IS? え、ここ緋弾のアリアの世界じゃないの?   作:竹箒

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今回、緋弾のアリア側の独自設定があります。


第六話 ようやく緋弾のアリア要素が出てきた。

オルコットとの決闘まで残り2日となったある日の授業終了後、織斑先生からとんでもない言葉が飛び出した。

 

「そういえば伝え忘れていたな、織斑と遠山には専用機の受領が行われることとなった」

 

……はい?

 

「せ、専用機…ですか?」

 

なんか織斑先生の口からとんでもない言葉が飛び出した気がする。

 

専用機って、いくら俺たちが世界で二人しかいない男性操縦者だからってそこまでするのか!?

 

「せ、専用機!?1年の、しかもこの時期に!?」

「つまりそれって政府からの支援が出るって事じゃ……」

「いいな~私も専用機欲しい…!」

 

織斑先生の言葉に俺だけではなく、クラスのほかの生徒たちからも驚愕の声が発されている。ただ肝心かなめの一夏はというと専用機の希少さがイマイチわかっていないのかチンプンカンプンといった表情をしていた。…あと数日で参考書のテストがあるんじゃないのかお前は……。

 

「な、なあカナタ。専用機ってなんだ?」

「お前ホントに参考書読んでるか?織斑先生に殺されても知らんぞ?…参考書の6ページのここだな。要約すればISコア自体が世界に467個しかないから国や企業で管理してるが、俺たちは特別も特別にコアが渡されるってことだ」

 

俺が参考書を一夏に見せながらISコアに関する内容を説明するとようやく一夏も事の重大さに気づいたのか慌てて席を立ちあがり織斑先生に尋ねていた。

 

「ち、ちふ…、織斑先生!どういう事ですか!なんで俺たちにこんな大事そうなものが渡されるんです!?」

「大事そう、ではなく間違いなく貴重なものだ。本来なら、IS専用機は国家あるいは企業に所属する人間しか与えられない。お前等の場合は世界で二人だけの男性操縦者という事もあり、データ収集もかねて専用機が受領されることなった。理解できたか?」

 

一夏は織斑先生の言葉に首をかしげながらではあるが納得したようで席に戻っていく。

 

「とはいえ、専用機の用意には時間がかかる。クラス代表決めまでには間に合うだろうがそれも断言は出来ん。ギリギリでの受け取りになることは覚悟しておけよ」

 

そう言い残し織斑先生は教室を出て行った。

 

その後は篠ノ之さんがIS開発者である『篠ノ之束』の妹であることが発覚し、それに対し篠ノ之さんが声を荒げるなどの出来事があったが、おおむね何事もなくオルコットとの決闘まで時間は過ぎていった――。

 

__________________________________________

 

 

長かった一週間が過ぎ、ついに来たオルコットとの決闘当日、俺と一夏はというと――。

 

「……来ないな」

「……来ねぇな」

 

決闘の舞台である第三アリーナの控室でいまだに届かない専用機を待ち続けていた。

 

チラリとアリーナの外を見てみれば観客席はどこから嗅ぎつけてきたのか2年生や3年生の先輩方まで勢ぞろいしており、すし詰め状態となっていた。オルコットは既に準備が出来ているのかアリーナの中央でイライラとした様子で俺たちが登場するのを待っているようだった。

 

「どうするんだよ、このままってわけにもいかないだろ?」

「この様子じゃ最悪訓練機を使うことになるかもな…」

 

「「はあ…」」

 

「二人とも試合前にそんな様子でどうする!男なら機体のハンデなぞ跳ね飛ばしてこそだろう」

 

今回の試合の為に観客席ではなく控室にて一緒に待機していた篠ノ之さんが俺たちに檄を飛ばしてくれるが正直、ただでさえ薄かった勝ち目がさらに薄くなったとなれば俺たちの様子も仕方ないとは思う。

 

二人してため息をこぼし、これ以上は待てないと今回の為に用意された訓練機である『打鉄』と『ラファール・リヴァイブ』のもとへ向かおうとすると、バンッ!という音とともにドアが開き、山田先生が急いだ様子で控室に入ってきた。

 

「お、織斑君!!遠山君!!来ました!!来ましたよ!!」

 

来た?……もしかしてようやく届いたのか!?

