作者が風邪を引いて時間ができたため書きました+二十万UA感謝!
お祭り。
この言葉を聞けば、きっと老若男女誰もが少なからずワクワクし、浮き足立つ。
縁日や花火、トマト投げや踊りなど、世界中には様々な形のお祭りが存在し、そのどれに於いても、人々は騒ぎ楽しみ笑顔になる。
私だってお祭りは大好きだ。
転生する前は射的や金魚すくい、輪投げに型抜きと多くの屋台で遊び回り、お金を溶かしていた。射的と買い食いに熱中して所持金14000円を2時間で1000円まで減らしたのは転生しても忘れられなかった思い出だ。
恐らく、お祭りを嫌いだという人は少ないのではないだろうか?
そして、それは異世界でも大して変わらないらしい。
出店が多く建ち並ぶ並ぶ大通りを呆れるほどに沢山の人々が行き交い、煩いほどの賑わいが街に溢れている。人と魔物の、決して交わらないはずだった声同士が混じり合い、この喧騒は生まれていた。
「驚いた、あれからこんな短時間で復興するとはね」
本来であれば喜ぶべきこの光景は、別の観点で見ればファルムス王国の侵攻で街は破壊し尽くされたはずの街が1年も経たずに開国祭という一大行事を執り行うまでに復興している、魔物の国のすなわち異常な技術の査証に他ならないため素直には喜べないのだが。
「そうね、そうなのよ、やはりこの国は危険だわ。まさかたったの2年でここまで発展するなんて、想定外だったのよ」
現在、私は【尾裂の術】の分体の一つを使って魔物の国の『開国祭』に訪れていた。本体はルミナス様と共に来るのだが、態々新しく分身体を作ってまで別行動をしているのには理由がある。
私はその理由そのものとも言える少女に声をかけた。
「それで、ここでは何を見たいんでしたっけ、
「この国の発展度合いと脅威度の見物と、ついでに向こうの世界の物を幾つか堪能しようと思っているのよ」
彼女の代名詞とも呼べる『強欲』に染まった瞳でこちらを見上げるのは、金色の髪の人形のような少女。
偉大な祖父に『人類の希望』とまで称された彼女の名は、マリアベル・ロッゾ。
祖父と並び、私が態々分身体を作る原因になった少女にして、魔王リムルと対を成す人類側の転生者であった。
「それじゃあとりあえず、満腹にならない程度に食べ歩きでもしますか。夜の前夜祭には遅れないようにしなければなりませんし」
「ええ、シルトロッゾ王国の来賓として招かれてしまったのだわ。だから、そこで魔王リムルの力を一度見物するつもりなの。貴方も来るの───
私を下にしか見ていない事がありありと現れているマリアベルの瞳に、前前世の優しさはどこに行ってしまったのだろうという悲しさがある。
また、彼女が発言した通り、今の私の姿は私の姿であって私の姿ではない。
桃色の髪に青空のような碧眼、紺色のセーラー服に灰色の羽織を纏う、遠い昔にこの世界に実在した真なる勇者の姿。最古の白い悪魔が見れば、思わず頬を吊り上げて嗤うであろう少女───『燎火の勇者』清水奈南の姿だ。
どうして奈南の姿をしているのかというのには、少し面倒な事情がある。
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「───彼の地に新たな経済圏が生まれるのを阻止しようではないか!」
「おっと、お待ちください。今後とも良き関係でいたいというのは本音ですが、何せ我らには魔王リムルと敵対する理由などございませんからねぇ」
シルトロッゾ王国の首都『シア』に位置する王城、その一室で二人の男が暖炉を囲んで話をしていた。
これは私が元の世界へ帰省するほんの少し前の話だ。私は【
「どのみちヒナタに顔が割れている私では、西側諸国での活動は困難です。私は本国に戻り、代わりの者をよこすとしましょう。───取引は、これまで通りに。今回の件は水に流すということで」
「まぁいい、せめて我らの邪魔だけはしないでもらいたい」
「当然ですとも」
今ちょうど、男の一人───ダムラダ、ヒナタたちには東の商人と呼ばれている人物が部屋を出たところだ。
「忌々しい・・・わしの足元を見るとは。───事が終われば、次は貴様らだ」
楽しい密談も十分聞かせてもらったし、そろそろ話しかけてもいい頃だろう。
そう思い立ち、部屋の隅にいる少女───マリアベルを魔法で眠らせ、姿を見せた。少しはびっくりしてくれるといいけど。
「グランちゃん、そんな怖い顔して、今度は何をするつもりなの?」
「───! ・・・これはこれはノウェム様、貴方があの方の傍を離れるとは珍しい」
私が用があった人物であり部屋に残った男────グランベル少し驚いたように目を見開いたが、しかし直に元の仏頂面に戻ってしまった。
というかこの口ぶり、やっぱりバレてたか。
「して、『何をするつもり』でしたか、先程までの話を聞いていたのでは?」
