転生した狐はメイドになる   作:くまんじゅう

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前回出てきた王様と男は描写外で殺されています!

次回投稿まで少し時間がかかるかもしれません。申し訳ありません。



収穫祭

 微睡む意識の中で、技術もへったくれもなく怒りに任せて人を殺すためだけに暴れている自分の体を俯瞰する。

 俯瞰して見た自分が、余りにも醜くて、余りにも愚かで・・・・・・・・二人の危機に何も出来なかった無能な自分が嫌で、ミリムに親を失わせてしまった罪悪感が溢れてきて、

 

 

(・・・・・・・死にたい)

 

 

 ヴェルダナーヴァ、ルシア、ルドラ、ヴェルグリンド、ミリム達と一緒にいた時の楽しい思い出を上から雑に塗りつぶされているような感覚を覚えて、思わず言葉が漏れてしまう。

 漏れた言葉が何処までも暗い空間に響いている。

 

 

(ここどこだろう? ・・・・・・・いや、どこでもいいか)

 

 

 なんて、雑に決めて心を閉ざそうとしている私の視界の端を、淡い色を放つ何かが横切った。

 反応する気も起きなくて無視して蹲ろうとしても、それは視界をハエのように何度も横切る。

 鬱陶しくなって思わず顔を上げた私の虹彩には、謎のポーズを取ってはしゃぎまわっている幼子と子竜の姿が写った。

 

 

(ミリム、ちゃん?)

 

 

 ミリムだ。

 驚いて周囲を見回すと、同じように淡い光を放つモヤの中に見覚えのある光景が写ったものが、私を囲むように浮かんでいた。

 

 

 あるものにはラミリスさんとの出会いが、

 あるものにはルシアとの魔法研究が、

 あるものにはルドラとの模擬戦が、

 あるものにはヴェルグリンドとの空の旅が、

 あるものにはヴェルダナーヴァとの酒盛りが、

 そしてあるものには前世の両親と兄が、写っていた。

 

 

(私の、記憶?)

 

 

 認識した途端、それらが眩い光を放つ。

 たまらず目を閉じ、瞼を開いた時には意識が現実世界へと戻ってきていた。

 視界には何処までも闇が続く空間ではなく、崩壊し焦土と化した城のようなものと麓に広がる街がと顔をのぞかせてくる美しい朝日が写っている。

 

 

「どういう・・・・・・・こと?」

 

 

 疑問が止まらない。

 激怒を保有者が自発的に止める方法は存在しないはず。それなのにスキルが停止した。

 慌てて『憤慨者』のスキルを確認すると、とある権能が目に入った。

 

 

『鎮怒』

 元から『憤慨者』に備わっていた権能ではなく、ヴェルダナーヴァと初めて会って調停者になった時にもらった祝福(ギフト)だ。

 効果は『激怒』の強制停止、そして激怒を使用して弱っているであろう心を安定させるために幸せな記憶を見せること。

 

 

「・・・・・・・ヴェルダナーヴァは分かっていたんですかね? こうなることが」

 

 

 疑問として口に出しているが、胸中ではもう確信している。

 ヴェルダナーヴァに感謝しないといけない。怒りは未だに心の内で燃え盛っているが、お陰で怒りより優先しなければいけないことを思い出せた。

 二人の忘れ形見を守らないと、そう思うと、もう死のうなどとは思えなかった。

 

 

「ディーノさん。国は滅びましたけど、これからどうします?」

 

 

 感知で近づいていると分かっていたディーノに振り返らずに問いかける。今は美しく輝いているている朝日から目を逸らしたくなかったから。

 

 

「俺は御二人の御息女をお守りすることにするよ。まあ、影でだけどな」

「ふふっ、貴方も私と同じ結論に達したんですね」

 

 

 それに、私の場合は調停者としての役目もこなさないといけないな。

 そう振り返っていると、ふとこれから私に訪れるであろうことを思い出した。

 

 

「ディーノさん、貴方とは一度お別れです」

「どういうことだ?」

「私は魂を浴びすぎたので、恐らく今から魔王に覚醒するでしょう。その時、天使のあなたに影響があるといけませんから。まあ、あなたのスキルも変質しているようなので今更かもしれませんが」

「・・・・・ああ、分かった」

 

 

 結界を解除した空から飛び去っていくディーノを見送る。王城と城下町があった場所には、無残に破壊された城の残骸とその上に立つ私一人。

 一人になると、色んな物が胸のうちから込み上げてきた。

 

 

「あぁ、終わったよ・・・・・・・・・・・・ヴェルダナーヴァ様、ルシア、貴方達の仇は取りましたよ」

 

 

 ***************************

 

 

 ディーノを見送った後、ナスカ王城に転移した。魔王への進化(ハーベストフェスティバル)中の護衛を頼みたかったのと、二人には事の顛末を説明しておきたかったからだ。

 

 

「ノウェム! 漸く見つけたぞ!」

「二人が亡くなったって!!! 今直ぐ二人のもとに!!」

「二人とも、その件で話があります」

「今はそんな場合じゃっ──────!!!」

 

 

 話を遮った私を見た二人とも、私が魔王に覚醒しようとしていることに気がついたようだ。面白いくらいに絶句している。

 その後、ルドラとヴェルグリンドに事のあらましを説明した。所々で感情が高ぶっていたが、そこは自ら諌めていた。二人は本当に強い、能力ではなくその精神が。

 顔を合わせた直後は動揺が大きかった二人だが、復讐を果たしたことを説明した時には、滅茶苦茶怒られたがそれ以上に心配された。

 なんとか感情を飲み込んで、進化中の護衛を引き受けてくれたので安心して進化できる。

 

 

