カエンジシみたいな父を探しております。ついでにミアレも救います。 作:幽
番外編です。ゲーム時空で全部平和に進んだらのIFです。
感想、評価、ありがとうございます。また、いただけましたら嬉しいです。
「プラターヌ博士―。お望みの資料・・・」
そう言って、プラターヌ博士の研究室に現れた存在に、皆、目を瞬かせた。
「ああ、すまない。邪魔したか?」
「いや、丁度終わったところだよ!」
そう言って入ってきたのは一人の女だった。纏う服装自体はシンプルで、黒いジャケットに首まであるインナー。動きやすそうなパンツスタイルで、コンバットブーツを履いていた。
黒い髪を高い場所で結び、それが背中でゆらゆらと揺れていた。
全体的に地味な色合いではあったが、唯一、目だけが違った。
まるでカエンジシのようにつり上がったそれは、高貴なアイリスのような紫の瞳をしていた。
プラターヌ博士の周りに立っていた、五人の子どもたちは困惑したように女を見つめた。それにプラターヌがああ、と頷き、女から記憶媒体を受け取ると皆に紹介する。
「彼女はカヌス!カロスリーグの四天王の一人なんだ!」
それに子どもたちから驚きの声が上がる。
(この人が・・・・)
カルムはまじまじと女を見るが、特別、どこかで顔を見たということはない。有名人であるはずだが、覚えがないと言うのも珍しいと感じる。
「し、四天王!?」
「この人が!?」
「見えない!」
好き勝手そんなことを子どもたちに、カヌスと呼ばれた女は特別興味なさそうに適当な方向に視線を向けている。
「はははははは、彼女はメディア関係の仕事は、まったくと言っていいほど受けてないからなあ。」
プラターヌのそれに、サナが不思議そうな顔をした。
「えー、なんでですか?」
「なんにでも、得手不得手は存在するだろう。私は四天王としての役割のバトルもこなしているし、リーグの命令は優先的に聞いている。それに、この辺りは、リーグの方も許可しているんだがな。」
どこか、最後になるにつれて、カヌスの言葉に苦みが走って行く。それにプラターヌがどこか困ったような顔をした。
「また、彼女と喧嘩でもしたの?」
「ああ、もっと前に出ろとよく言われるが。彼女はいったい何がしたいんだろうか?」
疲れたようにため息を吐きつつ、カヌスはひらひらと手を振った。
「まあ、ともかく、だ。言われた記録は渡したし。そろそろお暇させてもらおう。」
「あれ?ゆっくりしていけばいいのに。」
「そうしたいが。捜し物と、あと、その、彼女に今、会いたくないというか。」
カヌスが気まずげにそう言えば、プラターヌは全てを察した顔をする。
「・・・・それは、なんというか。こっちでも探すかい?」
「いいや、行き着くところは大体分かってる。」
「そうか、またゆっくりして行きなよ。」
「ああ、あと、フラダリの奴がミアレにいるけど。また、長話聞かせたらすみません。」
「・・・・努力する。」
プラターヌは遠い目をして頷いた。
「わかったよ、何かあればまた連絡してくれ。じゃあ、ありがとうね!フラダリさんによろしく!」
カヌスはそれに頷きつつ、ぼやくように呟く。
「にしても、あいつ。ポケモン持たせたらここまで暴れ回るとは。上の奴らと同じ・・・」
肩を落として去って行くその様に、皆が不思議そうに見送る。
そこで、トロバがプラターヌに問う。
「あの、カヌスさんも、何か研究に?」
「ああ、実は彼女はメガシンカを使うことが出来るんだよ。」
「「メ、メガシンカを!?」」
子どもたちがそう叫ぶと、プラターヌは頷く。
「ああ、だから、彼女には時々、メガシンカしたときのデータなんかを貰っているんだよ!彼女は、なんというか、リーグでも自由が効くというか。バトルの頻度が高いというか、ね?」
苦笑交じりのプラターヌのそれに、子どもたちは首を傾げた。
カルムがセレナとカフェ・ソレイユに入ると、カフェの奥でフラダリとカルネが何やら話し込んでいる。
彼ら以外に人のいないカフェでは二人の姿はとても目立った。
「あなたのデビュー作での少女の演技、素晴らしいものでした。」
「・・・・私は、今思えば、あの演技に後悔をしているの。」
「おや、それは?」
「・・・・たった一人、だけ。興味を持ってもらえなかった。まあ、少しだけ引っかかりがあるってだけの話ね。」
「それは、まあ。お若いままの時のもので納得がいかないのなら、もう一度、というのは難しいですからね。ずっと、少女の姿のまま、若いときのまま、演技をしたいと?」
「いいの、若さイコールが美しさ、魅力とは限らないし。今は、今できる演技をしたいの。」
「それでも、昔の演技を惜しむものもいるでしょう。若いままの姿を保つのもまあ、女優としてのあなたの責任ともいえるやも知れませんね。」
フラダリは、そういって、なんというか、とても甘い顔をした。ほころぶような、どろりとして甘みを感じさせる笑みを浮かべる。
「・・・・世界は永遠では無く、醜くなるだけのものもいますが。時に、永遠に美しいままに生きるものもいる。あなたも、もしや、そうなのかもしれませんね。変わりながら、美しさを保つ。」
それを見て、カルムは思う。
もしかして、これは口説いているのでは?
