IS? え、ここ緋弾のアリアの世界じゃないの?   作:竹箒

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第十一話 どうして俺の周りの男どもはどいつもこいつも…!

鈴の襲来から時間は経って昼休み。俺と一夏+α(箒、セシリア)は食堂へと訪れていた。

 

「それにしてもカナタって鈴と知り合いだったんだな」

 

「まあ、仕事の関係で知り合ってな。詳しい話はあとででいいだろ。ちょうどアイツもいるみたいだし」

 

食券を買うために券売機に並ぼうとするとそこにはラーメンをお盆に乗せた鈴が仁王立ちで俺たちの事を待ち構えていた。

 

「待ってたわよ一夏!!ついでにカナタも!!」

 

「鈴、そこにいると食券が買えないから邪魔なんだが…」

 

「俺はついでかよ。麵伸びるぞ、席取っといてくれ」

 

出会い頭に失礼なことをのたまってくる鈴に俺も一夏もさらっと流す。ていうか一夏って鈴相手だとこんな感じなのか。

 

「うるっさいわね!わかったわよ!!」

 

鈴はぞんざいな扱いをされたことに肩を怒らせながらズンズンと音を立てて席へと向かっていく。

 

「変わんないなアイツ。煽られたらすぐキレるとことか一切変わってねぇ」

 

「鈴はとりあえず置いといて俺たちも先に飯買って来ようぜ」

 

俺と一夏が券売機で食券を買い、鈴が取っておいてくれた席へと向かう。道中、箒とセシリアは一夏に鈴とはどういう関係なのかと訝しんでいる様子だった。

 

「やっと来たわね、二人とも」

 

「おう、改めて久しぶりだな鈴。たしか一年ぶりくらいだよな?」

 

「俺はなんだかんだで半年ぶりくらいか、相変わらず元気そうだな」

 

なんやかんやで俺も鈴に会うのは久しぶりだ、お互い近況報告とばかりに挨拶をしていると箒たちからジトっとした視線を感じた。

 

「すまない一夏、そろそろ私にもどういう関係か紹介してもらっていいだろうか…?」

 

「再開の邪魔をするつもりはありませんが、わたくしも知りたいですわね」

 

二人に紹介していなかったことを思い出したのか一夏が鈴との関係性を箒たちに伝える。

 

「ああ、幼馴染だよ。箒とほぼ入れ違いで転校してきてな。いわば箒がファースト幼馴染で鈴がセカンド幼馴染ってところか?」

 

「セカンドってアンタねぇ…!」

 

へー、幼馴染だった…いや高学年で出会って数年で別れた相手は別に幼馴染じゃないだろ。それはただの友人とかクラスメイトの分類じゃないか…?

 

「――幼馴染…だと…!!」

 

なにやらショックを受けている様子の箒だったが、いやだからその関係性は幼馴染とは言わんだろうに。

 

「それよりカナタと鈴はどうやって知り合ったんだ?鈴って中国に帰ってたよな?」

 

一夏がそう尋ねてくるが、あんまり大っぴらにいう事でもないんだが…。

 

「あー、さっきもチラッと言ったが武偵の仕事でな。上海でちょっとドンパチやってた時に知り合ってな。たしか――」

 

半年ほど前、上海に居を構える巨大組織である藍幇にて、兄さんの代わりに仕事の手伝いをしていた時に地元のマフィアと藍幇構成員とのイザコザが発生し、銃撃戦が起こって俺も巻き込まれてしまった。下手人は両方とも叩きのめしたが近くの民家に被害を出した馬鹿がいたので俺は被害確認の為、被害の出た民家の様子を見に行ったのだ。

 

「そんでその民家の中にこいつの家の店があってな、そこで出会った」

 

藍幇関係のところなど表には出せない部分をぼかしつつ当時の事をみんなに説明する。

 

「いやー、扉開けた瞬間、中華鍋を振り下ろしてきた時はまだ残党が残ってたかと思ったぞ」

 

「うっさいわねぇ……、あの時は悪かったって言ってるじゃない…」

 

俺が鈴とのファーストコンタクトの時の事を話題に上げると鈴が苦虫を嚙み潰したような顔でこっちを見てくる。

 

中華鍋?と頭に?を浮かべる一夏たち三人に当時の事を簡単に説明する。

 

「なに、銃撃戦の犯人が入って来たと勘違いしたそこのツインテが出合い頭に中華鍋でぶん殴ろうとしてきたんだよ」

 

「グッ……!」

 

「ええ?鈴おまえ…」

 

「流石に…」

 

「どうかとおもいますわ」

 

三人からそれは流石に…と言った言葉を言われついに耐えきれなかったのか鈴が爆発した。

 

「ウガ―!!仕方ないでしょ!!こっちは殺されるかもって思ってたんだから!!」

 

「殺されるかもってのは分かるがそれで俺を殺そうとするな。一歩間違えばお前がぶっ飛ばされてたんだからな?」

 

あの時、迎撃じゃなく回避を選んでホントによかったと思う。

 

「まあ俺と鈴とはそのあと時々会うようになってな。店でご馳走になったり訓練に付き合ってほしいっていうから付き合ったり…まあ色々と」

 

へー、という声を漏らす一夏たちをしり目に俺は手元の昼食を口に掻きこむ。

 

「――ふう、ごちそうさまでしたっと。じゃあ俺は先に戻るからお前たちも遅れるなよ」

 

もう昼休みも残り五分程度、織斑先生の出席簿を食らいたくないので俺はさっさと教室へと向かうことにする。俺が歩き始めて数秒後に予鈴が鳴りだし一夏たちが大慌てで昼食を飲み込んでいるのが見える。

 

もちろん一夏たちは間に合わず午後の授業そうそう織斑先生の雷が三人には落ちた。

 

______________________________________

 

放課後、日課となった射撃場での射撃訓練を終えて寮へと帰る道すがら、ベンチに座ってすすり泣いている少女を俺は発見する。薄暗くてよく見えないがその少女にはどこか見覚えがあるような…?

