IS? え、ここ緋弾のアリアの世界じゃないの?   作:竹箒

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今回かなりオリ設定、IS側の改変がございますので苦手な方はご注意ください。


第七話 青い雫との円舞曲

ウラガーノの背部スラスターを吹かし、アリーナの中心へと飛び立っていく。アリーナでは先に準備を終えたセシリア=オルコットが空の様な青をしたどこか騎士然としたISを纏って待っていた。

 

「ごめんなさい、待たせたみたいね。ドレスに着替えるのに手間取ってしまったわ」

 

ピットでの出来事のせいで予定よりも遅れ、彼女を待たせてしまったことを謝罪する。

 

「いえ、かまいませんわ。それが貴方の専用機ですか。よくお似合いですわ……、というかその口調は?」

 

私の口調の変化に困惑した様子の彼女に私は軽く微笑みを浮かべる。

 

「あまり気にしないで、すこしばかり気が高ぶっているだけだから」

 

「そう、ですか。そうおっしゃるのであれば今は気にしないことにしますわ。……それよりも試合を始める前に少しよろしいでしょうか」

 

「――何かしら」

 

「先日の教室での発言ですわ、この場を借りて謝罪したいのです」

 

――意外ね。彼女は典型的な女尊男卑主義の上、生まれの影響かプライドがかなり高かったはずだけど…、一夏のおかげかしら?

 

「あなた達を馬鹿にする発言に日本を貶すような発言、ひいては私の発言で皆様に不快な思いをさせたことをここに謝罪いたします。申し訳ありませんでした」

 

彼女は頭を深く下げ、アリーナ全体が聴こえるような声で強く謝罪する。それはパフォーマンスではない後悔と懺悔の気持ちが伝わる心からの謝罪だった。

 

「…頭を上げて頂戴。貴女も反省してるみたいだし私は気にしていないから」

 

頭を下げ続ける彼女に私はもう気にしていないことを伝え頭を上げてもらう。周りを見渡してみれば観客席にいるクラスの娘たちも彼女の真摯な謝罪に毒気を抜かれたのか皆、仕方ないというような表情を浮かべていた。

 

「――ありがとうございますわ」

 

「……それにしても、貴女が謝罪をしてくれたのなら私たちがここで戦う理由もなくなるわけだけど…。どうしましょうか?」

 

もともとが些細な喧嘩から始まった勝負だ、わだかまりが解消されたのであれば無理にここで戦う必要もないのだけれど…。

 

「――あっ」

 

オルコットはもう戦う理由がないことに言われて初めて気づいたのかポカンとした表情を浮かべる。その様子があまりにも普段の彼女と違うものだから私の口から笑い声が漏れる。

 

「――ふっ、ふふっ。今気づいたの?」

 

「わ、笑わないでくださいまし!!」

 

オルコットは顔を赤くし私に注意する。

 

「ふふ、ごめんなさい。――そうね、それなら私のISのデータを取るのに協力してくれない?」

 

「協力、ですか…?」

 

「そう、貴重な男性操縦者の実践データの収集のためイギリスの代表候補生である貴女が対戦相手として協力する。これでどうかしら」

 

「――それなら仕方ないですわね、ええお相手いたしますわ」

 

この戦いを成立させるための建前をでっちあげると彼女はしっかりと乗ってきてくれた。彼女も私もこのまま勝負がお流れになるのは不完全燃焼だ。私たちは互いに目配せをし距離を取る。アリーナの壁を背に私たちは向き合いなおした。

 

「では改めて。――イギリス代表候補性、オルコット家現当主セシリア=オルコット」

「――遠山金四郎景元が子孫、遠山カナタ」

 

オルコットがレーザーライフルを構え、私が背部の大型スラスターにエネルギーを溜め始める。

 

「「勝負!!」」

 

瞬間、二人同時に一斉に動き始める。

 

一足先に攻勢に出たオルコットは構えていたレーザーライフルの照準を瞬時にこちらに合わせ、レーザーを発射した瞬間、後部に浮かんでいる四基の非固定浮遊部位(アンロックユニット)を展開する。

 

「お行きなさい!ブルーティアーズ!!」

 

展開された武装は空中を縦横無尽に駆け巡り私を狙い撃ってくる。

 

一方、私はスラスターに溜めていたエネルギー解放し加速、正面から弾幕に飛び込んでいく。

 

ハイパーセンサーによって強化されたヒステリアモード特有の演算力を使い弾幕の中を進んでいく。『雨水簾(うすいすだれ)』遠山家に伝わる技の一つで古くは合戦時に弓矢や飛散物、有毒な液体などを避ける為に編み出された技で避けながらオルコットのもとへと高速で突き進んでいく。