自分たちは、もしかしたら、大女優を口説く現場に出会ってしまったのでは?
(そう言えば、あの人、さっき研究所で会ったとき変なこと言ってたな。入れ違いになったかって。もしかして、カルネさんを探して?)
そんなことを思っていると、カフェにカルムたちの後に、誰かが入ってくる。
「あ、すみません。」
「いや、すまない、って、おや君達はさっきの・・・・」
そこにいたのは、先ほど会ったカヌスだった。セレナたちが驚いていると、カフェの奥にいたフラダリとカルネががたりと立ち上がる。
「「カヌス!」」
「・・・げえ。」
カヌスは二人の方を見て、面倒くさそうにぼやいた。
「カヌス!こっちに来ていたのか?」
フラダリはカヌスに近づくと当たり前のように彼女の腰に手を回し、当たり前のように口づけをする。
リップ音の後、カヌスは若干顔を赤らめてフラダリの腕の中から逃げたいのか体をひねる。
「・・・フラダリ、その、人前では。」
「君は本当に慣れないね。いや、そういう所が、本当に愛らしい。」
最後に吐息のように熱っぽい息を吐き出した。
その時の、フラダリの表情は、何と言えばいいのだろうか。
甘ったるいバニラアイスにチョコソースをかけて、それに更にチョコスプレーをあふれるほど盛ったような甘さだった。
何か、先ほどまでの毅然、というのか、愚直さのようなものを感じた男がするには、何か似合わないような感覚を覚える。
おまけに、その、良くも悪くも毅然とした男が、どちらかというとダウナー気質を感じさせる女に向けるのが、何か、しっくりこないような気持ちになった。
子どもが見てはいけないようなものを感じて、カルムとセレナがドギマギしていると、そこに割り込むようにカルネが入ってくる。
「・・・それで、フラダリさん?カヌスを返していただけるかしら?」
その言葉にフラダリは当たり前のようにカヌスは己の腕の中に収めたまま、カルネに振り返る。
そうして、カルムとセレナに気づいて、カルネの紹介をする。カルムたちはそれに頷きながら、当たり前のようにフラダリの腕の中にいるカヌスに視線が行く。
そこでフラダリは、やはり、とろりと甘い目でカヌスの頬を指でなぞりながら紹介を行う。
「ああ、そうだ。この子はカヌス。私の妻だ。」
その言葉に、二人は目を白黒させる。
妻?
妻????