 

――ってあれもしかして鈴か?

 

近づいて確認してみるとその少女はやはり鈴で間違いないようだった。

 

「……こんなところでどうしたんだ?鈴」

 

「ヒック…、カナタ…?」

 

顔を上げてこちらを見てくる鈴の顔はいつもの勝気そうな顔とは違い、泣き腫らした酷い顔をしていた。

 

「おう、こんなところにずっといたら風邪引くぞ」

 

俺は鈴の隣のベンチへと腰かけタオルを鈴へと手渡す。訓練帰りだったからたまたまタオルを持ってて助かった。

 

「ヒック…、いいわよ別に、風邪引いたって…」

 

といわれてもなあ…、ここでじゃあさよならなんて言えるタイプでもないし、言いたくもない。

 

俺はため息とともに携帯を取り出し同室の彼女に電話を掛ける。数コールののち電話が通じた。

 

『もしもし~、かなたんどうしたの?』

 

「悪い布仏さん、今から部屋に一人連れて行くから申し訳ないんだけど、あったかい飲み物用意してもらってもいいか?」

 

『んー?よくわかんないけどあったかい飲み物だねー、りょうかーい』

 

「ごめん、助かる」

 

そういって電話を切る。さてと

 

「とりあえず俺の部屋にこい、話し位は聞いてやるから」

 

そういって鈴の手を引っ張り立たせると鈴もしばらくは弱弱しく抵抗していたがあきらめたのか大人しく手を引かれ、俺の後ろをついてくる。

 

しばらく歩き、俺の部屋に到着したのでノックをすると「は~い」という声とともにガチャリとドアが開かれのほほんさんが顔を出してくれる。

 

「おー、かなたんおかえりー。ココアも今できたよ~♪」

 

「布仏さんただいま、急に頼んで悪かった。――ほらお前もとりあえず中入れ」

 

「……うん」

 

鈴を部屋の中に入れるとのほほんさんがココアを持って出迎えてくれる。鈴を部屋の椅子に座らせ、ココアを渡す。ちびちびとココアを飲み一息ついたところで何で泣いていたのかを鈴に尋ねてみる。あったかいものを飲んで少しは落ち着いてきたのか鈴はぽつぽつと自分に起きた出来事を語ってくれた。

 

「――つまり一夏にプロポーズをしたつもりだったのにあいつはそれを『飯を奢ってくれる』と勘違いしてた。と」

 

「…コクリ」

 

「よしよーし、リンリンはえらいねー」

 

はあ…、また一夏か……。しかも寄りにもよって恋愛事関係で問題起こしやがって…。

 

俺が一夏に対し頭を抱えていると鈴からポツリポツリと言葉がこぼれてくる。

 

「一夏がそういうのに疎いって知ってたし、デリカシーとか乙女心がわかんないのもわかってる。……でもさ、少しくらい期待したっていいじゃん。そのために頑張ってきたのに……代表候補生になって、学園に来たのだって……」

 

なるほど、そうつながるのか。

 

「そういえば聴いたことがあったな、日本に会いたい奴がいて、そいつに会うために代表候補生になるんだって」

 

中国の時の鈴との会話を思い出してみると確かにそんな話をしていた覚えがある。

 

「まあ、約束を勘違いしてた一夏が一番悪いのはともかく、あいつの鈍感っぷりを知らないお前じゃなかろうに…、そんな遠回りな告白は通用しないってわかってただろう?」

 

『毎日酢豚作ってあげる』ってフレーズ、鈴が泣いてたり鈴の事情を多少なりとも知ってたからプロポーズの言葉か?ってわかったけど、俺もいきなり言われたらプロポーズだって理解できるかは正直怪しい。原文の『毎朝味噌汁を作ってください』ならまだしも…。

 

「それはそうだけど…、でも……」

 

「それに意味こそ分かってなかったとはいえ、鈴との約束をしっかりと覚えてたんだろ?どうでもいい奴との約束なんて普通忘れてるだろ。そうじゃないってことは一夏も鈴の事は方向は違えど大切に思ってるって事だろ」

 

「……そうね、ありがとカナタ。おかげで元気出たわ。本音もココアありがと」

 

「元気が出たなら何よりだ」

 

「別にいいよ~、リンリンふぁいとー!」

 

鈴はパン!と自分の頬を叩くと「よし!」と立ち上がり俺と布仏さんにお礼を言ってくる。

 

「そろそろ夜も遅いし、あたしは帰るわ。二人ともありがとね」

 

「おう、一夏とは早めに仲直りしておけよ。――あと、あの朴念仁に似た兄を持つ身としてアドバイス。恥ずかしがらず直球で押して押して押しまくれ。それくらいしないとあの手の奴は理解しない」

 

「――ふふっ、ありがと。…もし一夏に会ってなかったらアンタに惚れてたかもね」

 

そういって鈴は微笑みを浮かべて自室へと帰っていった。その笑みは普段の天真爛漫な彼女の浮かべるそれとは違いすぎて思わず俺は見惚れてしまった。

 

「……リンリン美人さんだったね~」

 

「…だな、一夏の朴念仁め……。さっさと返事してやれよホントに」

 

あの野郎は背中を刺されて死んでもまったく文句が言えないな。実際、それで死にかけたり死んだりしてる兄を思い出してみる。

 

「「はあ…」」

 

俺とのほほんさんは一夏の朴念仁っぷりに大きなため息をつくのだった。




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