転生した狐はメイドになる   作:くまんじゅう

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展開が滅茶苦茶になった、、、、、、。



憤怒

 暴風大妖禍(カリュブディス)の力をテストし始めて半日ほど。

 生半可な力では傷がついてもすぐに『超速再生』で回復され鱗の嵐が降り注ぎ、鱗を対処しても眷属の空泳巨大鮫(メガロドン)に邪魔をされてその間に回復される。

 

 “耐久性能が高い持久戦特化の魔物”

 

 それが私が暴風大妖禍に下した結論だった。しかし「耐久性能が高い」というのはそれだけで非常に厄介なもので、通常の国などでは通過するだけで甚大な被害が出るだろう。私は獣形態から人獣形態に戻り、この魔物の今後のことを考えていた。

 

「分かっていたことですけど、ただ倒しただけでは数百年後に復活するってだけで、調停者が対処しないといけない特別な魔物って言う訳じゃないですね。一先ずの対応は放置で問題なさそうです」

 

 人間のために私が過剰に魔物を狩っていたのでは、彼らの成長を促せ無い。そのためにも、この魔物は”天災”として放置しておくのが一番安牌な結論だろう。

 

「じゃ、帰ろうk・・・・・・」

 

 暴風大妖禍への対応も決まり、そろそろ帰ろうと思い始めた瞬間────私の体の奥底で違和感が走った。

 

「フィリアの精霊が死んだ?」

 

 私が名付け、フィリアを構成する一部として組み込んでいた精霊の反応が消滅したのだ。魂の回廊が切断されたと言い換えてもいい。

 

『・・・・ぇね!! ・・・・た・・・けて!!!!』

 

 精霊の消滅と時を同じくして、酷い雑音の混じった思念がミリムより飛んでくる。

 フィリアとミリム自身から発せられたその緊急事態に、脳裏に数年前の絶望の記憶がフラッシュバックする。トラウマが蘇りそうになり、それに追い立てられるようにして私は家へ転移し──────────超大な威力の一撃に襲われた。

 

 

 

 **********************

 

 

 

「なっ!?」

 

 完全に不意打ちだった攻撃に為す術もなく吹き飛ばされる。

 吹き飛ばされる中で攻撃放った存在が目に映り、私は驚愕に目を見開いた。

 

「ミリムちゃん!? どうしてっ!!!」

 

 ミリムが私を攻撃した? それよりもあの攻撃の馬鹿げた威力は何だ? 

 そんな疑問が脳裏をかすめながらも、幸い追撃が無かったため体勢を立て直して状況確認に入る。

 俯瞰して見た状況は思っていたもずっと悪い。というより、想定していた中でも最悪のシナリオと言っても過言ではなかった。

 

「本当に最悪!! 魔素増殖炉が暴走してる!!!」

 

 ミリムの体内に眠っていた劇物────魔素増殖炉。以前間接的に使用し、解析した時に私はその絶大な力を危険性を認識した。その火薬庫の数億倍も危険な能力が暴走した。

 原因は恐らくミリムの友達、つまり子竜の死だろう。

 崩壊した家の中にある子竜の亡骸と、暴走し我を失ったミリムを取り囲んでいる軍隊。この二つから鑑みるにコイツらがミリム襲撃し、子竜を殺した。それが起爆剤となり、また燃料にもなって暴走したミリムを突き動かしているのだ。

 

 つまり────この国王が、国がこの惨劇の原因だ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・そっか。なら、ミリムちゃんの怒りも当然か」

 

 ミリムが暴走した原因を理解した途端、私の中にあったミリムを止めようとする意志が消失した。

 

 以前ギィとミリムについて話したときにも予想していたが、私の心は今の状況をミリムにとっての試練として許容している。許容してしまっている。だから私は怒りに突き動かされる彼女を止められない。

 国を滅ぼしても尚、彼女が暴威を振り撒くのなら私は彼女を止める。しかし、この国を滅ぼすだけならば、どれだけ彼女が罪を犯しても────例え彼女が魔王になったとしても私は止めない。

 これだけの魔素が吹き荒れているのだ、恐らく私以外の調停者・・・ラミリスさんとギィもこの場に来るだろう。その二人にミリムの対応は任せて、私は星への被害を少しでも減らすことにする。

 

「ああでも、奈南ちゃんだけは逃がしておこう」

 