 

「寄らせませんわ!!」

 

オルコットが詰められた距離を離すためにレーザーライフルで射撃を行い、上空へと高度を上げていく。

 

「――その機体、一目見た時から高機動型なことは分かっていましたがここまでとは…」

 

「いいでしょう『台風(ウラガーノ)』の名前に恥じない自慢の翼よ」

 

私たちの戦闘は武装を使い、私との距離を取り続け、上空からレーザーの雨を降らし続けるオルコット、そんな逃げるオルコットを追いかける私という構図にいつしかなっていった。

 

――思った以上に機体の出力が高い。

 

スロットルワークを一瞬でも間違えればバランスを崩し、墜落必至であろうこの機体は事前の想像以上にピーキーな代物だった。

 

とはいえ少しづつ動かし方がわかってきた。つまり――。

 

「私がウラガーノを手なずけるのが先か」

 

「わたくしが貴方を堕とすのが先か」

 

これはそういう勝負だった。

 

__________________________________________

 

side 一夏

 

俺たちはピットで箒と千冬姉とともにカナタとオルコットさんの試合を観戦していた。

 

「す、すげえ…、あれがホントに俺と同じISを動かしたばっかりの奴の動きかよ」

 

俺はカナタが駆る黒い機体の凄まじい速度の動きに完全に圧倒されていた。

 

「確かにカナタの動きも凄まじいが、オルコットの方も先ほどの試合とは別物じゃないか…!」

 

箒がオルコットさんの戦いに驚愕を覚えているが、そうなのだ。さっき俺と戦った時とは全然違う。あれが代表候補生ってやつなのか…!

 

「お前と戦った時のオルコットは完全に相手を見下し、舐めてかかっていた。その結果あと一歩のところまで追い詰められたわけだが、元々実力で専用機を得た身だ、あれが本来のオルコットの実力だ。」

 

千冬姉の言葉を聞いて、俺は気づけば悔しさでこぶしを握り締めていた。

 

その通りだった、確かに俺はオルコットさんにあと一歩のところまで迫ったのかもしれないけどそれだってオルコットさんが俺の事を舐めてかかっていたからだ。

 

強くなれたと思っていた。誰かを守る力が手に入ったと思っていた。――けど違った。

 

「――もっと強くなりたいな」

 

口からポロリとこぼれたその言葉は吐き出された空気とともに解けていった。

 

「……これからお前たち二人は比べられていく事になるだろうな。お前たちが望まなくともお前たちはお互いに共通点が多すぎる。世界でただ二人だけの男性操縦者にしてだけではなく、()()()()()()()()()()()な」

 

「――姉?千冬さん、カナタには姉がいるのですか?」

 

千冬姉の言葉に箒が反応してるけど、カナタってお姉さんがいたのか。どんな人なんだろうか。

 

俺がカナタのお姉さんの人物像を想像していると思考の片隅になにか引っかかるものがあった。なんだ?俺、その人の事を知ってる気が――

 

俺がなぜカナタの姉という存在に引っかかるものを感じるのか頭をひねってみる。うーん?なんか忘れてるような気がするんだけどなあ…。

 

「なんだ篠ノ之、お前は知らなかったのか」

 

「知らなかった…とは?有名な方なのですか」

 

――ふとアリーナに目を向けてみればカナタは拳銃を取り出しオルコットさんに銃弾を放っていた。それはいわゆる早撃ちと言われるものだったのだろう。手元が一瞬ブレたかと思えばパァン!!という音とともにオルコットさんのビットが撃墜されていた。そしてその光景に俺は確かに見覚えがあった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「―――――え?」」

 

横から聞こえてきた言葉に驚き、記憶の輪郭がはっきりとし始める。

 

「……その人の写真とかって持ってたりしないですか」

 

「はあ、忘れたのか?――ほれ、こいつが遠山の姉の写真だ。」

 

千冬姉にカナタの姉の写真を見せてもらうそこに移っていたのは優勝カップを手に持ち千冬姉とともに壇上に上がっている女性の姿だった。

 

俺が、その写真を見たその瞬間、忘れていた記憶が急激に蘇って来た。

 

澄んだ琥珀色の長い三つ編み、白磁の様な白い肌、儚さを感じさせる顔つきと天使の様な微笑み――

 

あ。

 

ああ。

 

あああ。

 

「ああああああああ!!!誘拐された俺を助けてくれたお姉さん!!!??」

 

思い出した!!モンド・グロッソに出る千冬姉の応援でドイツに行った時に起きた誘拐事件で俺の事を助けてくれた人だ!!どうして忘れてたんだよ!?

