カエンジシみたいな父を探しております。ついでにミアレも救います。   作:幽 

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幕間というか、短め。Fさん戦は次から。
感想、評価ありがとうございます。まと、いただけましたら嬉しいです。


カエンジシみたいな父を探していますが、ただ、私たちはしたいことをしただけです。 中

 

「・・・・・ねえ、お兄ちゃん。」

「うん?」

「AZのおじいちゃんが言ってたこと、覚えてる?」

 

セイカとキョウヤはAZの葬式等でバタついた後、改めてMZ団で墓参りにやってきたのだが。

皆に断りを入れて二人でその墓の前に立っていた。

 

「・・・俺たちが、AZさんの弟さんの子孫って話?」

「うん。」

 

セイカはじっと墓を見る。それをキョウヤは少し下がった位置で眺めていた。

 

タワーの暴走の後、AZはすぐに倒れたが、少しの間だけセイカたちと話す時間を持つことができた。

そこで、彼は昔話を聞かせてくれた。

 

「・・・どうして、教えてくれなかったんですか?」

 

もう、長い時間の中でほとんど他人と言っていい関係性であるとはいえ、キョウヤは純粋な好奇心で問いかけた。それにAZは、彼の私室のベッドの上で静かな目をして双子を見た。

 

「・・・君たちは、すでに多くのものを背負っていた。だから、これ以上のものを背負わなくていいと考えたんだ。」

「・・・・背負いませんよ。」

 

キョウヤは冗談交じりな、そんな声でAZに言った。

 

「・・・身内が、近くにいて、うれしいですよ。」

 

その言葉にAZは穏やかにほほ笑み、そうしてそっと己の近くで涙をこらえるために無言を貫くセイカの頭を撫で、少し離れたキョウヤに手を伸ばした。

キョウヤはそれに促される。

AZは二人の頬に手で覆った。大きく、けれど、冷たい手だった。

 

「・・・・君たちは、とても強い子どもたちだ。そうして、未来を創る、子どもたちだ。君たちに会えてよかった。」

ありがとう。

 

静かな微笑みでAZは笑い、そうして、そのあとに、静かに息を引き取った。

 

「ルカリオ、大事にしないとね。」

「うん。」

 

託されたルカリオはセイカが譲り受けて育てている。セイカは冗談めかした後に、キョウヤに振り返った。

 

「すごいよねえ、私たち世が世ならお姫様と王子様だって。」

「そんな柄?」

「あははははは、そうだね!」

「俺たちは、冠を抱くんじゃなくて、冠を誰かに放り投げて走り回ってる方が気楽だろ。」

(まあ、母さんの方にも厄ネタはあるんだけど。)

 

冗談めかしたように笑った後、キョウヤはセイカにささやいた。

 

「・・・・父さん、どこにいるんだろ。」

「うん、言わなくちゃ、いけないのに。」

 

母に、会ってほしいと。そういいたい父の行方は、タワーの暴走以来、ぱったりと分からないままだった。

 

 

 

「ジガルデなら、時々ホテルにきてご飯せびっていくのにね。」

「本当だよ。あー、ガレットの作り置き、まだあったけ?」

「それより、ちゃんとしたご飯用意した方がいいんじゃない?この前、ガレット両手の指じゃ足りないぐらい平らげてたよね?」

「だよねえ、やっぱり、健康に悪いっていうかさ。」

 

その日、二人はリワード戦の最初をこなし、のそのそとホテルへの帰路につきながら父の行方について話をしていた。

ただ、話せども、話せども、出てくるのは何やらセイカの言葉を真に受けた食いしん坊のことだけである。

 

「カラスバさんに頼む?」

「・・・・それでもう、街にいないって言われるのも怖くて。」

 

はあと息をついていると、ホテルから慌ててかけ出てくるピュールが目に飛び込んでくる。

 

「あー!!!」

「うっわ!」

「どうしたの!?」

「どうしたもこうしたもじゃありません!!二人とも、電話に出てください!」

「あ、ごめん!バトル中で電話の音切ってて・・・」

「ともかく!ホテルに入ってください!!」

 

ピュールに引きずられる形でホテルに入った先、そこにいた人物に二人は目を見開いた。

 

「ああ、ひさしいですね。」

 

ロビーに置かれた椅子に座る、灰色の男。

 

「あ!帰ってきた!!」

 

デウロが、一応と、気遣いでセイカの焼いたガレットとお茶を出しているのが見えた。

 

「お気遣いなく・・・」

「あ、いえ。」

 

セイカとキョウヤを視認しながら、デウロに断りを入れるフラダリにセイカが駆け寄る。

 

「ど、どうされました?」

 

突然距離を詰めてきたセイカに彼は困惑してそう言った。それにセイカはぐっと、何かを飲み込むような仕草をした。

 

