰り、風呂にも入らず布団にぶっ倒れた。

そして試験返却の日。

100点、100点、91点、96点、94点、合計481点。

出木杉は5教科で、だいたい470点前後だったはず。

勝った!

僕はそう確信した。

ついに、あの出木杉の1位を崩したのだ。

たとえ今回限りだとしても、この勝ちは誇りになる。

そう、思った時だった。

配られた成績表を見て、僕はぞっとする。

そこには、総合順位2位と書かれていた。

ジャイアンが「のび太何位だった?」と尋ねてくる。

しずかちゃんが「ええっ!? のび太さん2位なの!? しかも481点!? すごいわ!!」と叫ぶ。

でも、僕の視界は真っ黒だった。

ジャイアンとしずかちゃんは何かを言っていたが、何も耳に入らない。

ただ、ただ、あいつの点数が気になった。

学内の掲示板に走る。

頼む、僕の下であってくれ!

出木杉に勝ってるなら、僕は2位でも構わない!

出木杉以上の天才がいたなら、それは別にいいんだ!

出木杉だけには勝たせてくれ!

そんな祈りを込めて掲示板を見た僕だったが、現実は非情だった。

 

1位 出木杉英才 500点

2位 野比のび太 481点

 

「あ、ああ……」

僕の努力は何だったんだ。

500点?

満点じゃないか!

どれだけやっても勝てないじゃないか!

「あは……」

口から笑い声が漏れる。

涙が止まらない。

「あはははははは!」

僕は壊れた。

一学期の間抑えていた感情のすべてが流れ出して、僕は暴れまわった。

もうめちゃくちゃに暴れまわった。

その日、僕はどうやって家に帰ったかも覚えてない。

 




国語で100点は取れないと言いました。
でも、じゃあ何で出木杉は満点取れてるの? ですよね。
前にも言ったように普通は取れません。
でも、試験を受けるやつが「普通」じゃなかったら?
そして、そんな普通じゃない奴に挑んでしまったのび太君は大丈夫だったのでしょうか?
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