 

「!!???ど、どういう事だ!!?一夏!!」

 

箒が血相を変えて俺に掴みかかり体をブンブンと揺らすが、今の俺にそんなことを気にしていられる余裕なんてなかった。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ千冬姉!!カナタのお姉さんがあの時俺を助けてくれた人だってのは本当なのか!!?」

 

「織斑先生だ。というか織斑、おまえも知らなかったのか。確かにアイツは遠山の姉にあたる」

 

「し、知らなかった…、それならそうとカナタも言ってくれればよかったのに」

 

かつて自分を助けてくれた恩人のおもわぬ事実に呆然としながらその事実を教えてくれなかった友人にがっくりと肩を落とす。

 

アリーナに目を向けてみればカナタがISの拳銃を使用しながらオルコットさんのビットを破壊している様子が目に入った。

 

「道理で戦い方に見覚えがあるはずだぜ、あの早撃ちって俺を助けるときにやってたやつだ」

 

しっかりと見てみればアレは誘拐犯が使用していたISを撃退するときに使用していた技とそっくりだった。

 

「遠山はまだまだ機体のスペックで無理やり再現しているに過ぎないようだがな…。兎に角、遠山がもう一人のブリュンヒルデの弟だと知ればお前たちは優劣が付けられる。お前も置いて行かれないように精進しろ」

 

「……ああ、俺も置いて行かれっぱなしってのは性に合わない。なんとしてでも追いついてやるさ」

 

さしあたってはこの試合をしっかりと目に焼き付けよう。俺の前を走っている二人に少しでも追いつくために。

 

__________________________________________

 

 

「はあ……、はあ……」

 

「ふう……、やっぱり代表候補生の名は伊達じゃないみたい。こっちはもうそろそろ限界も近いわね」

 

「……遠山さんこそ本当にISを動かして数時間ですの?並みの練度じゃありませんわよ」

 

試合開始から凡そ三十分程、私とオルコットはお互いに披露の限界に達していた。

 

「私の残りSEはせいぜいがライフルの直撃を一度耐えられるかどうか、対する貴女も残りの武装はビットは1基にライフルのみ…」

 

「まさか伏せ札であったミサイルビットまで破壊されるとは…、正直に言えばここまで苦戦するとは思いませんでした。貴方に最大級の敬意を表しますわ」

 

ここまでの戦いで私はウラガ―ノをほぼ自由に動かせるようにはなっていた。しかし彼女の虎の子だったミサイルビットの反撃や避けきれなかったレーザーによって私の残りSEはもう底をつきかけていた。

 

「――次で最後ですわ。この攻撃が貴方に破られればわたくしの負け」

 

「逆に当たれば私の負け、と」

 

お互い満身創痍の身、この一合を最後の勝負と決めお互いに極限まで集中していく。

 

――静寂ののち動き出したのはオルコットだった。

 

彼女はスラスターにエネルギーを取り込み私に向かって高速で突撃を行ってきた。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使用した突撃、それだけなら私も難なく対応する鵜事が出来ただろう。――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「――!?」

 

「ふふ!!驚いてくれたようですわね!ビットが一基のみであれば並列機動は可能ですわ!!」

 

――読み違えた!彼女がビットの並列が出来ないと思い込んでいた!!

 

「さあ、これでフィナーレですわ!!」

 

彼女が高らかに声を張り上げ、レーザーライフルによる射撃とその回避先を潰すビットの狙撃が飛んでくる。

 

――思考が引き延ばされ、眼前に迫りくるレーザーライフルによる光線を見据えながら一か八か私は手に持っている拳銃を光線へと向ける。

 

角度威力弾数不足加速転送思考思考思考思考――――!!!

 

ヒステリアモードの演算能力にISのハイパーセンサーによる補正をフルに活用しながら私は光線が直撃するまであと数十センチといったところで何とか間に合い、――引き金をひいた。

 

―――ギギギン!!!

 

「な!!?――キャア!」

 

私が放った弾丸はオルコットの放ったレーザーライフルの光線とぶつかり合い光線の軌道を刷らすことに成功する。そしてオルコットが放った光線をアリーナの天井のシールドに当て跳ね返った光線でビットから放たれた光弾と相殺させることに成功した。

 

「『光線弾き(リフレクト)』と言ったところかしら。我ながら成功するとは思わなかったけど」

 

オルコットに銃を突きつけながら自分のした無茶苦茶に思わず苦笑いが漏れる。

 

「――はあ、お見事ですわ。降参致します」

 

オルコットが私の苦笑いにそのまま苦笑を返し、両手を上げる。

 

『そこまで!勝者、遠山カナタ!!』

 

―――アリーナに私の勝利を告げる放送が鳴り響いた。




独自設定タグが火を噴きまくった戦闘回でした。

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