カエンジシみたいな父を探しております。ついでにミアレも救います。   作:幽 

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Fさんとか、AZさんの辺りの話。
感想、評価、ありがとうございます。また、いただけましたら嬉しいです。


カエンジシみたいな父を探していますが、それと関係なく、私たちはあなたたちが好きなのです。 中

埃臭いラボの中で、たどり着いた先で、二人はAZの作り出したもののこと、何かを生き返らせるためにした罪のこと、そうして、命の選別を行ったこと。

 

それを、キョウヤは、愚かだなと思う。

例え、フラダリが計画に成功していたとしても、彼の地獄は終わらないだろう。

人は、醜くも、美しいものでもない。人は、弱いのだ。

不安定な場所では己の生存に重きを置いて、自分勝手に振る舞い。けれど、その弱さで他者へ共感を示し、縋らずにはいられないから他者を愛し、誰かのために死んでいく。

人は、そういうものだろう?

 

だから、きっと、命を間引いたところで、狭い社会の中で、同じような社会構造を構築して、フラダリは終わらない地獄に狂っていったことだろう。

 

(・・・・そういう意味では、父さんは、弱かったのか。)

 

世界の醜さを飲み込めず、ただ、絶望して、せめてこれ以上醜くなる前に全てを壊そうとした人。

紛れもなく、人を愛していた人。

 

「・・・・・お父さんは、お母さんのこと、どう考えていたんだろう。」

 

静かな声に、キョウヤははっと気づいてセイカを見た。それに、キョウヤはなんて言えばいいのか分からない。

自分たちのことはいい、父は二人のことを知らなかったのだから。けれど、母のことは、どうだろうか?

母が死んでしまうことを、父は考えなかったのだろうか?

キョウヤは静かに、そんなことも考えられないほど狂っていたのだろうと考える。けれど、それを優しい姉に告げることはできない。

自分は、母に似ている。似ているから、ここで、とても冷酷に、あっさりと、狂っていたのだろうとしか思えない。

 

(それとも、もう、どうでもよかったのかな?)

 

無機質なモニターの蒼い光をじっと見る。何か、何かを、己の愛しい片割れ。

己が持つべき優しさや、慈愛、柔らかなものを全て持っているそれに笑って欲しくて、キョウヤは口を開いて何かを言おうとした。

 

「・・・・お父さん、神様がいるって、信じてたのかな?」

「え?」

セイカは、悲しそうに、けれど、穏やかに微笑んだ。

「・・・・神様がいるなら、きっと。」

どんなことがあっても、生きるべき人は生きるって。

 

お母さんは生き残るって、そう信じたのだろうかと。

それは、とても愚かな考えで。なんだろう、そんな、ロマンチシズムにあふれた考えは。

けれど、キョウヤは、姉と繋いだ手をきつく握った。

 

「・・・そうかもね。」

「そうなんだよ。」

 

母曰く、父は、とびっきりのロマンチシストだったそうだから。

そうなのだろうと頷いた。

 

そこで、後ろからポケモンの鳴き声がしたのだ。

 

 

Fは、フラダリは、静かにタワーの中にある装置の話をした。

 

「・・・・どうして、ここに。」

 

キョウヤのそれに、フラダリはどこか落ち着かなさそうにジガルデを見た。

 

「・・・・ここに、行くように。そんな気がして。」

 

彼は、以前した宣言の通り、記憶を失ったことを改めて告げ、それでも微かに思い出したことについて話す。

最終兵器を起動させると同時に、タワーの中にある装置もまた起動させたのだと。

 

「・・・自爆した私はフレア団の秘密基地とともに地中深く埋められたのです。」

「でも、生きて、るんですよね。」

「ジガルデに助けられたのですよ。」

 

彼はそう言ってジガルデの話をした後、タワーの暴走を止めるためにフラエッテと、その力を引き出すためのトレーナーが必要なことも話した。

 

「・・・・さあ、グリやAZと話してきなさい。」

 

彼はそう言って、自分たちを見送るようにモニターの前に立つ。それに、キョウヤはどうすればいいのか分からない。

 

(・・・・告げれば、もしかしたら。)

 

自分たちが、彼の子どもであると、そうしたら何かを思い出してはくれないだろうか?