「やっぱりバレてましたか」
「魔厭術【鬼唾】、肉体を構成する魔素に光や音の振動、そして魔素や霊子を含む万物を透過させる性質を与え、自身の存在を世界に黙殺させる至高の術式・・・・・懐かしいですな」
「だからかぁ! グランちゃん一番最初に教えた【隠蔽】の発展術式だからそりゃわかるよね!」
グランベルとの関係は勇者だった彼が魔王であるルミナス様と和解した頃、彼の妻に何となくルシアの面影を感じて彼女との思い出の技術である魔厭術を教えてあげたのが始まりだった。
自分でもどうしてなか分からないのだが、彼の妻───マリアにはルシアを重ねて見てしまったのだ。6700年以上誰にも明かしたことのなかった魔厭術の術式理論を教えてしまうほどに、重ねてしまったのだ。共通点なんて心根の優しさくらいしかなかったのに。
「それで、用件は?」
「あぁ、そうだったそうだった、グランちゃんに聞きたいことがあって来たんだった」
グランベルに脱線を修正され、本来の用件を思い出す。彼のもとにはこれを聞こうと思って来たのだった。
「グランちゃん、いえ───グランベル・ロッゾ、正直に答えなさい。貴方、何をするつもり?」
きな臭い動きをする東の帝国、暗躍する中庸道化連に
これらが不自然なくらい、共通して彼の影響を受けているのだ。東の帝国の異世界人含め、転生者以外の異世界からの来訪者は全て【尾裂の術】の効果で監視しているが、ここ最近の彼らの活発さは異常だ。
500年ごとの天魔大戦が早まったのではと思ってしまうほどには異常だった。違和感を抱くなという方が無理な話だ。
私の脅迫ともとれる要求にグランベルはしばし考え、ゆっくりと話し始めてくれた。彼にとっての最悪の場合の話しをだが、それでも話してくれたのだ。
「そうですな・・・・・貴方にならば話しても問題無いでしょう。これは私の希望が潰えてしまった時の、最後の手段ですが─────」
そうして彼が語ってくれた壮大な計画は、私にとってある種の希望とも呼べるものだったと同時に、自分の末路を黙って見ていろと、言外に告げてくるかのような計画だった。
「最強の勇者の誕生、ですか・・・・・大それた事をいいますね」
「私の悲願に2番目に近い計画だ。だが成功する可能性は限りなくゼロに近い・・・・・だからこそ、貴様には別の計画にも協力してもらおう」
グランベルは口調を威圧的なものに変え、見たこと無いほどに鋭い眼光で見つめてくる。
しかし、私は調停者だ。使命の関係上魔王と勇者のどちらかへの一方的な肩入れは出来ない。
「無理でs────」
「契約を忘れたわけではあるまい?」
「───!」
私が拒否するのを分かっていたかのようにグランベルはその言葉を告げた。
この世界においては何の変哲もない言葉、しかしこと私とグランベルの間においては何より重い言葉だ。
契約。それはマリアが死んで失意に沈み、魂すら濁っていくグランベルを見ていられなくて、少しの慰めになればと思って彼と交わしたもの。
『一度だけ、ノウェムはグランベルの要求を完璧に叶えること』
それをグランベルは使うつもりのようだ。
「・・・分かりました。貴方が願った時、私はその願いに答えましょう」
彼が望んだ時、その望みを私は叶えよう・・・・・だからまあ、これはちょっとしたオマケだ。
「それとは別にあの子、魔物の国の開国祭に行くつもりなんでしょう? その間は護衛として一緒に行ってあげますよ」
「ほう、それはどういう心づもりだ?」
「ちょっとしたオマケですよ。それに私自身、マリアベルちゃんとは少し話してみたかったので。ああ、私だとバレることは心配しなくてもいいですよ。ルミナス様が私だと気付けない姿を取りますから」
──
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──────
あの後マリアベルには私のことはグランベルの配下と説明してもらい、こうして彼女と共に開国祭に来たのだ。まあ、今は時間的にもう前夜祭だが。
現在、マリアベルとは少しだけ別行動をしている。
護衛としてそれはどうなんだと思われるかもしれないが、それでも同じ前夜祭の会場内にいるため、この距離ならば守ることなど造作もないので問題はない。
だから、今注目すべきは───
「へい、お待ち」
ここ、前夜祭の会場の中心に位置する場所で提供されている
「はぁ・・・本当に最高だわ、あの人に作ってもらった天ぷら蕎麦を思い出す再現度ね・・・・・少し腹が立つけど、あなたを尊敬するわよリムル」
そう、寿司だ!
なんと! ここ基軸世界で、あのリムルは寿司を誕生させていたのだ! 天使が攻めてきそうな物流網を構築していることには今は目を瞑って、こちらの世界で初めての寿司を堪能したい!