 

「お二人の専用機が届きました!!」

「織斑の試合を先に行う、すぐに機体のチェックを行う。遠山もすぐに試合に出れるよう準備しておけ」

 

山田先生に続いて控室に入ってきたのは織斑先生だった。どうやら一夏対オルコットの試合を先に行うようで織斑先生は一夏を引っ張りながらピットへと足早に向かっていった。

 

「……一夏は、勝てるだろうか」

 

控室に残された篠ノ之さんがポツリとこぼした。

 

「正直に言うなら難しいだろうな、相手は代表候補生でしかも国から専用機ももらってる。いくら俺たちも専用機があるとはいえISの素人の俺と一夏じゃ分が悪い」

 

オルコットは態度こそ最悪だがそれでも国から代表候補生に認められ、専用機の受領もしている。調べた限りでは代表候補生ともなればISの稼働時間は300時間を優に超えるらしい。合計稼働時間が1時間にも満たない俺と一夏じゃオルコットに勝つのは厳しいだろう。

 

「そう、か…」

 

客観的な事実を突きつけられ篠ノ之さんは顔を伏せ、悲しそうな声を漏らす。

 

「――それでも、あいつならきっと何とかするだろ」

 

俺の言葉に少し驚いたような顔を向ける篠ノ之さんに俺は言い切った。

 

「一夏ならそんな事は知らないとばかりに無理を通して通りをひっこめるさ。あいつはそういう奴だってのは短い付き合いの俺でもわかる」

「――ふふ、そうだったな。あいつは、一夏はそういう奴だった。すまない、私こそ弱気になっていたようだ」

 

そういって篠ノ之さんはクスリと笑いながら俺の言葉に同意した。

 

アリーナから歓声が聴こえ、外を見てみるとどうやら一夏の準備が完了したのかアリーナへと飛び立っている一夏の姿が見えた。

 

「それじゃあ俺もピットに行ってくる。篠ノ之さんはあいつを応援してやってくれ」

「ああ、遠山お前も頑張ってこい。――それと箒でかまわない。名字で呼ばれるのは慣れなくてな」

「――そうか、じゃあ俺もカナタでいいよ。箒」

 

__________________________________________

 

箒と別れた俺は機体のチェックのためにピットまで歩いていく。

 

「応援されたんなら応えないと男じゃないわな」

 

箒からの激励を受け、やる気も十分な俺は満を持してピットに入り、俺の愛機となるISと対面する。

 

「これが…、俺のIS…!」

 

そこにあったのはまるで速さが形を取ったかのような黒いISだった。風を味方にするかのような流線形のデザインに各所に取り付けられたバーニア、そして何よりも目を引くのはその背中に背負うように浮いている2対4翼の巨大なスラスターだった。

 

「来たか、早速で悪いが初期化(フォーマット)最適化(フィッテイング)を行う。機体に乗り込め」

 

織斑先生の指示に従い俺はこの黒いISに慎重に乗り込んでいく。

 

「よし、後は機体が勝手に調整を行う。今のうちにこのISの資料を確認しておけ」

 

そういって手渡されたのはこのISの資料だった。

 

第三世代高速機動特化型IS『ウラガ―ノ』

イタリア製第二世代型IS『テンペスタ』の第三世代型改修機

テンペスタの特徴である高速機動を背部にある非固定浮遊部位(アンロックユニット)タイプの大型スラスターの導入により上下左右への自在な加速を実現。

 

「――そのスピードは現状最速のISであるテンペスタから最高速にして3割の速度の向上…。ずいぶんとまあスピードに魂を売った機体だな」

 

どうやらこのISを作った技術者は頭がおかしいらしい。過剰なまでスピードに特化した機体、PICだけでは姿勢制御が間に合わず各所に装着されたバーニアによって無理やり姿勢を制御しているらしい。

 

「不満か?」

 

俺がウラガ―ノのじゃじゃ馬っぷりに呆れていると織斑先生から俺を煽るようなセリフが飛んできた。不満かって?そんなの――

 

「最高ですね」

 

笑みを織斑先生に返す。そんな返答を受けた織斑先生は軽く笑みを浮かべ、それでいいとポスンと軽く出席簿で頭を叩く。

 

しばらくすると初期化(フォーマット)最適化(フィッテイング)が終了したのか俺の目の前に『最適化(フィッテイング)が完了しました。これより一次移行(ファーストシフト)を開始します』という文字とともにウラガ―ノが俺の身体を包み込んでいく。

 

