超越少女は路を示すが旅をするのは俺達だ   作:小沼高希

208 / 208
ブラインド・デコンボリューション 8

『お前は冗談を言っているのか!?』

 

直前で発表者急病なら飛ばせばいいだろうと思ったが、ちょうどいいところにテーマに合った事をやっている人がいるので場を繋いでもらおうという思惑の下で声をかけられてしまった。

 

『私だってこんな事は言いたくないんだがね、仕方がないものは仕方がないだろう』

 

顔なじみというか、普通に隣接分野というか、そもそも俺が以前に作った解析ソフトのコアの開発者であるので俺が頭を上げられないような立場の、とはいえなんか普通にフレンドリーなおじさんが俺に声をかけてきて嫌なことを告げた。

 

『……外部に情報思いっきり流してリアルタイムでスライドを作らせてサングラス経由で原稿読み上げとかならできますがね、それをやらせるなら俺よりもこちらのミス・四辻のほうが適任で』

 

『私は遠慮しておきます。彼にどうぞ』

 

『だ、そうだ。レディのお願いを断るのかね?』

 

『いまどきそういうこと言うんですか?男性性からの解放は世界のどこに?』

 

そんな馬鹿な事を言いながらも、俺は準備を始める。

 

『すみませんね、母語を使わせてもらいますよ』

 

そう言って俺は持ち込んでいた端末をBIFRONSに繋ぎ、サングラスをかける。回線は相当速いので助かるな。

 

「今すぐ俺のやっていることベースでスライドを。詳しいことは全部そちらから聞いてくれ!」

 

眼の前に流れる文字を見ながら俺は叫びつつ指輪で高速に選択をしていく。面白いものは右、つまらないものは左。直感はかなり強化されていて、思考をすっ飛ばして結論もどきを用意してくれる。もちろんそれは熟考よりも外れが多いものだが、そもそも俺は馬鹿なので考えたってコイントスよりいい数字を出せるわけではない。

 

『丸投げしないんだな』

 

『水城博士をご存知ですか?』

 

『ああ、それと似た?』

 

『それのようなものだと思います』

 

好き勝手四辻さんが言ってくれているが、俺は基本的に判断を主体的にやっている側じゃなくて提供している側だ。向こうがメイン、俺が審査。主体は向う側にある。俺はあくまで現場の感覚と自分の中で言語化されていないものを向こうに察させる役割。

 

察するというか、世界についての協働モデルの話は人工知能分野では昔から研究されてきたやつだ。今の人工知能は集合的無意識もどきをクラウドで勝手に作って共有しているが、それはあまり人間向きの形式をしていない。かつてとある人工知能サービス提供会社が記憶システムをバイナリで出したら競合他社が一致団結して統一規格を出して結局元凶の企業が折れたみたいな話があった。

 

『ひとまずできたものを確認してください、さすがにそちらの依頼なので一応チェックをしてほしいのですが』

 

そう言って見せた画面には十数分程度で作ったにしてはなかなか悪くない出来のスライドがある。あとは練習だけだ。話す時間はおよそ二十分で、内容はサングラス経由で一旦確認した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

降って湧いてきた科学知識で現代快適生活(作者:サカサカ)(オリジナル現代/日常)

 成人した瞬間、相良直人の脳内に、人類文明を遥かに超える未知の科学技術が流れ込んだ。▼ 正体は隠したい。けれど、誰かに自分の、知識の凄さを認めてほしい。そんな矛盾した欲望を抱えた彼は、完成済みの設計図を匿名サイトへ公開していく。▼ 最初の技術は、現代の電池産業を過去に変える超高密度蓄電シート。ひとりのオタク青年が自室から始めた技術公開は、やがて世界中の企業、…


総合評価:3406/評価:8.43/連載:4話/更新日時:2026年06月27日(土) 17:07 小説情報

プリミティブ・プライメイツ ~暴君転生~(作者:翠碧緑)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

気が付くと、俺は人間と魔族が争うクソみたいな世界で、赤ん坊として捨てられていた。▼孤児院で育ち、飢えと貧困に耐える日々。▼そんな中、外見の特徴を理由に貴族に拾われる。▼どうやら俺の血には「特別な何か」が混じっているらしい。▼理不尽(暴力)。▼理不尽(陰謀)。▼そして、逃れられない理不尽(因果)。▼それでも、俺は生きることを諦めない。▼「そっちがそう来るなら、…


総合評価:6248/評価:9.17/連載:136話/更新日時:2026年06月28日(日) 20:09 小説情報

【目指せ】Stellarisで生き抜くスレ【大日本宇宙帝国】(作者:ヒャル)(原作:Stellaris)

Stellaris世界に転生させられた転生者たち。▼他の星間帝国やいずれ来る危機に立ち向かうべく、彼らは遥かな宇宙へと雄飛する――▼その過程で戦争したり弱者をヒャッハーしたりするだろうけど仕方ないよね、パラドゲーだもの(▼参考にする為に実際にStellarisをプレイしながら執筆しています。


総合評価:3934/評価:8.35/連載:144話/更新日時:2026年06月20日(土) 20:00 小説情報

TS転生したら人類の敵だった(作者:生しょうゆ)(オリジナル現代/冒険・バトル)

私の名前は伊藤桜。前世の記憶がある女子高生!▼そんな私はある日、自分の家族を惨殺し、この世界に原作があることを知ったのだった。▼この作品はカクヨムにも投稿しています。


総合評価:5196/評価:8.44/連載:29話/更新日時:2026年06月11日(木) 01:42 小説情報

家出人、別名「歴史の観測者」(作者:未来で勘違い)(オリジナル歴史/冒険・バトル)

ただ自由を求めた旅人が無自覚に歴史の転換点を踏み抜き黒幕扱いされてしまう勘違いもの▼未来で評価考察され、過去と落差があるやつが好きです。


総合評価:7695/評価:8.76/完結:9話/更新日時:2026年06月21日(日) 09:02 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>