二人は目の前の偉丈夫を見る。
見目も良く、社会的地位も高い、どこか厳格さを感じさせる男の隣に立つには、なんというか、カヌスはしっくり来なかった。
どこか気だるげで、野生のポケモンのような冴え冴えとした冷たさや、粗野さを感じる女とフラダリは不釣り合いのように感じられた。
二人の視線にカヌスが気まずそうな顔をする中、フラダリだけがどこか、威圧感のある笑みで念を押す。
「ああ、私には不釣り合いなほど、美しい生き物だろう?」
まるで否定することを赦さないというような、威圧感の言葉にセレナとカルムはこくこくと頷いた。
ただ、その腕の中で、居心地が悪そうに頬を赤らめている女を見ていると、互いに思い合っていることが分かった。
二人のそれに満足したらしいフラダリが頷いていると、カルネにフラダリが話しかける。
「それで、カルネさん。カヌスに何用で?」
「・・・少し、仕事のことで話があるの。」
「・・・・雑誌のやつだろう。それについては断っただろう。」
「普段ならね。でも、今回は、リーグの関連の取材よ。あなたも対象なの。」
「はあ、表立つなら、君だけでいいだろうに。」
ぼやくようなカヌスのそれにカルネが厳しい声音で吐き捨てる。
「・・・・あなたはそうやっていつまで逃げてるの?チャンピオンの件だって!」
「リーダー。その件はもう決着付いてるだろ?大体、私と君じゃあ実力の差なんてないし。私は興味だって無い。広告塔と、実働役。うちはそれでいく。それ以上でも、以下でもないだろ。」
「でも!」
「上がそう決めたんだろう。」
何やら言い争うようなやりとりにフラダリが割って入る。
「カルネさん。その件は。」
「・・・・わかったわ。でも、雑誌については正式な仕事だから。きちんと受けてね。」
「りょーかいした。」
カヌスが頷けば、カルネは気を取り直したのか、彼女の腕を掴む。
「ああ、そうだ!なら、取材時の服を買いに行きましょう!」
「は?いや、そんな必要は。」
「せっかくのメディア露出なのよ?なら、着飾らないと。」
「いや、それは・・・・」
カヌスが及び腰になっているとフラダリが割って入る。
「彼女の服は私が用意しますので。何が似合うのか、何よりも分かっているので。」
そのままカヌスを置いて、話は進み、そのまま服のコンセプト自体はカルネが決定し、服はフラダリが選ぶことで決まった。
「・・・話が終わったのなら、もう行っていいか?二人ともそろそろ時間じゃ無いのか?」
「ああ、そうだな。もう、こんな時間か。」
「また、後でちゃんと話をしましょうね?」
二人は、セレナとカルムに挨拶をして、フラダリはカヌスに別れ際にまた口づけをして去って行く。
「・・・すまんな。なんか、変な所を見せて。」
「い、いえ、なんか、大変ですね?」
「・・・・だな。君達もポケモンバトルしてるのか?なら私とも戦うのかな?そうなった時を楽しみにしてるよ。」
カヌスはそう言って、赤い顔を隠してふらふらと去って行った。
「カラスバー・・・」
カラスバはそれに振り返る。そこには疲れたような顔をした己の上司、というのが正しい女が立っていた。
「うちの末っ子見つかったか?」
「いえ、すんまへん。ぜっんぜん見つかりません。」
その言葉にカヌスは頭を抱えた。そうして、ため息を吐く。それにカラスバは申し訳なさが頭を擡げた。
「・・・そんな顔をしなくていい。というか、お前は何にも悪くない。にしてもくそ、上の二人をなぞるような動きをしよってからに。」
プリズムタワーの前で二人はそう言って、カヌスとフラダリの、末の子どもの行方に頭を抱えた。
カラスバは現在、カヌスとフラダリの子どもたちの用心棒として個人的に二人に雇用されている立場になる。
そんなことになったのはカヌスが姿を消して、数年ほどして、彼の姉貴分がひょっこりとミアレにやってきたことに遡る。
当時、まだグレーゾーンぎりぎりの仕事をしていたカラスバは、再会の出来た姉貴分の姿にそれはそれは喜んだ。
そうして、彼女はというと疲れ切った顔でカラスバの肩を掴んだ。
「カラスバ!お前、うちの子どもたちの護衛役してくれないか!?」
カラスバは驚いた。何せ姉貴分が子どもを産んでいたのも驚いたが、それはそれとしてそれがフラダリの子どもだというのだから、もう、驚きまくった。
「いや、ちょっと、あいつと距離置きたくて、違う地方に行ったら出来てるのに気づいて。まあ、その後はフラダリに見つかって、また帰ってきたんだが。」
彼女は疲労を感じる顔でそう言うが、なにゆえ、自分に護衛役など、と思っているとなんでもその子どもたちというのがくせ者らしい。
「この前ねだられて、まあ、初めてのポケモンを渡したんだが。元々、二人とも好奇心が強かったんだが。これがまあ、家をしょっちゅう抜け出してほっつき歩いててな。まだ旅に出すのも早い年齢だし。それに加えてあいつらの場合、誘拐される確率とかを考えると。」
「えっと、それで、俺を?」
「ああ、お前、バトルの腕なかなかなんだろう?後、お前なら信じられるからな。」
その時のことを、カラスバはまるで気に入りの本を幾度も読み返すように思い出す。
信じた、愛した人からの信頼。
それは、なんて甘美で、心臓にねじ込まれるような快感だろうか?