 奈南はあの国に、あの街にいる。この世界で生まれたのではなく、この世界に無理やり連れてこられただけの彼女には何の責任もない。自分の姪で、前世で残してきた家族の大事な人だからという贔屓が入っているのを自覚しながらも、私は街にいる彼女を大陸の反対側に転移させた。

 

 

 

 

 

 私はミリムが国を、人々を滅ぼしている光景を一晩中見続けた。

 彼女の齎す破壊から目を背けられなかったのだ。その破壊は、この状況を調停者でありながらも、彼女の親代わりでありながらも見逃している私の罪でもあったのだから。

 

 

 ***********************

 

 

「ノウェムよぉ、これはどういう状況だ?」

 

 ミリムが国を滅ぼし尽くし、魔王に進化ながらも更に暴れようとしている最中、ギィが転移して質問を投げかけてきた。

 

「端的に言うと、ミリムちゃんが国を滅ぼして魔王に覚醒しました。そして魔素増殖炉が暴走しています」

「それで? なんで止めなかったんだ?」

 

 その疑問には先程の私の胸中を思念として送りつけることで回答する。受け取ったギィは一瞬で理解し、私が彼に何を頼みたいのかすらも見当がついたようで、苦笑しながらも了承してくれた。

 丁度その時、ミリムの魔王への進化が完了し魔素増殖炉が究極能力(アルティメットスキル)憤怒之王(サタナエル)』として存在の確立を果たした。ここまでならば想定内の、ギィが対応を了承してくれていた事象だったのだが、そこで予想外の事態が発生した。

 

「・・・・・・・・ギィさん」

「ああ、ミリムから馬鹿げた量のエネルギーがあの死体へ流れ込んでやがる」

 

 あれは・・・・・・・・ダメだろう。魂を失った肉体に多大な力が流れ込み、蘇生したは良いが意思なき魔物として覚醒しようとしている。解析した所、厄介なことに周囲を一方的に霊子へと変質させる『能力封殺(アンチスキル)』という力を獲得してしまっている。これではスキルや魔法、更には魔厭術でさえも役に立たなくなってしまう。圧倒的なスキルなどの力によるゴリ押しも可能だろうが、通常そんなことは無理だ。それが出来るだろう調停者の二人もこれからミリムに対処しなければならない。なら、

 

「私がやるしか無い、か・・・・・・・・ギィさん、ミリムちゃんが落ち着いたら思念を飛ばして下さい。私もそちらに向かいますから」

「ああ、いいぜ・・・・・・それじゃあ、俺はミリムの相手をしてくる。そろそろヤバそうだからな」

「ありがとうございます──────それと、これからはミリムちゃんをお願いしますね。同じ”魔王”として」

 

 

 そんな会話をしてギィと私は別れた。

 話している最中にふと思ったのだが、今の私は恐らく能面のような顔をしているのだろう。全く感情が揺れ動いている感じがしないし、声も上擦れない。こんな気分を「冷水を浴びせられたような気持ち」というのだろうか? 

 子竜だった魔物を前にして、そんなどうでもいい考えが頭に浮かんだ。

 

 これから私は剣と手加減したスキルのみでこの魔物を相手取らなければいけない。幸い九曜(グラハ)はヴェルダナーヴァが作ったが武器のため霊子にされることはない。心置きなく戦えるだろう。

 スキルを手加減するのはミリムのためだ。この子を今後どうするかは出来る限りミリムの想いを尊重してあげたい。だからミリムが正気を取り戻すまで、私はこの子を殺さないようにして相手取る。

 

「貴方がこうなってしまったのは悲しいですが、ミリムちゃんに比べたら私の悲しみなんて雀の涙にも満たないんです。だから、今は私で我慢してくだいね」

 

 そう呼びかけて、私は子竜だった魔物との───混沌竜(カオスドラゴン)との、7日に渡る戦いを開始した。

 




期末テストが近いため二次を書くのは一時的にお休みします。
次の話は、話を書くのにも時間がかかりそうな展開なのでかなり時間が開くかもしれません。温かい目で見守って頂けると幸いです。

閑話として異世界人の話を2話書こうと思っていて、1話は決まっているんですが、あと1話が決まっていません。読みたい異世界人の話に投票お願いします。

  • 奴隷になり、買ったノウェムを信仰した少女
  • 日曜朝の変身ヒロインに憧れた少年
  • 手に入れた力に溺れた青年
  • 歓楽街で女帝と呼ばれた艶女
  • 聖女だったが転移後は魔女と呼ばれた少女
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