「無事に一次移行(ファーストシフト)も完了したようだな。織斑の試合ももう間もなく終了する。ISを待機状態にして試合開始まで待機していろ」

 

織斑先生の指示に従い、ウラガ―ノの装着を解除するようにイメージすると融けるようにウラガ―ノが消え、空中に投げ出される。

 

「――っと」

 

地面に着地し、異常がないか確かめていると耳元からチャリ…という音が。鏡で見てみるとそこには羽根がモチーフのイヤリングが装着されていた。

 

「これが俺のISの待機形態か…。うん、気に入った」

 

ウラガ―ノの待機形態を確認していると突如としてアリーナからビー!!という音とともに試合終了のアナウンスが聴こえてくる。

 

どうやら残念なことに一夏はオルコットに敗北してしまったらしい。

 

「はあ…、あの馬鹿者め。最後の最後で油断しよって…!」

 

一夏はオルコットを追い詰めることは出来たが最後の最後でミスをしてしまったらしい。とはいえ代表候補生相手にそこまで行ければ大金星だろう。

 

オルコットのISの整備のため俺の試合が行われるのは10分後になるらしい。それまでウラガ―ノの事をよく知っておこうと資料を確認しながら待っていると扉の向こうから会話が聞こえてきたので入口に目を向けると試合が終わり、一夏と箒それに試合後のフォローをしていた山田先生がピットに戻ってきたようだった。

 

「おう、惜しかったみたいだな」

「ああ…、でも言い訳はしねえ。俺が弱かった、今回はそれだけだな」

 

一夏にねぎらいの言葉をかけると案の定悔しい気持ちを隠さずに伝えてきた。

 

「仇を取ってくれなんて事は言わないけどさ、カナタは負けるなよ?」

「安心しろ、俺も負ける気なんてねえよ。オルコットには目にもの見せてやるさ」

 

せっかくこんな最高の装備を貰ったんだ、最初に付けるのは黒星じゃなく白星にしてやりたい。

 

「遠山君が毎日遅くまで頑張っていたのは私が知ってます。教師としては生徒一人に肩入れしちゃいけないんでしょうけど…応援していますからね!」

 

山田先生も応援してくれている。この人には一週間お世話になったし恩を返してやりたい。

 

「そろそろ時間だ、遠山はゲートに向かえ。山田先生もゲートで遠山の準備を頼む」

 

おっと、もうそんな時間か、ゲートに向かおう。

 

「それじゃあ遠山君、ゲートはこっちなのでついてきてくださいね!」

 

山田先生の先導に着いていきピットゲートに到着する。

 

ゲートに到着すると山田先生からISを展開してえ待っていてくれという指示を貰ったのでISを展開して待っていると、山田先生がIS固定用のアームを持ってきてカタパルトを装着してもらう。

 

「よいしょ、よいしょ…」

 

ところでピットゲートとは安全にISを飛ばすための装置の着脱を行う場所なのだが、必要最低限のスペースしかない上、固定用の器材や工具なんかもあるので実はかなり狭い、本来なら女性しかISは動かせないので多少狭くとも問題なかったが男女でこの空間は正直あまり歓迎したいものではない。

 

「あとは…、これですね」

 

ウラガ―ノのスラスターを取り付けようとしているのか山田先生が俺の後ろに手を伸ばしてくる。山田先生、お願いですから俺越しに作業をしないでください。背中側に回ってください。

 

き、気まずい…!山田先生、俺が男って事忘れてるんじゃないか…?距離感が明らかに女子同士のそれなんだが…。

 

「あ、あのー…、山田先生?ちょーっと近いかなーって思うんですけど…?」

 

ISを纏っている事と、山田先生自体がそこまで身長が高くはないという事も相まっていつの間にやら俺に抱き着くような体勢で作業をしている山田先生に声を流石にまずいと思い声を掛ける。

 

「…?どうしまし――!!!」

 

山田先生が顔を上げるとちょうど至近距離で目が合い山田先生の顔が急速に真っ赤に染まっていく。

 

「あわ、あわわわわわ~~~!!?」

 

ま、不味い!自分の体勢に気が付いたのか顔を真っ赤にしながら山田先生がパニックに起こし始めた!!

 

「うわ!あ、暴れないでください!危ないから!!」

「そ、そんなこと言ったって~!わ、私、きょ、教師なのに~!!」

 

なんとか山田先生を落ち着かせようと静止の声を上げるがパニックになっている山田先生にはまるで聞こえていないらしい。

 

しかも俺の胸元で暴れているから山田先生のむ、胸が当たってる!!