 

(いいや、無駄だ。母さんのことだって、覚えてないのに。)

 

黙り込んだキョウヤと繋いだ手を解き、セイカはフラダリに近づいた。

 

「あの!」

「・・・・なんでしょうか?」

「今、どこに住んでますか!?」

 

突然のそれにキョウヤは目を見開いた。フラダリもまた目を見開き、そうして、困ったような顔をする。

 

「・・・定住先は、とくに。」

「なら、どこで休んでるんですか?」

「まあ、基本的にベンチや、雨の日は適当に屋根のあるところで・・・」

 

その言葉にセイカは目を見開き、そうして、叱るように叫んだ。

 

「そんな!風邪でも引いたらどうするんですか!?」

「い、いえ、そんなことは・・・・」

「ないなんて言えないですよね!使命があるって言うぐらいなら、ちゃんと自己管理をして、自分のことだって守らないと!」

「・・・・私は、罪人です。だから。」

「だから、なんですか!?」

 

叫んだと同時に、セイカは、拳を握りしめて、視線を床に滑らせる。

 

それでも、目の前の男は、セイカの愛しい父なのだ。

罪があれども、愚かでも、それでも、セイカは、目の前の、母の愛した人の幸福を願わずにはいられないのだ。

 

(でも・・・・)

 

目の前の人には、この心を理解できない。全て、忘れているのだから。

が、セイカはすぐに顔を上げた。

 

だから、なんだと言うのだ?

 

セイカはポーチからメモを取り出し、そうして、そこに殴り書きするように住所を書く。

 

「これ、どうぞ!」

「こ、これは?」

「私のいるホテルの住所です!ここに来たら、お部屋を貸しますから!」

「そのような・・・」

「必ず、来てください!!」

 

叩きつけるように、激しく、そう言った。そう言わなければ、涙があふれそうだった。今にも、父にも縋り付いてわんわんと泣きたくなってしまうから。

だから、こらえるために、叫んだ。

 

「は、はあ?」

 

混乱するフラダリに、セイカはまたポーチから丸い形の焼き菓子を取り出した。

 

「これ、食べてください。」

「これは?」

「・・・・作った、ガレットです。」

 

セイカが母から教わったレシピで作ったものだった。紙で出来た包装に入ったそれに、フラダリに押しつける。

 

「ちゃんと食べて、ちゃんと寝てくださいね!!」

「それ、ベンチで寝て、カラスバさんにしばかれる俺たちが言えた義理?」

「それ、色違い探してるお兄ちゃんだけじゃん!」

「・・・・そんなことをしてるんですか?ちゃんとホテルがあるのなら、そこで寝なさい。」

「うわ~、やぶ蛇・・・・」

 

苦笑交じりにそう言ったキョウヤから視線をフラダリに移したセイカは念を押すように行った。

 

「ちゃんと、後でうちに来てくださいね?」

 

そのままセイカはフラダリに背を向けて、出口に歩いて行く。

そうして、彼女はキョウヤの前にいるジガルデの前で立ち止まり、そうして、そのポケモンを抱きしめた。

 

「・・・ジガルデ、ありがとう。お父さんのこと、助けてくれて。」

 

きつく抱きしめられたジガルデは、静かにそれに甘んじ、セイカの頬をぺろりと舐めた。

それにキョウヤも、セイカと同じように、自分たちに聞こえる程度の小さな声でジガルデに話しかける。

 

「・・・ありがとう。君が、何を考えてるのかは分からないけど。できるだけ、俺たちも、できることをしてみるよ。」

二人はゆっくりと立ち上がり、そうして、グリに会うためにその場から駆けだした。

 

 

 

「・・・・会いましたか?」

「うん・・・・」

 

それが誰のことなのか、理解して、キョウヤは静かに頷いた。

 

「・・・あの方は、何も覚えていないのですね。自分の、愛した人たちのことも。」

 

「・・・お前達は、憎くないのか?」

 

グリーズは二人の、幼い子どものように手を繋ぐセイカとキョウヤを見て、言った。

 

「あの人のせいで、私たちは、お前達は・・・・」

「グリーズ、その話は、後にしましょう。」

 

グリがグリーズを制止し、セイカとキョウヤに視線を向ける。

 

「君達は、フラダリラボで真実を知ったでしょう。故に、要求します。AZのフラエッテをよこしなさい。」

「タワーの制御に、フラエッテが必要だから?」

「そうです。フレア団は、一度、全て灰に帰しました。ですが、私たちは、フラダリ様の願った美しい世界が間違っていたとは思いません。そのために、タワーの暴走は止めねばなりません。」

「ミアレを守ることで、私たちの名誉も回復する!お前達だって!顔を上げていけるんだ!」

「・・・あの件の後、おれたち団員の子どもはそれだけで白眼視されたのです!」

「それでも街を離れなかった!」

 

生まれ育った街を彼らは愛していたから。

 

グリは静かに告げる。

「俺と戦いたいというのなら、フラエッテを連れてくるのです。」

 

グリは宣言する。自分が、最強のメガシンカ使いになり、タワーの暴走を止めると。

 

