転生した狐はメイドになる   作:くまんじゅう

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門出

「ぅぅん・・・ぅん・・・・眠い・・・ラミリスさん?」

 

 意識が戻ってくる。目を開き周りを見渡すと、そこはラミリスさんにお願いして作ってもらい、居住空間としていつも使っている和室だった。

 

「いや、いない・・・・・・・・・・・・そうか、負けたんだ」

 

 精霊の棲家にやって来た勇者の試験官をやっていて倒されたところまでは憶えている。

 転生してからの初めての敗北。5年間も修行してきたのにそれでも勝てなかった。

 

「・・・・・・・・・・悔しいなぁ」

 

 幼い人獣形態に姿を固定していたからだろうか、涙が溢れて止まらない。その後、ラミリスさんと勇者たちが呼びに来るまで、私はずっと声を漏らさないようにして泣き続けた。

 

 ****************

 

 足音が聴こえる、それも複数。スキルによって強化された感覚は部屋の外で4人が中を覗こうとしていると告げていた。

 

「どうぞ、そんなところにいないで入ってください」

「なんだ、気づいてたの」

 

 大して驚いた様子もなくラミリスさんが部屋に入ってくる。精霊の棲家はラミリスさんのスキルによって作られた空間だ、そりゃあ泣いていたことぐらいバレる。

 

「邪魔するぜ」

「失礼します」

「邪魔するわ」

 

 ラミリスさんについて来たであろう勇者たち3人も続けて中に入ってくる。ここにいるってことは、ラミリスさんに加護もらえたんだ。

 

「ノウェム、こいつら紹介するよ。まず、あんたと戦った金髪のがルドラ」

「なんだ金髪のって!」

「で、あんたのスキルを暴いたピンク髪のがルシア。こいつの妹」

「よろしくお願いします、ノウェムさん」

「最後に、そこの青い髪の変な服着てんのがヴェルグリンド。竜種の一体」

「よろしくね」

 

 ラミリスさんの紹介に三者三様の反応をするが、私は真っ先にヴェルグリンドさんが「竜種」と紹介されたことに驚愕した。

 

「え、ええ、よろしくお願います、皆さん。・・・・・・・・・・竜種!?」

「うん。この前ノウェムには説明したよね」

「まあ・・・・はい」

 

 竜種。この世界において最強の種族で3体のみ存在する。何度消滅しても、幾度もまた復活する。世界の創造主の兄妹たる種族───らしい

 そんな存在が目の前に現れたことに驚ろきはした・・・が、まあ勇者ならそれぐらいするのかと納得もして・・・・して・・・して、いる。うん

 

 そんな風に現状を飲み込もうをしていると、ルドラが急に話しかけて来た。

 

「なあ、お前があのでっかい狐ってことでいいんだよな」

「? はい。そうですが」

「いや・・・黒くね?」

「ああ、そういう」

 

 質問の意味を理解すると同時に獣形態に戻る。しかし、今は戦闘するわけでもないので60cmほどの本来の大きさに戻っているが。

 

「小さいけど、確かにさっきの狐だな」

「そうね、ただの魔物が自我を得てここまでの強さを得るなんて聞いたことも無いけれど」

 

 ルドラさんとヴェルグリンドさんが何やら話し合っているのを他所に、ルシアさんが私をいつの間にか腕の中に抱きながら問いかけてくる。

 

「ノウェムさん。兄様との戦いで使っていた魔法って既存の魔法では無いわよね」

「ええ、あれはスキル陽魔造に含まれる陰陽術というものです」

「陽魔造? それに陰陽術?」

「はい。陽魔造は私が保有する魔法や陰陽術などの術理を開発、使用するのに特化したスキルで、陰陽術は作られた術理の分類の一つですね」

「なるほど・・・・・・・・これなら・・・いや、でもそれは・・・・・・

 

 ルシアさんの腕の感触に不思議と安心感を感じて身を任せる。何故か凄く落ち着く。・・・・・・・・・これが、母性! 

 ルシアさんの包容力に驚愕し身を任せていると、突然ルドラさんが、バッ! っと目の前に来て、こんな事を言ってきた。

 

「なあ、ノウェム。お前、俺達と一緒に来い!」

 

 どういうことだ? 一緒にってどこに? 

 

「俺達と一緒に、世界平和の夢を実現しねぇか! それにお前、面白そうだしよ!」

 

 多分その時の私は、ルドラのことを残念なものを見るような目で見ていた気がする。

 しかし精霊の棲家の外か。転生して5年、最初の時のようにスキルの使い方も知らない吹けば飛ぶような命だった頃から、ここまで戦えるようになった今、精霊の棲家の外にも少し興味がある。

 

「いいのですか?」

「ああ! 二人ともそれでいいだろう?」

「いいわよ、貴方が決めたなら何でも」

「はい、兄様。ノウェムさん、後で陰陽術についてもっと教えてくださいね」

 

 反応は肯定的だ。しかし、義理立てしないといけない相手がいる。私は姿を獣形態から人獣形態に戻してラミリスさんに向き直る。

 

「という訳でラミリスさん、彼らについて行ってもよろしいでしょうか」

「・・・・・・はぁ〜〜〜いいわよ、ノウェム。行ってきなさい、ただし、死にはしないこと、いいわね!」

「っはい! ありがとうございます!」

 

 そうしてラミリスさんの許可を得て、私は3人と共に5年ぶりに精霊の棲家を出て外の世界に繰り出したのだった。

 

 ************

 

「そういえば。ルドラ、私達は今どこに向かっているんですか?」

「行き先? 言ってなかったか?」

「ええ、全く」

「兄様。それは流石にどうかと思いますよ」

「いいじゃない。そんなルドラも可愛いのだし」

 

 出発して少し経って、名前を全員呼び捨てにされるように言われた直後にこんな会話があった。

 

「行先は俺達の母国、そして俺の師匠が滞在している、ナスカ王国だ」

「ああ、ルドラとルシアが王族っていう。そういえば、ルドラの師匠って誰なんですか? 先程から何度か「師匠」と口に出してましたけど」

「星王竜ヴェルダナーヴァだ」

「・・・・・・・・・・・・マジ?」

「マジ」

 

 行く先に待つのが世界の創造主だということに、ノウェムは驚愕を顔に表して機械が処理落ちしたかのように固まった。

 

「おい? お〜い。どうした〜?」

「完全に固まっちゃってるわね」

「マジか・・・・・グリンド。運んでやってくれ」

「分かったわ」

 

 その後、ノウェムが再起動したのは一行がナスカ王国に着く直前であった。

 




ノウェムは少し英雄覇道の効果、英雄魅了に当てられています。
旅立ちを決断したのは「自分の意思:英雄魅了=9:1」くらいのイメージです。

今回話の順序と文章が雑になったかもです。申し訳ありません。

主人公以外のオリキャラっている?

  • ノウェムだけでよろしっ!!
  • 大量納入で原作を壊せぇぇ!!
  • 一人くらいならぁ〜
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