IS? え、ここ緋弾のアリアの世界じゃないの?   作:竹箒

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カナに関する説明回


第八話 まあ遠山家に私がいる時点で原作通りにはいかないので…

『そこまで!勝者、遠山カナタ!!』

 

私の勝利を告げるアナウンスがアリーナ全体に鳴り響く。

 

アリーナ全体から歓声と、お互いの健闘を讃える拍手が一斉に鳴りだす。

 

 

私はオルコットに突きつけていた拳銃を下ろし、彼女に声を掛ける。

 

「ふぅ…、お疲れ様。ピットへは戻れそうかしら?」

 

「ええ、幸いスラスターやPICは正常に働いていますわ」

 

彼女は自身の機体を軽く確認すると特に大きな問題はなかったのか軽く移動して無事を伝えてきた。

 

「ーー今回は完敗ですわね。わたくしもまだまだ訓練が足りませんわ」

 

「完敗というには紙一重の勝利だったと思うけれど?私が勝てたのはたまたま。運が味方してくれたからなんとか勝てたに過ぎないわ」

 

どこか清々しい表情のオルコットの言葉に私は彼女の強さを讃える。

 

「光栄ですわ、けれど結果として貴方はわたくしに勝利した。それが事実です。そもそもISを動かした経験が殆どない方に紙一重まで迫られている時点で既に敗北と言っても過言ではありませんわ」

 

彼女はそこで言葉を区切り、悔しさを滲ませる決意の顔で私を見つめ返す。

 

「次はわたくしが勝ちます」

 

そう宣言すると彼女は背を向けアリーナを去っていく。

 

「ーーこちらこそ」

 

ニッコリと微笑んで去っていく彼女を見送っていく。

 

 

 

私もアリーナを後にし、ピットへと戻っていく。ピットには私の試合を観戦していたのか一夏に箒、織斑先生たちが私を出迎えてくれた。

 

「お疲れ様!まさかオルコットさんに勝っちまうなんてな!」

 

「見事な試合だった。侮っていたつもりはなかったが凄まじいな…」

 

「二人ともありがとう。なんとか無事勝ちを拾うことが出来たわ」

 

二人に感謝を伝えると一夏たちは私の口調の変化に首をかしげていたが私が「気が昂ると自然と口調が変わってしまうだけだから気にしないで」と伝えると納得したのかうなずいてくれた。

 

「――って、そうだ!カナタお前、お姉さんがいたなら教えてくれよ!!お礼もまだ言えてないんだ!」

 

「――?カナのことを一夏は知っていたの?」

 

唐突に話題に上がったカナの名前になぜ今カナの名前が出るのかと疑問に思っていると箒が先ほどピットで起きたことを教えてくれた。

 

「ああ…、そういえば何年か前に大会中に誘拐犯を逮捕したって言ってたわね。もしかしてそれが?」

 

「ああ、カナタが使ってた早撃ちとかISの動かし方をみて思い出したんだよ。まさかあの時助けてくれた人がカナタのお姉さんとは思わなかったけど…」

 

確かに記憶を遡ってみれば数年前ドイツでテロリストに誘拐された少年を救ったとは聞いた覚えがあるけどまさかそれが一夏だったとは。妙なところに縁があったものね。

 

――『遠山カナ』

 

私がこの世界に生まれて一番驚いたといっても過言じゃない存在だった。てっきり緋弾のアリアと同じように遠山金一が産まれているかと思っていたが、どういう訳か金一は生まれずにカナが産まれた。前世の記憶を思い出した時点でカナは10歳、母さんは死去していたからてっきり金一がカナとして振舞っているものだと思っていたからとても驚いたのを今でも覚えている。

 

その後、カナは原作通り武偵として活躍していたが、ISの適性の高さを評価され当時縁があったイタリアの国家代表に推薦される形で国家代表に就任。自由国籍を得てイタリアの国家代表となったカナは第一回モンド・グロッソでは機動部門、射撃部門にて優勝『ヴァルキリー』の称号と総合部門2位の結果を残した。もちろん当時総合優勝を果たしたのが一夏の姉である織斑千冬である。

 

第二回モンド・グロッソでは全大会に引き続き機動、射撃部門での優勝。前回と同じように決勝戦にて織斑先生との試合が始まるかと思えばそこで事件は起こった。

 

――時間になってもカナも織斑先生も会場に現れなかった。

 

その後、モンド・グロッソを運営している委員会から試合の延期が宣言され、後日改めて決勝を執り行うとのことがありその試合にてカナは見事、織斑先生を下し第二回モンド・グロッソ総合優勝を果たし、『世界最強』に並ぶ『世界最優』とよばれるようになった――

 

「結局、延期の理由は公表されなかったけどそういう事だったのね」

 

「――あの事件には守秘義務が敷かれていた。公にしていいものでもなかったしな」

 

私が当時の謎に納得をしていると織斑先生が声を掛けてきてくれた。

 

「カナ姉さんなら大会を投げ出してでも助けるでしょうね」

 

「ああ…、おかげで私たちはこっぴどく叱られることになったがな。――はあ……それにしてもお前という奴は……、面倒ごとの気配がするのはやはりお前も『遠山』という事か」

 

後半のセリフは気を使ってくれたのか声量を落としながら、HSSを発現している私を見て疲れた様子で頭に手を当てる。

 

「ごめんなさい。気を付けてはいたのだけれど…」

 

「いや、お前が謝ることではない。気にするな…とはいえ何があったかは後で話してもらう。……逃げるなよ?」

 