カラスバはそれに頷き二人の子どもの子守役になった。
どうも、カラスバがそれに選ばれたのは、曰く、カヌスのことが気に入らないフラダリの親戚筋側の人間を子どもたちの側に置いておきたくなかったというのもあるらしい。
「ちょっと、私は色々と準備があるから!お前に頼んだ!」
そう言った彼女が何をしていたのかというと、カロスリーグの四天王に食い込むための準備だったらしい。
「よかった、本当に。ポケモンバトルの腕だけは才能があって・・・・」
そんなこんなで、一応はフラダリの妻としてうるさく言われない地位を手に入れたのだ。
「・・・・にしても、キョウヤとセイカ、パルデアの学校に入れたら今度は末っ子まで。はあ、フラダリに似てるから今度は大人しいと期待したんだけどなあ。」
「ねーちゃんの子なんやからお察しでしょう。」
「お前、ひでえな。はあ、おまえさんもようやく気苦労がなくなると思ったのに。すまないな。」
「ええですよ、後、若たちはお元気ですか?お付きの二人も。」
「いや、元気だが。というかあの子たちは本当によかったのか?パルデアの学校に連座で入学だなんて。」
「・・・・ねーちゃん、気持ちは分かるけど、連座は言い方どうなん?」
「いや、質感として。」
カヌスの子どもの、セイカとキョウヤはそれはそれはやんちゃで好奇心がある。一応は、旅の出来る最年少でそのまま地方を巡り、見事ジム踏破を果した。
といっても、リーグはまだ挑んでいない。
カヌスと戦うならもう少し鍛えたいという二人の要望もあってのことだ。
が、二人とも良くも悪くも体力があり、普通の学校では満足しきれない。そのためフラダリと話し合ったカヌスはパルデアのほうの学校にそのまま叩き込んだらしい。
(学校関連で、なんか色々騒がしいみたいだが。あいつら、首突っ込むのはいいけど収まり。まあ、どうにでもするか。)
カヌスにとって心配なのはフラダリが双子にあわせた子ども二人だ。
「やはり、幼い頃から信用できる存在、というのは必要だ。カヌスほどの存在はそうそうないが。話が出来る存在はね。」
カヌスも、まあ年頃的に友人は必要かと頷き、そうして連れてこられたのが男女の、双子よりは幾分か年が上の二人だった。
幸いなことに警戒心の強い双子も気に入り、カラスバも可愛けれど、とんでもない方向にぶっ飛ぶ二人の行動への大変さは理解しているのでお付きの二人の苦労は分かち合ってきたのだ。
「でも、二人ともセイカとキョウヤに着いていくのを望んだんやろ?」
「でもなあ、大人の期待とか将来的に側近とかに、とか考えてんなら哀れだろう?結局、自分の人生は自分のものだろう?」
悩ましいと言うように顔をしかめるカヌスにカラスバは手をひらひらと振る。
「いやあ、まあ、心配せんでもええと思うけど。」
彼の脳裏には、セイカとキョウヤにべったりな二人のことを思い出す。
ある意味で、彼らは願って連座になっているのだ。
気にするだけ無駄ではある。
そんなことを言いつつカヌスの脳裏には初めて貰ったポケモンに浮き足立ち、絶賛迷子の末っ子と、そうして先ほどのやり合ったカルネのことを思い出す。
「・・・・はあ。」
「どうしたんです?」
「いや、さっき、カルネと会って。」
「なんです、まだ上手くやれんのですか?」
「やれねえ、なんか怒らせる。大体、まだ、チャンピオンの件気にしてるみたいだし。」
「あー・・・・」
カラスバはそれにある程度、理解が出来た。
カルネとカヌスの関係性は、まあ、複雑だ。
彼らの実力差はさほどない。どちらかというと、女優業で忙しない彼女の分まで、リーグ関連での、ポケモンや悪意のある人間達の対処を任されているカヌスはその分経験を詰んでいるため勝ることが多いのだ。
ある意味で、強さ的にはカヌスの方が勝っていると言える。
それはカルネもよく分かっている部分なのだろう。けれど、リーグはカルネをチャンピオンにした。
答えは簡単だ。
世界的大女優且つ、対人においてカルネのほうが優れているためだ。リーグのチャンピオンは、その土地のバトルにおいての顔に当たる。
ならば、宣伝効果のあるカルネを選ぶのは必然と言えた。
カヌスも、フラダリの妻という立場に立っても遜色の無い立場が欲しかった彼女もそれでいいと流したのだ。
