転生した狐はメイドになる   作:くまんじゅう

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説明回です


閻福之王

 始原の天使達は皆一様に瞠目していた。

 今、目の前で起きた埓外の出来事に。

 生まれて未だ100年も経っていない魔物が自らと同じ始原たるコルヌに勝利し、あまつさえ自力で究極の力に目覚めたのだから。

 

「ヴェルダナーヴァ様・・・あれは、なんなのですか?」

「ん? あれって?」

 

 ヴェルダナーヴァがそう返す声はとても優しく慈しみに溢れたものだった。その慈しみも今落下している者に向けているのだろう。

 

「あの、調停者は何なのですか・・・・究極の力を土壇場で、それも自力で獲得するなんて貴方様の御弟妹ですらやったことがない。それを・・・」

「あの子はね、僕と初めて会った時、恐怖で震えていたけど、それでも自分の意思を貫き通したんだ。だから、こうなるのも必然だったのかもね」

 

 何だそれはと、素直にフェルドウェイは思った。

 創造神であるヴェルダナーヴァに平伏せず自らの意思を貫き通すなど、普通できない。いや、あってはならない。

 ましてや、それを為したのがただの魔物だということが信じられない。

 しかし、事実としてノウェムはヴェルダナーヴァ相手に折れず、そして始原に勝って究極能力を獲得したという。

 その事実を受け入れるしか彼らはできない。

 

「おっと。そろそろ地面にぶつかりそうだ」

 

 そう言って意識のないノウェムを助けにヴェルダナーヴァが飛び去った方を見る。

 そこには──────ノウェムの【閻魔降星爆】(マリニュス・ノヴァ)がヴェルダナーヴァが、創造神が直々に創った異空間に開けた、広大な次元の裂け目が広がっていた。

 

 ***********************

 

 ・・・・・・ぅん・・・・・ん・・・・・

 

 意識が微睡む。

 

(どう・・・なった・・・・・・・・・勝った・・・・・のか?)

 

 考えが定まらない。はっきりとしない。・・・・・・・・・・気持ち悪い

 まとまらない思考に嫌気が差し、無理矢理に意識を覚醒させる。

 

「っ!! どうなった!!」

「おはよう、ノウェム。コルヌへの勝利おめでとう」

 

 飛び起きて目をかっ開いて周囲を見渡していると、頭上からヴェルダナーヴァの声が聞こえてきた。

 

「そう、ですか・・・・・・・・・・・良かった」

 

 本当に良かった。調停者として活動するためにも、理想のためにも、ここで勝てなくては力を持たずに理想を語る愚者になるところだった。・・・・それにしても、

 

「ヴェルダナーヴァ様」

「なんだい?」

「いつもより力が溢れてくるのですが、どういうことですか?」

「ああ、それね、多分究極能力(アルティメットスキル)を獲得したからだと思うよ」

 

究極能力(アルティメットスキル)!? どういうこと!?)

 

 そう聞いて急いで自分を解析鑑定すると、本当に獲得していた。

 究極能力『閻福之王』(ヘカテー)

 そうか、意識を失う寸前に聞こえてきたのは世界の言葉だったのか。どうやら、『陽魔造』(マーリン)『福音者』(コヘレト)があわさって出来たスキルのようだ。権能は、

 

『閻福之王』・・・思考加速、詠唱破棄、術理創造、法則支配、世界宣告、静寂、虚喰、胃袋

 

 の8つだ。一言で言おう───ヤバい。

 

 まずこのスキルの名前が「ヘカテー」だ。神様だ。元々「マーリン」や「コヘレト」とか人の名前がついてるなあ〜とは思ってたんだよ! でもこれはヤバい。

 まずヘカテーという女神について話そう。ヘカテーはギリシャ神話に登場する魔術、冥界、月、豊穣、浄め、贖罪などを司るとにかく凄い神様で「無敵の女王」とまで呼ばれることもある三面三体の女神だ。

 その上でこの権能について見ていくと、ヘカテーをモデルにした『陽魔造』(マーリン)『福音者』(コヘレト)の強いとこ取りだ。

 思考加速や詠唱破棄は言わずもがな、術理創造は『陽魔造』の頃より自由度が上がっているし、天候操作や念動力は法則支配に統合されより多くの事象に干渉できるようになった。