「───それじゃあ、僕も一つ頼むよ。あっ、僕は子供じゃないのでサビありで」
「───それでは、私も一つお願いします、サビありでね」
「「───ん?」」
*****
リムルはその光景に少しの驚愕を覚えた。
前夜祭の場で提供された寿司、生魚ということに萎縮してしまって手を出せないでいた人たちに先んじてヒナタやユウキたち異世界人が手を出してくれるとは予想していたが、まさか異世界人以外にもここまで早く手を出してくれる人がいるとは。
ユウキと同じタイミングでハクロウに注文の声をかけ、少し気まずそうにユウキとは反対方向───つまりは自分の隣だ───に腰掛けた少女に目を向ける。
桃色の髪に青空のような碧眼、この場が後夜祭であるため瞳と同じ空色のドレスを纏っている。
端的に言えば、可憐な少女だった。年の頃は17歳ほどだろうか、しなやかな体にまだ少しあどけなさの残る顔が乗っている。薄っすらと魔素を纏っているらしく高級そうなドレスを身に纏っていることも相まって、どこぞの国の貴族令嬢だろうかとリムルは素で考えてしまった。
「あなた、強いわね。どこの出身なの?」
湯呑を初めて使うとは思えないほどに手慣れた仕草で茶を飲んで品物の提供を待つ少女に、ヒナタが先程ユウキと一緒になって『ワサビあり』と強調された恥ずかしさを紛らわせるように声をかけた。
「えっと、出身で言えばラキア公国なのですが、生憎今は旅をしている途中でして・・・ああ、因みに名前は『ナナ』といいます」
そう、少し困ったように笑いながら話す少女───ナナからはヒナタの言うような強さは感じ取れない。
《告。対象の力量は個体名ソウエイと同程度と推測》
(・・・マジかよ)
《また、対象のドレスは【物質創造】という能力で作られたものだと推測。ディアブロたち悪魔の衣服も、同一の能力によって作られています》
(・・・・・・マジかよ)
人は見た目によらないものだ。
リムルの目には出された大トロを醤油につけ、先程のヒナタと同程度には目を輝かせて頬張る少女がソウエイ以上に強いなどとは全く見えなかった。
しかし『
「う〜わぁ! 口の中で溶けた! いやぁ〜こっちでこんなにうまい寿司が食べられるなんて、ちょっと感激だねぇ」
「えぇ! 旨味と酸味がちょうど良くて、炙っても美味しそうですねぇ」
それはそうと、こうして試行錯誤して完成させたした食を楽しんでもらえるのは、やはり嬉しいものだ。
「やはり淡水魚とは一味違うわね。自由組合に依頼しても断られたし、魔法で転送できないから諦めていたけど、これからは少し楽しみが増えたわ」
「仕方ないだろ? 北の海は大型種が多数生息していて危険すぎるし、南は距離の問題で運搬が困難。内海で釣った魚を運搬するでは採算が合わないんだから」
(やっぱり、この世界ではまだまだ流通に問題があるんだな・・・狙い通りだ。テンペストでしか食べられない美食の存在を知ってもらえればぁ・・・フフッ、フフフッ、フハハハハッ)
リムルが内心ほくそ笑み、思わず笑いの三段活用すらしてしまったちょうどその時、ナナが思わずといったようにこう漏らした。
「東の帝国でも米はありましたが、あっちは玄米でしたし流石に寿司はありませんでしたからねぇ」
「マジかッ! 東って米あるの!?」
「こら、落ち着きなさい」
リムルは思わずナナの方に身を乗り出し、詰め寄ってしまう。ナナはそんな様子のリムルに困ったように苦笑いするばかりだ。
しかしヒナタが注意してくれて助かった。そうでなければ開国祭の前夜祭という一大行事の場で国主としてふさわしくない行動に走ってしまうところだった。
しかしリムルに注意したヒナタもに加えてユウキもナナの発言が気になったようで、少し驚いたように彼女に声をかける。
「それで、本当に向こうでも米ってあったのかい?」
「え、ええ・・・あちらでは精白する前の玄米でしたが、2年前に行った時点では一般的に食べられていましたよ」
「そっかぁ・・・・チクショウ! 東の帝国は盲点だったよぉ〜、僕が今まで米へ想いをつのらせていたのは何だったのさぁ!」
(あぁ〜、食える旨さの玄米が流通してるんなら態々品種改良する必要なかったじゃねえかぁ〜)
《・・・ハァ》
こうして、リムルは嘆き、智慧之王はそんなリムルに溜息をつき、夜は更けていった。
回想シーンは前々話でノウェムが元の世界に行くよりも前です。
というか、開国祭に色々と詰め込んであって書くの大変だし、マリアベルはエミュ難しいし、、、、どうなってんだよ!
【鬼唾】についてはグランベルが難しいこと言っていますが、言っちゃえば吸血鬼の霧化の進化版です。
投稿が半月に一度の頻度になっていると今更気づいて震えています。けど増やそうとしたら勉強時間がなくなって作者の成績ががが
そう言えば作者は先日、授業中に体調が悪くなり高校生にして人生初の早退というものを経験してしまいました。早退後のうどんは美味かったです。
ノウェムは自由学園の教師だけど、アニメ一期OADの校外学習の話書く?たぶんリムルやティス先生と少し話すだけで殆ど変わらない
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書け
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どうでも良いから本編書け