「どうすべきか、MZ団で話し合って決めなよ。」

「・・・AZの罪、あなたたちは聞いてくるといい。」

 

彼らはそう言って、二人に背を向けて、その場から去って行く。そこで、グリーズが口を開く。

 

「・・・・もしも、AZが嫌になったら、うちにこいよ。二人とも、少なくとも、うちにいるべきなんだからな。」

そう言って、悲しそうに目を伏せて彼女はカフェを出て行った。

 

二人は無言で、その場を後にする。

彼の、AZの罪を、聞くために。

 

 

 

 

 

「・・・おかえり。」

「ただいま。」

「ただいま、フラエッテ、AZのおじいちゃん。」

 

セイカが、少し前から呼ぶようになったそれに彼は穏やかに、嬉しそうに微笑む。

そうして、それと同時に、物憂げに二人のことを見つめる。

 

「・・・・もう、君達はたくさんのことを知ったのだね?」

「はい。」

「でも、全部じゃ無いから。」

だから、教えて欲しいんです。それは、きっと、父の罪にも繋がるから。

 

二人のそれに、AZは深く頷いた。

その後に、エレベーターの音がして、勢いよく、MZ団のメンバーが飛び出してくる。

 

「セイカ、キョウヤ!!」

 

タウニーはまるで懐いたポケモンのように二人に抱きついてきた。そうして、彼らの顔を片方ずつの頬を撫でて、気遣うように顔をのぞき込む。

 

「・・・大丈夫?」

「・・・・うん、大丈夫だよ。」

 

セイカは甘えるようにタウニーに抱きつき、そうしてすりっと頬を寄せる。

 

「グリは?」

「ヌーヴォカフェの人だった。」

「ああ、グリーズさんとセットだったんですね。」

 

ピュールとデウロのそれにキョウヤはAZのことを見上げた。

 

「・・・・タワーのことを、聞かせて貰えますか?」

「ああ、皆、屋上に上がってくれ。」

 

 

屋上で、タワーを見つつ、AZの罪を聞いた。

いつかに、愛した者のために、罪を犯した男の、永い、長い、お話を。

そうして、彼の罪悪感によって造り出された機械が、父の罪によって動き出した事実も。

 

話を聞き終えた後、セイカとキョウヤはじっとタワーを見つめた。ピュールが、フラエッテがメガシンカをする疑問を聞いている声がした。

 

AZの罪を、MZ団が尻拭いをしている。そんな声が聞こえてくるけれど、セイカとキョウヤは上の空でまたタワーを見つめたままだ。

 

「セイカ、キョウヤ!聞いてるんですか?」

 

それに二人ははっとした顔で、ピュールに視線を向ける。

 

「ちゃんと聞いてください!死ぬかもしれないんですよ?」

「・・・でも、それは、お父さんの罪でもあるから。」

 

静かなセイカの言葉に、ピュールはしまったという顔をした。気まずそうな顔の後、小さくすみませんと言った。

けれど、彼らは特別な感慨を持たずに、ゆっくりとAZに視線を向けた。

 

「・・・ねえ、おじいちゃん。」

 

セイカが、なにか、どうしようもないような顔をして、AZに微笑みかけた。

キョウヤが引き継ぐように、顔を歪めて口を開く。

 

「・・・・あなたの3000年は、永かったですか?」

お父さんの、これからの3000年は、どれだけ、永いんでしょうか?

 

 

その言葉に、その場はまるで水を打ったように静まりかえった。

それにAZは一度目を閉じ、そうして、そっと二人に手を差し出した。それに、二人は無言でAZの元に近づく。

セイカは今にも泣き出しそうな、キョウヤは能面のように無表情でAZのことを見つめる。AZの差し出した両手の内、片方をセイカは握る。

 

「・・・私は、ただ、フラエッテに会いたかった。それは永い時間だった。けれど、それは同時に希望だった。私には、彼の望みは分からない。彼の幸福も。だが。これから、その永い時間を生きるための希望を見つけることは出来るはずだと私は思う。」

「・・・みつけ、られるかな?」

「見つけられるさ。」

彼には、君達がいるんだから。

 

AZは静かに微笑んだ。それに、セイカは何かを隠すようにAZの長い髪に顔を埋める。AZは微かに感じる暖かさと濡れたような感覚に、セイカの背中を撫でる。

キョウヤはそれをじっと見つめる。

 

「・・・ねえ、キョウヤ。キョウヤは、グリに勝つんだよね?」

「・・・・迷ってる。グリは、父さんの罪で、ああなったから。」

 

タウニーはそれにじっとキョウヤを見る。

 