 

また、『福音者』の権能がえげつない程に強化された。

 

 まず、”静寂”は”平静”はから進化した権能で、以前は魔法とスキルの効果にしか影響が及ばなかったが、今は、魔法なら霧散させると同時に解析して術理創造と併用することでその魔法を再現でき、発動中のスキルなら一時的に強制停止させられる。

 次に”虚喰”と”胃袋”だが、これはコルヌと戦っているときに感じた危機に対応するためのものだろう。虚喰は変わらないが、胃袋という異空間を体内に生成出来るようになったことで、エネルギーの溜め過ぎで全身がバーンとなることはもう無くなった。

 

 最後に最も強化されたのが”世界宣告”だ。これはヤバい、冗談抜きでヤバ過ぎる。

 この権能を超簡単に説明すると「世界の言葉への干渉権限」だ。”宣告”の時はどこでも相手に幻聴を聞かせられる程度の地味権能だったのが、”世界の言葉”を通じて相手に発言を聞かせられる様になった。

 そして、解析鑑定をしていて分かったのだが、九曜(グラハ)と合わせて使うことでこれはもっと効果を発揮する。まず、九曜の形態の一つには「指輪」がある。今まではヴェルダナーヴァにもアクセサリーの趣味があったのか、程度に思っていたが、この形態の本質は「使用者の権限の拡大」だ。これがあることで”世界宣告”は世界の言葉の秘匿も、大人数への一斉干渉も、世界への直接申請も出来るようになった。

 というか・・・・・・・・・・

 

「ヴェルダナーヴァ様。干渉しましたね」

 

 ヴェルダナーヴァは「ヤベぇバレた」とでも言いたげな表情で言い訳をし始めた。

 

「いやね、ヴェルザードやヴェルグリンドに究極能力(アルティメットスキル)をあげてたからノウェムに何もあげないのは不公平かな〜ってね! それに、干渉したのは世界宣告だけd」

「問答無用!!」

 

 スキルが究極能力に進化したことで更に強化された魔厭術を拳に纏わせヴェルダナーヴァの顔面にプチ閻魔降星爆(マリニュス・ノヴァ)とでも言うべき威力の一撃を叩き込む。吹っ飛んでいったヴェルダナーヴァを見ながら、これはルシアにも報告だなと、改めて決意した。

 

 *****************

 

 その後、ヴェルダナーヴァに復活されたコルヌに舐めていたことの謝罪などもされ、始原の七天使全員とお茶会のようなものを先程よりも少し硬い空気の中でしてから天星宮を後にした。

 

(やっぱり始原の人達、みんな引いてたな〜。コルヌさんに至っては私に少し怯えていたし、今後に悪影響がなきゃいいけど)

 

 そんなこんなで私の激動の一日は終わりを迎えたのだった。

 

 後日、今回のヴェルダナーヴァのやらかしをルシアに報告したらヴェルダナーヴァが滅茶苦茶怒られて魔法の的にされてたので、意趣返しとして最高の気分だった。




・・・・・・・・・・盛りすぎたか?



ステータス
 
名前:ノウェム
種族:上位聖魔霊──幻竜狐
加護:精霊女王の加護、星王の紋章
称号:嚆矢の異世界人、調停者
魔法:<元素魔法><物理魔法><精霊魔法><上位精霊召喚><上位悪魔召喚><陰陽術><神聖魔法><核撃魔法><魔厭術>
技能:固有スキル『神獣化バカスモノ』
アルティメットスキル:『閻福之王ヘカテー』・・・思考加速、詠唱破棄、術理創造、法則支配、世界宣告、静寂、虚喰、胃袋
ユニークスキル:『憤慨者シャイタン』『信哲者シリエタモノ』『攻究人パスカル』
耐性:『痛覚無効』『物理攻撃無効』『状態異常無効』『自然影響無効』『精神攻撃耐性』『聖魔攻撃耐性』
保有武器:[九曜グラハ]

ギィ以外の原初って出す? どうでもいいが作者はテスタロッサが好き

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