《告。進化条件(タネノハツガ)に必要な人間の魂(ヨウブン)を確認します・・・・・・・認識しました》

《規定条件が満たされました。これより、魔王への進化(ハーベストフェスティバル)が開始されます》

 

 

 王城の私室で二人が見守る中、椅子に座って魔王への進化を開始した。

 進化。改めてそのことを認識し、以前ヴェルダナーヴァが私は進化すれば竜種と同格になれると言っていたことを思い出した。

 それならば、少しでも成功の可能性を高めておいたほうが良いだろう。

 

 

「『世界宣告』」

《告。宣告、及び申請を確認しました》

《申請により、個体名ノウェムの魔王への進化(ハーベストフェスティバル)には、胃袋内に存在する竜種の因子を素材として使用します》

 

 

 これが進化にどんな影響をもたらすのかは分からないが、悪いようにはならないだろう。

 

 

《告。魔王への進化(ハーベストフェスティバル)が開始されました。身体組成が再構成され、新たな種族へ進化します》

《個体名ノウェムの胃袋内の竜種の因子を確認・・・・・認識しました。

 灼熱竜の鱗、白氷竜の鱗、暴風竜の鱗及び血肉、星王竜の血肉を解析及び生贄に使用し、新たな種族へと進化します》

 

 

 世界の言葉に従い、進化が開始される。

 進化が始まった途端、私の肉体が進化のエネルギーへと変換され、繭のようなものに全身が包まれる。

 

 

《確認しました。種族:幻竜狐から新たなる種族:星閻竜狐への超進化・・・・・成功しました。進化により、身体組成が竜種と同種に再構築されました》

《続けて、旧個体にて既得の各種スキル及び、耐性を再取得・・・・成功しました。新規固有スキル、無限再生,魔王覇気,竜霊覇気,を獲得・・・・・成功しました。魔王覇気は竜霊覇気に統合されました》

《続けて、新規耐性、精神攻撃無効を獲得・・・・・成功しました。以上で進化を完了します》

《この宣告は個体名ノウェムによって秘匿されました》

 

 

 私とディーノで滅ぼした国は90万の人間が暮らしていた。そして今回私が手に入れた魂はディーノが手に入れた約50万の魂を除いた40万個。種族としての進化には30万個ほど魂を必要とした。そのため、まだ10万個余りの魂が余っている。刈り取った上で有効活用しないというのは、例え憎い相手だったとしても命を奪った者として失礼だろう。そう思って、余った魂を使ってスキルの進化を開始した。

 

 

《告。申請により、これより個体名ノウェムの能力(スキル)進化を開始します》

《確認しました。ユニークスキル『憤慨者(シャイタン)』がユニークスキル『悪虐者(ココロナキモノ)』と10万の魂を生贄に進化・・・・・・・・成功しました》

《ユニークスキル『憤慨者(シャイタン)』は究極能力『怨嗟之王(イブリース)』に進化しました》

《この宣告は個体名ノウェムによって秘匿されました》

 

 

 魔王への進化とスキルの進化が完了したため、私を包んでいた繭のようなものを破って外に出る。

 意外とあっさりと進化は終了したが、その実私の内にあるエネルギーは比較にならない程に増大している。これからは虚飾之王でステータスを偽装しながら生活したほうが良さそうだ。

 あとは進化の光景に本日二度目の絶句をしている二人への説明が残っているが、これからは────

 

 

「ミリムちゃんの新しい家を何処かに造って、暫くは一緒に暮そうかな」

 




シリアスシーンが一瞬で終わった・・・・・やりすぎたら戻れなくなるので仕方なかったんです!!!(もっといい曇らせ方が思いつきませんでしたぁぁぁぁぁぁ!!!!すいませぇぇぇぇぇぇん!!!)

魔王への進化は中断不可能なんですが、魂を一時保管してそれで開始タイミングの調整はできるというオリ設定です。(作者のガバとも言う)

すみません随分前から固有スキル欄消してました。神獣化に入ってた万能変化と感知系は虚飾之王に入って能力が変わっています。それで新しい万能変化と万能感知をノウェムは虚飾之王手に入れたときに貰ってました。
存在値の方はノウェムは生まれたときから聖魔霊なので結構あり、魔素倍加がありますから憤慨者時代で一時的に2倍に、怨嗟之王に進化したことで一時的に5倍に出来るようになりました。そこに創世級の九曜の4000万分が上乗せされるので最大時には1億3000万強ぐらいです。これより上をいく原作ラスト勢って,,,,,なに?

********************


ステータス
 
名前:ノウェム
存在値∶1794万2467(+魔加五重)(+九曜)──1億2971万2335
種族:最上位聖魔霊──星閻竜狐
庇護∶星閻の庇護
称号:嚆矢の異世界人、調停者、審判者、真なる魔王
魔法:<元素魔法><物理魔法><精霊魔法><上位精霊召喚><上位悪魔召喚><陰陽術><神聖魔法><核撃魔法><魔厭術><竜種魔法>
固有スキル:『万能変化』『万能感知』『竜霊覇気』『無限再生』
アルティメットスキル:『閻福之王ヘカテー』・・・思考加速、詠唱破棄、術理創造、法則支配、世界宣告、静寂、虚喰、胃袋
『虚飾之王アルコン』・・・霊知、隠匿、悪壊、属性変換、空間支配、物質創造
『知識之王ラファエル』・・・思考加速、解析鑑定、並列演算、詠唱破棄、森羅万象、多重結界、思念支配、統合分離
『怨嗟之王イブリース』・・・魔加五重、激怒、鎮怒、死魔、失楽世界
耐性:『痛覚無効』『物理攻撃無効』『状態異常無効』『自然影響無効』『精神攻撃無効』『聖魔攻撃耐性』
保有武器:[九曜グラハ]

ノウェムが虚無崩壊を得るか?

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