彼は、MZ団でも年かさで、自分の人助けに時折付いてきた。

 

「・・・・助けてって声が、本当に助けの声だとは限らないんだよ。」

 

呆れたようにそう言う彼にタウニーは自分が侮られていると感じるときがあった。けれど、それと同時に、助けられていた。

 

ただ、声をかけたあの日から、彼はどこかタウニーを子どものように見て、けれど、ずっと助けられてきた。

けれど、今、彼は、彼女は。

タウニーが知る、軽やかで、自由な彼らは、ユカリトーナメントで見た時の同じ、子どものようだった。

 

(・・・キョウヤ、背が高いけど。)

 

よくよく見れば、その体は未だ華奢で、成長途中の、少年で。

 

「フラエッテを連れてこいって言われたけど。そうではだめだと思うのに。でも、彼が望むなら、それを叶えるべきだと思う自分もいる。」

「フラエッテを?」

「ええ!連れて行っちゃうの?」

 

デウロとピュールのそれに、タウニーはじっとキョウヤとセイカを見た。

 

「・・・セイカも、迷ってるの?」

「・・・私たちに、資格が、あるのかって。」

 

その返事にタウニーは力強く言った。

 

「でも、無理矢理フラエッテを連れていって。メガシンカで進化できるの?メガシンカは、ポケモンとの絆ありきだよ!そんな乱暴な男に、レディが好意的なわけ無いじゃん!」

 

その言葉に、セイカとキョウヤは目を大きく見開き、驚いた顔をした。

それにデウロが弾みでけらけらと笑った。

 

「あはははははは、確かに!乱暴な人はやだよねえ。」

「そういう問題ですか?」

 

フラエッテがきゅるるると笑って、タウニーに同意するようにくるくると回った。

 

「だよね!だから、だから、さ。私には、二人の、フラダリ、さんの罪とか、その辺りには何も言えないよ。でも、二人は、ヌーヴォカフェの人たちの事情を知って、知れて、どうしたい?」

 

その言葉に、二人は黙り込み、そうして、言葉を吐いた。

それにタウニーは大きく頷いた。

 

「・・・うん!二人がそれでいいなら、それでいいよ!」

「行っておいで。」

 

AZはそう言って、セイカとキョウヤの頭を撫でる。それに二人は頷いた。

夜もふけて、星明かりが自分たちに降り注ぐ。それでも、答えを彼らに差し出すために、二人はまたホテルから飛び出した。

 





どっかのIF


・・・・・ここがパシオって人工島で、ポケモン大会が行われてるのは分かりました。
えっと、そうですね。こちらも、あなたたちが異次元?ミアレシティでの異常に巻き込まれたというのは分かりました、分かりましたが。その、彼は?
そうですね、プラターヌ博士。私はあなたとは親交は無かったが。あなたなら分かるよね。
・・・・やっぱり、彼は。
うん、わかったのはいいけど!なんでフラダリがもう一人いるの!?パラレルワールドだから!?というか、なんで連れてきたの!?絶対会わせない方がいいのはわかるでしょ!?
いや、その、騒ぎを聞きつけて、来ちゃって。

・・・・・なんだ、その体たらくは。
・・・・・ああ、あなたは、あの愚行をまだ信じているのですか。
愚行、だと!?

フラダリ!?待って、喧嘩売らないで!?ともかく、ここから離れようか!?
・・・そちらの女性は。
あー。その、私はこっちのフラダリの幼なじみというか。
妻です。

妻!?!?!?!え、結婚、して?
妻じゃ無い!籍も入れてない!
子どもが二人もいます。
言わんでいい!これ以上、この場をかき乱すな!

・・・・妻?この人が?
(す、すげえ、不満そう。いや、まあ、そりゃあ。)
こちらの私、今、あなたはカヌスを蔑みましたね?いい度胸です、表に出なさい。バトルしましょう。
ほう、何を言うかと思えば。そちらの私は相当焼きが回っている様子だ。
その言葉、そのままお返ししましょう。カヌスを良さを理解できないとは。相当女性を見る目がないのですね。
止めろ!?フラダリ、キョウヤたちの煽り癖がうつってないか?
カヌス、いえ、愛しい人。止めないでください。あなたほどに、美しく、優しく、強い人はいません。あの愚か者に分からせてきます。ジガルデ、行きますよ。
ゼド!
あ~手の甲にキスすんな!変なところでカロスの男仕草しないで!?なんでジガルデもやる気なの!?
たたきのめしてやる!
こちらの台詞です。

・・・・どうする?
ぼけっとするな!博士はゼルネアス使って!巻き込まれたフラエッテ姐さん!止めるから手伝って!!
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