 

山田先生の童顔からは想像が付かない不釣り合いなほど大きな胸が俺の胸元や腰に押し付けられる度にむにゅりと形を変え押し当てられてくる。

 

「ちょ!ほ、ホントに危ないから止まってください!!」

 

俺は我慢の限界に達し、何とか山田先生を落ち着かせるために大声を出す。

 

――それがいけなかった。

 

山田先生は耳元で聞こえた大声に驚き硬直し、一歩後ろに下がろうとすると運悪く転がっていた工具に足を取られ後ろに倒れこむ。彼女はとっさに俺の腕をつかんでそのまま――

 

ドスン!!

 

「い、いたたた…、ご、ごめんなさい!私が慌てたせいで巻き込んーひゃあ!?」

「ム、ムグググ…!!?」

 

――俺を胸元に抱え込んだまま倒れてしまった。

 

「ひゃ!?ふぁ、んあぁあああ!!?ひやっ、あん!!」

 

顔中に押し付けられるマシュマロのような山田先生の胸に、充満する桃のような香りに俺は、()()――

 

――ドクン

 

身体の奥底から血流が回り始めるのを感じる。昂った血液が身体中を駆け巡り芯から燃えるような熱を持って集まっていく。

 

――ヒステリアモード

 

「ふふ。ごめんなさい?ケガはないかしら?真耶」

 

思考が澄み渡っていく。

 

「え?え?遠山…君?」

 

私は真耶の顔をしっかりと覗き込み倒れた時に彼女がケガをしていないかしっかりと確認する。

 

「んー、傷は付いてないわね…。よかったわ、真耶の可愛い顔に傷なんて付いたら大変だもの」

「ひゃ!ひゃい!!?か、可愛いってそ、そんな!?い、いや!それよりもどうしたんですか!!?」

 

真耶が私の雰囲気が変わったことに困惑の悲鳴をあげる。それも当然だろう。今の私は誰がどう見ても女性そのものにしか見えない。普段の口調も鳴りを潜め令嬢然とした口調へと変わっている。

 

『ヒステリア・アマリアンテ』

HSSの特殊な派生形であり、遠山家に極稀に生まれるカナタの様な女性にしか見えない遠山家の男が発現させるHSS。

 

通常のHSSが男が女を守るために強くなるHSSだとするならばアマリアンテは()()()()()()()()()H()S()S()()()()()その歪さや、倒錯的な様から別名を『魔性のヒステリア』とする――

 

「ねえ、真耶?」

「ひゃ、な、なんですか?」

「…真耶は私が彼女に勝ったら喜んでくれるかしら?」

 

真耶の顔を覗き込み目を合わせる。

 

「は、はい!う、嬉しいですよ!」

「そっか、じゃあ貴女の為に勝利を捧げるわ。この一週間私の為に頑張ってくれたお姫様に、ね」

 

そのまま更に顔を近づけ、ギュッとつぶった彼女の瞼にそっと口づけを落とす。

 

ちゅっ♪

 

「―――――きゅう」

「――あらあら」

 

気を失ってしまった真耶をお姫様抱っこで持ち上げ近くの椅子にそっと降ろす。

 

「さあ、女性を待たせるのはダメね。急いでアリーナに向かいましょう」

 

ピットインの為の作業を瞬く間に終わらせ発進準備を整える。

 

「織斑先生、遠山カナタ準備完了しました」

 

ピットで待機している織斑先生へプライベートチャネルを送信する。

 

『遠山お前、まさか……なったのか?』

 

流石は世界最強、私の体質の事を把握しているとはいえ今私がHSSを発現していることにすぐに気づいたらしい。

 

「山田先生は今はお休み中なので、私が代わりに準備を行いました」

『はあ…、後で何があったかはしっかりと報告してもらうからな!――準備が出来たならアリーナに向かえ、今のお前なら何も心配はいらんだろう。せいぜい勝ってこい』

「ええ、勝利を捧げると約束もしましたし、勝ちますよ」

 

やり取りが終わり織斑先生との通信が切れる。

 

「では――、遠山カナタ参りましょう」

 

私は名乗りを上げ決闘の舞台へと駆けていく――!




今回ようやくカナタをヒスらせることが出来て満足しています。
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