元より、チャンピオンという立場になれば、拘束時間は延びる。子どもたちやフラダリとの時間が削られるよりも、苦手なメディア露出を避けられ、得意な実働的な部分に仕事が割り振られることのほうがカヌスはありがたかった。
それは、カルネにとっては面白いことでは無かったのだろう。
彼女の立場は、彼女が努力をし、勝ち取ったものだ。けれど、ポケモン勝負という違う分野でも、それが合わさって評価されるのは納得出来ないものだったのだろう。
(まあ、後なあ。)
二人のファーストコンタクトもまた最悪だったのだ。
あのカルネといえば、それ相応に騒がれる立場であったが、カヌスは彼女に興味は無かった。
けれど、一周回ってそんな彼女に会っても平然としているカヌスを周りはいぶかしんだ。
その時は他の四天王ではなく、カルネのファンだったリーグ職員と本人しかいなかったのもあるだろう。
そうだ、それにカヌスは慌ててしまいはしたが、何せ女は特別カルネの出演した映画を見たこともない。
いや、一つだけあったのだ。
少女時代のカルネが出演した例の映画だ。それだけは見たと言って取り繕おうとしたものの、感想を聞かれてこれまた怯んだ。
カヌスは、その映画の内容を覚えていなかった。
何せ当時、その映画を見たとき、カヌスは映画館で久方ぶりに会えたフラダリの横顔を終わるまで眺めていたのだ。
あほらしい理由なのだ。ただ、その時無理がたたり、あまり顔色の悪くなかったフラダリのことが心配だったカヌスには彼の方が気になってしまって。けれど、焦りに焦ったカヌスはそれを話してしまった。
カヌスはカルネにそれが原因で嫌われたと感じている。当たり前だ、あまりにも無礼すぎる。カルネ自体はそれに腹立たしさは感じてはいなかったのだろうが、チャンピオンの席の件で一気に思うところが増えていったのだろう。
(まあ、いろんな要素が合わさっとるんやろうな。)
カヌスは、フラダリしか見ていない。
四天王になるほどの実力を持てども、バトルに興味が無いくせに、フラダリの隣に立つためにその地位に就いている。故に、彼女はバトルでは手は抜きはしないが、地位がゆらがない限りは、負けようが、勝とうがどうでもいいのだ。
カヌスがカルネと戦えばカヌスの方が勝つ頻度は多い。けれど、時折負けだってする。
その時、カヌスはひどく淡々としている。
何せ、カヌスは勝負の勝ち負けに興味を持たないから。四天王という役割を保つためにより強くなる努力をしても。
カヌスは、カルネを見はしない。永遠に。
だからこじれるのだろうなあと、カラスバは考えている。
けれど、それを指摘しようとは思わない。何せ言ったとしても、カヌスはそれを理解しないだろう。
彼女は自分を取るに足らない存在だと考え、そんな自分を愛してくれるフラダリとカラスバが変わり者で、人よりも懐が大きいのだと受け取るカヌスにはそれを理解できないだろう。
(まあ、チャンピオンは性根は真っ直ぐやから、それで嫌がらせとかはならんやろし。ほっとこ。)
カラスバが冷淡にそんなことを考えていると、カヌスが暗い顔をする。
「私さ、やっぱ女とコミュニケーション取るの下手くそなのかね?」
「あんたを慕う女なら山ほどおるでしょう。チャンピオン以外に誰かおります?」
「・・・・パキラとか?」
「あれはまあ、フラダリさんのこともあるからやない?」
「そうだけどねえ。フレア団のことも上手くやりたいんだけど。」
「そう言えば、あの見つかった兵器どうするんですか?」
「フラダリは、何にも分かりませんでしたって報告だけして解体しちゃうってさ。」
「まあ、それがええでしょう。」
フレア団というのは、フラダリが、福祉活動のために立ち上げた非営利団体だ。が、それは隠れ蓑で実はとある街で見つかった古代兵器の解体のために動かしている。
「・・・・気になることは多いけど、調べて下手なことになって欲しくないし。というか、あれが街の下にあるのは怖すぎるし。まあ、壊すのでいいだろ。」
「そうですねえ。」
二人はそんなことを話ながら、そうして、改めていなくなった末っ子についてどうしたものかと悩んでいた。
「シシコ、やんないほうがよかったかなあ?」
