ふと、違和感を覚えた。
あれ?もしかして俺って前世の記憶がある?
5歳の誕生日、俺は自分に前世の記憶があることに気づいた。すごいさらっと思い出した。こういうのって普通神様が転生の説明とかするんじゃないのか。流石に適当すぎないだろうか。
「えぇ…、しかもよりにもよって『緋弾のアリア』の世界かよ…」
『緋弾のアリア』
銃で武装した探偵たちが毎日ドンパチにぎやかな命の保証のない世界。
前世では『緋弾のアリア』は原作も出るたびに購入して読み続けていた大好きな作品の一つだ、そんな世界に転生?できたことはファンなら喜ばしいことなのだがいかんせんこの世界命の危機が多すぎる。前世では一般オタクだった人間に生きていける世界ではないのだ。
もちろん『緋弾のアリア』の世界も世界中が危険地帯というわけではない。原作でも治安こそ悪いものの平和に暮らしている一般人たちはいた。しかしどうやら俺は彼らと同じ日常を享受することはできないらしい。
「遠山カナタ…、まさかの遠山家に生まれかよ……」
そう、我らがキンちゃん。主人公こと遠山キンジの家、遠山家の次男として生まれたらしい。
遠山家といえば『遠山の金さん』でお馴染み、遠山金四郎景本の血を受け継ぐ、
「遠山家ってことは間違いなく俺の体にも『アレ』はあるんだろうなぁ」
遠山の血縁者にはとある『体質』がある。『ヒステリアモード』正式名称を『HSS』ヒステリア・サヴァン・シンドロームという遺伝体質。性的興奮をトリガーにβ-エンドルフィンの分泌量が一定量を超えると思考能力や反射神経、判断力が通常の30倍まで向上させる能力。『女性を守り、魅力的な男性を演じて子孫を残す』為の能力のため発動中は女性にとって魅力的な男性を演じるため気障な言動をとるようになる。
頭の中でヒステリアモードの内容を復習しながらへやに掛かっていた鏡を確認してみる。
そこに移っていたのは濡れた烏の羽根のような艶やかな腰までまっすぐに伸びる黒髪、ややキツめな目つきには黒曜石のような黒い瞳が似合っている。
目を体に移せば幼児といっていいはずの年齢には似つかわしくない細い腰に長い脚、端的に言って俺はどこからどう見ても美少女…、いや年齢を考えれば美幼女が正しいのか?であった。このまま成長すればまさに傾国の美女という言葉が似合うことは間違いがなかった。
だが、男だ。
しっかり男の象徴が腰に付いていた。こんだけ可愛い顔してるのにしっかり男で安心したと同時に安堵もした、遠山家に生まれた以上荒事に巻き込まれるのは必然なので男で生まれることが出来て一安心である。
後でじいちゃんに聞いてみたところ、遠山家には何代かに一人くらいの確率で俺のように男なのに女のような身体とくちょうを持った者が産まれるらしい。
閑話休題
「とにかく転生しちゃったことにはしょうがない、折角大好きだった世界に転生できたんだ。武偵目指してみるのも面白いかもしれない。キンジ兄さんが今10歳ってことは原作が始まるまでは……、あと6年ちょっとか。6年もあれば少しは強くなれるかもしれないし、自分の身は自分で守れるように修行しないと」
よーし、がんばるぞー!
なお、勘違いに気づくまであと数時間。