今のブレイン・マシン・インターフェイスの開発状況は悪くはないのだが、そこまで人気があるわけではない分野だ。あくまでそれは補綴具であり、拡張のためのデバイスとして使うのはちょっと違うだろうという扱い。
それはまあ、その通りだ。信頼性の観点からもそうだけど、ほとんどの人は腕がもう一本あったら楽なのになとちょくちょく思うかわりに義手をつけたりしないのだ。この種の技術は俺が科学系のサイトとか見ていた頃よりも間違いなく進んでいるのにもかかわらず、だ。
人工臓器はかなり実用化されている。肝臓みたいな複雑な機構のものはともかく、透析機のかわりとしても人工腎臓みたいなものは結構進んでいる。少子高齢化でそう言う問題がありましたからね。ただしまだ大型機械でやる透析がかなり確実性が高いので完全な代替にはなっていない。インスリンを血糖値とかホルモンとかを見ながら投与する膵臓膵臓はまあまあうまくいってるようだ。
脳神経活動を読み取るというのもかなり進んでいる。非侵襲式の各種のセンサーが機械学習というかその基盤となって発展したデータ分析のおかげで高精度になっているし、今なら常温超伝導体で脳磁場とかを測定するみたいなことも比較的容易になった。
脳神経に直接ワイヤーとかを入れて操るみたいなことも普通にできている。義手とか義足とかが代表例だが、他にも案外色々なところで使われているようだ。特に欠損がなくても外骨格を動かすのに使うとかの方向もあるのか、面白いな。
このあたりを踏まえた上で、四辻さんの感情正業のあたりを人類が手助けするみたいなプランの実現性を考えるとかなり難しいとなりそうだ。まずそもそも俺達は脳神経がどういうプログラミングをされているのかを知らない。配線はハードウェアであってソフトウェアではないみたいな意見に対してはプラグボード・プログラミングという例で対抗できる。
というか基本的に今のコンピューターのソフトウェアだって本質的にはメモリの半導体に溜まった電荷であって、物理法則とは別レイヤーの何かが動いてるわけではない。ただ、抽象化すればたぶん脳の中で起こっている複雑なシナプスの結線と反応はうまい具合に表現して、読み取りや制御や介入可能なものになるはずなのだ。少なくとも四辻さんのつけているブレイン・マシン・インターフェイスはそういうことができている。
じゃあ具体的にどうやっているんですか、となると本当にわからない。四辻さんでさえ説明しきれないということで諦めているのだ。