「あの年の子には必要でしょう。というか、諸諸の理由ならできるだけはよう強うなってもらわんといけんのでは?」
それはそうだろうとカヌスは頷きつつ、こうやって探すはめになることを考えると悩ましいなあとため息をついた。
「あれだけ見事な赤毛なら、見つかると・・・・」
カヌスがそう言って何気なく、辺りを見回したその時、だ。
「「いた!!」」
プリズムタワーを見上げる、シシコを連れた赤毛の子どもの姿が映った。
それに、二人はばたばたと駆けだした。
四天王時、台詞
闇夜の間
バトル開始時
ああ、来たのかい。まあ、それはそうだろうが。名乗りはしたが、改めて、私はカヌス。四天王の一人だ。フレア団のあれこれでは世話になったが。
全力で行かせて貰う。
バトル終了時
うん、終わり。お見事だ。
・・・君はどうしてここにいる?いや、深い意味は無い。ただ、断固としてこの道を、でも、流れに身を任せて、でも。
君が歩き、積み上げたものはなくならない。君の目指す恒星が、いつまでも輝いていることを願っているよ。
あくタイプの四天王
手持ち
アブソル
ブラッキー
ゲッコウガ
ゴロンダ
カヌス
他地方に行ったが、双子たちが父親に会いたがり、勝手に連絡を取られて連れ戻された。その後和解し、フラダリの隣に立つために根性決めて四天王になった。双子の後に、フラダリそっくりの子どもが産まれている。
パキラの席だったはずの四天王になっている。
フレア団のことは、解体予定だったが、クセロシキとパキラの暴走で兵器は起動された。末っ子を人質に取られて身動き取れなくなってた。
結婚のために四天王になった女としてネタにされている。
フラダリ
カヌスと子育てして、次世代に託すという選択肢を考えて絶望しきっていない。今日より明日は悪いものかも知れないけれど、今日よりいいものかもしれない。
フレア団についてはパキラに主導を任せていたらえらいことになった。末っ子を人質に取られて、ボスのふりはしてた。なんとかなって、後始末で大変なことになったが、なんとかしている。
彼は幸せだ、なにせ、明日をちゃんと信じられるから。
プラターヌ博士に、子どものことで数時間語る男として、親馬鹿でネタにされている。
カラスバ
双子の護衛役として雇われている。双子がパルデアに行った後は、末っ子の護衛もして日々を過ごしている。現在は、カロス地方の諸諸のことが機能していないことにぶち切れたカヌスが作った、探偵社という名の、カロス地方の調査をする会社に所属している。他のストリートチルドレンも、カヌスとアブソルにしばかれながら、ポケモンバトルを叩き込めれて生活している。
彼は幸せだ、日陰暮らしたちのお天道様にはなれなかったけど、愛した人たちの側にいられる。
双子
今日も今日とて元気に生きている。父親に会いたくて、母親の管理していた連絡先に勝手に連絡した。たぶん、ナイスなことをした。
現在、父に引き合わされたお付きの二人とパルデアでどったんばったん大騒ぎしている。
末っ子を溺愛している。
お付きの二人
尊敬している人の子どもたちを引き合わされて、役割を果すために奮闘していたが、今ではすっかり双子にべったりになっている。
彼らは燃え尽きない、彼らは灰にならない。ここでは、彼らは安寧の中で朽ちていく。
カルネ
自分のライバルと行っていいほど切磋琢磨し合える実力の女に会ったが、相手はまったく自分に興味も無ければ関心も無いことに色々思うところがありすぎて関係がギクシャクしてる。
そのくせ、何かしら、私のチャンピオンとか呼んでくるから腹立つ。
パキラ
フラダリのこともあるが、カルネと似た理由でカヌスが嫌い。
女は、一度だって、自分を見なかった。
末っ子
このルートでしか産まれない、フラダリそっくりの、赤毛の、そっくりの顔立ちの、アイリスの瞳をした子ども。
シシコを連れて、子どもは行く。何も知らず、父に似て優しく、母に似て図太い子どもは、今日よりも、よりよきものになるだろう。
アブソル
カヌスの世話をしているストリートチルドレンなどをド突き回し、バトルについてたたき込み、日々を悠々と過ごしている。リーグでも活躍している。
フラダリのカエンジシとの間で卵を作った。卵はかえり、長男の元で育っている。