「・・・・いえ、もう、街を、出られたのかと思って。」

「ああ、それで。」

 

フラダリはAZについてお悔やみを述べた後、息をつく。

 

「・・・・彼とは、いくつか、話ができてよかった。」

「話を、されたんですか?」

 

キョウヤはフラダリの前から離れないセイカを支えるように、背中に手を添えつつ問いかける。

 

「ええ。死ねないものの苦痛、彼の功罪・・・」

「平和のためにアンジェを用意したのは、罪なんでしょうか?」

 

ピュールのそれに、彼は少しだけ首を振る。

 

「・・・時代は変わる。作ったときはそうであるとして、混乱を招いてしまったのも事実。これからの未来、どうなっていくのか。楽しみともいえるのかもしれません。人とポケモン、ともに、どうやって生きるのか。」

 

そう独り言のように言った後、彼はゆっくりと立ち上がった。

 

「では、本題に入りたいのですが。よろしいでしょうか?」

「本題?」

 

彼は、フラダリラボにて思い出したという、奪うものと与えるものについて話をした。

彼自身、それらについては詳細は覚えていないらしい。

 

「ジガルデも、あの日以来、姿を見せませんし。」

「ホテルにきてますよ、ジガルデ。」

「は?」

「セイカが焼いたガレットを爆食いして帰っていきますね。」

「セイカ、ちゃんとしたご飯食べさせた方がいいんじゃない?」

「そうだねえ・・・」

 

少しだけあきれたような顔をしたセイカのそれに、フラダリはため息をついた。

 

「・・・よほど、あなたの作るものが気に入ったんですね。ただ、すぐに動けることもないでしょう。ですので、あなたたちにお任せしようと考えたのですが。」

「わかりました、調べてみます。」

 

フラダリは頷き、そのままホテルを出ていこうとする。けれど、それを四方八方から腕が伸びて阻まれた。

 

「あ、帰っちゃうんですか!?」

「も、もう少し、いてもいいと思います!」

「です!ガレット、焼きますから!」

「住所不定なんですよね?ホテルで少し休んでいってください!」

 

デウロとピュールはようやく見つけられども、行方の分からないセイカたちの父を逃がさんとばかりに上着をつかむ。

セイカとキョウヤもまた、こなくそとフラダリを引き留めた。

 

「い、いえ、ですが・・・・」

「ホテルに来てって、私、言いました!!」

 

セイカが駄々をこねるようにそう言えば、フラダリは困った顔をする。

 

「・・・あなたたちも分かっているでしょう?私は覚えていませんが、お世辞にも、世間がいい顔をする人間ではありません。

 

その言葉に四人はみるみるしょんぼりと沈んでいく。それに彼も罪悪感があるのか、おろおろとする。

そこで、キョウヤが恐る恐る口を開いた。

 

「あの。」

「・・・・滞在は。」

「はい、もう、言いません。ただ、さっきの件が終わったら。一つだけ、頼みを聞いてほしいんです。」

「頼み?」

「俺たち、頑張りました!頑張って、やりたいと思っても、大変なことを終えました。だから、一つだけ。一つだけ、頼みを聞いてほしいんです!」

 

キョウヤのそれに、フラダリは少しだけ悩む。けれど、その、静かな青い瞳を見ていると何かがかみ合いそうになり。

 

「・・・・わかりました。では、また、のちほど。」

 

何かを振り切るように、フラダリは了承しつつキョウヤから目を離した。

 

 

 

「あの、モミジさん。」

 

キョウヤとセイカは、元フレア団のモミジが何かを知ってはいないかと研究所を訪れた。そんな中、彼女が市長に罵倒を吐いているの聞きつつ恐る恐る問いかけた。

モミジは二人に目を見開き、そうしてばたばたと立ち上がる。

 

「あ、えっと、セイカ様、キョウヤ様?かな?どうされました?」

「いえ、敬語とかいりません。」

「そんな風に言われる立場ではないので。」

「え、いやあ、でも・・・まあ、はい。えっと、で、どうし、たの?」

 

モミジはどこか気まずそうというか、困り果てた様子で二人のことを見つめる。それに、彼らはフラダリから聞いた話を彼女に聞かせた。

彼女はそれに、イベルタルとゼルネアスというポケモンの話を聞かせてくれた。

それに二人はどうやら厄介ごとはまだまだ続くことを理解した。

 

 

「ねえ、姉さん、ゼルネアス、本当に俺の手持ちに加えていいの?」

「フェアリータイプなら、私はもういるし。お兄ちゃんの手持ちにいる方がいいと思って。」

「まあ、それならいいけど。」

 

モミジからの調査の後、ゼルネアスを確認した二人はなんとか件のポケモンを捕獲することにした。そうして、キョウヤの手持ちに加わることになった。

 

