転生した狐はメイドになる   作:くまんじゅう

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すみません!!
クリスマスだってのに、風邪で死んでました!!


魔厭術の真価

 流石に天星宮の中で戦うわけにはいかないということで、私達はヴェルダナーヴァの創った異空間に来ていた。

 

「じゃあ二人とも、ルールの確認だよ。

 1つ、勝負の勝敗はどちらかの戦闘不能又は降参で決まるものとする

 2つ、戦闘不能にする方法は殺害含め問わない

 3つ、外野からの援助は援助を受けた側の即時敗北とする

 4つ、互いに全力で勝負に臨むこと

 これらに違反しないように闘ってね」

 

 ルールの再確認を頭の中で済ませる。ルールはヴェルダナーヴァが決めたものだ。重要な点は、2つ目と3つ目。

 

 まず2つ目、これは私とコルヌがどちらも死んでも復活出来るからと言うのが大きい。それに最悪、心核(ココロ)が砕かれてしまってもヴェルダナーヴァがこの場にはいる。万一が起こりはしないだろう。

 そして3つ目、これは観戦している始原の七天使にむけたものだ。彼らはヴェルダナーヴァの命令に絶対服従だから、彼が任命した調停者をコルヌが殺さないように妨害する可能性があった。それの対抗策がこれだ。

 

 ルールを確認を終えた所で私とコルヌは戦闘態勢に入る。

 コルヌはスキル発動の用意などを終え、私は九曜を打刀にして構え、それに魔厭術の禍々しい炎を纏わせる。

 準備を終え、私達はヴェルダナーヴァの合図を待つ。

 

「・・・・・・・・では、初め!」

 

 合図と同時にコルヌは正面に踏み込み、スキル効果を載せた拳を振り抜く。

 ノウェムは打刀で拳を防ぐが、威力に耐えられず後ろに吹き飛ばされてしまう。

 

(小娘が。ヴェルダナーヴァ様直々の拝命であろうとその程度では認めるわけにはいかん)

 

 コルヌは気を抜かずに、ノウェムが吹き飛んだほうを見やる。

 しかしいつまで経ってもノウェムが復帰せず、よもや一撃で終わったのかと思い始めた時、

 

「・・・っ!!」

 

 殺気を感じた。

 咄嗟に防御し殺気の方に顔を向けると、そこには炎の刀を振り抜いたノウェム。

 

(馬鹿な!? こちらまで戻ってくる気配など一つもなかったはず!)

「貴様!! 何をしたぁ!!」

「防がれた・・・・・・・・・次はもっと工夫しないと」

 

 ノウェムが行ったのは魔厭術『隠蔽』による魔力探知の隠蔽及び身体の隠行。

『隠蔽』はノウェムとルシアが最初に開発し始めた術である。戦いで勝つためにはまず見つからなければいいという考えで作り始めた「敵の魔力探知から自らを隠し、代わりに誤情報を送り付け、更に自らの気配を周囲と同化する」という工程を一度で行うもの。

 普通の魔法でこの工程を再現しても、絶対に同じ結果を得るには至らない。そんな境地にある術がノウェムとルシアの集大成『魔厭術』なのだ。

 

 コルヌが防げたのはノウェムが術を未だに完全に制御出来なかったと云うのが最大の要因。それがなければ、コルヌは首を刎ねられていただろう。しかし、今の攻撃でコルヌの中に少なからずあった油断はなくなった。

 ノウェム最大の失敗によってもたらされたのは、油断のない始原の天使との戦闘だった。

 

(まずいっ! 不意打ちが失敗した! 今みたいな手はもう効かない!!)

 

 焦るノウェムの視界でコルヌが魔法攻撃を放つ。

 魔法の威力は解析の結果、戦闘不能になるほどでは無いが受けるとスペックがダウンしてしまい、致命に繋がりうる。流石にまずいと思い、あまり見せたくはなかったが『福音者』の”虚喰”で取り込み、エネルギーに変換する。

 

「貴様! 何だそれは!!」

「教えるわけないでしょ!!」

 

 怒ったコルヌが何度も同じように魔法を放つ。ノウェムはその度に”虚喰”で取り込むが、限界が近づく。

 

(エネルギーが多すぎる!! このままじゃ保管しきれない!)

