超越少女は路を示すが旅をするのは俺達だ   作:小沼高希

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ブラインド・デコンボリューション 3

「……いえ、もはや私は止めるだけの権限はないのですが」

 

中根さんに俺たちはそう言われて、少しだけ肩を落とした。科学技術省の会議室の一つで、俺達はヒアリングのために呼ばれたとなっている。正確には俺達が会いたいから時間をくれと言ったらまとめてヒアリングも入ったという形になるのだが。

 

須藤さんは出世していて、今ではウェブで検索するとシンギュラリティ後の日本の科学技術政策の第一人者みたいな扱いを受けている。もちろん詐欺といえば詐欺なのだが、この機会をちゃんと使って立つべきところに立てたというのは評価されるべきだと思う。俺は立ちたくはない。

 

「いいんですか?」

 

俺は聞き返す。そりゃまあ説得できる材料は揃えてきたつもりではあったが、国家の強権とかご理解の程よろしくお願いしますとか言われるだろうなと覚悟をしてきたのだ。パスポートも二人分あるが、一応行けなくても身分証明書として使う分には問題ないですからね。

 

「それどころでない、というのが現状です。もちろんお二人の身柄の安全は優先されますが、そのために割ける余裕があと数年は生まれないだろうと思ってください」

 

「はい……」

 

いやまあ、普通に米国で行われる大規模な国際会議に呼ばれたので顔を出したいというだけなんです。招待状まで貰ってしまったしね。ちなみに水城さんも誘われていて、つまり数年前に作ったあのソフトウェアの開発者関連として呼ばれたという形になる。

 

このあたりについてはちゃんと裏取りも行いました。その上で俺達はなんだかんだ評価されているんだなという結論に至ったわけです。引用数とか派生研究とかも多いし、第一人者というわけではないが室温超伝導のあたりの技術開発においてそれなりに貢献をした人、としては扱われていると見ていいでしょう。

 

「必要であれば追跡装置などは提供できますが、問題があっても現地大使館からの支援しか提供できませんよ」

 

「普通の旅行客と同じ、と考えていいですか?」

 

「それで十分です。もし中国や欧州であれば止めたかもしれませんが、アメリカであればそこまでのリスクは考えなくていいでしょう」

 

「……うまくやれているのですか?」

 

ニュースを分析しても世論がほとんどわからないようになった。嘘をつくのは昔は高等技能であったが、今は結構なんとかなってしまうのだ。人工知能によって分析されるのが前提になると、情報を出す側も人工知能で何をいうかを調整するようになる。メタゲームが重なれば、必然的にある種の均衡が生まれるのだ。

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