二人はそういいつつ、ヌーヴォカフェに話を聞きに行くために向かった。

 

「おお!セイカじゃないか!」

「グリーズさーん!」

 

後片付けなどに追われ、これていなかったカフェに来れてセイカは嬉しそうにグリーズのそれに反応する。彼女は当たり前のようにセイカに両手を差し出し、迎え入れの仕草をした。

 

「え、えっと?」

「ん?」

「その、それは?」

「ん?」

 

グリーズの圧にセイカは覚悟を決めた顔でそのまま腕の中に納まる。

 

「きみは本当にかわいいな~」

 

うりうりと頬ずりをされてかわいがられるセイカのそれにキョウヤは表面上素面を保ちつつ、全力で頭にはてなを浮かべていた。

 

(こんな、距離感、だった、か?)

「キョウヤ、今日はどうされましたか?バトルですか?それともコーヒー?」

「あ、いえ、今日は・・・・」

「どうして敬語なんですか?」

「え?」

「おれたち、そんな関係じゃないでしょう?」

「う、うん?えっと、少し、聞きたいことがあって。」

 

キョウヤは、聞きたかったイベルタルの話を聞く。

 

「なんで、その話知ってるんだ?」

 

セイカを腕の中から離さないグリーズが、フレア団時代にかかわっていたことを教えてくれる。

 

「この件はクエーサー社も交えて話したほうがいいですね。向かいましょう。」

「そうだな、早めに店を閉めよう。二人とも手伝ってくれ。」

「う、うん。」

 

セイカは名残惜しそうなグリーズの腕から這い出る。

 

「そうですね、その方が早いですし。」

「いつかすることになるんだから、先に覚えといてもいいだろ。」

「待って!?」

「手伝うのはいいけど、なんでそんな話に?」

 

その言葉に、二人はじっとした目で二人を見つめる。

 

「入らないのかよ?」

「いや、MZ団のこともあるし。」

「う、うん、そんな不義理は・・・」

 

二人はじとっとした目を少しの間続けた後、溜息を吐いた。

 

「まあ、いいか。」

 

その返事に二人はほっと息をつく。

 

「そうですね、今はまだ。」

 

安心しない方がいいかもしれない、二人は背中に冷や汗が垂れていくのを感じた。

 

 

 

「・・・疲れた。」

「そうだね・・・・」

 

二人はぼろぼろの体を引きずって、ホテルに帰ってくる。

何せ、イベルタルの件でクエーサー社でメガシンカポケモンたちの相手を連続でさせられたのだ。そのあとイベルタルの捕獲まで連騰したのだから疲れも納得だろう。

 

(・・・いや、それ以上に、グリとグリーズの、コーヒーブレイクという名の、勧誘の時間が一番疲れたかも。)

 

はあとキョウヤは息をつく。

 

「・・・・姉さん、イベルタル、大丈夫?」

「うん、大丈夫。いい子そうだし。」

「まあ、バンギラス手なずけてる姉さんなら大丈夫か・・・・」

 

そういいつつ、ホテルに二人が入ろうとしたとき後ろから声がかけられる。

 

「与えるものと、奪うもの、捕獲したのですね。」

 

それに二人は振り返る。

 

「どちらも必要でしょうが、過剰になればバランスが崩れることもあります。」

 

彼は静かな目で、セイカとキョウヤを見つめる。

 

「もう、記録もおぼろげですが。私は昔、与えすぎたのでしょう。報われることもなく絶望し、憤り、逆に全てを奪おうとしたはず!」

 

力強く言葉を吐いた後、ふうと息をつく。

 

「ジガルデは行き過ぎを是正し、中道中庸を保とうとする存在でしょうか?」

「・・・・・本当に?」

「・・・・・あの子が?」

 

二人の脳裏には、ガレットをばりばりとかみ砕く緑のポケモンの姿があった。

 

「・・・・・まあ、その、はず、です。」

 

フラダリはごまかすように息をつき、そうして、話を続ける。

 

「最終兵器を放った私を救ったのもそれを伝えるためでしょうか・・・」

 

もっと違う意味があるのかはフラダリにはわからないが。

彼は、改めてセイカとキョウヤを見る。

 

「君たちの頼みを聞くという話ですが、その前に頼みがあります。私とポケモンバトルをしてください。君たちの、トレーナーの資質を見てみたいのです。」

 

その言葉に、二人は顔を見合わせ、そうして頷く。

 

「かまいません、でも、俺たち二人、同時にお願いしたいです。」

「ダブルバトル、ということですか?」

「それは、ちょっと俺たちに有利すぎるので。」

 

「俺たちは、三体ずつ、交互にポケモンを出します。入れ替えはなしで。それなら、かまいません。」

「・・・・わかりました。」

 

それに、二人は悲しそうに微笑んだ。

 

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