 

「チッ!! 仕方無い」

 

 しかし、運が良いことに効果がないと察したコルヌは肉弾戦に移行する。

 

「急に近接戦闘とは、どうしたんですか!」

「貴様が! 我の魔法を打ち消すからだろう!」

 

 ノウェムの打刀とコルヌの拳がぶつかり火花が散る。

 コルヌの拳にはガントレットが装着してあり、これは恐らく神話級(ゴッズ)。でないと九曜とまともに打ち合える訳が無い。

 

(それに、技量もある程度はある。訓練の成果で私の方が上だけどついてこれている。しかし、それにしてもパワーが強い。馬鹿力過ぎて受け流しにくい!)

 

 そんな事を考えているといきなり姿勢を低くしたコルヌがノウェムを空に打ち上げ、弾き飛ばす。

 

「っっ! 痛った!」

(まともに食らった! ・・・でも!)

 

 空に打ち上げられ、痛みにうめきながらも空中でノウェムは九曜の姿形を変化させる。そうして作り上げられたのは──ー弓

 

「貫け!!」

 

 魔厭術で作り上げた”破滅の矢”を地上に向けて射る。

 しかし、上昇してきているコルヌはすんでのところで回避した。

 

「避けるな!」

「あんなヤバそうな矢! 避けん方がどうかしている!!」

 

 ”破滅の矢”は精神生命体であろうと耐性による防御無視で貫く矢。魂そのものを傷つけるため普段のノウェムは絶対に使わないのだが、ここにヴェルダナーヴァがいるということで関係ないとばかりに連射していた。

 しかし、ノウェムが当たらないと気づき、次に移ろうとした時にはコルヌが目の前まで迫っていた。

 

「しまっ」

「堕ちろぉ!!」

 

 地面に向けて殴り飛ばされ、ノウェムが勢いよく落下していく。

 

「ん? 何だこれは!?」

 

 しかし、その様を見ていたコルヌの身体は、いつの間にか蛇のような刀身が絡みついており身動きが取れず、その上今さっきのノウェムのように落下している。そして、何故か自分の上空にいるノウェム。

 

「お前がっ! 堕ちなさいっ!!!!」

 

(意味が分からん! 何故、殴った筈の自分が落ちていてあいつが上にいる!)

 

 答えは簡単、ノウェムは落下した途端に自分に弓から蛇腹剣に変化させた九曜を巻き付け、魔厭術『転身』で自分とコルヌの位置を入れ替えたのだ。”転身”はルドラと初めて戦った時の転移と同じ術だが対象や速度が圧倒的に強化されている。

 

(ここで決める!!)

 

 落下中身動きがとれないコルヌに向けて『陽魔造(マーリン)』と『福音者(コヘレト)』で術式を組み上げ、『信哲者(シリエタモノ)』と『攻究人(パスカル)』でそれを補助する。そして、『憤慨者(シャイタン)』と先程吸収したコルヌの魔法で作った魔素を基準値以上に術に注いで威力を底上げする。

 

「ふざけるなぁぁぁぁ!!!!」

 

 コルヌにが叫ぶ。しかし、もう遅い、遅すぎる。

 ぶっつけ本番でノウェムが全てのスキルをフル活用して初めて放つ、現在のノウェムにとって最強の技。

 

「【閻魔降星爆(マリニュス・ノヴァ)】!!!」

 

 生まれた禍々しい光の奔流がコルヌを呑み込む。

 呑み込まれたコルヌは塵すら残せずに心核(ココロ)すら破壊され、完全に消滅した。

 光の奔流はコルヌを破壊しても止まらず地上に激突した。

 

 ノウェムは魔素を使い果たし、落下しながら思い浮かべる。

(これで、少しはみんなに追いつけたかな)

 

《確認しました。ユニークスキル『陽魔造(マーリン)』がユニークスキル『福音者(コヘレト)』を生贄に進化・・・・・・・・・・・成功しました》

 

《ユニークスキル『陽魔造(マーリン)』は究極能力(アルティメットスキル)閻福之王(ヘカテー)』に進化しました》

 

 消えゆく意識の中で、そんな言葉が聞こえた気がした。




マリニュス・ノヴァはデカルトのgenius malignusが元ネタです。
後、書き忘れていましたが魔厭術は魔法と禁厭が元です。

よく考えたら入れ替えが天岩戸って意味わからなかったので変更しました。
天岩戸→転身

ギィ以外の原初って出す? どうでもいいが作者はテスタロッサが好き

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