そういってこちらにギンッ!と鋭い目を向ける織斑先生。流石は世界最強、ヒステリアモードでも勝てるイメージが全然沸かない。正直逃げたいけれど逃がしてもくれなさそうね…。

 

「――う、うぅん…?」

 

私がこの後に訪れる尋問に嘆息していると、どうやらピットの椅子に寝かされていた山田先生が目を覚ましたようだった。

 

「あ、あれ…?わたしってばどうしてこんなところで…?」

 

「起きたくれたのね、約束通り貴女に勝利を届けに来たわ。お姫様?」

 

「あれ…?遠山君…なんで…――って、ななな!」

 

起きたばかりで寝ぼけていた思考が追いつき気絶前の事を思い出したのだろう。顔を真っ赤にしながらてをブンブンと振っている。

 

私はそんな彼女の手を取り。

 

「喜んではくれないのかしら…?真耶の為に私、頑張ったのよ?」

 

お互いの指を絡ませあいながら真耶の顔を下から覗き込むように目を合わせる。

 

「~~~!!え、えっとえと、も、もちろん嬉しいですよ!!?」

 

「ふふ、よかった…。なら、折角だしここに報酬をくれないかしら?」

 

そういって私は自分の頬に指をさす。

 

「ええ!!?そ、それって、ももももしかして……?」

 

「――キス、返してくれないかしら?」

 

真耶は自分が気絶する前にされたことを思い出したのか赤かった顔をさらに真っ赤に染め、戸惑っているのかブツブツとなにかを囁いたかと思えば、覚悟を決めたのかこちらに顔を近づけてくる。握っていた手にはギュッと力が入り緊張からか震えていた。そして私たちの距離がゼロに――

 

「何をしようとしている貴様は!!」

 

――ズパァン!!

 

織斑先生の出席簿が轟音を立てて私の頭に突き刺さった。

 

「痛いですよ、織斑先生…」

 

頭をさすりながら織斑先生の方を見ると、織斑先生は額に青筋を浮かべ出席簿を掌でパシパシと叩きこちらを睨んでいた。

 

「神聖な学び舎で何をしようとしている」

 

「報酬を貰おうとしただけですが…」

 

「口を閉じろ遠山。次に私の前で風紀を乱そうとした場合貴様の命の保証はしない」

 

殺気がどんどん強くなっていくのが肌で感じる。私も命は惜しいので素直に真耶――山田先生から離れる。

 

「あ…」

 

山田先生から名残惜しそうな吐息が漏れるが命には代えられない。

 

「はあ……面倒を起こすな、次はお前と織斑の試合だが用意は可能か?」

 

「……武装は問題ないでしょうけれど流石に体がボロボロね。この後に試合をするのは無理そうです」

 

ウラガ―ノを動かす際にかなり無茶な機動を取っていたせいか身体中がボロボロになっている。しかもそろそろヒステリアモードも切れかかっているのか眠気が酷い。正直立っているだけでも辛い。

 

「そうか、ならお前たちの試合は中止とする。戻っていいぞ」

 

その言葉でこの場所に集まっていた私たちは解散していく。

 

――ちなみにさっきのやり取りの間、一夏は箒に目を覆われなにがあったのか首を傾げていたし、箒は山田先生とのやり取りを顔を赤くしながら見つめていたのだった。

 

__________________________________________

 

「では、一年一組の代表は織斑一夏くんに決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」

 

決闘の翌日、朝のホームルームにて山田先生がクラス代表者を発表する。女子はきゃあきゃあと黄色い声を上げ、反対に一夏はなぜ!?と言わんばかりの表情を浮かべていた。

 

俺?俺は昨日の事を思い出して鬱になっていた。もうクラス代表とかどうでもいいよ、お願いだから勝手にしてくれ…。

 

「山田先生、質問です」

 

「はい、どうしましたか?織斑君」

 

「…何で俺がクラス代表になってるんでしょうか?」

 

一夏が山田先生になぜ自分がクラス代表となっているのか質問をするとその答えを返したのは山田先生ではなくオルコットだった。

 

「わたくしが一夏さんを推薦したからですわ」

 

席を立ちあがりオルコットが昨日の説明始める。

 

要約すれば一年一組の専用機持ちの中で一番技量が伴っていないのが一夏であり、クラス代表になればクラス対抗戦などの実践を通して一夏に強くなってもらいたいという事だった。

 

「そういう事か…、でもカナタはいいのか?俺が代表になっても」

 

「ああ…、元々は俺もクラス代表になるつもりは無かったしそのまま一夏がやっていいんじゃないか?」

 

俺が投げやりにクラス代表を辞退すると、一夏も覚悟を決めたようで。

 

「……分かりました、俺が代表やります!」

 

と力強く宣言していた。その言葉にクラスは喧騒を取り戻し、女子たちの興奮は最高潮となっていた。

 

「そ、そこで一夏さん、もしよろしければわたくしがISの操縦を教えてーー」

 

「それは私の――」

 

何やら箒とオルコットが一夏をめぐって争っているみたいだがそちらからは目をそらし、教卓に目を向けると山田先生と目が合い顔を赤らめながら顔を教科書で覆っていた。

 

ああ、鬱だ…。死にたい…。

 

クラスの女子は大騒ぎ、一夏たちは修羅場、山田先生はかくれんぼとカオスの極みのような有様であったがガラガラという音とともに入って来た織斑先生の連続出席簿アタックでみんな等しく撃沈していた。

 

「さっさと座れ馬鹿者ども。山田先生も何をしているですか…」

 

織斑先生のため息はチャイムの音に搔き消されていった。




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